本編
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スマホを弓場隊の隊室に置いてきたと気づいたのは玉狛支部についてからだった。充電差しっぱなしだわ。まあいいか。その辺に置いていてくれるだろう。
今日は烏丸が料理当番の日だ。好きなもの作りますからきてくださいとメッセージを貰っていた。若干そわそわするのは仕方ないと思う。
《アピールするチャンスください》
こんなドストレートに言われて落ち着いていられるわけもなく。すけべな雰囲気禁止令があるから大丈夫。その言葉を胸に扉を開けると香ばしい香りが漂う。うん? カレーかな。あれ、カレーは小南担当だから他のメンバーはあまり作らないはず。カレーは好きだけどリクエストはコロッケだったはず。うん?
疑問を抱えながらリビングまでいくとやっぱりそこにいたのは小南だった。あと迅も。
「今日って小南が当番だっけ?」
「代わってあげたの! あたし優しいから!」
「ふーん」
「な、なによ」
「小南のカレー好きだから嬉しい」
「当たり前でしょ」
「うん」
うん。なんだけど。
なんか、ふーーんってかんじだ。
「なんか拗ねてるねナマエ」
「べつにー」
ふーーんってかんじなだけだ。拗ねてなんかいない。カレーすきだし小南もすきだし。拗ねる要素なんか微塵もない。
「…………ちなみに烏丸はどこいんの」
ちょっと病欠の可能性もあるからそう聞いてみた。
「地下で修たちの訓練に付き合ってるみたいよ。それで代わってくれって。それはいいんだけど言い方に含みがあるのよね! あいつ!」
小南がプンプンしている。
私はそれを聞いて微妙な気持ちになった。なんでだ。遠征目指してる修くん達の面倒みるのなんていつものことだ。理由がちゃんとあった。ふーーんは減った。けどなんか気持ちが晴れない。だから地下室に乗り込みにいってみた。
「…………なにそれ」
そしたらなんか烏丸が着てた。スーツ。スーツ? なんでスーツ。そう思うのに口から出ない。
「あ、ちょっと待っててくれ」
私に気づいた烏丸がヒュース達にそういってこっちにやってくる。スーツ姿のまんまで。やめろ、なんか落ちつかない。二歩ほど後ろに下がったがすぐに扉に当たった。
「ナマエさん、約束破ってすみませんでした。今度埋め合わせします」
「う、うん……別にいいけど」
いいけどなんだよその格好。なぜかそわそわする。挙動不審になってる自覚がある。
「ああ、やっぱりこの格好落ちつかないんですか」
「うん」
力強く頷くと「少し我慢してください。というかナマエさんも手伝ってください。最初は修もナマエさんに連絡してたんですから」と首を傾げながらいってくる。どんな仕草でもやけに目に入ってくる。え、なんだって。
「ナマエさん、スマホ持ってないでしょ」
「弓場隊に忘れてきた」
「またじゃれ合ってたんすか」
一方的な暴力をじゃれあいっていうな。そう思うけど口から出てこない。烏丸が頭を撫でてきたからだ。
「気心知れた仲なのは分かってますけどちゃんと妬いてるのは知っててくださいね」
「…………」
「ナマエさん?」
「その格好なんなの」
やっと聞けた。三回くらい深呼吸した気がする。問いかけに烏丸はああ、といいながら私の頭をぽんぽん撫でた。やめろ、ぽんぽんするな。
「二宮さんのトリオン量に設定して一体一を想定したフルアタックの訓練の真っ最中です。ナマエさんも空いてる方の相手してやってください」
「…………二宮さん?」
「はい。二宮さんの対策なので」
「……………ああっ! 二宮さんの格好してる!」
「え、今気づいたんすか。二宮さんの服装だから警戒してたんじゃないんですか」
違うと首を横にふる。烏丸がスーツ着てるから警戒してただけだ。二宮さん関係ない。そういえばこんな格好してると今気づいたくらいだ。……なんで烏丸がスーツ着てただけで警戒しなきゃだめなんだ?
