本編
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そのままでいいんじゃないか、と嵐山からアドバイスになっていないアドバイスを受けた次の日。ゆりちゃんとクローニンがスカウトから帰ってくるからと小南から連絡をもらったので玉狛支部までやってきていた。
「…………」
ダメだ。帰ろう。ぐるりと回る。
「あら? 入らないの?」
「おかえりナマエ」
「…………ただいま。ゆりちゃんとクローニンもおかえり」
そう言って踵を返そうとしたがすぐさま捕まった。捕らわれた宇宙人状態で玉狛支部に入っていく。なんか二人とも悪さしたなら早く謝ったほうがいいよって言ってくるんだけど。支部の前で右往左往してたからだと思うけど私が何かした前提なのが解せない。
「戻りましたー」
「ただいま~」
帰ってきた二人の間にいる私に一切触れることなく「おかえりなさい!」と出迎える玉狛隊員達。その中に烏丸の姿はなかった。
「烏丸は?」
「とりまる先輩なら夕方までバイトだよ」
遊真の言葉にガッツポーズをする。「ケンカでもしたのか?」と首を傾げる遊真。もうケンカってことでいいや。
「うん。そんな感じ」
「早く謝ったほうがいいぞナマエさん」
「おまえもか遊真……」
一方的に加害者にされてる。免罪です。
***
「ゆりちゃん、これ下に持って行ってもいい?」
「大丈夫よ」
「はーい。あ、レイジさんはそのままで。おかまいなく」
「ナマエ」
「これからは気づかい屋さんと呼んでね」
「どこがだ」
玉狛支部に修くんの部屋を作るらしいので片付けを手伝っていた。ガッ! と一気にいらない荷物を持つとレイジさんに横から殆ど取られた。そのスマートさをゆりちゃんに対して発揮できるのはいつだろうか……。レイジさんの片思い歴長いのになぁ。六年くらい前からだよね。一向に慣れる気配がない。軽くなった荷物を運びながら隣のレイジさんをチラリと見る。
「なんだ」
「うーん、いや……うーん? あ、荷物ありがとうね」
「今更だがおまえのその思考がすぐに飛んでいく癖は治した方がいい。今更だが」
「なんで二回いった?」
一階に降りて古紙やダンボールを置いている部屋に行く。
「こっちの廃品回収っていつだっけ? もう忘れた」
「第三日曜だ」
「そうだった。ついでに他のも紐で括っておこうか」
「ああ」
「私の今の家って警戒区域ぎりぎりだから廃品回収ないんだよ。自分で持って行かなきゃ駄目なの」
「多いなら車出すぞ」
「諏訪さんから買った原チャあるから大丈夫ーでもありがとう」
「ああ。あそこは買い物も不便だろ」
「不便だけど本部近いし」
「不便ならこっちに戻って来たらどうだ」
「そうだ、…………小南になんか言われたでしょレイジさん」
うっかり同意するところだった。レイジさんも隠す気は全くないらしく首を縦に振っていた。一人暮らし反対勢のひとり、小南桐絵。昔の陽太郎ほどじゃないけど(というか陽太郎は最近なにも言わない。少しさびしい)あまり面白くないらしい。大規模侵攻のときもしばらく言われ続けたし。
「玉狛に残ったおまえの部屋の掃除をしているのは小南だからな」
「ちょっとそういうのやめて。胸に刺さる」
「あれでもまだ譲歩してるんだ。それは分かってやれ」
「あい」
ここが本部基地から支部に変わった頃。私は“今の”本部の正隊員になった。高三まではそのままこっちに住んでいたけどそれでも本部所属の立ち位置は変わらず、今に至る。玉狛の考え方が合わないとか間違ってるとかじゃない。ただ、
「キャラ変した城戸さんが心配だったからって理由なのにここまで反対される意味が未だによく分からない」
「キャラ変って言うからだろう」
「キャラ変じゃん」
