本編
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がっかり苗字ナンバーワンだと言われた。「何だよ犬飼ってないのかよ。はよ飼えよ」とめちゃくちゃな事を入隊時のオリエンテーション、つまり初対面で言われ、なんだこの人と思いつつ笑いが止まらなかった。ボーダーはお堅い組織だと思っていたが、そんなことはないらしい。これは予想以上に面白くなりそうだなと口をにんまりしつつ、ゆっくり口を開いた。
「じゃあ、先輩のお婿さんにしてくださいよ。そしたら犬いなくても可笑しくないでしょ?」
そのときのナマエさんの顔は今でも忘れられない。
***
「おらぁっ!」
後ろから抱きついてみると勇ましい声を上げて投げられた。大体どうなるか予想はしていたので空中でクルリと体制を立て直して綺麗に着地した。それを見たナマエさんは顔を盛大に歪ませながら舌打ちをして、掴んでいたおれの手を投げ払った。
「ひどいなぁ」
「おまえのせいで一本背負いが得意になったわ」
「未来のお婿さんに向かって遠慮ないよね、先輩」
「マ ジ で や め ろ」
本気で嫌そうな顔をするものだから笑いが押さえきれない。この人は素直過ぎる。
ナマエさんとこのやり取りをするのはもはや恒例行事となっている。おれがボーダーに入隊したときからずっとだ。我ながらよく飽きないなとは思うが、ナマエさんの反応を見ると飽きる未来が一向に見えないのだ。辻ちゃんには「女性に対してたちの悪い冗談は……」と顔を赤らめながら注意されるが、辻ちゃんの注意込みでこのやり取りが楽しくて仕方ない。
『先輩ってポジションどこなんですか?』
『………ガンナー』
『じゃあガンナー目指してみようかな』
ナマエさんのポジションがシューターだと知ったのはその三日後だ。やられたと口では言いつつ、やはり笑いが止まらなかった。同じく指導に当たっていた嵐山さんからわざわざ銃型トリガー出してもらっておれをごまかしたくらいだ。どれだけ最初から嫌われていたことか。
そしてそんな理由で決めたのかと二宮さんには睨まれた。多分あの睨みにはナマエさんへの色んな感情が渦巻いている。何で仲が悪いのかは未だに知らない。質問しても教えてくれないからだ。ナマエさんも二宮さんも。質問する度にお互いにアステロイド構えるもんだからいつも命懸けだ。変なとこは似てるのがまた面白い。
『は? おまえ二宮さんの隊に入ったの? 二度と近づくな』
二宮隊に入ったと言ったときの顔と言ったら今までで五本の指に入るほどの傑作だ。あれから余計に避けられるようになって、逆に構いたくなって。当時は本部勤務だった男のクールな表情が崩れるのも面白くて。ナマエさんのいる所はネタが尽きない。退屈しないのだ。
「あ、そう言えば冬島さんの薬で小さくなったって聞いたんですけど」
「残念だったな、もう元通りだから」
どやあと顔を変えるナマエさん。ここまで表情がコロコロ変わる人は他に知らない。「残念。今度作ってもらおうかな」と呟いてみると一気に距離を取られた。楽しい。そして自分から離れたくせに「あっそう言えばこれ」と手持ちの紙袋から何か渡してきた。三歩歩いたら忘れる鳥の頭かな。
「任務、代わってくれて………っ………!!!」
