本編
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木虎に修くんとの逢瀬を邪魔しないでと嵐山隊の作戦室から追い出されたのでそのまま太刀川隊の作戦室へ向かった。そこにいた柚宇ちゃんから「え~もう戻っちゃったの……」と残念がられた。普段の私をどんな風に思っているのだろう。変にドキドキしながらこの間の雪辱を晴らすべく、コントローラーを手にする。テレビ画面にはloseの文字。無理だった。
「んーなんか外が騒がしい~」
「変質者でも出たんじゃない」
「防衛基地で変質者なんて危ないねぇ」
そう言って席を立って覗きに行く柚宇ちゃん。危ないといいつつも見に行っちゃうのか。好奇心旺盛だな。いやさすがに基地に変質者出たら色々終わるからないと思うけど。ネイバーの相手してる場合じゃない。そして「どしたどした~何を揉めとるかね~」という言葉と共に私を手招きする柚宇ちゃん。どっこらしょ、と立ち上がって外を覗くと地べたに這いつくばった唯我の姿があった。
「国近先輩! ボクは悪くない!」
「何があったか知らんが全部おまえが悪い」
「理不尽!!」
てか山原さんに言ってませんよ! と騒ぐ唯我にイラッとしたので勢いよくチョップをお見舞いすると「もういやだこの師弟コンビ!! 人権団体を呼んでくれ!!」と泣き出した。出水が何かしたらしい。よく分からんがよくやった。うんうん頷いていると唯我の奥で冷や汗を流す修くんを発見した。
「あれ、木虎とデートは?」
「は!?」
珍しく素っ頓狂な声を修くんが上げたので「修くんが来るから出ていけってさっき嵐山隊の作戦室から追い出されたの」と伝えると「ああ……なるほど……」と疲れた顔で納得する修くんは銃撃手の戦い方を習いに回ってるらしい。向上心の塊みたいな子だな。そして未だに騒ぐ唯我に対して「太刀川さんなんか隊長っぽいこと言って」と無茶ぶりをかます柚宇ちゃん。無理だよ。だってどら焼き食べてるもん。
「唯我おまえ落ち着きなさすぎ。もうちょっと自覚を持って行動しろ」
どら焼き食べながら何を言ってるのだろうと思いつつ修くんが持ってきてたどら焼きをもらう。うまい。そしてもぐもぐしながら「今からちょっといいことを言うからよく聞け」と続ける太刀川さん。無理だよ。だって太刀川さんだもん。
「うちのエンブレムを見ろ。刀が三本あるな? これは一本目が俺、次の一本が出水を表してる。そんでこの最後の一本が…….」
そこで区切った太刀川さんを期待の眼差しで見る唯我。
「俺の二本目の刀だ」
「!!?」
「つまりはお前はまだ半人前だからでかい顔しちゃダメってことだな」
「残酷すぎるフェイント!!」
どぅっと涙を流す唯我とどや顔の太刀川さん。ほらやっぱり無理だった。こんなこったろうと思った。「まー唯我にはそんくらいがお似合いだよ」「半人前だからな」と太刀川さんともぐもぐしながら会話をしていると半目の出水と目があった。
「ん、なに?」
「いや……なんもない」
****
「『一人でも点を獲れるようになりたい』? いいんじゃねえの?」
どら焼きを頬張りながら「シューター以外全滅して戦うときもあるしな」と続けて私の方を向く出水。なんか言えって顔をしている。ええ……太刀川さんがボコられるの見るのに必死なんだけど……と目線で訴えていると「梅昆布茶、作戦室に置いてやらねーぞ」と脅しをかけてきた。出水このやろう。おまえの隊長は「梅昆布茶飲んでたら頭よくなるらしいよ」とか適当なこと言ってたら簡単に承諾してくれたのに。
「獲れるならの話でしょ。そもそもシューターは一人で点獲る必要ないし。というか難しい」
