本編
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「両手にお札を持ったボディビルダーに『滅すべし! 滅すべし!』って追いかけられる夢みた」
「夢の中でも賑やかだなおまえは……」
想像したらなかなかカオスな夢を見たらしい。嫌な夢だな……と若干顔を青ざめる柿崎とは反対に「なんていう筋肉の無駄遣い」と何故か眉を寄せるナマエ。どこがヤツの不興を買ったのだろうか、と思いつつボーダー基地内を二人で歩く。
15からの友人で仲間、同級生であるナマエに『かっきー』というあだ名で呼ばれ続けて早四年。出会った当初から「柿崎って言いにくい。か“き”ざ“き”でキが二回続くと言いにくい。かっきーって呼ぶねよろしく」とこちらが口を挟む間もなく決まってしまったあだ名。その時は馴れ馴れしいのかただ人懐っこいだけなのか判断が付かなかったが今なら分かる。こいつは気分屋で適当なだけだ。「何で柿崎さんはあだ名なんですか?」「えぇ……何でだっけ……かっきーが呼んでねって言ったんじゃない。かっきーは昔からフレンドリーだからね。ああそんな感じだった気がする。きっとそうだ」勝手に記憶を塗り替え始めたナマエの後頭部にその会話を聞いていた柿崎は無言で手刀を落とした。別にそのあだ名が気に入らないわけじゃないが黙って見ておくわけにはいかなかった。放っておいたらあらぬ噂を流されそうだったからだ。迅のロリコン疑惑のように。あれも騒ぎを収めるのに時間かかったからなぁ……と遠い目をしながら角を曲がる。そして辺りをキョロキョロする後ろ姿を発見した。
「どうした? 道に迷ったのか?」
迷わずそう声をかける。振り返った人物は次の対戦相手だった。案の定迷っていたらしい。入隊したての自分を思い出しつつナマエと並んで案内する。「ここ入り組んでるからねぇ。たまに通路ごと吹っ飛ばしたくなるよねぇ」「それはだめだぞナマエさん」対戦相手は一般的な感性の持ち主だということに少しほっとしつつ、目的のソロランク戦のブースまで足を進めた。
「ほら到着だ」
「おお」
「似たような廊下多いからな、俺も昔はよく迷ったよ」
そう笑みを浮かべながら言うと「どなたか存じませんがありがとうございました」という言葉がお辞儀と共に返ってきた。横で吹き出したナマエの頭をぐしゃりとして自分は次の対戦相手だと言うことを告げた。
「なんと……これは失礼」
「今まで戦ったB級はキャラ濃いの多かったからね。仕方ない」
「それをおまえが言うな」
さり気なくキャラが薄いと言われたことはスルーした。B級きってのキャラの濃さを誇る人物に言われたら返す言葉はない。むしろこのままでいる事を強く望む。
そんな会話を続けていると背後から「あら、柿崎くんにナマエちゃん」という聞き慣れた声がかかった。柿崎はその声に素直に振り返り、ナマエは肩をビクリと震わせた後、ギッギッギッとブリキのように顔を動かした。その反応に苦笑いを漏らしつつ「加古さん任務上がりっすか」と返した。
***
背後から現れた加古さん。瞬時に脳裏に浮かんだのは今日見た夢の比にならないくらいに苦しめられたチョコ炒飯だった。あれのせいで何回夜中に飛び起きたか。そして遊真は加古さんと会うのは初めてだったらしい。忠告も兼ねて「調理場に連れ込まれそうになったら速攻で逃げろ。そこにあるのは地獄だよ」と耳打ちする。その瞬間加古さんの笑みが深まった気がしたけど見なかったことにした。加古さんはその笑みを浮かべたまま遊真に話しかけた。
「あなた、うちの部隊に入らない?」
「………!?」
「お断りします」
「!!」
「そういうと思ったわ」
「…….!?」