何かを抑えるように、身体を震わせながら「………ありがとうございました」と囁くように一息で礼を言われた。例の小さくなったという事件のせいでナマエさんの入っていたシフトを主にB級で回したのだ。多分そのときのお礼だろう。「スカウトは草壁隊じゃなくて二宮隊がいけばいいのに」と毛嫌いしているおれたちの隊にもきちんと礼をする律儀な所も結構気に入っている。平気な辻ちゃんやひゃみちゃんに渡せばいいのに。そう思うと顔がにやついて仕方ない。まあ辻ちゃんが平気じゃないというのもあるが。ナマエさん相手にもろくに話せないんだからあの子のアレは重症だ。そしてこのシフト交代のときの二宮さんもそれはもう面白かった。
『あ、任務増えたの?』
『はい。山原先輩が任務に出られる状態ではないそうです。その分がうちに回ってきました』
『え、あの人何やったの。そもそもよく二宮さんが了承しましたね』
『……………チッ』
普段はナマエさんの話を振るだけで絶対零度の睨みを利かしてくるのだが、今回は舌打ちのみ。しかもおれたちの視線が気になったのか無言で作戦室から出て行った。こっそりナマエさんの交代されたシフト表を見ると若干だがうちに多く回されていた。これどうやって決めたんだと思っていたらB級の隊長間で相談して決めたらしい。めちゃくちゃ笑った。きっとB級一位だからとかではない。
「そういえば小さくなった時ってどこにいたんですか。本部で探したのに一度も会わなかったから」
「玉狛で生活してたけど何回かはこっち来てたよ。おまえに会ったらろくな事起きないから会わないように頑張っただけ」
「そんなにおれのこと意識してたんですか。愛されてるね」
「三回くらい死ね」
淡々とそう呟くナマエさん。その横顔を見つつ玉狛で生活していたというフレーズである男を思い浮かべる。惚れた女と屋根のひとつ下で生活。でも子どもになってしまった惚れた女。ああ、大変だっただろうな色々と。真面目な性格だからなおさら。
おれがこうやってナマエさんにちょっかいをかけて一番反応を示すのがあの子だ。次点で迅さん。「犬飼が義弟はちょっとなぁ」と複雑な顔をされた。あの人はどこまで本気か分からないから「迅さんが義兄でおれは嬉しいですよ」と適当に返した。ナマエさんは「一生そんな関係ならないから心配すんな」とかなりどうでも良さそうだった。まあそんなやり取りも楽しみつつ、もう一方では師匠ゆずりの無表情を殺意込みでおれに向けてくる烏丸君。そしてこう言った。本気じゃないなら止めてください、と。
ナマエさんへの態度は好奇心からやっているものだ。そこに一切恋愛感情はない。おれにも好みがある。ナマエさんはびっくりするくらいストライクゾーンからずれている。それに女の子に本気でアプローチするならあんなアホ丸出しの言葉は使わない。そのことを大体の人間は分かっているからおれとナマエさんのやり取りを見ても「ああ、またやってるよ」で済まされている。ナマエさん自身もおれが本気でやってるなんて思っていない。
たまぁに、ナマエさんが家族になったら面白そうだなとは思うけど
主にこれは迅さんとナマエさんのやり取りを見ての感想だ。彼女には絶対したくないけど家族ならいいかもと思うくらいはナマエさんのことは気に入っている。一生退屈しなさそうだし。そんな気持ちを見通しているのか烏丸君は「本気でやってるわけないでしょ」というおれの言葉を一切信用しない。
「……烏丸君は元気?」
少しは進展したのかな、無理だろうなという最初から分かり切っている質問をナマエさんに投げかける。だが、おれの予想とは裏腹にナマエさんは持っていた紙袋をドサドサという音を立てて下に落とした。
「……元気にどら焼き食べてたよ」
ナマエさんの声は少し上擦っていた。………は? まじ?
