番外編
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「……おい木崎、その傍らに持っているものはなんだ」
嫌そうな顔で木崎が持っている物体へ視線を向ける風間。「死体かよ」と呆れたように呟く諏訪を後目に木崎は静かに口を開いた。
「ナマエだ」
「それは分かってる」
「3日飯を食ってないらしい」
「本当に死にかけじゃねえか!」
ああ、だから何か食べさせようと思って連れてきた、とのんびり話す木崎はナマエを抱えたまま券売機まで歩いていった。そして食券と交換して定食の乗ったお盆を片手に帰ってくる。片手にナマエ、片手にお盆と意味の分からない組み合わせにすれ違う者達が凝視していた。
「ほら、魚定食だ」
「……神崎レイジさんありがとう……」
「違う人間に聞こえるから止めろ」
任せて、と力なく返したナマエはゆっくりと箸を付け始める。だが徐々にそのスピードは早まり「米だ! 魚だ! 味噌汁だ!」と騒ぎ出した。「うるせえ!」「もう少しゆっくり食え」「茶はいるか」と言うまでもなく彼らのやりとりは食堂で目立っていた。
「はぁ生き返った!」
「お粗末様」
「レイジさんありがとー給料日きたら返すから」
「別にいい。それよりもなんでこんな状態になった」
「家の洗濯機が大暴れしてなぜかスプリンクラーが作動して家電がぶっ壊れたからお金も吹っ飛んでいった」
「お地蔵様でも蹴り飛ばしたのか」
「風間さん私のことなんだと思ってるの」
ナマエの話と風間の言葉に腹を抱えて笑う諏訪とため息をついた木崎。なぜ彼女の周りはこうもネタが尽きないのだろうか。
「給料日まであと一週間あるだろう。どうするつもりだったんだ」
「大道芸でもしてお金稼ごうかと思って技術部から花火もらった」
「頼むから素直に玉狛に来てくれ」
二次災害を想像した木崎は早口にそう言った。発想が斜め上過ぎて追いつけない。
「えぇー……それはちょっと迷惑でしょ」
「後々の被害を全て回収するよりマシだな」
「バカに火を渡すなんて技術部は何を考えている」
「ボーダーが放火魔なんて洒落になんねえぞ」
「おいこら21歳共」
なんでここまで言われなくちゃいけない、と睨むナマエ。
「年下が可愛くないのか……」
「おまえほど手を焼いた年下は今までに、いやこれからも存在しない」
「ああ、高校のときか」
「おまえの粗相で俺たちが何回呼び出しを受けたと思っている」
「……二回くらい?」
「その五倍以上だわボケぇ!」
この脳みそはどうなってんだ! とナマエの頭を両手で握る諏訪。「諏訪さんも問題児だったじゃん!」「てめえほどじゃねえよ!」「言っとくけど私が諏訪さんたち呼び出してたんじゃないから! 先生が勝手に諏訪さんたち呼び出してたんだから!」「そこじゃねえッ!」ギャーギャー言い合うナマエと諏訪を見て深くため息をつく風間と木崎。大学生になって少しは落ち着いたと思っていたのは間違いかもしれない。
「……いたい」
「自業自得だ」
「一緒に花火してあげようと思ったのに……」
そう言いながらカバンから花火を取り出すナマエ。やけに数が多い。打ち上げ花火まである。技術部仕事しろ。
「真冬に点くのか?」
「んーどうだろ」
「はっ一人でやってろ」
煙草を咥えて鼻を鳴らす諏訪。そして煙草の先に火を点けた。
「あ、火」
そして手持ち花火を反射的に諏訪のライターの火へ持って行くナマエ。その瞬間、その場の空気が固まった。
「やべ」
そう一言漏らしたナマエは鮮やかに火花を彩りだした手持ち花火を何を思ったのか手放した。打ち上げ花火の上に。
「…………このバカがぁああああ!!!」
諏訪の怒声と共にパンパンパン! と食堂に爆発音が鳴り響いた。
(…………おまえ達は大学生にもなって室内で花火か)
