番外編
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「ただいま。そして何か冷たいものを恵んでください」
そう言って玉狛にやってきたナマエ。唐突にやって来るのはいつものことだが今日はいつもと少し様子が違っており、リビングにいた宇佐美と小南は目を輝かせ、烏丸は固まり、木崎は一瞬目を向けたがすぐさま料理する手を動かし始めた。
「ナマエさんが髪の毛アレンジしてるの初めて見た~!」
「柚宇ちゃんと倫ちゃんがやってくれた。今日あっつい」
Tシャツの首もとを掴み、パタパタと風を送るナマエ。いつもは肩辺りに流れる黒髪がサイドにまとめられ、キレイなお団子状になっていた。「クーラー最高」と言いながらナマエは空いていた席、烏丸の横に座った。
「似合うじゃない! いつもそうしてればいいのに」
「髪留めでまとめるか結ぶかしかできない人間に無茶ぶりすぎる。捻ってまとめて結んで止めてって何やってるか分からなかったんだけど」
「慣れたら出来ますよー」
「慣れる気がしないなぁ」
ワイワイ話す三人に対し、一向に話す気配のない烏丸。いつもと雰囲気が違うだけで緊張するなんて情けないと思いつつ視線を密かに向けた。普段隠れているうなじが見える。すぐに逸らした。
「あ、ごめん汗くさい?」
「……大丈夫です」
「大丈夫ってことは臭いってことじゃん」
ごめん、シャワー浴びるから、と立ち上がるナマエ。見当違いもいいところだったが内心ホッとした烏丸だった。
「シャワー浴びるなら私の服着る?」
「ありがとー小南。………入るかな、」
「入るでしょ」
「小南の腰細過ぎだからわからん」
「おれのをかしてやろうか!」
「気持ちだけもらっておこう」
木崎の手伝いをしていた陽太郎にそう返し、ナマエはリビングの扉へと向かう。「迅のテキトーにかっぱらっていく」といって二階へと登って行った。
「そのまま借りパクしそうね」
「この間迅さんが服が減っていってる気がするって言ってたよー。犯人はナマエさんか」
「………ちょっと忠告してきます」
そう言って立ち上がった烏丸に小南と宇佐美は「行ってらっしゃーい」と返す。リビングから出る直前、意味ありげな視線を木崎からもらったが気づかないふりをした。
二階に上がり、扉の開いた迅の部屋の前まで行くと堂々とクローゼットから黒のTシャツとジャージを抜き取るナマエの姿があった。
「あ、烏丸か。どうかした?」
「レイジさんが昼飯は食べていくのか? って言ってました」
「むしろ昼ごはん食べに来たからね」
玉狛を定食屋か何かと思っているらしい。しかしそれは玉狛の隊員にとっては承知の事実であり、わざわざ聞く内容ではない。こうして烏丸がやって来た理由に気づくことなく「迅のエロ本があるとこ教えてあげようか」とナマエは楽しげに笑っている。なんで知ってるんだ……と思いつつ「興味ありません」と烏丸は返した。
「興味ないって大丈夫か高校生」
「大丈夫なんでこの話題もう止めてください」
何が悲しくて好んでいる相手と下の話をしなくてはいけない。ナマエも別段興味がなかったのかすぐさま話がすり替わった。切り替えが早すぎる。
「シャワー浴びるからこれ取んないなぁ」
お団子を触りながらそう言うナマエ。「意気揚々と柚宇ちゃんたちがピン刺していったんだけど頭刺さってないよね?」と不安になったのか若干顔が青ざめていた。
「十本くらい刺してたんだけど。八本しかなかったらどうしよう。脳みそ大丈夫かな。小南に取ってもらおうかな」
「さすがに刺さってたら気付くでしょ。ほら、ほどくならこっち座ってください」
迅のベッドに座り、その前を指さす烏丸。ナマエは素直に烏丸の前に座りベッドの下で三角座りした。そして「頭に刺さってたら右肩叩いてください」と震える声で告げる。歯医者か、と内心呆れながら突っ込んだ烏丸はナマエの髪に手をやった瞬間、自分がやっていることに気がついた。
「…………っ、」
「え、なに!? 刺さってた!?」
「……大丈夫、です」
烏丸の返答に「その間なに!!」と突っ込むナマエ。しかし頭を動かすのは怖いのか前を向いたままだ。それに助かった……と口を軽く結ぶ。こんな顔を見られるのは耐え難い。
沸き立つ感情を抑えてそっと髪に触れる。途端に香ってきた甘い匂いを精神から追いやり、慎重に根元のピンを抜いていく。言うまでもなく緊張していたのだが皮肉なことに「ピンが一本……ピンが二本……」と皿を数えるように唱えるナマエのおかげで冷静になってきた烏丸。この人は本当に……と思いつつ編み込まれた髪をほどいていく。
「よかった。十本あった」
「よかったですね」
棒読みでそう返す烏丸に「本当によかった。死因がこれだったらどうしようかと思った」と真剣な声色のナマエ。もはやため息も出なかった。
(んー頭軽くなった。ありがとう烏丸)
(いいえ。ナマエさんは髪の毛染めないんですか)
(無理。脳みそに悪そう。怖い。無理)