「は!? 付き合ってんの!?」
「え、何でどら焼きからそうなるの。え、頭大丈夫?」
あれ、なんか反応が可笑しい。
おれの付き合ってるのという言葉にどん引きしたような顔で落とした紙袋を拾うナマエさん。こいつついに頭やったか、と目が語っている。……あれ、意味が分からない。だったらさっきの反応なに。
「……烏丸君のことどう思ってるの?」
この人に遠回りの戦法は通じないので直球でそう聞くとナマエさんは一瞬眉をひそめて、ぼそりと口を開いた。
「……、いいやつだなぁと思う」
その言葉の響きは前とは違っていて、ただのひとりの後輩へ向けるものじゃなかった。
「………ぶはっ!」
「何でそこで噴き出す」
「い、いやっ……あんな状態だったのに、勝ち目とか全くないと思ってたのにっ……すげーな烏丸君……!」
「何の話か分からないけど烏丸の事馬鹿にしてんだろ」
「してないしてない、すごい子だと思ってる……っ、」
ここで笑ってしまう辺りでおれのナマエさんへの感情はそれくらいの物だと言うことで。むしろ烏丸君に対してもっと頑張れとか思っている。女として好きだったらこうは行かないだろう。多分おれはナマエさんを人として好きなんだろうな、と頭の端で考えつつこれからの進展に期待する。
付き合ってんの? と聞いたときの反応が照れではなくてどん引きだったことから見るに、たくさんいる後輩の一人から男の、異性の後輩くらいの認識に変わったのだろう。それでも驚きの進展だけど。だってあの人男のなかにいてもいつもと全く変わらないし。普通に雑魚寝もするし。あー面白い。
我ながらニヤニヤしながらナマエさんの手土産片手に作戦室まで戻る。誰かに話したい気分だけど烏丸君の淡い恋心を察している人間はボーダーにはほとんどいない。何でだよあんなに分かりやすいでしょ、とおれは思うのだが烏丸君とナマエさんという何もかも違うふたりからそういった発想まで行かないのだろう。まだまだ前途多難な烏丸君の恋だが頑張ってほしい。
そんなことを思いつつ、ナマエさんの手土産って何なんだと包装紙に包まれた長方形の箱を眺める。多分菓子だろう。あの人本当に意外に律儀。言葉が矛盾してるような気がしたがまぁいいや。
「………あ、」
そして端っこに【二宮隊】と書かれたポストイットを発見した。もしかして隊毎に中身違うのかと思いつつ包装紙を破った。そしてその中身に腹を押さえて笑った。
「あの人たち本当に仲悪いのかよ……っ」
焼肉せんべえと緩い字で書かれたパッケージ。二宮さんの好物を思い出したら笑わないでいられるわけがなかった。
「じゃあ、先輩のお婿さんにしてくださいよ。そしたら犬いなくても可笑しくないでしょ?」
そのときのナマエさんの顔は今でも忘れられない。
***
「おらぁっ!」
後ろから抱きついてみると勇ましい声を上げて投げられた。大体どうなるか予想はしていたので空中でクルリと体制を立て直して綺麗に着地した。それを見たナマエさんは顔を盛大に歪ませながら舌打ちをして、掴んでいたおれの手を投げ払った。
「ひどいなぁ」
「おまえのせいで一本背負いが得意になったわ」
「未来のお婿さんに向かって遠慮ないよね、先輩」
「マ ジ で や め ろ」
本気で嫌そうな顔をするものだから笑いが押さえきれない。この人は素直過ぎる。
ナマエさんとこのやり取りをするのはもはや恒例行事となっている。おれがボーダーに入隊したときからずっとだ。我ながらよく飽きないなとは思うが、ナマエさんの反応を見ると飽きる未来が一向に見えないのだ。辻ちゃんには「女性に対してたちの悪い冗談は……」と顔を赤らめながら注意されるが、辻ちゃんの注意込みでこのやり取りが楽しくて仕方ない。
『先輩ってポジションどこなんですか?』
『………ガンナー』
『じゃあガンナー目指してみようかな』
ナマエさんのポジションがシューターだと知ったのはその三日後だ。やられたと口では言いつつ、やはり笑いが止まらなかった。同じく指導に当たっていた嵐山さんからわざわざ銃型トリガー出してもらっておれをごまかしたくらいだ。どれだけ最初から嫌われていたことか。
そしてそんな理由で決めたのかと二宮さんには睨まれた。多分あの睨みにはナマエさんへの色んな感情が渦巻いている。何で仲が悪いのかは未だに知らない。質問しても教えてくれないからだ。ナマエさんも二宮さんも。質問する度にお互いにアステロイド構えるもんだからいつも命懸けだ。変なとこは似てるのがまた面白い。
『は? おまえ二宮さんの隊に入ったの? 二度と近づくな』