(いやあれ事故だから)
(おまえ本当に黙れ)
(なぜ俺まで……)
(……この感じ久しぶりだな)
嫌そうな顔で木崎が持っている物体へ視線を向ける風間。「死体かよ」と呆れたように呟く諏訪を後目に木崎は静かに口を開いた。
「ナマエだ」
「それは分かってる」
「3日飯を食ってないらしい」
「本当に死にかけじゃねえか!」
ああ、だから何か食べさせようと思って連れてきた、とのんびり話す木崎はナマエを抱えたまま券売機まで歩いていった。そして食券と交換して定食の乗ったお盆を片手に帰ってくる。片手にナマエ、片手にお盆と意味の分からない組み合わせにすれ違う者達が凝視していた。
「ほら、魚定食だ」
「……神崎レイジさんありがとう……」
「違う人間に聞こえるから止めろ」
任せて、と力なく返したナマエはゆっくりと箸を付け始める。だが徐々にそのスピードは早まり「米だ! 魚だ! 味噌汁だ!」と騒ぎ出した。「うるせえ!」「もう少しゆっくり食え」「茶はいるか」と言うまでもなく彼らのやりとりは食堂で目立っていた。
「はぁ生き返った!」
「お粗末様」
「レイジさんありがとー給料日きたら返すから」
「別にいい。それよりもなんでこんな状態になった」
「家の洗濯機が大暴れしてなぜかスプリンクラーが作動して家電がぶっ壊れたからお金も吹っ飛んでいった」
「お地蔵様でも蹴り飛ばしたのか」
「風間さん私のことなんだと思ってるの」
ナマエの話と風間の言葉に腹を抱えて笑う諏訪とため息をついた木崎。なぜ彼女の周りはこうもネタが尽きないのだろうか。
「給料日まであと一週間あるだろう。どうするつもりだったんだ」
「大道芸でもしてお金稼ごうかと思って技術部から花火もらった」
「頼むから素直に玉狛に来てくれ」
二次災害を想像した木崎は早口にそう言った。発想が斜め上過ぎて追いつけない。
「えぇー……それはちょっと迷惑でしょ」
「後々の被害を全て回収するよりマシだな」
「バカに火を渡すなんて技術部は何を考えている」
「ボーダーが放火魔なんて洒落になんねえぞ」
「おいこら21歳共」
なんでここまで言われなくちゃいけない、と睨むナマエ。
「年下が可愛くないのか……」
「おまえほど手を焼いた年下は今までに、いやこれからも存在しない」
「ああ、高校のときか」
「おまえの粗相で俺たちが何回呼び出しを受けたと思っている」
「……二回くらい?」
「その五倍以上だわボケぇ!」
この脳みそはどうなってんだ! とナマエの頭を両手で握る諏訪。「諏訪さんも問題児だったじゃん!」「てめえほどじゃねえよ!」「言っとくけど私が諏訪さんたち呼び出してたんじゃないから! 先生が勝手に諏訪さんたち呼び出してたんだから!」「そこじゃねえッ!」ギャーギャー言い合うナマエと諏訪を見て深くため息をつく風間と木崎。大学生になって少しは落ち着いたと思っていたのは間違いかもしれない。
「……いたい」
「自業自得だ」
「一緒に花火してあげようと思ったのに……」
そう言いながらカバンから花火を取り出すナマエ。やけに数が多い。打ち上げ花火まである。技術部仕事しろ。
「真冬に点くのか?」
「んーどうだろ」
「はっ一人でやってろ」
煙草を咥えて鼻を鳴らす諏訪。そして煙草の先に火を点けた。
「あ、火」
そして手持ち花火を反射的に諏訪のライターの火へ持って行くナマエ。その瞬間、その場の空気が固まった。
「やべ」
そう一言漏らしたナマエは鮮やかに火花を彩りだした手持ち花火を何を思ったのか手放した。打ち上げ花火の上に。
「…………このバカがぁああああ!!!」
諏訪の怒声と共にパンパンパン! と食堂に爆発音が鳴り響いた。
(…………おまえ達は大学生にもなって室内で花火か)
(いやあれ事故だから)
(おまえ本当に黙れ)
(なぜ俺まで……)
(……この感じ久しぶりだな)