本編
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ボーダーには派閥がある。城戸派、忍田派、玉狛支部。玉狛って10人くらいでしょ。それが第三勢力みたいになってやっぱ化けモンだわあそこの連中。で、私はというとどこにも属してない一般B級だと思っていたらどうやら違ったらしい。
「え? 本気ですか? ここに私入れるんですか? 場違いじゃないですか? つーか私城戸さん派だったの?」
最後の質問は後ろに控えているA級たちに向けて言う。前の方にいた太刀川さんから「今さらか?」と呆れた眼差しで言われた。他もそんな顔している。え、全員そう思ってたの? 本人知らなかったのに?
ボーダー恐ろしや……と呟くと城戸さんから鋭い眼差しを頂いた。城戸さんってヤクザの素養あるよね。あの顔で世界平和目指してるなんて驚きだよ。
「おまえにもA級の任務についてもらう」
「いやです」
「迅のやり口を一番知っているのはおまえだ」
「ちょっと私あそこまで性格悪くないですからね」
「黒トリガーの奪取……失敗は許さん」
「聞いてます? 城戸さん。てか今日は金ロー見なきゃいけないので帰ります」
「以上だ。解散」
「城戸さんって昔から話聞きませんよね! いい大人が恥ずかしくないんですか! ってこら離せや太刀川!」
「これ以上俺たちの肝を冷やさないでくれ」
なに言ってるんだこの人。心なしか冷や汗をかいてる太刀川さん。そんな隊服着てるからだよ。といつもなら突っ込むが今は城戸さんだ。誰がそんなめんどくさそうな任務行くか。迅と遊びたいなら勝手にどうぞ。そう主張したいが太刀川さんに抱えられた上に会議室の扉は音をたてて閉められてしまった。無駄にハイテクな設備にしやがってぇ……。
「むかつく……あのヤクザめ……」
「おまえって前からバカだと思ってたけど本当にバカだったんだな」
「語彙力、強化、ガンバレ!」
そう言って太刀川さんの腕を払いのけた。語彙力……? と頭を傾げる太刀川さんは置いてさっさとずらかろうとしたがそれはこの人が許してくれなかった。
目の前には小さいのに人並み以上の眼力を持ち、小さいのに腕っ節は太刀川さん並、小さいのにすばしっこい、のは当たり前か。とりあえず小型かつ高性能の代名詞、風間さんが私の前に立ちふさがった。
****
師匠って誰にでもあんな感じなのかと恐れ二割、呆れ八割で城戸司令とのやり取りを見ていた。よくあの強面の前で「金ロー見るから帰ります」なんて言えたな。旧ボーダー時代からの付き合いとはいえあんなにも軽々しく城戸さんに接する人間を見たことがない。そして城戸さんも徹底して師匠の言うことを無視していた。慣れてる感がハンパなかった。
そしてこの人もある意味師匠に慣れている人物のひとりだ。
「任務だ、行くぞ」
「金曜ロー見るんで無理です」
「録画してある」
「臨場感ってね、録画じゃ味わえないんですよ、分かる風間さん」
「本部の8Kテレビで見ればいいだろう。臨場感すごいぞ」
「8Kテレビだと……!?」
いつ設置したの! と風間さんに詰め寄る師匠。「先月からだそうだ」と淡々と返す風間さん。その足は外へ繋がるルートへ向かっている。
うまい。師匠もチョロいが風間さんの話の流し方が神がかっている。師匠は何事も無理やり押し付けられると手段を選ばす反発するように出来ている。話を聞きつつ意識を逸らす。完璧だ。思わず拍手すると横にいた三輪が口を開いた。
「おまえの師匠大丈夫か?」
「頭? 手遅れだな」
「おまえ本当に弟子か?」
一応、と返すと渋い顔された。三輪がこんな顔するの珍しいぞ。
そもそもあの人おれのこと弟子と思ってないし。と心でボヤく。勝手に師匠と呼んでるが互いに師弟関係、という意識は薄い。「味方に当てる勢いで撃っちゃえば? そしたら的増えるから余計な神経使わないよ」これが伸び悩んでいたおれに言った言葉だ。道徳心とかあの人にはきっとないんだと思う。そしてその言葉でスランプから脱出したおれもないのかもしれない。
今はおれの方が階級も上になってランク戦でも師匠に負けることはない。多分。あの人とランク戦したのどんくらい前か思い出せないくらい前だけど、普段の師匠を見ていたら負ける気がしない。だってこの前ランク戦ブースで太刀川さんと出前のラーメン食ってた。その後忍田さんからめちゃくちゃ怒られてた。次々に入隊してくるシューター候補が古株シューターの師匠を勝手にベテランだと勘違いして弟子入りしようとするのを九割の隊員が止めるくらいに、あの人はめちゃくちゃだ。……でも、なあ……
「……なーんかあの人凄いんだよな」
それはどこだと聞かれたら答えることは出来ないのだけど。
未だに8Kテレビについて語っている師匠のうるさい姿を見て任務前なのにすげえ力が抜けた。
「え? 本気ですか? ここに私入れるんですか? 場違いじゃないですか? つーか私城戸さん派だったの?」
最後の質問は後ろに控えているA級たちに向けて言う。前の方にいた太刀川さんから「今さらか?」と呆れた眼差しで言われた。他もそんな顔している。え、全員そう思ってたの? 本人知らなかったのに?