二宮隊に入ったと言ったときの顔と言ったら今までで五本の指に入るほどの傑作だ。あれから余計に避けられるようになって、逆に構いたくなって。当時は本部勤務だった男のクールな表情が崩れるのも面白くて。ナマエさんのいる所はネタが尽きない。退屈しないのだ。
「あ、そう言えば冬島さんの薬で小さくなったって聞いたんですけど」
「残念だったな、もう元通りだから」
どやあと顔を変えるナマエさん。ここまで表情がコロコロ変わる人は他に知らない。「残念。今度作ってもらおうかな」と呟いてみると一気に距離を取られた。楽しい。そして自分から離れたくせに「あっそう言えばこれ」と手持ちの紙袋から何か渡してきた。三歩歩いたら忘れる鳥の頭かな。
「任務、代わってくれて………っ………!!!」
何かを抑えるように、身体を震わせながら「………ありがとうございました」と囁くように一息で礼を言われた。例の小さくなったという事件のせいでナマエさんの入っていたシフトを主にB級で回したのだ。多分そのときのお礼だろう。「スカウトは草壁隊じゃなくて二宮隊がいけばいいのに」と毛嫌いしているおれたちの隊にもきちんと礼をする律儀な所も結構気に入っている。平気な辻ちゃんやひゃみちゃんに渡せばいいのに。そう思うと顔がにやついて仕方ない。まあ辻ちゃんが平気じゃないというのもあるが。ナマエさん相手にもろくに話せないんだからあの子のアレは重症だ。そしてこのシフト交代のときの二宮さんもそれはもう面白かった。
『あ、任務増えたの?』
『はい。山原先輩が任務に出られる状態ではないそうです。その分がうちに回ってきました』
『え、あの人何やったの。そもそもよく二宮さんが了承しましたね』
『……………チッ』
普段はナマエさんの話を振るだけで絶対零度の睨みを利かしてくるのだが、今回は舌打ちのみ。しかもおれたちの視線が気になったのか無言で作戦室から出て行った。こっそりナマエさんの交代されたシフト表を見ると若干だがうちに多く回されていた。これどうやって決めたんだと思っていたらB級の隊長間で相談して決めたらしい。めちゃくちゃ笑った。きっとB級一位だからとかではない。
「そういえば小さくなった時ってどこにいたんですか。本部で探したのに一度も会わなかったから」
「玉狛で生活してたけど何回かはこっち来てたよ。おまえに会ったらろくな事起きないから会わないように頑張っただけ」
「そんなにおれのこと意識してたんですか。愛されてるね」
「三回くらい死ね」
淡々とそう呟くナマエさん。その横顔を見つつ玉狛で生活していたというフレーズである男を思い浮かべる。惚れた女と屋根のひとつ下で生活。でも子どもになってしまった惚れた女。ああ、大変だっただろうな色々と。真面目な性格だからなおさら。
おれがこうやってナマエさんにちょっかいをかけて一番反応を示すのがあの子だ。次点で迅さん。「犬飼が義弟はちょっとなぁ」と複雑な顔をされた。あの人はどこまで本気か分からないから「迅さんが義兄でおれは嬉しいですよ」と適当に返した。ナマエさんは「一生そんな関係ならないから心配すんな」とかなりどうでも良さそうだった。まあそんなやり取りも楽しみつつ、もう一方では師匠ゆずりの無表情を殺意込みでおれに向けてくる烏丸君。そしてこう言った。本気じゃないなら止めてください、と。
ナマエさんへの態度は好奇心からやっているものだ。そこに一切恋愛感情はない。おれにも好みがある。ナマエさんはびっくりするくらいストライクゾーンからずれている。それに女の子に本気でアプローチするならあんなアホ丸出しの言葉は使わない。そのことを大体の人間は分かっているからおれとナマエさんのやり取りを見ても「ああ、またやってるよ」で済まされている。ナマエさん自身もおれが本気でやってるなんて思っていない。
たまぁに、ナマエさんが家族になったら面白そうだなとは思うけど
主にこれは迅さんとナマエさんのやり取りを見ての感想だ。彼女には絶対したくないけど家族ならいいかもと思うくらいはナマエさんのことは気に入っている。一生退屈しなさそうだし。そんな気持ちを見通しているのか烏丸君は「本気でやってるわけないでしょ」というおれの言葉を一切信用しない。
「……烏丸君は元気?」
少しは進展したのかな、無理だろうなという最初から分かり切っている質問をナマエさんに投げかける。だが、おれの予想とは裏腹にナマエさんは持っていた紙袋をドサドサという音を立てて下に落とした。
「……元気にどら焼き食べてたよ」
ナマエさんの声は少し上擦っていた。………は? まじ?
