▼推しキャラがしんで泣いてる名前を慰めてる犬飼
「こう君がしんだぁ！　やだぁ！」
「おれ的にちょっとややこしいなぁその名前」
「すみ君しんじゃったんだよ！？」
「次はおれがしんだみたいに聞こえるねぇ」
「うう……どうやって生きていけば」
「おれを推しにしたら？」
「すみ君を……？」
「いつも一緒にいるし触れるしサービスするしおれしなないし」
「ボーダー隊員ってあぶないんじゃ」
「名前おいてしなないよ」
「……今ときめきがきました」
「これからもっとときめかせてあげる。まあ推しキャラという名の彼氏っていうんだけど」
「……」
「目まんまる。可愛い。好きだよ名前」

▼犬飼とつき合ってない幼なじみ
「す、すみくん！　合コン行くことになっちゃった！」
「早く断ってね」
「でも付き合いが……」
「スマホ貸して？　誰が名前唆したのか教えて？」
「こ、この子」
「おれも連絡先知ってるからおれから断っとくよ」
「でも」
「おれ名前がそういう所いくのやだな」
「すみくんが嫌なことしたくない！」
「うんありがとう」ぎゅってする犬飼
「名前はそんなとこ行かなくても大丈夫」
「そうかなぁ」
「そうだよ」
　このあと合コンに誘った友達は心から後悔させられるし何なら誘われないように監視役にさせられる。早く付き合えやと陰口叩いたら百倍返しされた。

▼隣のクラスの犬飼に突撃
「犬飼！」
「なぁに」
「犬飼のジャージ借りたら合法的に犬飼名前になれるって気づいた！　貸してください！」
「……」
「だめ？」
「だめって言うかおれのこと好きって言ってるの気づいてる？」
「……クラスに帰ります」
「おれもちゃんと好きだから帰んないで」

▼片思いで卒業する犬飼に勇気を出す
「犬飼先輩ネクタイください！」
「んーネクタイねぇ」
「だ、だめですか」
「ネクタイはだめ。カーディガンならあげる。ちゃんと着てね」
「ぶかぶかなんじゃ……いえ！　嬉しいですけど！」
「あと一年あるし牽制しないと」
「？」
「夏ベストもあげる」

▼地味な幼なじみと犬飼
「今日もじみっ子だねぇ」
「そんなこと知ってます－。幼なじみでも派手なすみくんとは違うの」
「んーでもこのまんまでいいからね」
「大学デビューも許されないと」
「うん。だめ」
「なんで」
「おれだけでいいの」
「？」
「おれだけが名前のこと見てればいいから。好きになるのも全部」