首をひねってると栞ちゃんから「ナマエさんのトリオン体も設定しなおすんできてくださーい」と声がかかった。
「つまり、“にのまる”ならぬ、“やままる”に成るってこと?」
「二宮さん消えてます。ナマエさん」
「消しとけそんなもの」
「俺とのコンビみたいで可愛いですけど訓練の意味なくなるんで“にのやま”になってくださいね」
そう言って烏丸はヒュース達の元に帰っていった。私も栞ちゃんのところへ向かう。
「やままる……」
「にのやまですよーナマエさん」
やままるの方がいい。なんとなくそう思いながら変更したトリガーを持つ。二宮さん使用だ。微妙な気分になりながら換装すると私もスーツベスト姿になった。見た目は変えなくてよくない? 雰囲気大事? 栞ちゃんにきくとグッと親指立てられた。大事なんだ……。
「おおー大人っぽいですよナマエさん」
「ナマエさんあと数ヶ月でお酒解禁だからね」
「ナマエさんは酒豪か下戸かって感じですよね」
「両極端いっちゃうんだ」
親の遺伝っていうけどいないから判断基準が全くない。多分城戸さん忍田さん辺りがいいお酒呑ませてくれるから楽しみだ。
雑談しながら烏丸(二宮バージョン)のやってる二種類の弾でのフルアタックを遊真に向ける。シールドを駆使してしばらく防いでいたが、ベイルアウトになった。
「やっぱりナマエさんの方が弾が早いな」
「これってどういう練習なの? 奴とタイマンするの?」
「一対一で隙を作る練習だよ」
つまりひとりが相手してるときにもう一人が落とすってことか。二宮さんが両手 使うときは犬飼か辻がいる気がするけど、きっと修くんには何か勝算があるんだろう。
その後も野球のノックのようにどんどんフルアタックして遊真達を蜂の巣にしていった。これだけいったら凄く感じ悪いな。
少し休憩しようとの栞ちゃんの声で休憩時間となった。そして間をおかずやってきた烏丸京介。ブレない姿勢。
「ナマエさんスーツ似合いますね」
「ほめ言葉じゃないぞそれ」
「二宮さん関係なくです」
「大学の入学式のときスーツ着てたけどな」
「写真みせてもらいましたけどその時も似合ってましたよ。下心あったんで言えませんでしたけど」
「この話題やめようか」
やぶ蛇な気がする。写真提供は林藤さんか迅だな。私の写真が回ってくるのって主にそのふたりだから。あとで文句言っとこう。というか生駒がスーツ着てるのなんか面白いって話題と、のののパンツスーツ姿がエロいって話題でかっさらっていった入学式写真でどこ見てるんだよ烏丸は。ののをみろののを。あと生駒。……生駒はともかくののはだめだな。友達がエロい目で見られるのだめ。ムカつく。ムカつく? イヤじゃなくてムカつく? うん?
「……入学式写真でなんか他に気になることあった?」
「生駒さんと両肩組んでガッツポーズは入学式にそぐわないと思いましたけど」
「そこじゃなくて」
生駒に注目してくれてよかったけどなんか違う。
──パシャリ
「かくしどり!」
「なにやってんのおまえら」
「オレは頼まれただけだ」
陽太郎をヒュースが抱っこしてパシャリと撮られた。いや、これは私は見切れてそう。多分烏丸のソロ写真だ。
「写真撮ってどうすんの?」
「本部にこうしょう材料として献上する」
「5歳で物の価値を正確に理解してやがる……」
本部は烏丸ファンクラブの巣窟。ボーダーの常識である。いや、ちょっとまって。私が横にいるの余計な火種になりそう。
「陽太郎! その写真あげきゃだめ!」
「なぜだ?」
「だってそれバラまくんでしょ? お菓子かなんかと交換して。絶対だめ」
「一番おいしいお菓子をくれた者にやろうとおもう」
「アコギなやり方しってやがる。とにかく他の人にあげるのやめて」
とにかく写真をチェックしなければ。
ポラロイドから出てきた写真をみると左手が見切れてる。スーツ姿のせいか私と判別できる要素は全くない。これならいけるか……?
