本編
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『ベビーフェイス風間』
そう液晶に表示された携帯。誰だそんな名前で登録した命知らずなやつは。
休憩室に無造作に置かれていた携帯。誰かの忘れ物か? と手に取り、どうするか悩んでいると途端に携帯が震えだした。調度良いからこの電話相手に押し付けようと着信に出ようとしたらこれだ。ベビーフェイス風間。芸名か。
取るべきか無視するべきか。悩みすぎて頭が熱くなってきた。つーかこの着信なげえな。風間さん、この携帯の持ち主に急用でもあんのか。そう考えると無視という選択肢は消えた。必死に色んなものを堪えて電話をとる。
《あ、繋がった。もしもーし、その携帯の持ち主です》
あ ん た か
脳天気な声に心から脱力する。電話口からは「あれ? 繋がったよね? 風間さんの携帯ガラケーだから使いにくい」と喧嘩を売ってるナマエさん。風間さんに携帯借りてんのかよとか借りてんのに文句言うなよとか風間さんガラケーなのかとか突っ込みが追いつかなくなり「繋がってます荒船です」と返した。
《荒船? あ、なんだ基地の中で落としたのか》
「C級ブースに近い休憩室にありましたよ」
《あーなるほど。ぼちぼち行くからそこ置いといてありがとー》
「いえ。分かりました」
そう返し通話終了を押そうとするが「基地にありました」「賭けは俺の勝ちだな」「くそぅ。カツカレー大盛りで!」「お子様カレーはおまえが食べろ」「お子様カレー食べる風間さんを待ち受けにしようと思ってたのに……」と非常に気になる会話が届き切るに切れなくなった。あの人風間さんで遊びすぎだろ。そしてどんな賭けしてるんだ二人して。
風間さんのイメージが若干変わったのを感じながら続けられる会話に聞き入る。
《てか風間さんって好物が牛乳のわりに小さいよね》
それ言うのか。言ってはいけないことだろう。
《牛乳飲めば身長が伸びるわけではないからな》
強がりなのか本気で言ってるのか声色からは判断できない。ハラハラする俺に対しナマエさんは「へぇー」と興味なさげに返した。あんたが聞いたんだろ!
《それよりも荒船にきちんと礼を言ったらどうだ》
《礼……、お土産とか? 》
《どこのだ。軽い品でいいだろう》
風間さんはやっぱり真面目な人だ。それに比べてナマエさんは気のない返答だ。別に礼なんかいらないがあまりにどうでも良さそうな態度をとられるのはイラッとする。
それでも年上に言われたためか「何がいいかなぁ」と考える素振りを見せるナマエさん。期待はしない。
《うーん、じゃあ斧とか? 》
なんでだ。なにが「じゃあ」なんだ。期待はしないと言ったが斧なんていらねえよ。
《何故斧なんだ。せめて好んでいる物を贈ってやれ》
《だって好きなもの知らないんだもん。イメージだよイメージ》
あの人が俺にどんなイメージを持っているのか問い詰めたい。
その後、風間さんと議論を交わしたナマエさんは結論としてサバイバルナイフを俺にくれるらしい。「実用面を考えたらこれだよね」だそうだ。風間さんも途中から反論することをやめ、「手頃だしいいんじゃないか」とナマエさんの意見を流し出した。もっと反対してほしかった。そもそも使う機会がない。あの人の実用的ってなにを想定したものなのか。渡されたらどんなことがあっても返品しようと心に決めた。
****
「…………これは、」
あの人の携帯をまたしても見つけてしまった。落としすぎだろと顔を歪める。もはやトラップではないかと考えてしまう。いや、もしかしたら同じ携帯なだけかもしれない。
そう望みをかけつつ電話帳からナマエさんの番号を探し、電話をかける。軽快なメロディーを奏で目の前の携帯は震えだした。……また届けるのか。肩を落としながら電話を切ろうとする。が、ナマエさんの携帯の液晶には明らかに俺の名前じゃないものが表示されていた。
