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「風間ビール追加」
目の据わった女が酒に焼けた声でそう言った。なんて無様な姿だと思いつつ風間は「水をお願いします」と店員に頼んだ。酒だってばと騒ぐ女のことは無視した。
そして少し離れたテーブルの男女の集団へ視線をやる。そこには見慣れた人物が約二名。同じボーダー隊員である太刀川と諏訪だ。ついでに言うと目の前の女は元戦闘員、現ボーダーの事務員をやっている名字名前だった。昔は互いに切磋琢磨し、今はこうやって酒を呑んで愚痴を言い合うような関係だ。そこに男女の感情はない。
さらについでを言うと彼女がそう言った対象で見ているのは男女の集団に紛れている諏訪だった。
「くっそ、大学生ってくっそ。なんだ合コンてアホなのか」
これが彼女が酒に溺れた理由であり、風間が酔っ払いに付き合っている理由だった。
「あんな女どもより加古ちゃんや響子さんのほうが綺麗じゃない。なに? あいつの目は腐ってんの?」
「太刀川はいいのか」
「あいつはバカだからいいの」
弟弟子である太刀川に厳しい彼女の目には諏訪しか入ってなかった。「お、名前姉。俺今日合コンなんだよ」「病気もらって来ないでよ」「俺のことなんだと思ってんの。まー諏訪さんもいるし帰りは大丈夫だな」「…………諏訪も行くの?」「おう」「死ねよ」「なんでだよ!」こんなやりとりをした上で太刀川と諏訪を尾行した名前の執念は余程だなと感心すら覚える風間。
「なにあのデレデレした顔。ばっかじゃんか。胸元バーって開いた女なんか見え見えじゃん。くそあの女胸でかいな」
殺意を浮かべながら枝豆の食べる名前。心なしか現役時代より鋭い殺気を放っている。トリオン量さえ減少しなければ彼女は第一線でやっていけただろうと場違いな意見を述べる風間では恋愛感情の機微など分かるはずがないのだが、残念なことに都合の合う人間が風間しかいなかったのだ。人選間違えたと頭を抱え「木崎あのやろう」と呟く名前。色々察した木崎はこの場には来なかった。そして風間は夜ご飯を食べるために来たようなものだった。
「ああっあの女! 胸押しつけてる! 諏訪のヤツ顔赤くしてる気持ち悪い!」
「おまえ本当に諏訪のことが好きなのか」
「いつから片思いしてると思ってんの! 殺すぞ風間!」
「本当に酒癖が悪いなおまえは」
普段も口は悪いがこれほどじゃない。諏訪関係ではすぐにこうなるが。ため息をつきながら風間は店員にもらった水を名前に渡す。
「とりあえず酒を抜け。家まで送ったりしないからな」
「だから風間はモテないんだよ。チビで優しさないからモテないんだよ」
「粗暴でまな板のおまえには言われたくないな」
「うるさい知ってるもん……諏訪はぁ、そんな私でも女扱いしてくれたし、弧月振り回してたときも、「女がそんな風に暴れるんじゃねえよ、男の俺の立つ瀬ねえだろ」って……もーかっこいー」
「あだ名がキングゴリラのおまえにそんなことを言ったのかあいつは……」
「引いてんじゃねえよ小型ルンバ」
信じられないといった顔をした風間に枝豆の殻を投げた名前。止めろと眉を寄せるが全く聞いていない。殻を入れていた皿を取り上げてやっと止まった。そして風間を睨みつける名前。
「チビが」
「うるさい男女」
「そうだよ背も高いし髪も短いからずっと男扱いだったよ。だから諏訪が女扱いしてくれて嬉しかったよ。だから調子乗って髪伸ばしてみたよ」
あんな風にはなれなかったけど、と小さく呟いた名前の視線の先には髪を明るく染め、毛先をカールさせた煌びやかな女。華やかなメイクをしている茶髪の女と違い、名前は薄いメイクに肩ほどの真っ黒の髪。そして強いくせっ毛のせいで所々跳ねている。天パのせいで今まで髪を伸ばさなかった自分が恋をしてあっさり伸ばしだしたなんて笑いものだ。そう自嘲してテーブルに頭を乗せる。
「………諏訪に彼女出来たらどうしよ」
あ、ダメだ泣きそうとメイクのことも考えず目元を押さえたときだった。
「なによ! ボーダーかなんだか知らないけど調子乗らないでくれる!?」