ボーダー恐ろしや……と呟くと城戸さんから鋭い眼差しを頂いた。城戸さんってヤクザの素養あるよね。あの顔で世界平和目指してるなんて驚きだよ。
「おまえにもA級の任務についてもらう」
「いやです」
「迅のやり口を一番知っているのはおまえだ」
「ちょっと私あそこまで性格悪くないですからね」
「黒トリガーの奪取……失敗は許さん」
「聞いてます? 城戸さん。てか今日は金ロー見なきゃいけないので帰ります」
「以上だ。解散」
「城戸さんって昔から話聞きませんよね! いい大人が恥ずかしくないんですか! ってこら離せや太刀川!」
「これ以上俺たちの肝を冷やさないでくれ」
なに言ってるんだこの人。心なしか冷や汗をかいてる太刀川さん。そんな隊服着てるからだよ。といつもなら突っ込むが今は城戸さんだ。誰がそんなめんどくさそうな任務行くか。迅と遊びたいなら勝手にどうぞ。そう主張したいが太刀川さんに抱えられた上に会議室の扉は音をたてて閉められてしまった。無駄にハイテクな設備にしやがってぇ……。
「むかつく……あのヤクザめ……」
「おまえって前からバカだと思ってたけど本当にバカだったんだな」
「語彙力、強化、ガンバレ!」
そう言って太刀川さんの腕を払いのけた。語彙力……? と頭を傾げる太刀川さんは置いてさっさとずらかろうとしたがそれはこの人が許してくれなかった。
目の前には小さいのに人並み以上の眼力を持ち、小さいのに腕っ節は太刀川さん並、小さいのにすばしっこい、のは当たり前か。とりあえず小型かつ高性能の代名詞、風間さんが私の前に立ちふさがった。
****
師匠って誰にでもあんな感じなのかと恐れ二割、呆れ八割で城戸司令とのやり取りを見ていた。よくあの強面の前で「金ロー見るから帰ります」なんて言えたな。旧ボーダー時代からの付き合いとはいえあんなにも軽々しく城戸さんに接する人間を見たことがない。そして城戸さんも徹底して師匠の言うことを無視していた。慣れてる感がハンパなかった。
そしてこの人もある意味師匠に慣れている人物のひとりだ。
「任務だ、行くぞ」
「金曜ロー見るんで無理です」
「録画してある」
「臨場感ってね、録画じゃ味わえないんですよ、分かる風間さん」
「本部の8Kテレビで見ればいいだろう。臨場感すごいぞ」
「8Kテレビだと……!?」
いつ設置したの! と風間さんに詰め寄る師匠。「先月からだそうだ」と淡々と返す風間さん。その足は外へ繋がるルートへ向かっている。
うまい。師匠もチョロいが風間さんの話の流し方が神がかっている。師匠は何事も無理やり押し付けられると手段を選ばす反発するように出来ている。話を聞きつつ意識を逸らす。完璧だ。思わず拍手すると横にいた三輪が口を開いた。
「おまえの師匠大丈夫か?」
「頭? 手遅れだな」
「おまえ本当に弟子か?」
一応、と返すと渋い顔された。三輪がこんな顔するの珍しいぞ。
そもそもあの人おれのこと弟子と思ってないし。と心でボヤく。勝手に師匠と呼んでるが互いに師弟関係、という意識は薄い。「味方に当てる勢いで撃っちゃえば? そしたら的増えるから余計な神経使わないよ」これが伸び悩んでいたおれに言った言葉だ。道徳心とかあの人にはきっとないんだと思う。そしてその言葉でスランプから脱出したおれもないのかもしれない。
今はおれの方が階級も上になってランク戦でも師匠に負けることはない。多分。あの人とランク戦したのどんくらい前か思い出せないくらい前だけど、普段の師匠を見ていたら負ける気がしない。だってこの前ランク戦ブースで太刀川さんと出前のラーメン食ってた。その後忍田さんからめちゃくちゃ怒られてた。次々に入隊してくるシューター候補が古株シューターの師匠を勝手にベテランだと勘違いして弟子入りしようとするのを九割の隊員が止めるくらいに、あの人はめちゃくちゃだ。……でも、なあ……
「……なーんかあの人凄いんだよな」
それはどこだと聞かれたら答えることは出来ないのだけど。
未だに8Kテレビについて語っている師匠のうるさい姿を見て任務前なのにすげえ力が抜けた。