うんうん悩んでいるとやけに烏丸が静かなことに気づく。そうだよもっと反対しろよ。自分の写真が闇ルートに持って行かれそうになってるぞ。そう思いながら振り返ると口元を手で押さえている烏丸の姿があった。
「えっ? それどういう反応」
「……他意はないって知ってるんですけど、」
「はい?」
「何度もあげちゃだめって言うのが嫉妬してるみたいで可愛くて」
『その写真あげきゃだめ!』
『絶対だめ』
『とにかく他の人にあげるのやめて』
数秒前の自分の放った言葉に憤死するかと思った。
因みに写真は「そんなにほしいならナマエにやる」と現物を貰っておいしいお菓子を献上した人には高性能スキャンが配られたらしい。……ふーーん。
今日は烏丸が料理当番の日だ。好きなもの作りますからきてくださいとメッセージを貰っていた。若干そわそわするのは仕方ないと思う。
《アピールするチャンスください》
こんなドストレートに言われて落ち着いていられるわけもなく。すけべな雰囲気禁止令があるから大丈夫。その言葉を胸に扉を開けると香ばしい香りが漂う。うん? カレーかな。あれ、カレーは小南担当だから他のメンバーはあまり作らないはず。カレーは好きだけどリクエストはコロッケだったはず。うん?
疑問を抱えながらリビングまでいくとやっぱりそこにいたのは小南だった。あと迅も。
「今日って小南が当番だっけ?」
「代わってあげたの! あたし優しいから!」
「ふーん」
「な、なによ」
「小南のカレー好きだから嬉しい」
「当たり前でしょ」
「うん」
うん。なんだけど。
なんか、ふーーんってかんじだ。
「なんか拗ねてるねナマエ」
「べつにー」
ふーーんってかんじなだけだ。拗ねてなんかいない。カレーすきだし小南もすきだし。拗ねる要素なんか微塵もない。
「…………ちなみに烏丸はどこいんの」
ちょっと病欠の可能性もあるからそう聞いてみた。
「地下で修たちの訓練に付き合ってるみたいよ。それで代わってくれって。それはいいんだけど言い方に含みがあるのよね! あいつ!」
小南がプンプンしている。
私はそれを聞いて微妙な気持ちになった。なんでだ。遠征目指してる修くん達の面倒みるのなんていつものことだ。理由がちゃんとあった。ふーーんは減った。けどなんか気持ちが晴れない。だから地下室に乗り込みにいってみた。
「…………なにそれ」
そしたらなんか烏丸が着てた。スーツ。スーツ? なんでスーツ。そう思うのに口から出ない。
「あ、ちょっと待っててくれ」
私に気づいた烏丸がヒュース達にそういってこっちにやってくる。スーツ姿のまんまで。やめろ、なんか落ちつかない。二歩ほど後ろに下がったがすぐに扉に当たった。
「ナマエさん、約束破ってすみませんでした。今度埋め合わせします」
「う、うん……別にいいけど」
いいけどなんだよその格好。なぜかそわそわする。挙動不審になってる自覚がある。
「ああ、やっぱりこの格好落ちつかないんですか」
「うん」
力強く頷くと「少し我慢してください。というかナマエさんも手伝ってください。最初は修もナマエさんに連絡してたんですから」と首を傾げながらいってくる。どんな仕草でもやけに目に入ってくる。え、なんだって。
「ナマエさん、スマホ持ってないでしょ」
「弓場隊に忘れてきた」
「またじゃれ合ってたんすか」
一方的な暴力をじゃれあいっていうな。そう思うけど口から出てこない。烏丸が頭を撫でてきたからだ。
「気心知れた仲なのは分かってますけどちゃんと妬いてるのは知っててくださいね」
「…………」
「ナマエさん?」
「その格好なんなの」
やっと聞けた。三回くらい深呼吸した気がする。問いかけに烏丸はああ、といいながら私の頭をぽんぽん撫でた。やめろ、ぽんぽんするな。
「二宮さんのトリオン量に設定して一体一を想定したフルアタックの訓練の真っ最中です。ナマエさんも空いてる方の相手してやってください」
「…………二宮さん?」
「はい。二宮さんの対策なので」
「……………ああっ! 二宮さんの格好してる!」
「え、今気づいたんすか。二宮さんの服装だから警戒してたんじゃないんですか」
違うと首を横にふる。烏丸がスーツ着てるから警戒してただけだ。二宮さん関係ない。そういえばこんな格好してると今気づいたくらいだ。……なんで烏丸がスーツ着てただけで警戒しなきゃだめなんだ?
