この世界の端っこで
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「ナマエ、ヨロイ島に行くか?」
キバナの言葉にサダイジャをちょんちょん触っていたナマエは首を傾げた。
「どこ? それ」
「お前を拾った場所だ」
「やだね!!!」
サダイジャの後ろに隠れたナマエはエネコのように威嚇してくる。つまり全然怖くないのだがキバナはどうしたもんかと悩んだ。ヨロイ島はナマエのトラウマの地だ。ゆっくりとポケモンに慣れていっている今、無理やり連れて行きたくない。
「じゃあまた今度って連絡いれておくよ」
「誰か私に用があるの?」
「あの島の所有者の方がな。お前の発見が遅れた事と発見出来なかった事を謝りたいそうだ」
「えっ気にしてないのに」
ナマエはそう言うが自分の所有する島でポケモンも知らない女が一週間さ迷ったのはキバナの立場でも気にする。あの方は陽気だが、責任感のある人だからなおさらだ。会ってほしい気持ちはあったが、ここはナマエの気持ち優先だ。そう思っていたらナマエはサダイジャの後ろから出てきてキバナと向き合った。
「キバナ、その人に私会うよ。本当に全然気にしなくていいんだけどさ、なんというか……モヤモヤが残るの嫌じゃん?」
「ナマエ……本当に大丈夫か?」
「イワンコとキバナいるから大丈夫。あとおやっさんに挨拶したいし」
笑ってそういうナマエにふっと気が抜けて笑みがこぼれる。くしゃと頭を撫でる。まだナマエはキバナのポケモンにもゆっくりゆっくり近づいて接している。まだ怖いという気持ちはあるはずだ。でも顔も知らない誰かの心を優先した。そんなナマエに言葉の出ない感情が湧き上がってくる。
「お前はオレが守ってやる」
自然と出た言葉。顔を寄せてそう言うとナマエは瞬きをして「よろしく」と照れくさそうに笑みをこぼした。
***
「チミがナマエちんだねー。ワシちゃんはこの島の所有者のマスタードだよ!」
「おじいちゃん、しゃべり方可愛いね」
「うふふーありがとねー」
「私もこんな癒し系なおばあちゃんになりたい」
「たくさん褒めてくれていい子だねー」
マスタードはナマエの言葉に朗らかに笑っている。キバナはナマエの遠慮ない言葉に少しヒヤリとした。いや、マスタードが怒るとは思っていないが、その人は元チャンピオンで凄い人なんだとナマエに言いたい。……ナマエはチャンピオンの凄さが分かるだろうか。そういえばナマエは聞いてこないがキバナがジムリーダーだと知っているのかどうか。平気で「なにそれ?」というナマエが浮かんで頭を押さえた。
するとマスタードはすっと体勢を整えてナマエと向き合った。
「ナマエちん、今回はたくさん辛い思いをさせてごめんなさいね」
「全然大丈夫だよおじいちゃん。今元気にしてるしすごい楽しいよ。本当に気にしないでね」
気にされた方がこっちも気にする! とわざとらしく胸を張るナマエにマスタードも肩の力を抜いたようだ。「優しい子だねー」といつも通り笑った。
「むしろ私この島のポケモンを勝手にゲットしちゃったけど大丈夫?」
「いいよ! いいよ! 出会いは一期一会だからねー! よかったらその子見せてくれない?」
「いいよー」
ナマエは緩くそう言ってイワンコを出した。イワンコは元気に出てきてブルブル身体を振った。
「イワンコだねー! ワシちゃんも連れてたよー」
「今はいないの?」
「ルガルガンに進化したからねー」
「進化……見た目が変わるやつ? スクールで習った」
「そうそう」
「ルガルガンみせておじいちゃん」
「ナマエ、おじいちゃんはいい加減にやめろ」
「いいよキバナちん!」
マスタードはハイパーボールを投げてルガルガンを出した。真昼の姿のルガルガンだ。ルガルガンはイワンコの姿に気づいて鼻で匂っている。イワンコは「ワン!」と元気に鳴いた。ナマエは二匹を見て比べている。