「……はい、それは嵐山さんも言っていました」
「ええ……嵐山と被った……もう本格的に私いらないじゃん……あとよろしく出水……」
「投げ出すの早すぎるんだよ!!」
後ろで騒ぐ出水を置いて柚宇ちゃんの横に座る。「あれが最古参のシューターってんだから色々終わってるよな」とデカい声で嫌みを言ってるけど無視した。言っとくけど色々終わってるシューターを師匠って呼んでるのおまえだけだからな。そんなことを思っていると絶賛ボコられ中の太刀川さんが口を開いた。
「点獲れるようになりたいっておまえと真逆だな」
「んーそうだね」
「おまえの個人戦績散々だからな」
血気盛んな人間ばかりだからな。太刀川さんを含めて。何回ぼこられたかこのやろうと恨みを込めて言うとよく言うぜとちょっと悔しそうな声が返ってきた。
「適当な奴らで組んだ模擬戦でおまえがいる方に勝ったことねーんだよ」
迅のときもそうだったしな、と言葉を続ける太刀川さん。いや……あれって私いなくても大丈夫だった気が……風刃あったし。
「いつまでソロで遊んでんだって風間さんが文句タラタラだったぞ」
「いやいつも真剣ですけど。遊んだ記憶は一切ないんですけど」
風間さん私のことどう思ってんの。今までのB級生活を否定された気分だ。
「おまえ一人だと雑魚だけどチーム戦ならそこそこ戦えんだろ。さっさと隊組めよ」
「なにそれ山原隊結束? うわぁ……気持ち悪い……違和感ありすぎて」
「響きが最悪だな」
「太刀川隊といいレベルだね」
「なんだとこら」
軽口を叩きつつもどちらもゲーム画面に視線は向いている。そして私と太刀川さんの間に座っている柚宇ちゃんはバーサーカーモードに入ったので多分私と太刀川さんの会話は聞こえていない。このときの柚宇ちゃんは普段のゆるふわ口調が全て消える。傷つきたくなかったら話しかけてはいけない。後ろでは陸に上がった魚みたいに唯我がバタバタしてるし相変わらず賑やかだなこの作戦室は。そして柚宇ちゃんにボコボコにされた太刀川さんはコントローラーを静かに置いた。柚宇ちゃんがネットの人々と戦いはじめたからだ。こわい。
「おまえ木虎がB級上がってしばらく組んでたろ」
「ああ……? 組んでたっていうか任務一緒にされてたね。割とすぐに木虎が嵐山隊に入ったからそんな長くはないよ」
「あれ東さんと柿崎の計らいだぞ」
「は?」
え、なにそれ。
「ああいうタイプはおまえが最適だろって。柿崎の後押しがあったしな。『このままじゃあの子ダメになる』って一番必死だったぞ」
「ちょっと待って頭が追いつかない」
なにその裏工作。東さんはともかくかっきーまで出てきてるし。そして何よりそういうのを教えてもらえる立場にいないか、私が。何で太刀川さん知ってるのに私は全く教えてもらってないの。意味が分からないけどとりあえずかっきーに鬼がらみしよう。……てかそもそも、
「木虎ってそこまで言われる子じゃないでしょ。最初から優秀だったし」
「優秀だけじゃダメだろ」
キッパリそう言い切る太刀川さん。私の中の木虎のイメージは出来るツンデレ優等生だ。そのためこんな風に言われているのは初めてだったので思わず目を瞬かせた。
「昔の木虎とポンコツなおまえだったら俺は100パーおまえと組む」
「嬉しくない」
「なんでだよ」
「喜べるか!」
ポンコツ呼ばわりされて喜ぶ人間がいたらその人はただのMだ。
「誉めてやってんのに……ま、命のやりとりしてんのに小さなプライド優先させる奴は使えないって話だ。おまえはそもそもプライドなんてないだろ」