女の甲高い声が店内に響き、名前が顔を上げるとそこには顔を真っ赤にした先ほどの女が諏訪の前に立って怒鳴っている光景があった。な、何が起きた……? と風間とふたりで首を傾げていると女はコップを手に取り、その中身を諏訪にぶちかました。
「!?」
「最悪よ!」
そう言って女は店を飛び出した。驚ききっている名前とは違い「あの女無銭飲食じゃないか?」と風間はパスタを頬張りながら言った。そこじゃない! と名前が突っ込むとちょうど諏訪が名前と風間がいるテーブルへ視線を向けた。そして名前と目が合うとばつが悪そうに頭を掻き、力なく笑った。か、かっこいい……。
太刀川たちの合コンはそこでお開きになったらしく支払いをし太刀川と諏訪は名前達の席へと戻ってきた。
「あー! 諏訪さんのせいで合コン潰れたじゃねえか!」
「悪かったって」
「おい何故ここに座る」
「飲み直しだよ。名前姉たちも来てたんだな」
「ま、まあね」
隣に諏訪が座り若干縮こまった様子の名前。先ほど枝豆の殻を投げてきたのは誰だ、と目を細める風間の視線は無視だ。
「つーか諏訪さんさっきのデカパイ何言って怒らせたんだよ。いい感じだったじゃん」
「あー……」
言葉を切ってチラリと横の名前に視線を向ける諏訪。諏訪の視線に顔を赤らめ背筋を伸ばす名前に「名前姉どんだけ酒呑んだんだよ」と笑う太刀川。姉弟子のいつもと違う様子に何も気づいていない。
「まぁ……なんか合わなかったな」
「胸でかかったじゃん」
「おまえそれしか言わねえな。関係ねえよ」
「ないよりある方がいいだろ。名前姉は絶壁だし」
「慶、殺すぞ」
「は!? なんで怒ってんの!? いつもこんなんじゃ怒んねーじゃん!」
「おまえデリカシーなさ過ぎんだよ。それに、名字なら余計に関係ねえよ」
どっちでも、と名前を見ながらそう続けた諏訪にさらに名前は顔を赤くした。
(あ、みてみて~諏訪くん。あそこのカップル姉弟みたい)
(ん……? (あれ風間と名字じゃねーか))
(あはは、彼女の方でかすぎだよね。あれじゃ女の子に見えないよ。彼氏可哀想ー)
(………)
(? どうしたのー諏訪くん)
(喋んな)
(え? )
(てめえみたいな性悪女よりあいつの方がずっと可愛いっつーの。つーかあいつらカップルじゃねえよ)
目の据わった女が酒に焼けた声でそう言った。なんて無様な姿だと思いつつ風間は「水をお願いします」と店員に頼んだ。酒だってばと騒ぐ女のことは無視した。
そして少し離れたテーブルの男女の集団へ視線をやる。そこには見慣れた人物が約二名。同じボーダー隊員である太刀川と諏訪だ。ついでに言うと目の前の女は元戦闘員、現ボーダーの事務員をやっている名字名前だった。昔は互いに切磋琢磨し、今はこうやって酒を呑んで愚痴を言い合うような関係だ。そこに男女の感情はない。
さらについでを言うと彼女がそう言った対象で見ているのは男女の集団に紛れている諏訪だった。
「くっそ、大学生ってくっそ。なんだ合コンてアホなのか」
これが彼女が酒に溺れた理由であり、風間が酔っ払いに付き合っている理由だった。
「あんな女どもより加古ちゃんや響子さんのほうが綺麗じゃない。なに? あいつの目は腐ってんの?」
「太刀川はいいのか」
「あいつはバカだからいいの」
弟弟子である太刀川に厳しい彼女の目には諏訪しか入ってなかった。「お、名前姉。俺今日合コンなんだよ」「病気もらって来ないでよ」「俺のことなんだと思ってんの。まー諏訪さんもいるし帰りは大丈夫だな」「…………諏訪も行くの?」「おう」「死ねよ」「なんでだよ!」こんなやりとりをした上で太刀川と諏訪を尾行した名前の執念は余程だなと感心すら覚える風間。
「なにあのデレデレした顔。ばっかじゃんか。胸元バーって開いた女なんか見え見えじゃん。くそあの女胸でかいな」
殺意を浮かべながら枝豆の食べる名前。心なしか現役時代より鋭い殺気を放っている。トリオン量さえ減少しなければ彼女は第一線でやっていけただろうと場違いな意見を述べる風間では恋愛感情の機微など分かるはずがないのだが、残念なことに都合の合う人間が風間しかいなかったのだ。人選間違えたと頭を抱え「木崎あのやろう」と呟く名前。色々察した木崎はこの場には来なかった。そして風間は夜ご飯を食べるために来たようなものだった。