どういうことだ!? といった顔をかっきーが向けてくる。うん、私も分からない。考えるな感じろってやつだよたぶん。
「でも遊真が加古隊に入ったらガールズチームじゃなくなっちゃうよ」
「別にそこは頓着しないわ」
「いにしゃる“ケー”とは……..?」
「名前がかきくけこで始まるってことだ」
かっきーの説明に納得したように「ほう」と顎に手をやる遊真。ネイバーにはローマ字文化ないのかな。
そして目の前には両手をワキワキさせてお互いに牽制しあう遊真と加古さん、そしてそれを止めようとするかっきー。かっきーの「人集まって来てる!」という言葉の通りだんだんと人が増えて来ていた。野次馬楽しいよね。分かる分かる。そんな事を思っていると人混みの中から見覚えのあるもじゃ頭が出てきた。あいつの頭って人混みの中だと目立つな。いや、単体でも目立ってたわ。
「おいコラ空閑ァ! いつまで待たせんだてめー! 八つ裂きにすんぞ!」
現れて早々に物騒な言葉を吐く影浦に「カゲ」「あら影浦くん」と声をかけるかっきーと加古さん。名前を呼ばれた影浦はこちらに顔を向けて口を開く。
「ザキさんとファントムばばあにクソ馬鹿」
「何か私だけシンプルに悪口言われてない?」
「てめーは馬鹿をやることに関しては天才的だろ」
「そんな褒められ方されても……」
「褒めてねーよ」
続いて何で俺がてめーを褒めなきゃいけねーんだとブツブツ文句を言われた。逆に何でこんなにボロクソに言われてるんだろう。こいつ私が傷つかない人間だと思ってるんじゃないだろうな。
遊真が「カゲ先輩とナマエさんは仲がいいんだな」とふむふむといった様子で言ってきた。どこ判断ですか遊真さん。仲いいと思う? と他三人に聞くと加古さんは「仲良しだと思うわ」とにっこり。かっきーは「相性はいいと思うぜ」とこちらもニコニコ。影浦は「はっ」とどうでもよさそう。うん、通常運転。仲良くなかったら文句いう性格してるから仲いいかもしれない。新発見。遊真さんやっぱ鋭いね。
「夢の中でも賑やかだなおまえは……」
想像したらなかなかカオスな夢を見たらしい。嫌な夢だな……と若干顔を青ざめる柿崎とは反対に「なんていう筋肉の無駄遣い」と何故か眉を寄せるナマエ。どこがヤツの不興を買ったのだろうか、と思いつつボーダー基地内を二人で歩く。
15からの友人で仲間、同級生であるナマエに『かっきー』というあだ名で呼ばれ続けて早四年。出会った当初から「柿崎って言いにくい。か“き”ざ“き”でキが二回続くと言いにくい。かっきーって呼ぶねよろしく」とこちらが口を挟む間もなく決まってしまったあだ名。その時は馴れ馴れしいのかただ人懐っこいだけなのか判断が付かなかったが今なら分かる。こいつは気分屋で適当なだけだ。「何で柿崎さんはあだ名なんですか?」「えぇ……何でだっけ……かっきーが呼んでねって言ったんじゃない。かっきーは昔からフレンドリーだからね。ああそんな感じだった気がする。きっとそうだ」勝手に記憶を塗り替え始めたナマエの後頭部にその会話を聞いていた柿崎は無言で手刀を落とした。別にそのあだ名が気に入らないわけじゃないが黙って見ておくわけにはいかなかった。放っておいたらあらぬ噂を流されそうだったからだ。迅のロリコン疑惑のように。あれも騒ぎを収めるのに時間かかったからなぁ……と遠い目をしながら角を曲がる。そして辺りをキョロキョロする後ろ姿を発見した。
「どうした? 道に迷ったのか?」
迷わずそう声をかける。振り返った人物は次の対戦相手だった。案の定迷っていたらしい。入隊したての自分を思い出しつつナマエと並んで案内する。「ここ入り組んでるからねぇ。たまに通路ごと吹っ飛ばしたくなるよねぇ」「それはだめだぞナマエさん」対戦相手は一般的な感性の持ち主だということに少しほっとしつつ、目的のソロランク戦のブースまで足を進めた。