「うん。とりあえず木虎の話じゃなくて私の悪口言ってるってことが分かった」
「日本語通じてるか?」
「あんたもな!」
こんな人がソロランキング一位ってボーダー大丈夫か。早く引きずり落とせよ。………ああ、二位はもっと最悪だった。ボーダー終わった。
「んーなんか外が騒がしい~」
「変質者でも出たんじゃない」
「防衛基地で変質者なんて危ないねぇ」
そう言って席を立って覗きに行く柚宇ちゃん。危ないといいつつも見に行っちゃうのか。好奇心旺盛だな。いやさすがに基地に変質者出たら色々終わるからないと思うけど。ネイバーの相手してる場合じゃない。そして「どしたどした~何を揉めとるかね~」という言葉と共に私を手招きする柚宇ちゃん。どっこらしょ、と立ち上がって外を覗くと地べたに這いつくばった唯我の姿があった。
「国近先輩! ボクは悪くない!」
「何があったか知らんが全部おまえが悪い」
「理不尽!!」
てか山原さんに言ってませんよ! と騒ぐ唯我にイラッとしたので勢いよくチョップをお見舞いすると「もういやだこの師弟コンビ!! 人権団体を呼んでくれ!!」と泣き出した。出水が何かしたらしい。よく分からんがよくやった。うんうん頷いていると唯我の奥で冷や汗を流す修くんを発見した。
「あれ、木虎とデートは?」
「は!?」
珍しく素っ頓狂な声を修くんが上げたので「修くんが来るから出ていけってさっき嵐山隊の作戦室から追い出されたの」と伝えると「ああ……なるほど……」と疲れた顔で納得する修くんは銃撃手の戦い方を習いに回ってるらしい。向上心の塊みたいな子だな。そして未だに騒ぐ唯我に対して「太刀川さんなんか隊長っぽいこと言って」と無茶ぶりをかます柚宇ちゃん。無理だよ。だってどら焼き食べてるもん。
「唯我おまえ落ち着きなさすぎ。もうちょっと自覚を持って行動しろ」
どら焼き食べながら何を言ってるのだろうと思いつつ修くんが持ってきてたどら焼きをもらう。うまい。そしてもぐもぐしながら「今からちょっといいことを言うからよく聞け」と続ける太刀川さん。無理だよ。だって太刀川さんだもん。
「うちのエンブレムを見ろ。刀が三本あるな? これは一本目が俺、次の一本が出水を表してる。そんでこの最後の一本が…….」
そこで区切った太刀川さんを期待の眼差しで見る唯我。
「俺の二本目の刀だ」
「!!?」
「つまりはお前はまだ半人前だからでかい顔しちゃダメってことだな」
「残酷すぎるフェイント!!」
どぅっと涙を流す唯我とどや顔の太刀川さん。ほらやっぱり無理だった。こんなこったろうと思った。「まー唯我にはそんくらいがお似合いだよ」「半人前だからな」と太刀川さんともぐもぐしながら会話をしていると半目の出水と目があった。
「ん、なに?」
「いや……なんもない」
****
「『一人でも点を獲れるようになりたい』? いいんじゃねえの?」
どら焼きを頬張りながら「シューター以外全滅して戦うときもあるしな」と続けて私の方を向く出水。なんか言えって顔をしている。ええ……太刀川さんがボコられるの見るのに必死なんだけど……と目線で訴えていると「梅昆布茶、作戦室に置いてやらねーぞ」と脅しをかけてきた。出水このやろう。おまえの隊長は「梅昆布茶飲んでたら頭よくなるらしいよ」とか適当なこと言ってたら簡単に承諾してくれたのに。
「獲れるならの話でしょ。そもそもシューターは一人で点獲る必要ないし。というか難しい」
「……はい、それは嵐山さんも言っていました」
「ええ……嵐山と被った……もう本格的に私いらないじゃん……あとよろしく出水……」
「投げ出すの早すぎるんだよ!!」