(さっきからなんで脳みその心配ばっかりしてんすか。(少し見たかったな))
そう言って玉狛にやってきたナマエ。唐突にやって来るのはいつものことだが今日はいつもと少し様子が違っており、リビングにいた宇佐美と小南は目を輝かせ、烏丸は固まり、木崎は一瞬目を向けたがすぐさま料理する手を動かし始めた。
「ナマエさんが髪の毛アレンジしてるの初めて見た~!」
「柚宇ちゃんと倫ちゃんがやってくれた。今日あっつい」
Tシャツの首もとを掴み、パタパタと風を送るナマエ。いつもは肩辺りに流れる黒髪がサイドにまとめられ、キレイなお団子状になっていた。「クーラー最高」と言いながらナマエは空いていた席、烏丸の横に座った。
「似合うじゃない! いつもそうしてればいいのに」
「髪留めでまとめるか結ぶかしかできない人間に無茶ぶりすぎる。捻ってまとめて結んで止めてって何やってるか分からなかったんだけど」
「慣れたら出来ますよー」
「慣れる気がしないなぁ」
ワイワイ話す三人に対し、一向に話す気配のない烏丸。いつもと雰囲気が違うだけで緊張するなんて情けないと思いつつ視線を密かに向けた。普段隠れているうなじが見える。すぐに逸らした。
「あ、ごめん汗くさい?」
「……大丈夫です」
「大丈夫ってことは臭いってことじゃん」
ごめん、シャワー浴びるから、と立ち上がるナマエ。見当違いもいいところだったが内心ホッとした烏丸だった。
「シャワー浴びるなら私の服着る?」
「ありがとー小南。………入るかな、」
「入るでしょ」
「小南の腰細過ぎだからわからん」
「おれのをかしてやろうか!」
「気持ちだけもらっておこう」
木崎の手伝いをしていた陽太郎にそう返し、ナマエはリビングの扉へと向かう。「迅のテキトーにかっぱらっていく」といって二階へと登って行った。
「そのまま借りパクしそうね」
「この間迅さんが服が減っていってる気がするって言ってたよー。犯人はナマエさんか」
「………ちょっと忠告してきます」
そう言って立ち上がった烏丸に小南と宇佐美は「行ってらっしゃーい」と返す。リビングから出る直前、意味ありげな視線を木崎からもらったが気づかないふりをした。
二階に上がり、扉の開いた迅の部屋の前まで行くと堂々とクローゼットから黒のTシャツとジャージを抜き取るナマエの姿があった。
「あ、烏丸か。どうかした?」
「レイジさんが昼飯は食べていくのか? って言ってました」
「むしろ昼ごはん食べに来たからね」
玉狛を定食屋か何かと思っているらしい。しかしそれは玉狛の隊員にとっては承知の事実であり、わざわざ聞く内容ではない。こうして烏丸がやって来た理由に気づくことなく「迅のエロ本があるとこ教えてあげようか」とナマエは楽しげに笑っている。なんで知ってるんだ……と思いつつ「興味ありません」と烏丸は返した。
「興味ないって大丈夫か高校生」
「大丈夫なんでこの話題もう止めてください」
何が悲しくて好んでいる相手と下の話をしなくてはいけない。ナマエも別段興味がなかったのかすぐさま話がすり替わった。切り替えが早すぎる。
「シャワー浴びるからこれ取んないなぁ」
お団子を触りながらそう言うナマエ。「意気揚々と柚宇ちゃんたちがピン刺していったんだけど頭刺さってないよね?」と不安になったのか若干顔が青ざめていた。
「十本くらい刺してたんだけど。八本しかなかったらどうしよう。脳みそ大丈夫かな。小南に取ってもらおうかな」
「さすがに刺さってたら気付くでしょ。ほら、ほどくならこっち座ってください」
迅のベッドに座り、その前を指さす烏丸。ナマエは素直に烏丸の前に座りベッドの下で三角座りした。そして「頭に刺さってたら右肩叩いてください」と震える声で告げる。歯医者か、と内心呆れながら突っ込んだ烏丸はナマエの髪に手をやった瞬間、自分がやっていることに気がついた。
「…………っ、」
「え、なに!? 刺さってた!?」
「……大丈夫、です」
烏丸の返答に「その間なに!!」と突っ込むナマエ。しかし頭を動かすのは怖いのか前を向いたままだ。それに助かった……と口を軽く結ぶ。こんな顔を見られるのは耐え難い。
沸き立つ感情を抑えてそっと髪に触れる。途端に香ってきた甘い匂いを精神から追いやり、慎重に根元のピンを抜いていく。言うまでもなく緊張していたのだが皮肉なことに「ピンが一本……ピンが二本……」と皿を数えるように唱えるナマエのおかげで冷静になってきた烏丸。この人は本当に……と思いつつ編み込まれた髪をほどいていく。
「よかった。十本あった」
「よかったですね」
棒読みでそう返す烏丸に「本当によかった。死因がこれだったらどうしようかと思った」と真剣な声色のナマエ。もはやため息も出なかった。
(んー頭軽くなった。ありがとう烏丸)
(いいえ。ナマエさんは髪の毛染めないんですか)
(無理。脳みそに悪そう。怖い。無理)
(さっきからなんで脳みその心配ばっかりしてんすか。(少し見たかったな))