本編
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「か、かげうら゛ぐず、マスク持ってる」
「あァ? ………は?」
ウイーンを開いた作戦室の扉。次に聞こえた声にソファーに座っていた影浦は少し眉をひそめて振り返る。そこにいたのは鼻をぐずぐず鳴らし、涙を流すナマエの姿があった。柄にもなくぽかんと口を開いてナマエを凝視していると「マスク、ないの」と鼻が詰まっているようなくぐもった声で再度質問された。ねえよ。つーかそのざまは何だと影浦が聞き返そうとした時だった。
「おっナマエさんだ。どうしたの………!?」
ナマエの背後から現れた北添はナマエの様子に目を見開きそして影浦にバッと視線を向けた。嫌な予感がする。
「か、カゲがナマエさん泣かした!!」
「泣かすかアホ」
つーか簡単に泣くかそんな女が、と続けようとしたがそれよりも前に別の声が影浦の言葉を遮った。
「ナマエ何で泣いてるんだ!? カゲになんかされたか!?」
「てめー寝てたんじゃねえのかよ」
こたつで寝ていた仁礼がぐしゃぐしゃになったままの頭で飛び出してナマエに駆け寄る。そしてキッと睨みを利かせた。
「おまえナマエに何したんだ!」
「するか!」
「カゲ、いくらナマエさんでもやっていいことと悪いことが……」
「だからしてねーよ!」
ギャーギャーといつも以上に騒ぐ三人に奥の訓練室から出てきた絵馬。疑問符を浮かべつつ様子を観察していると仁礼と北添の間にいるナマエの存在に気づいた。
「…………カゲさん何したの」
「てめーらいっぺん外に出ろ!!」
影浦の怒声が作戦室に響き渡った。
***
「鼻もげる……目がいたい、ぐずっ」
「ほらっ鼻チーンしろ」
「ありがどう光ちゃん……」
仁礼から受け取った箱ティッシュで鼻をかむナマエ。ぷぴーと間抜けな音を立てるナマエに「きたねえ」とプラスチック製の空のゴミ箱を投げつける影浦。それをキャッチした絵馬は静かにナマエの隣にゴミ箱を置いた。
「ユズルもありがとう……」
「別に……それよりも何でそんな悲惨なことになってるの?」
「罰ゲームでコショウを扱いまして……」
「自業自得だね」
ごもっともです……と力無く呟くナマエ。この部屋の最年長が最年少に頭が上がらない光景。心が痛むなぁ……と北添は涙を拭った。そしてどうせ出水と米屋あたりと馬鹿やってたんだろーが、と苛々しながら予想を立てるこの件の一番の被害者である影浦。ドンピシャである。
「それで何でうちの作戦室に来たんだ?」
「マスクあったら少しは楽かなって」
「花粉症と一緒にすんな自滅馬鹿」
「あ、これこの間のお礼。任務代わってくれてありがとう」
「無視すんな!」
グワッと目を見開く影浦に気にした様子なく「生菓子だから早く食べてね。焼き鳥持ってこようかと最初は思ったけど」と話を続けるナマエ。そして「あ? 持ってこいよ」と調子を戻して受け取った手土産の包装紙を破る影浦。その光景をみて仲良くなったなぁ……と北添はシミジミと呟いた。
当初、この二人は仲が悪かった。問題児と問題児がそう簡単に上手く行くはずもない。ナマエは意志疎通に苦労はするが一応相手と話そうする気はある。それに対して当時の影浦は誰に対しても常に攻撃表示。まあ上手くいくはずもなかった。北添もそこは本当に苦労したのだ。「B型同士は合わないよね」「それ以前の問題だったろーが」「まーおまえ盗賊だしねぇ」「うるせー遊び人!」と今聞いてもよく分からない初対面だったようだが。なんでド○クエの話になったの?