『ゴルゴさーてぃーん』
目つき悪くて悪かったな。
そう液晶に表示された携帯。誰だそんな名前で登録した命知らずなやつは。
休憩室に無造作に置かれていた携帯。誰かの忘れ物か? と手に取り、どうするか悩んでいると途端に携帯が震えだした。調度良いからこの電話相手に押し付けようと着信に出ようとしたらこれだ。ベビーフェイス風間。芸名か。
取るべきか無視するべきか。悩みすぎて頭が熱くなってきた。つーかこの着信なげえな。風間さん、この携帯の持ち主に急用でもあんのか。そう考えると無視という選択肢は消えた。必死に色んなものを堪えて電話をとる。
《あ、繋がった。もしもーし、その携帯の持ち主です》
あ ん た か
脳天気な声に心から脱力する。電話口からは「あれ? 繋がったよね? 風間さんの携帯ガラケーだから使いにくい」と喧嘩を売ってるナマエさん。風間さんに携帯借りてんのかよとか借りてんのに文句言うなよとか風間さんガラケーなのかとか突っ込みが追いつかなくなり「繋がってます荒船です」と返した。
《荒船? あ、なんだ基地の中で落としたのか》
「C級ブースに近い休憩室にありましたよ」
《あーなるほど。ぼちぼち行くからそこ置いといてありがとー》
「いえ。分かりました」
そう返し通話終了を押そうとするが「基地にありました」「賭けは俺の勝ちだな」「くそぅ。カツカレー大盛りで!」「お子様カレーはおまえが食べろ」「お子様カレー食べる風間さんを待ち受けにしようと思ってたのに……」と非常に気になる会話が届き切るに切れなくなった。あの人風間さんで遊びすぎだろ。そしてどんな賭けしてるんだ二人して。
風間さんのイメージが若干変わったのを感じながら続けられる会話に聞き入る。
《てか風間さんって好物が牛乳のわりに小さいよね》
それ言うのか。言ってはいけないことだろう。
《牛乳飲めば身長が伸びるわけではないからな》
強がりなのか本気で言ってるのか声色からは判断できない。ハラハラする俺に対しナマエさんは「へぇー」と興味なさげに返した。あんたが聞いたんだろ!
《それよりも荒船にきちんと礼を言ったらどうだ》
《礼……、お土産とか? 》
《どこのだ。軽い品でいいだろう》
風間さんはやっぱり真面目な人だ。それに比べてナマエさんは気のない返答だ。別に礼なんかいらないがあまりにどうでも良さそうな態度をとられるのはイラッとする。
それでも年上に言われたためか「何がいいかなぁ」と考える素振りを見せるナマエさん。期待はしない。
《うーん、じゃあ斧とか? 》
なんでだ。なにが「じゃあ」なんだ。期待はしないと言ったが斧なんていらねえよ。
《何故斧なんだ。せめて好んでいる物を贈ってやれ》
《だって好きなもの知らないんだもん。イメージだよイメージ》
あの人が俺にどんなイメージを持っているのか問い詰めたい。
その後、風間さんと議論を交わしたナマエさんは結論としてサバイバルナイフを俺にくれるらしい。「実用面を考えたらこれだよね」だそうだ。風間さんも途中から反論することをやめ、「手頃だしいいんじゃないか」とナマエさんの意見を流し出した。もっと反対してほしかった。そもそも使う機会がない。あの人の実用的ってなにを想定したものなのか。渡されたらどんなことがあっても返品しようと心に決めた。
****
「…………これは、」
あの人の携帯をまたしても見つけてしまった。落としすぎだろと顔を歪める。もはやトラップではないかと考えてしまう。いや、もしかしたら同じ携帯なだけかもしれない。
そう望みをかけつつ電話帳からナマエさんの番号を探し、電話をかける。軽快なメロディーを奏で目の前の携帯は震えだした。……また届けるのか。肩を落としながら電話を切ろうとする。が、ナマエさんの携帯の液晶には明らかに俺の名前じゃないものが表示されていた。
『ゴルゴさーてぃーん』
目つき悪くて悪かったな。