この世界の端っこで
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キバナの家についた。ナックルシティの街外れの大きな一軒家だ。ナマエは顔を上げて「おおー」と言っている。
「一人暮らし?」
「おう」
「一軒家で?」
「おう」
「寂しい……」
「うるせっ」
笑いながら頭をぐちゃっとする。ナマエの頭はちょうどいい位置にあって触りやすいなと思った。
「大きいポケモンがいると一軒家の方が便利なんだよ」
「大きいポケモン……」
「怖いか?」
ナマエは野生のポケモンに囲まれて一週間過ごした。警戒心はまだ薄れていないだろう。ナマエはキバナの問いにしばらく考えて顔を上げた。
「襲ってこない?」
「大丈夫」
「キバナどっかいかない?」
「いかねぇ」
「なら大丈夫。……と思う……というかがんばる」
ナマエの言葉を信じて一匹ずつボールから出す。ギガイアス、フライゴン、サダイジャ、ジュラルドン、バグガメス、ヌメルゴン。そして庭先で日向ぼっこしていたコータスを呼ぶ。
「岩岩しい……あ、目合った。チョココロネみたいな蛇! あの島でみた! 赤い亀? 甲羅ゴツい……。あっ触角可愛い……。あ、亀二号」
先に会っているフライゴンとジュラルドン以外の印象は以上らしい。キバナの後ろから顔を出して観察している。ヌメルゴンは人懐っこくナマエに顔を近づけて「ヌメー」と挨拶している。
「ぬ、ぬめー?」
「ヌメ~」
「そいつはヌメルゴンだ」
「フォルムと顔が可愛い。……あ、ぬめぬめしてる」
「ヌメー」
「ヌメルゴンはいいが、触ったらトゲ出すポケモンや熱を放つポケモンもいるから不用意に触るなよ」
「こわっ! うっす」
一歩下がったナマエにニコニコしながらヌメルゴンが顔を寄せる。ナマエもヌメルゴンにつられて「かわいい」と笑ってヌメルゴンの顔を撫でていた。他のポケモン達はナマエの様子を見て近づかないようにしている。優しい頼れるポケモン達である。
「確かに大きい子ばっかり」
「マンションにもポケモン規格があってな。何メートル、何キロ、何体までならOKとかな」
「ふんふん」
「出会ったポケモンと一緒にいたいからな。だから一軒家が楽なんだよ」
「そっか。いっぱい考えてくれる飼い主で幸せだねぇ」
「飼い主じゃなくてトレーナーって言うんだぜ」
「トレーナー」
「おう。ポケモンを捕まえて、育てて、一緒にバトルするのがポケモントレーナー」
ナマエは目をまん丸にしてキバナをみる。そして「ポケモントレーナー……」と口にした。
「ポケモンは確かに壮大な力を持っている。でもな、人と助け合って生きていける生き物でもあるんだぜ」
ボディバックから新品のモンスターボールを取り出す。傷の入ったキバナのハイパーボール達とは違ったボール。ナマエに向けてそっと渡すとナマエは両手でそれを受け取った。
「コイツはお前を助けてくれる相棒だ」
モンスターボールのボタンを押すと音を立てて中からポケモンが飛び出した。今まで仕組みを見ていたナマエは少しだけ肩を揺らしてそれを見つめる。光と共に現れたイワンコは「ワン!」と吠えてナマエを見つめた。
「わんこ」
「ワン!」
「……一緒にいてくれるの?」
「ワン!」
「そっかぁ」
ナマエはイワンコを抱き上げて抱きしめた。キバナは自分の目が和らいでいるのが分かった。自分のパートナーと出会う瞬間。なんて心躍る風景だろうか。
イワンコは首についている岩をナマエに擦り付けている。イワンコの愛情表現だがナマエは「いたた! いたっ! なにそれいたい!」と涙目だ。それに笑いつつナマエの肩を抱いて目を合わせた。
「ようこそキバナ様の家へ」
「おじゃまします? キバナ様?」
ふたりで顔を合わせて笑って家の中に入った。
***
客間にナマエを案内する。シンプルな洋室で必要最低限の物は置いている。ジムトレーナーのヒトミに頼んだナマエの服や必需品は客間に置いてあった。
「ナマエ、そこの紙袋に服と日用品が入ってる」
「何から何までお世話になります」
「気にすんな」
「あ、下着かこの紙袋」
「今開けんな!!」
「……サイズがぴったりなんですが」
「お前の写真撮って頼んだんだよ!!」
「ああ、なんだ。女をみたら身体のサイズが分かるとかかと思った」
「お前オレ様のこと何だと思ってるんだ」
「優しい。面倒見がいい。女慣れしてそう」
前者二つはともかく最後。慣れてないとは言わないが、ナマエの言い分のようなそんなに取っ替え引っ替えしてるわけでもない。ジム業にそれに伴うスポンサー事業に様々なことに追われて忙しくて振られることもある。
「オレは惚れた女としか付き合わないよ」
「理想高そう」
「別にそうでもない」
明るくて前向きな女が好みなくらいだ。このくらいの好みは誰でも当てはまるだろう。
明るくて前向き。
心で唱えてナマエをみる。
異世界に飛ばされたというのに泣いたのは最初だけで今はこの世界に順応しようと頑張っている。あれはなに、これはなにと楽しげに聞いてくる姿は気に入っている。何より空を一緒に飛んでいる時の顔は……、
……これヤバくないか?