後ろで騒ぐ出水を置いて柚宇ちゃんの横に座る。「あれが最古参のシューターってんだから色々終わってるよな」とデカい声で嫌みを言ってるけど無視した。言っとくけど色々終わってるシューターを師匠って呼んでるのおまえだけだからな。そんなことを思っていると絶賛ボコられ中の太刀川さんが口を開いた。
「点獲れるようになりたいっておまえと真逆だな」
「んーそうだね」
「おまえの個人戦績散々だからな」
血気盛んな人間ばかりだからな。太刀川さんを含めて。何回ぼこられたかこのやろうと恨みを込めて言うとよく言うぜとちょっと悔しそうな声が返ってきた。
「適当な奴らで組んだ模擬戦でおまえがいる方に勝ったことねーんだよ」
迅のときもそうだったしな、と言葉を続ける太刀川さん。いや……あれって私いなくても大丈夫だった気が……風刃あったし。
「いつまでソロで遊んでんだって風間さんが文句タラタラだったぞ」
「いやいつも真剣ですけど。遊んだ記憶は一切ないんですけど」
風間さん私のことどう思ってんの。今までのB級生活を否定された気分だ。
「おまえ一人だと雑魚だけどチーム戦ならそこそこ戦えんだろ。さっさと隊組めよ」
「なにそれ山原隊結束? うわぁ……気持ち悪い……違和感ありすぎて」
「響きが最悪だな」
「太刀川隊といいレベルだね」
「なんだとこら」
軽口を叩きつつもどちらもゲーム画面に視線は向いている。そして私と太刀川さんの間に座っている柚宇ちゃんはバーサーカーモードに入ったので多分私と太刀川さんの会話は聞こえていない。このときの柚宇ちゃんは普段のゆるふわ口調が全て消える。傷つきたくなかったら話しかけてはいけない。後ろでは陸に上がった魚みたいに唯我がバタバタしてるし相変わらず賑やかだなこの作戦室は。そして柚宇ちゃんにボコボコにされた太刀川さんはコントローラーを静かに置いた。柚宇ちゃんがネットの人々と戦いはじめたからだ。こわい。
「おまえ木虎がB級上がってしばらく組んでたろ」
「ああ……? 組んでたっていうか任務一緒にされてたね。割とすぐに木虎が嵐山隊に入ったからそんな長くはないよ」
「あれ東さんと柿崎の計らいだぞ」
「は?」
え、なにそれ。
「ああいうタイプはおまえが最適だろって。柿崎の後押しがあったしな。『このままじゃあの子ダメになる』って一番必死だったぞ」
「ちょっと待って頭が追いつかない」
なにその裏工作。東さんはともかくかっきーまで出てきてるし。そして何よりそういうのを教えてもらえる立場にいないか、私が。何で太刀川さん知ってるのに私は全く教えてもらってないの。意味が分からないけどとりあえずかっきーに鬼がらみしよう。……てかそもそも、
「木虎ってそこまで言われる子じゃないでしょ。最初から優秀だったし」
「優秀だけじゃダメだろ」
キッパリそう言い切る太刀川さん。私の中の木虎のイメージは出来るツンデレ優等生だ。そのためこんな風に言われているのは初めてだったので思わず目を瞬かせた。
「昔の木虎とポンコツなおまえだったら俺は100パーおまえと組む」
「嬉しくない」
「なんでだよ」
「喜べるか!」
ポンコツ呼ばわりされて喜ぶ人間がいたらその人はただのMだ。
「誉めてやってんのに……ま、命のやりとりしてんのに小さなプライド優先させる奴は使えないって話だ。おまえはそもそもプライドなんてないだろ」
「うん。とりあえず木虎の話じゃなくて私の悪口言ってるってことが分かった」
「日本語通じてるか?」
「あんたもな!」
こんな人がソロランキング一位ってボーダー大丈夫か。早く引きずり落とせよ。………ああ、二位はもっと最悪だった。ボーダー終わった。