「おお……確かに似てる気がする?」
「ルガルガンは時間帯によって三種類の姿に進化するポケモンだよー。昼、夜、黄昏ってねー。まあ黄昏の進化は特性が関係しているけどねー」
「むずかしい」
「ロトム、ルガルガンの姿をナマエに見せてくれ」
スマホロトムにそう言うとびゅん! と飛んでナマエの前にスマホロトムが行く。ナマエはまだスマホロトムに慣れてないのでビクッと肩を揺らしていた。
「びっくりする~このスマホ~」
「慣れろ」
笑いながらスマホロトムの画面に触り、タブレットの大きさにすると「びっくりする! このスマホ! タブレット!」と再びナマエが憤った。
「怒るな怒るな。ほらこれがルガルガンの姿だ」
ナマエは鼻息荒くしていたがタブレットを覗いてからはそれを一心に見ていた。
「エメラルドグリーン……綺麗」
「それは黄昏の姿だねー」
「黄昏の姿……」
ナマエは黄昏の姿のルガルガンが気になっているようだ。じーっと見ている。
「ナマエちんのイワンコの特性を調べようか?」
「? あ、進化の条件? が違うから?」
「そうそう」
「んー大丈夫。どの子に進化してもイワンコはイワンコだし」
ね、とイワンコに話しかけるナマエにマスタードは嬉しそうな顔をした。キバナもだ。進化しても自分のポケモンに変わりはない。トレーナーが当然に思うこと。ナマエもその心を持っていてなんだか誇らしい気持ちになった。
「そもそも私バトルしないからイワンコ進化しないと思うし」
「イワンコは自分で自分を鍛える習性があるから分からないぜ?」
「え? そうなの?」
「ワン!」
「進化する前に姿を消してねー進化したら帰ってくるんだよー」
「猫みたいな習性してるな……」
ちゃんと帰ってきてね、とイワンコに言うナマエにイワンコは元気よく「ワン!」と鳴いた。ナマエのイワンコはどの姿に進化するのだろうか。キバナの楽しみがひとつ増えた瞬間だった。
キバナの言葉にサダイジャをちょんちょん触っていたナマエは首を傾げた。
「どこ? それ」
「お前を拾った場所だ」
「やだね!!!」
サダイジャの後ろに隠れたナマエはエネコのように威嚇してくる。つまり全然怖くないのだがキバナはどうしたもんかと悩んだ。ヨロイ島はナマエのトラウマの地だ。ゆっくりとポケモンに慣れていっている今、無理やり連れて行きたくない。
「じゃあまた今度って連絡いれておくよ」
「誰か私に用があるの?」
「あの島の所有者の方がな。お前の発見が遅れた事と発見出来なかった事を謝りたいそうだ」
「えっ気にしてないのに」
ナマエはそう言うが自分の所有する島でポケモンも知らない女が一週間さ迷ったのはキバナの立場でも気にする。あの方は陽気だが、責任感のある人だからなおさらだ。会ってほしい気持ちはあったが、ここはナマエの気持ち優先だ。そう思っていたらナマエはサダイジャの後ろから出てきてキバナと向き合った。
「キバナ、その人に私会うよ。本当に全然気にしなくていいんだけどさ、なんというか……モヤモヤが残るの嫌じゃん?」
「ナマエ……本当に大丈夫か?」
「イワンコとキバナいるから大丈夫。あとおやっさんに挨拶したいし」
笑ってそういうナマエにふっと気が抜けて笑みがこぼれる。くしゃと頭を撫でる。まだナマエはキバナのポケモンにもゆっくりゆっくり近づいて接している。まだ怖いという気持ちはあるはずだ。でも顔も知らない誰かの心を優先した。そんなナマエに言葉の出ない感情が湧き上がってくる。
「お前はオレが守ってやる」
自然と出た言葉。顔を寄せてそう言うとナマエは瞬きをして「よろしく」と照れくさそうに笑みをこぼした。
***
「チミがナマエちんだねー。ワシちゃんはこの島の所有者のマスタードだよ!」
