本編
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「お、ナマエじゃないの」
中入ればよかったのに、と迅は玉狛支部の入口で座っていた私の目の前で足を止める。自然と迅を見上げる形になるが構わず奴を睨みつけた。
「睨むなよ、ごめんって」
「……人を巻き込みやがって」
あの時の迅の言葉。あれを言えば私が迅側につくのは分かりきっていたはずだ。それを分かって口にするなんてやっぱり迅は性格が悪い。
「……ナマエとは戦いたくなかったからな」
「うるせー風刃どこやった」
「うるせーって……」
「どこやった」
「………ごめん、城戸さんに渡した」
目線を逸らし罰が悪そうな顔をする迅。その腰にはいつも肌身離さず装備していた風刃の姿はない。人前では絶対に見せないほどヘコんだ様子だった。
「カッコつけ」
「………」
「アホ、間抜け、セクハラくそ野郎、ヘタレ、泣き虫、インp」
「それだけは止めて」
そういって私の口を押さえようとした迅の手を払う。「女の子が何てこと言うんだ……」とぶつぶつ文句言いながら私の横に座った。
「ナマエって昔からそうだよね。おれが落ち込んでようが泣いていようがズケズケ何でも言うし何でもやるし」
「泣き虫悠ちゃんに一々構ってられるか」
「最上さんに育てられたのに何でそんなに人の心っていうものがないの?」
「育て方が悪かったんじゃね」
「何てこと言うんだこら」
そういってやっと私の顔を見た迅。目が合うと反らされそうになったが私が舌打ちすると肩を少し揺らし、深く息を吐いたあと私の目をジッと見つめ口を開いた。
「ナマエになにも言わないで風刃を勝手に渡してごめん。でもこうしないと更に亀裂が入ることになった。これが、最善だった」
そう言って眉間に力を入れる迅。そんな顔をするくらいなら最善だろうがなんだろうが渡さなきゃいいのにと思う。未来が視えるからって自分を犠牲にしてまで何でもやろうとする迅はアホだ。知らん顔してればいいのにそれをしない迅は間抜けだ。
そんな迅だからあの人は私にああ言ったのだろう。
あいつの大切な人を一緒に守ってやってくれ
それに対し「いいよー」と安請け合いした昔の自分を殴りたい。今も私を縛る言葉だ。呪いだ呪い。なんて生ぬるい優しさに包まれた呪いなんだろう。あの人が死んで五年。未だその呪いは解けない。
「………おいこら抱きつくな」
「だって、おまえ何も言わないから、顔みるのこわい」
「視えてんじゃないの」
「分岐してるから言ってる」
背中に回された腕が震えてるのが伝わった。……ほんとヘタレだ。いつもの飄々とした顔はどこいったと言いたくなるけど昔はこんな感じだったなぁとふと思い出した。
はぁ、と息を吐いて口を開く。
「怒るわけないじゃん。その分岐点終わってるわ。風刃はあの人があんたに残したんだから。どうしようがあんたの勝手」
「おまえの大切な人を取引に使った」
「その言い方やめろ誤解生む。………怒らないでしょ、あの人も。迅がした決断を怒るわけない」
迅の背中をポンと叩く。こんなに広かったっけ、と思ってると迅の腕が更に強くなった。
中入ればよかったのに、と迅は玉狛支部の入口で座っていた私の目の前で足を止める。自然と迅を見上げる形になるが構わず奴を睨みつけた。
「睨むなよ、ごめんって」
「……人を巻き込みやがって」
あの時の迅の言葉。あれを言えば私が迅側につくのは分かりきっていたはずだ。それを分かって口にするなんてやっぱり迅は性格が悪い。
「……ナマエとは戦いたくなかったからな」
「うるせー風刃どこやった」
「うるせーって……」
「どこやった」
「………ごめん、城戸さんに渡した」
目線を逸らし罰が悪そうな顔をする迅。その腰にはいつも肌身離さず装備していた風刃の姿はない。人前では絶対に見せないほどヘコんだ様子だった。
「カッコつけ」
「………」
「アホ、間抜け、セクハラくそ野郎、ヘタレ、泣き虫、インp」
「それだけは止めて」
そういって私の口を押さえようとした迅の手を払う。「女の子が何てこと言うんだ……」とぶつぶつ文句言いながら私の横に座った。
「ナマエって昔からそうだよね。おれが落ち込んでようが泣いていようがズケズケ何でも言うし何でもやるし」
「泣き虫悠ちゃんに一々構ってられるか」
「最上さんに育てられたのに何でそんなに人の心っていうものがないの?」
「育て方が悪かったんじゃね」
「何てこと言うんだこら」
そういってやっと私の顔を見た迅。目が合うと反らされそうになったが私が舌打ちすると肩を少し揺らし、深く息を吐いたあと私の目をジッと見つめ口を開いた。
「ナマエになにも言わないで風刃を勝手に渡してごめん。でもこうしないと更に亀裂が入ることになった。これが、最善だった」
そう言って眉間に力を入れる迅。そんな顔をするくらいなら最善だろうがなんだろうが渡さなきゃいいのにと思う。未来が視えるからって自分を犠牲にしてまで何でもやろうとする迅はアホだ。知らん顔してればいいのにそれをしない迅は間抜けだ。
そんな迅だからあの人は私にああ言ったのだろう。
あいつの大切な人を一緒に守ってやってくれ
それに対し「いいよー」と安請け合いした昔の自分を殴りたい。今も私を縛る言葉だ。呪いだ呪い。なんて生ぬるい優しさに包まれた呪いなんだろう。あの人が死んで五年。未だその呪いは解けない。
「………おいこら抱きつくな」
「だって、おまえ何も言わないから、顔みるのこわい」
「視えてんじゃないの」
「分岐してるから言ってる」
背中に回された腕が震えてるのが伝わった。……ほんとヘタレだ。いつもの飄々とした顔はどこいったと言いたくなるけど昔はこんな感じだったなぁとふと思い出した。
はぁ、と息を吐いて口を開く。
「怒るわけないじゃん。その分岐点終わってるわ。風刃はあの人があんたに残したんだから。どうしようがあんたの勝手」
「おまえの大切な人を取引に使った」
「その言い方やめろ誤解生む。………怒らないでしょ、あの人も。迅がした決断を怒るわけない」
迅の背中をポンと叩く。こんなに広かったっけ、と思ってると迅の腕が更に強くなった。