どこからどうみてもあれはキャラ変だ。
「まあ今の城戸さんの助けになるようなこととか一切してないから説得力は皆無だけど」
むしろ遊真の黒トリガー盗ってこい任務放棄したしな。むしろ邪魔しかしてないかもしれない。でも、それでも本部に行ったのは、
「なんか嫌だったんだよね。城戸さんどっかに行きそうで。玉狛も城戸さんも忍田さんも間違ってないからさ、派閥とかはどうでもいいんだけどさ。やっぱ、やだなぁって」
たったこれだけの理由だ。ああでもそうか。小南からみたら私が城戸さんを優先したみたいに見えるかもしれない。それは気のせいだ。城戸さんの言うことなんて全然聞いてないというのに。多分小南のいうことの方がちゃんと聞いてる。
悩みながら唸っているとポンと頭に手を置かれ、そのままわしゃわしゃされた。なんだか久しぶりな感触だ。
「おまえは分かりにくいな」
「そりゃあ、レイジさんのゆりちゃんへの態度よりかはね」
そう言うと頭をぎゅっとされた。久しぶりな感触だ。これは全く嬉しくない。涙でてきた。
「そうやってすぐに悪態をつくから余計な誤解を生んでいるんだ」
「ええ……そんなの勝手に言わせておけばいいよ。むかつくのはやり返すけど」
そう言うとレイジさんはため息をついて再び頭をぐしゃっと撫でてきた。
「おまえはよくてもおまえを想っている人間からしたら面白くないんだ」
「? 誰の話」
「小南だ」
「何故ここで小南……?」
「あとは……京介か」
「この話やめにしない?」
そう主張すると呆れたような目線が返ってきた。いやだってその人今あれなんだよ。どうせ知ってるでしょ? 仲良しだからな。
「避けてはやるなよ」
「“俺のこと意識してるって分かるんで別にいいすよ。まあ関係ないんで”って言ってた件についてはどう思いますか?」
「…………」
そうなんですよ。避けても喜ぶ(意訳)だけなんだよ。なんかこう、色々困る。
「メンタル強すぎない?」
「…………因果応報だろう。おまえのせいだ」
なんか私のせいにされた……味方がいない……。
「…………」
ダメだ。帰ろう。ぐるりと回る。
「あら? 入らないの?」
「おかえりナマエ」
「…………ただいま。ゆりちゃんとクローニンもおかえり」
そう言って踵を返そうとしたがすぐさま捕まった。捕らわれた宇宙人状態で玉狛支部に入っていく。なんか二人とも悪さしたなら早く謝ったほうがいいよって言ってくるんだけど。支部の前で右往左往してたからだと思うけど私が何かした前提なのが解せない。
「戻りましたー」
「ただいま~」
帰ってきた二人の間にいる私に一切触れることなく「おかえりなさい!」と出迎える玉狛隊員達。その中に烏丸の姿はなかった。
「烏丸は?」
「とりまる先輩なら夕方までバイトだよ」
遊真の言葉にガッツポーズをする。「ケンカでもしたのか?」と首を傾げる遊真。もうケンカってことでいいや。
「うん。そんな感じ」
「早く謝ったほうがいいぞナマエさん」
「おまえもか遊真……」
一方的に加害者にされてる。免罪です。
***
「ゆりちゃん、これ下に持って行ってもいい?」
「大丈夫よ」
「はーい。あ、レイジさんはそのままで。おかまいなく」
「ナマエ」
「これからは気づかい屋さんと呼んでね」
「どこがだ」
玉狛支部に修くんの部屋を作るらしいので片付けを手伝っていた。ガッ! と一気にいらない荷物を持つとレイジさんに横から殆ど取られた。そのスマートさをゆりちゃんに対して発揮できるのはいつだろうか……。レイジさんの片思い歴長いのになぁ。六年くらい前からだよね。一向に慣れる気配がない。軽くなった荷物を運びながら隣のレイジさんをチラリと見る。
「なんだ」
「うーん、いや……うーん? あ、荷物ありがとうね」