「おじいちゃん、しゃべり方可愛いね」
「うふふーありがとねー」
「私もこんな癒し系なおばあちゃんになりたい」
「たくさん褒めてくれていい子だねー」
マスタードはナマエの言葉に朗らかに笑っている。キバナはナマエの遠慮ない言葉に少しヒヤリとした。いや、マスタードが怒るとは思っていないが、その人は元チャンピオンで凄い人なんだとナマエに言いたい。……ナマエはチャンピオンの凄さが分かるだろうか。そういえばナマエは聞いてこないがキバナがジムリーダーだと知っているのかどうか。平気で「なにそれ?」というナマエが浮かんで頭を押さえた。
するとマスタードはすっと体勢を整えてナマエと向き合った。
「ナマエちん、今回はたくさん辛い思いをさせてごめんなさいね」
「全然大丈夫だよおじいちゃん。今元気にしてるしすごい楽しいよ。本当に気にしないでね」
気にされた方がこっちも気にする! とわざとらしく胸を張るナマエにマスタードも肩の力を抜いたようだ。「優しい子だねー」といつも通り笑った。
「むしろ私この島のポケモンを勝手にゲットしちゃったけど大丈夫?」
「いいよ! いいよ! 出会いは一期一会だからねー! よかったらその子見せてくれない?」
「いいよー」
ナマエは緩くそう言ってイワンコを出した。イワンコは元気に出てきてブルブル身体を振った。
「イワンコだねー! ワシちゃんも連れてたよー」
「今はいないの?」
「ルガルガンに進化したからねー」
「進化……見た目が変わるやつ? スクールで習った」
「そうそう」
「ルガルガンみせておじいちゃん」
「ナマエ、おじいちゃんはいい加減にやめろ」
「いいよキバナちん!」
マスタードはハイパーボールを投げてルガルガンを出した。真昼の姿のルガルガンだ。ルガルガンはイワンコの姿に気づいて鼻で匂っている。イワンコは「ワン!」と元気に鳴いた。ナマエは二匹を見て比べている。
「おお……確かに似てる気がする?」
「ルガルガンは時間帯によって三種類の姿に進化するポケモンだよー。昼、夜、黄昏ってねー。まあ黄昏の進化は特性が関係しているけどねー」
「むずかしい」
「ロトム、ルガルガンの姿をナマエに見せてくれ」
スマホロトムにそう言うとびゅん! と飛んでナマエの前にスマホロトムが行く。ナマエはまだスマホロトムに慣れてないのでビクッと肩を揺らしていた。
「びっくりする~このスマホ~」
「慣れろ」
笑いながらスマホロトムの画面に触り、タブレットの大きさにすると「びっくりする! このスマホ! タブレット!」と再びナマエが憤った。
「怒るな怒るな。ほらこれがルガルガンの姿だ」
ナマエは鼻息荒くしていたがタブレットを覗いてからはそれを一心に見ていた。
「エメラルドグリーン……綺麗」
「それは黄昏の姿だねー」
「黄昏の姿……」
ナマエは黄昏の姿のルガルガンが気になっているようだ。じーっと見ている。
「ナマエちんのイワンコの特性を調べようか?」
「? あ、進化の条件? が違うから?」
「そうそう」
「んー大丈夫。どの子に進化してもイワンコはイワンコだし」
ね、とイワンコに話しかけるナマエにマスタードは嬉しそうな顔をした。キバナもだ。進化しても自分のポケモンに変わりはない。トレーナーが当然に思うこと。ナマエもその心を持っていてなんだか誇らしい気持ちになった。
「そもそも私バトルしないからイワンコ進化しないと思うし」
「イワンコは自分で自分を鍛える習性があるから分からないぜ?」
「え? そうなの?」
「ワン!」
「進化する前に姿を消してねー進化したら帰ってくるんだよー」
「猫みたいな習性してるな……」
ちゃんと帰ってきてね、とイワンコに言うナマエにイワンコは元気よく「ワン!」と鳴いた。ナマエのイワンコはどの姿に進化するのだろうか。キバナの楽しみがひとつ増えた瞬間だった。