そこに変化があったのは、現在B級一位の犬飼が入隊したときからだ。犬飼はナマエをそれはもう歪んだ方向で気に入っている。それに対してナマエは「あいつ日本の裏側に引っ越してくれないかな」と心の底から嫌がっている。そして犬飼を一方的に嫌っている影浦。共通の敵が現れると人間は団結するというやつか、それからナマエと影浦は会話するようになり、食事も共にし、時には作戦室で一緒にダラダラし、今に至る。もともと互いに本能で生きている節があるためか相性は良かったらしい。最初の対面が最悪だっただけで。二人から嫌われている犬飼が若干不憫な気もしないでもないが、本人が気にしていないのだから恐らく大丈夫だろう。
「影浦、今日おまえん家行くわ。友達割引してね」
「あ? やなこった」
「アタシも行く! ユズルも行くぞ!」
「え……」
わいわい騒ぐその光景に友達増えて良かったねカゲ……! と再び涙ぐむ北添だった。
「あァ? ………は?」
ウイーンを開いた作戦室の扉。次に聞こえた声にソファーに座っていた影浦は少し眉をひそめて振り返る。そこにいたのは鼻をぐずぐず鳴らし、涙を流すナマエの姿があった。柄にもなくぽかんと口を開いてナマエを凝視していると「マスク、ないの」と鼻が詰まっているようなくぐもった声で再度質問された。ねえよ。つーかそのざまは何だと影浦が聞き返そうとした時だった。
「おっナマエさんだ。どうしたの………!?」
ナマエの背後から現れた北添はナマエの様子に目を見開きそして影浦にバッと視線を向けた。嫌な予感がする。
「か、カゲがナマエさん泣かした!!」
「泣かすかアホ」
つーか簡単に泣くかそんな女が、と続けようとしたがそれよりも前に別の声が影浦の言葉を遮った。
「ナマエ何で泣いてるんだ!? カゲになんかされたか!?」
「てめー寝てたんじゃねえのかよ」
こたつで寝ていた仁礼がぐしゃぐしゃになったままの頭で飛び出してナマエに駆け寄る。そしてキッと睨みを利かせた。
「おまえナマエに何したんだ!」
「するか!」
「カゲ、いくらナマエさんでもやっていいことと悪いことが……」
「だからしてねーよ!」
ギャーギャーといつも以上に騒ぐ三人に奥の訓練室から出てきた絵馬。疑問符を浮かべつつ様子を観察していると仁礼と北添の間にいるナマエの存在に気づいた。
「…………カゲさん何したの」
「てめーらいっぺん外に出ろ!!」
影浦の怒声が作戦室に響き渡った。
***
「鼻もげる……目がいたい、ぐずっ」
「ほらっ鼻チーンしろ」
「ありがどう光ちゃん……」
仁礼から受け取った箱ティッシュで鼻をかむナマエ。ぷぴーと間抜けな音を立てるナマエに「きたねえ」とプラスチック製の空のゴミ箱を投げつける影浦。それをキャッチした絵馬は静かにナマエの隣にゴミ箱を置いた。
「ユズルもありがとう……」
「別に……それよりも何でそんな悲惨なことになってるの?」
「罰ゲームでコショウを扱いまして……」
「自業自得だね」
ごもっともです……と力無く呟くナマエ。この部屋の最年長が最年少に頭が上がらない光景。心が痛むなぁ……と北添は涙を拭った。そしてどうせ出水と米屋あたりと馬鹿やってたんだろーが、と苛々しながら予想を立てるこの件の一番の被害者である影浦。ドンピシャである。
「それで何でうちの作戦室に来たんだ?」
「マスクあったら少しは楽かなって」
「花粉症と一緒にすんな自滅馬鹿」
「あ、これこの間のお礼。任務代わってくれてありがとう」
「無視すんな!」
グワッと目を見開く影浦に気にした様子なく「生菓子だから早く食べてね。焼き鳥持ってこようかと最初は思ったけど」と話を続けるナマエ。そして「あ? 持ってこいよ」と調子を戻して受け取った手土産の包装紙を破る影浦。その光景をみて仲良くなったなぁ……と北添はシミジミと呟いた。
当初、この二人は仲が悪かった。問題児と問題児がそう簡単に上手く行くはずもない。ナマエは意志疎通に苦労はするが一応相手と話そうする気はある。それに対して当時の影浦は誰に対しても常に攻撃表示。まあ上手くいくはずもなかった。北添もそこは本当に苦労したのだ。「B型同士は合わないよね」「それ以前の問題だったろーが」「まーおまえ盗賊だしねぇ」「うるせー遊び人!」と今聞いてもよく分からない初対面だったようだが。なんでド○クエの話になったの?
そこに変化があったのは、現在B級一位の犬飼が入隊したときからだ。犬飼はナマエをそれはもう歪んだ方向で気に入っている。それに対してナマエは「あいつ日本の裏側に引っ越してくれないかな」と心の底から嫌がっている。そして犬飼を一方的に嫌っている影浦。共通の敵が現れると人間は団結するというやつか、それからナマエと影浦は会話するようになり、食事も共にし、時には作戦室で一緒にダラダラし、今に至る。もともと互いに本能で生きている節があるためか相性は良かったらしい。最初の対面が最悪だっただけで。二人から嫌われている犬飼が若干不憫な気もしないでもないが、本人が気にしていないのだから恐らく大丈夫だろう。
「影浦、今日おまえん家行くわ。友達割引してね」
「あ? やなこった」
「アタシも行く! ユズルも行くぞ!」
「え……」
わいわい騒ぐその光景に友達増えて良かったねカゲ……! と再び涙ぐむ北添だった。