「今更だがおまえのその思考がすぐに飛んでいく癖は治した方がいい。今更だが」
「なんで二回いった?」
一階に降りて古紙やダンボールを置いている部屋に行く。
「こっちの廃品回収っていつだっけ? もう忘れた」
「第三日曜だ」
「そうだった。ついでに他のも紐で括っておこうか」
「ああ」
「私の今の家って警戒区域ぎりぎりだから廃品回収ないんだよ。自分で持って行かなきゃ駄目なの」
「多いなら車出すぞ」
「諏訪さんから買った原チャあるから大丈夫ーでもありがとう」
「ああ。あそこは買い物も不便だろ」
「不便だけど本部近いし」
「不便ならこっちに戻って来たらどうだ」
「そうだ、…………小南になんか言われたでしょレイジさん」
うっかり同意するところだった。レイジさんも隠す気は全くないらしく首を縦に振っていた。一人暮らし反対勢のひとり、小南桐絵。昔の陽太郎ほどじゃないけど(というか陽太郎は最近なにも言わない。少しさびしい)あまり面白くないらしい。大規模侵攻のときもしばらく言われ続けたし。
「玉狛に残ったおまえの部屋の掃除をしているのは小南だからな」
「ちょっとそういうのやめて。胸に刺さる」
「あれでもまだ譲歩してるんだ。それは分かってやれ」
「あい」
ここが本部基地から支部に変わった頃。私は“今の”本部の正隊員になった。高三まではそのままこっちに住んでいたけどそれでも本部所属の立ち位置は変わらず、今に至る。玉狛の考え方が合わないとか間違ってるとかじゃない。ただ、
「キャラ変した城戸さんが心配だったからって理由なのにここまで反対される意味が未だによく分からない」
「キャラ変って言うからだろう」
「キャラ変じゃん」
どこからどうみてもあれはキャラ変だ。
「まあ今の城戸さんの助けになるようなこととか一切してないから説得力は皆無だけど」
むしろ遊真の黒トリガー盗ってこい任務放棄したしな。むしろ邪魔しかしてないかもしれない。でも、それでも本部に行ったのは、
「なんか嫌だったんだよね。城戸さんどっかに行きそうで。玉狛も城戸さんも忍田さんも間違ってないからさ、派閥とかはどうでもいいんだけどさ。やっぱ、やだなぁって」
たったこれだけの理由だ。ああでもそうか。小南からみたら私が城戸さんを優先したみたいに見えるかもしれない。それは気のせいだ。城戸さんの言うことなんて全然聞いてないというのに。多分小南のいうことの方がちゃんと聞いてる。
悩みながら唸っているとポンと頭に手を置かれ、そのままわしゃわしゃされた。なんだか久しぶりな感触だ。
「おまえは分かりにくいな」
「そりゃあ、レイジさんのゆりちゃんへの態度よりかはね」
そう言うと頭をぎゅっとされた。久しぶりな感触だ。これは全く嬉しくない。涙でてきた。
「そうやってすぐに悪態をつくから余計な誤解を生んでいるんだ」
「ええ……そんなの勝手に言わせておけばいいよ。むかつくのはやり返すけど」
そう言うとレイジさんはため息をついて再び頭をぐしゃっと撫でてきた。
「おまえはよくてもおまえを想っている人間からしたら面白くないんだ」
「? 誰の話」
「小南だ」
「何故ここで小南……?」
「あとは……京介か」
「この話やめにしない?」
そう主張すると呆れたような目線が返ってきた。いやだってその人今あれなんだよ。どうせ知ってるでしょ? 仲良しだからな。
「避けてはやるなよ」
「“俺のこと意識してるって分かるんで別にいいすよ。まあ関係ないんで”って言ってた件についてはどう思いますか?」
「…………」
そうなんですよ。避けても喜ぶ(意訳)だけなんだよ。なんかこう、色々困る。
「メンタル強すぎない?」
「…………因果応報だろう。おまえのせいだ」
なんか私のせいにされた……味方がいない……。