「ほら到着だ」
「おお」
「似たような廊下多いからな、俺も昔はよく迷ったよ」
そう笑みを浮かべながら言うと「どなたか存じませんがありがとうございました」という言葉がお辞儀と共に返ってきた。横で吹き出したナマエの頭をぐしゃりとして自分は次の対戦相手だと言うことを告げた。
「なんと……これは失礼」
「今まで戦ったB級はキャラ濃いの多かったからね。仕方ない」
「それをおまえが言うな」
さり気なくキャラが薄いと言われたことはスルーした。B級きってのキャラの濃さを誇る人物に言われたら返す言葉はない。むしろこのままでいる事を強く望む。
そんな会話を続けていると背後から「あら、柿崎くんにナマエちゃん」という聞き慣れた声がかかった。柿崎はその声に素直に振り返り、ナマエは肩をビクリと震わせた後、ギッギッギッとブリキのように顔を動かした。その反応に苦笑いを漏らしつつ「加古さん任務上がりっすか」と返した。
***
背後から現れた加古さん。瞬時に脳裏に浮かんだのは今日見た夢の比にならないくらいに苦しめられたチョコ炒飯だった。あれのせいで何回夜中に飛び起きたか。そして遊真は加古さんと会うのは初めてだったらしい。忠告も兼ねて「調理場に連れ込まれそうになったら速攻で逃げろ。そこにあるのは地獄だよ」と耳打ちする。その瞬間加古さんの笑みが深まった気がしたけど見なかったことにした。加古さんはその笑みを浮かべたまま遊真に話しかけた。
「あなた、うちの部隊に入らない?」
「………!?」
「お断りします」
「!!」
「そういうと思ったわ」
「…….!?」
どういうことだ!? といった顔をかっきーが向けてくる。うん、私も分からない。考えるな感じろってやつだよたぶん。
「でも遊真が加古隊に入ったらガールズチームじゃなくなっちゃうよ」
「別にそこは頓着しないわ」
「いにしゃる“ケー”とは……..?」
「名前がかきくけこで始まるってことだ」
かっきーの説明に納得したように「ほう」と顎に手をやる遊真。ネイバーにはローマ字文化ないのかな。
そして目の前には両手をワキワキさせてお互いに牽制しあう遊真と加古さん、そしてそれを止めようとするかっきー。かっきーの「人集まって来てる!」という言葉の通りだんだんと人が増えて来ていた。野次馬楽しいよね。分かる分かる。そんな事を思っていると人混みの中から見覚えのあるもじゃ頭が出てきた。あいつの頭って人混みの中だと目立つな。いや、単体でも目立ってたわ。
「おいコラ空閑ァ! いつまで待たせんだてめー! 八つ裂きにすんぞ!」
現れて早々に物騒な言葉を吐く影浦に「カゲ」「あら影浦くん」と声をかけるかっきーと加古さん。名前を呼ばれた影浦はこちらに顔を向けて口を開く。
「ザキさんとファントムばばあにクソ馬鹿」
「何か私だけシンプルに悪口言われてない?」
「てめーは馬鹿をやることに関しては天才的だろ」
「そんな褒められ方されても……」
「褒めてねーよ」
続いて何で俺がてめーを褒めなきゃいけねーんだとブツブツ文句を言われた。逆に何でこんなにボロクソに言われてるんだろう。こいつ私が傷つかない人間だと思ってるんじゃないだろうな。
遊真が「カゲ先輩とナマエさんは仲がいいんだな」とふむふむといった様子で言ってきた。どこ判断ですか遊真さん。仲いいと思う? と他三人に聞くと加古さんは「仲良しだと思うわ」とにっこり。かっきーは「相性はいいと思うぜ」とこちらもニコニコ。影浦は「はっ」とどうでもよさそう。うん、通常運転。仲良くなかったら文句いう性格してるから仲いいかもしれない。新発見。遊真さんやっぱ鋭いね。