「ああっあの女! 胸押しつけてる! 諏訪のヤツ顔赤くしてる気持ち悪い!」
「おまえ本当に諏訪のことが好きなのか」
「いつから片思いしてると思ってんの! 殺すぞ風間!」
「本当に酒癖が悪いなおまえは」
普段も口は悪いがこれほどじゃない。諏訪関係ではすぐにこうなるが。ため息をつきながら風間は店員にもらった水を名前に渡す。
「とりあえず酒を抜け。家まで送ったりしないからな」
「だから風間はモテないんだよ。チビで優しさないからモテないんだよ」
「粗暴でまな板のおまえには言われたくないな」
「うるさい知ってるもん……諏訪はぁ、そんな私でも女扱いしてくれたし、弧月振り回してたときも、「女がそんな風に暴れるんじゃねえよ、男の俺の立つ瀬ねえだろ」って……もーかっこいー」
「あだ名がキングゴリラのおまえにそんなことを言ったのかあいつは……」
「引いてんじゃねえよ小型ルンバ」
信じられないといった顔をした風間に枝豆の殻を投げた名前。止めろと眉を寄せるが全く聞いていない。殻を入れていた皿を取り上げてやっと止まった。そして風間を睨みつける名前。
「チビが」
「うるさい男女」
「そうだよ背も高いし髪も短いからずっと男扱いだったよ。だから諏訪が女扱いしてくれて嬉しかったよ。だから調子乗って髪伸ばしてみたよ」
あんな風にはなれなかったけど、と小さく呟いた名前の視線の先には髪を明るく染め、毛先をカールさせた煌びやかな女。華やかなメイクをしている茶髪の女と違い、名前は薄いメイクに肩ほどの真っ黒の髪。そして強いくせっ毛のせいで所々跳ねている。天パのせいで今まで髪を伸ばさなかった自分が恋をしてあっさり伸ばしだしたなんて笑いものだ。そう自嘲してテーブルに頭を乗せる。
「………諏訪に彼女出来たらどうしよ」
あ、ダメだ泣きそうとメイクのことも考えず目元を押さえたときだった。
「なによ! ボーダーかなんだか知らないけど調子乗らないでくれる!?」
女の甲高い声が店内に響き、名前が顔を上げるとそこには顔を真っ赤にした先ほどの女が諏訪の前に立って怒鳴っている光景があった。な、何が起きた……? と風間とふたりで首を傾げていると女はコップを手に取り、その中身を諏訪にぶちかました。
「!?」
「最悪よ!」
そう言って女は店を飛び出した。驚ききっている名前とは違い「あの女無銭飲食じゃないか?」と風間はパスタを頬張りながら言った。そこじゃない! と名前が突っ込むとちょうど諏訪が名前と風間がいるテーブルへ視線を向けた。そして名前と目が合うとばつが悪そうに頭を掻き、力なく笑った。か、かっこいい……。
太刀川たちの合コンはそこでお開きになったらしく支払いをし太刀川と諏訪は名前達の席へと戻ってきた。
「あー! 諏訪さんのせいで合コン潰れたじゃねえか!」
「悪かったって」
「おい何故ここに座る」
「飲み直しだよ。名前姉たちも来てたんだな」
「ま、まあね」
隣に諏訪が座り若干縮こまった様子の名前。先ほど枝豆の殻を投げてきたのは誰だ、と目を細める風間の視線は無視だ。
「つーか諏訪さんさっきのデカパイ何言って怒らせたんだよ。いい感じだったじゃん」
「あー……」
言葉を切ってチラリと横の名前に視線を向ける諏訪。諏訪の視線に顔を赤らめ背筋を伸ばす名前に「名前姉どんだけ酒呑んだんだよ」と笑う太刀川。姉弟子のいつもと違う様子に何も気づいていない。
「まぁ……なんか合わなかったな」
「胸でかかったじゃん」
「おまえそれしか言わねえな。関係ねえよ」
「ないよりある方がいいだろ。名前姉は絶壁だし」
「慶、殺すぞ」
「は!? なんで怒ってんの!? いつもこんなんじゃ怒んねーじゃん!」
「おまえデリカシーなさ過ぎんだよ。それに、名字なら余計に関係ねえよ」
どっちでも、と名前を見ながらそう続けた諏訪にさらに名前は顔を赤くした。
(あ、みてみて~諏訪くん。あそこのカップル姉弟みたい)
(ん……? (あれ風間と名字じゃねーか))
(あはは、彼女の方でかすぎだよね。あれじゃ女の子に見えないよ。彼氏可哀想ー)
(………)
(? どうしたのー諏訪くん)
(喋んな)
(え? )
(てめえみたいな性悪女よりあいつの方がずっと可愛いっつーの。つーかあいつらカップルじゃねえよ)