完全に善意のはずがそういうのが挟まったら……いやダメだろ普通に。これから一緒に住むのだから。自分にそう言い聞かせてから客間を出た。部屋を整えとけとナマエに残して。
「……あー、気ィつけよう」
そう言ってる時点で意識しているという事実は見なかったことにした。
「一人暮らし?」
「おう」
「一軒家で?」
「おう」
「寂しい……」
「うるせっ」
笑いながら頭をぐちゃっとする。ナマエの頭はちょうどいい位置にあって触りやすいなと思った。
「大きいポケモンがいると一軒家の方が便利なんだよ」
「大きいポケモン……」
「怖いか?」
ナマエは野生のポケモンに囲まれて一週間過ごした。警戒心はまだ薄れていないだろう。ナマエはキバナの問いにしばらく考えて顔を上げた。
「襲ってこない?」
「大丈夫」
「キバナどっかいかない?」
「いかねぇ」
「なら大丈夫。……と思う……というかがんばる」
ナマエの言葉を信じて一匹ずつボールから出す。ギガイアス、フライゴン、サダイジャ、ジュラルドン、バグガメス、ヌメルゴン。そして庭先で日向ぼっこしていたコータスを呼ぶ。
「岩岩しい……あ、目合った。チョココロネみたいな蛇! あの島でみた! 赤い亀? 甲羅ゴツい……。あっ触角可愛い……。あ、亀二号」
先に会っているフライゴンとジュラルドン以外の印象は以上らしい。キバナの後ろから顔を出して観察している。ヌメルゴンは人懐っこくナマエに顔を近づけて「ヌメー」と挨拶している。
「ぬ、ぬめー?」
「ヌメ~」
「そいつはヌメルゴンだ」
「フォルムと顔が可愛い。……あ、ぬめぬめしてる」
「ヌメー」
「ヌメルゴンはいいが、触ったらトゲ出すポケモンや熱を放つポケモンもいるから不用意に触るなよ」
「こわっ! うっす」
一歩下がったナマエにニコニコしながらヌメルゴンが顔を寄せる。ナマエもヌメルゴンにつられて「かわいい」と笑ってヌメルゴンの顔を撫でていた。他のポケモン達はナマエの様子を見て近づかないようにしている。優しい頼れるポケモン達である。
「確かに大きい子ばっかり」
「マンションにもポケモン規格があってな。何メートル、何キロ、何体までならOKとかな」
「ふんふん」
「出会ったポケモンと一緒にいたいからな。だから一軒家が楽なんだよ」
「そっか。いっぱい考えてくれる飼い主で幸せだねぇ」
「飼い主じゃなくてトレーナーって言うんだぜ」
「トレーナー」
「おう。ポケモンを捕まえて、育てて、一緒にバトルするのがポケモントレーナー」
ナマエは目をまん丸にしてキバナをみる。そして「ポケモントレーナー……」と口にした。
「ポケモンは確かに壮大な力を持っている。でもな、人と助け合って生きていける生き物でもあるんだぜ」
ボディバックから新品のモンスターボールを取り出す。傷の入ったキバナのハイパーボール達とは違ったボール。ナマエに向けてそっと渡すとナマエは両手でそれを受け取った。
「コイツはお前を助けてくれる相棒だ」
モンスターボールのボタンを押すと音を立てて中からポケモンが飛び出した。今まで仕組みを見ていたナマエは少しだけ肩を揺らしてそれを見つめる。光と共に現れたイワンコは「ワン!」と吠えてナマエを見つめた。
「わんこ」
「ワン!」
「……一緒にいてくれるの?」
「ワン!」
「そっかぁ」
ナマエはイワンコを抱き上げて抱きしめた。キバナは自分の目が和らいでいるのが分かった。自分のパートナーと出会う瞬間。なんて心躍る風景だろうか。
イワンコは首についている岩をナマエに擦り付けている。イワンコの愛情表現だがナマエは「いたた! いたっ! なにそれいたい!」と涙目だ。それに笑いつつナマエの肩を抱いて目を合わせた。
「ようこそキバナ様の家へ」
「おじゃまします? キバナ様?」
ふたりで顔を合わせて笑って家の中に入った。
***
客間にナマエを案内する。シンプルな洋室で必要最低限の物は置いている。ジムトレーナーのヒトミに頼んだナマエの服や必需品は客間に置いてあった。
「ナマエ、そこの紙袋に服と日用品が入ってる」
「何から何までお世話になります」
「気にすんな」
「あ、下着かこの紙袋」
「今開けんな!!」
「……サイズがぴったりなんですが」
「お前の写真撮って頼んだんだよ!!」
「ああ、なんだ。女をみたら身体のサイズが分かるとかかと思った」
「お前オレ様のこと何だと思ってるんだ」
「優しい。面倒見がいい。女慣れしてそう」
前者二つはともかく最後。慣れてないとは言わないが、ナマエの言い分のようなそんなに取っ替え引っ替えしてるわけでもない。ジム業にそれに伴うスポンサー事業に様々なことに追われて忙しくて振られることもある。
「オレは惚れた女としか付き合わないよ」
「理想高そう」
「別にそうでもない」
明るくて前向きな女が好みなくらいだ。このくらいの好みは誰でも当てはまるだろう。
明るくて前向き。
心で唱えてナマエをみる。
異世界に飛ばされたというのに泣いたのは最初だけで今はこの世界に順応しようと頑張っている。あれはなに、これはなにと楽しげに聞いてくる姿は気に入っている。何より空を一緒に飛んでいる時の顔は……、
……これヤバくないか?
完全に善意のはずがそういうのが挟まったら……いやダメだろ普通に。これから一緒に住むのだから。自分にそう言い聞かせてから客間を出た。部屋を整えとけとナマエに残して。
「……あー、気ィつけよう」
そう言ってる時点で意識しているという事実は見なかったことにした。