「は!? 付き合ってんの!?」
「え、何でどら焼きからそうなるの。え、頭大丈夫?」
あれ、なんか反応が可笑しい。
おれの付き合ってるのという言葉にどん引きしたような顔で落とした紙袋を拾うナマエさん。こいつついに頭やったか、と目が語っている。……あれ、意味が分からない。だったらさっきの反応なに。
「……烏丸君のことどう思ってるの?」
この人に遠回りの戦法は通じないので直球でそう聞くとナマエさんは一瞬眉をひそめて、ぼそりと口を開いた。
「……、いいやつだなぁと思う」
その言葉の響きは前とは違っていて、ただのひとりの後輩へ向けるものじゃなかった。
「………ぶはっ!」
「何でそこで噴き出す」
「い、いやっ……あんな状態だったのに、勝ち目とか全くないと思ってたのにっ……すげーな烏丸君……!」
「何の話か分からないけど烏丸の事馬鹿にしてんだろ」
「してないしてない、すごい子だと思ってる……っ、」
ここで笑ってしまう辺りでおれのナマエさんへの感情はそれくらいの物だと言うことで。むしろ烏丸君に対してもっと頑張れとか思っている。女として好きだったらこうは行かないだろう。多分おれはナマエさんを人として好きなんだろうな、と頭の端で考えつつこれからの進展に期待する。
付き合ってんの? と聞いたときの反応が照れではなくてどん引きだったことから見るに、たくさんいる後輩の一人から男の、異性の後輩くらいの認識に変わったのだろう。それでも驚きの進展だけど。だってあの人男のなかにいてもいつもと全く変わらないし。普通に雑魚寝もするし。あー面白い。
我ながらニヤニヤしながらナマエさんの手土産片手に作戦室まで戻る。誰かに話したい気分だけど烏丸君の淡い恋心を察している人間はボーダーにはほとんどいない。何でだよあんなに分かりやすいでしょ、とおれは思うのだが烏丸君とナマエさんという何もかも違うふたりからそういった発想まで行かないのだろう。まだまだ前途多難な烏丸君の恋だが頑張ってほしい。
そんなことを思いつつ、ナマエさんの手土産って何なんだと包装紙に包まれた長方形の箱を眺める。多分菓子だろう。あの人本当に意外に律儀。言葉が矛盾してるような気がしたがまぁいいや。
「………あ、」
そして端っこに【二宮隊】と書かれたポストイットを発見した。もしかして隊毎に中身違うのかと思いつつ包装紙を破った。そしてその中身に腹を押さえて笑った。
「あの人たち本当に仲悪いのかよ……っ」
焼肉せんべえと緩い字で書かれたパッケージ。二宮さんの好物を思い出したら笑わないでいられるわけがなかった。