首をひねってると栞ちゃんから「ナマエさんのトリオン体も設定しなおすんできてくださーい」と声がかかった。
「つまり、“にのまる”ならぬ、“やままる”に成るってこと?」
「二宮さん消えてます。ナマエさん」
「消しとけそんなもの」
「俺とのコンビみたいで可愛いですけど訓練の意味なくなるんで“にのやま”になってくださいね」
そう言って烏丸はヒュース達の元に帰っていった。私も栞ちゃんのところへ向かう。
「やままる……」
「にのやまですよーナマエさん」
やままるの方がいい。なんとなくそう思いながら変更したトリガーを持つ。二宮さん使用だ。微妙な気分になりながら換装すると私もスーツベスト姿になった。見た目は変えなくてよくない? 雰囲気大事? 栞ちゃんにきくとグッと親指立てられた。大事なんだ……。
「おおー大人っぽいですよナマエさん」
「ナマエさんあと数ヶ月でお酒解禁だからね」
「ナマエさんは酒豪か下戸かって感じですよね」
「両極端いっちゃうんだ」
親の遺伝っていうけどいないから判断基準が全くない。多分城戸さん忍田さん辺りがいいお酒呑ませてくれるから楽しみだ。
雑談しながら烏丸(二宮バージョン)のやってる二種類の弾でのフルアタックを遊真に向ける。シールドを駆使してしばらく防いでいたが、ベイルアウトになった。
「やっぱりナマエさんの方が弾が早いな」
「これってどういう練習なの? 奴とタイマンするの?」
「一対一で隙を作る練習だよ」
つまりひとりが相手してるときにもう一人が落とすってことか。二宮さんが
その後も野球のノックのようにどんどんフルアタックして遊真達を蜂の巣にしていった。これだけいったら凄く感じ悪いな。
少し休憩しようとの栞ちゃんの声で休憩時間となった。そして間をおかずやってきた烏丸京介。ブレない姿勢。
「ナマエさんスーツ似合いますね」
「ほめ言葉じゃないぞそれ」
「二宮さん関係なくです」
「大学の入学式のときスーツ着てたけどな」
「写真みせてもらいましたけどその時も似合ってましたよ。下心あったんで言えませんでしたけど」
「この話題やめようか」
やぶ蛇な気がする。写真提供は林藤さんか迅だな。私の写真が回ってくるのって主にそのふたりだから。あとで文句言っとこう。というか生駒がスーツ着てるのなんか面白いって話題と、のののパンツスーツ姿がエロいって話題でかっさらっていった入学式写真でどこ見てるんだよ烏丸は。ののをみろののを。あと生駒。……生駒はともかくののはだめだな。友達がエロい目で見られるのだめ。ムカつく。ムカつく? イヤじゃなくてムカつく? うん?
「……入学式写真でなんか他に気になることあった?」
「生駒さんと両肩組んでガッツポーズは入学式にそぐわないと思いましたけど」
「そこじゃなくて」
生駒に注目してくれてよかったけどなんか違う。
──パシャリ
「かくしどり!」
「なにやってんのおまえら」
「オレは頼まれただけだ」
陽太郎をヒュースが抱っこしてパシャリと撮られた。いや、これは私は見切れてそう。多分烏丸のソロ写真だ。
「写真撮ってどうすんの?」
「本部にこうしょう材料として献上する」
「5歳で物の価値を正確に理解してやがる……」
本部は烏丸ファンクラブの巣窟。ボーダーの常識である。いや、ちょっとまって。私が横にいるの余計な火種になりそう。
「陽太郎! その写真あげきゃだめ!」
「なぜだ?」
「だってそれバラまくんでしょ? お菓子かなんかと交換して。絶対だめ」
「一番おいしいお菓子をくれた者にやろうとおもう」
「アコギなやり方しってやがる。とにかく他の人にあげるのやめて」
とにかく写真をチェックしなければ。
ポラロイドから出てきた写真をみると左手が見切れてる。スーツ姿のせいか私と判別できる要素は全くない。これならいけるか……?
うんうん悩んでいるとやけに烏丸が静かなことに気づく。そうだよもっと反対しろよ。自分の写真が闇ルートに持って行かれそうになってるぞ。そう思いながら振り返ると口元を手で押さえている烏丸の姿があった。
「えっ? それどういう反応」
「……他意はないって知ってるんですけど、」
「はい?」
「何度もあげちゃだめって言うのが嫉妬してるみたいで可愛くて」
『その写真あげきゃだめ!』
『絶対だめ』
『とにかく他の人にあげるのやめて』
数秒前の自分の放った言葉に憤死するかと思った。
因みに写真は「そんなにほしいならナマエにやる」と現物を貰っておいしいお菓子を献上した人には高性能スキャンが配られたらしい。……ふーーん。