本編
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※この話はフィクションです
「なにその毒物」
本部のラボで赤吉さんと黒山くんと戯れていると、毒々しい色の液体を持って冬島さんが現れた。徹夜明けなのか隈が目立つ。
「あー……最近疲れがとれなくてな。疲労回復薬だ」
欠伸をしながらそう言った冬島さん。煙出てるけど大丈夫なの。回復どころか一気にあの世に行けそうな色してるけど大丈夫なの。テーブルに毒物を置いたのでアンモニアを検査するときのやり方で臭いを嗅ぐと不思議なことにフルティーな香りがした。見た目と中味があってない。
「何入れたらこんな色になるの」
「色々だ」
誤魔化された気がする。ジト目で見ていると「若返り効果もあるぞ。肌がキレイになる」と効果説明し出した冬島さん。おっさんの肌がキレイになって誰が得するんだ。
「おまえも飲むか? 十代から二十代の肌の変化は著しいぞ」
「冬島さんの職業が分からなくなってきた」
「技術者だ」
「うさん臭い。……まーいいか喉渇いてたし」
液体の入っている三角フラスコを受け取り、流し台にあったコップを借りて注ぐ。大分ドロドロしていて軽く後悔した。なんだこの罰ゲーム。思わず赤吉さんと黒山くんをみるとバッと視線を反らされた。トリオン兵でも怖じ気づく飲み物ってどういうことだ。極力見ないようにして恐る恐る口に含む。酸味が強い乳製品みたいな味が口の中に広がり、見た目とは裏腹においしかった。腑に落ちない顔をしていた私に冬島さんはどや顔した。なんか腹立つ。
「うまかっただろ」
「ムカつくことに。味に拘るなら見た目も変えれば……いい、」
「ナマエ? どうした」
冬島さんの声が遠く聞こえる。視界もどんどん暗くなり、あ、これヤバいかも、と頭の中で呟いた瞬間、視界が真っ暗になった。
「いやーすまんな。配合間違えたらしい」
はっはっはと笑う冬島さんに頭を抱える迅。「こんな未来見えなかったのに……!」と嘆いている。未来を作り替えたらしい冬島さんはご満悦な様子で「どんな気分だ?」と私に聞いていた。
「最悪」
短くそう返した声はいつもより高く聞こえる。研究室の椅子に座っているのだが見事に足がつかない。極めつけに先ほどまで着ていた服はダボダボになり、Tシャツがワンピース状態になってしまった。
「いつから冬島さんは黒の組織の一員になったの」
鏡に写る幼くなった自分の顔を見ながらそう質問した。やはりあの薬は毒薬だったらしい。若返りなんてレベルじゃないぞこれ。「面白い誤算だ」と楽しそうにパソコンに何か打ち込む冬島さん。先ほどからこんな様子なので最初は焦っていたがどんどん落ちついてきた。私に呼び出された迅は「ちょっと当事者たちもっと焦ろうよ!」と再び嘆いている。
「スクーターの保険料払ってないや。迅代わりに払っておいて」
「まさかそのためにおれを呼び出したんじゃないよね」
「推定四歳児が万札持ってコンビニ行くのはちょっと」
保険もうすぐ切れるからよろしくと言うと「保険のこと気にしてる場合じゃないでしょ!!」とキレられた。スクーターは諏訪さんから中古で買った黒いやつ。かっこいい。
「保険はともかく元の大きさに戻るまで一人暮らしさせるわけにはいかないからな。玉狛で引き取ってくれないか?」
「犬扱いやめて」
全ての元凶が迅にそう聞くと「絶対めんどくさいことになる……見なくても分かる……」と哀愁を漂わせだした。ちなみにこの件に関して忍田さんと城戸さんに報告に行ったら「昔はこんなに小さかったんだな……」と懐かしがられ、城戸さんからはややこしいことを持ち込みやがったな、と怒りの眼力を向けられた。これ私悪くないよね。
「解毒薬作るまでよろしくな」
その言葉と共に研究室を追い出された私と迅と小さくなった赤吉さんと黒山くん。二人は「俺らに任せろ!」と言わんばかりに胸を叩いて両肩に乗ってきた。もう大好き。
「着替えないから買わないと。昔のとっておけばよかった」
「なんでそんなにポジティブなの」
「終わったことは仕方ない。それよりも痛風で入院したって冬島さんがバイト先に勝手に連絡入れたことの方が問題なんだけど」
もっとマシな言い訳なかったのか。この歳で痛風って。元に戻ったとき何て言えばいいの。
「次から次へと……」
疲れたようにため息をついた迅は私の頭に手を置いてゆったりとした動作で撫でてきた。視線を上げると気の抜けた表情で笑う迅がいた。
「なにその毒物」
本部のラボで赤吉さんと黒山くんと戯れていると、毒々しい色の液体を持って冬島さんが現れた。徹夜明けなのか隈が目立つ。
「あー……最近疲れがとれなくてな。疲労回復薬だ」
欠伸をしながらそう言った冬島さん。煙出てるけど大丈夫なの。回復どころか一気にあの世に行けそうな色してるけど大丈夫なの。テーブルに毒物を置いたのでアンモニアを検査するときのやり方で臭いを嗅ぐと不思議なことにフルティーな香りがした。見た目と中味があってない。
「何入れたらこんな色になるの」
「色々だ」
誤魔化された気がする。ジト目で見ていると「若返り効果もあるぞ。肌がキレイになる」と効果説明し出した冬島さん。おっさんの肌がキレイになって誰が得するんだ。
「おまえも飲むか? 十代から二十代の肌の変化は著しいぞ」
「冬島さんの職業が分からなくなってきた」
「技術者だ」
「うさん臭い。……まーいいか喉渇いてたし」
液体の入っている三角フラスコを受け取り、流し台にあったコップを借りて注ぐ。大分ドロドロしていて軽く後悔した。なんだこの罰ゲーム。思わず赤吉さんと黒山くんをみるとバッと視線を反らされた。トリオン兵でも怖じ気づく飲み物ってどういうことだ。極力見ないようにして恐る恐る口に含む。酸味が強い乳製品みたいな味が口の中に広がり、見た目とは裏腹においしかった。腑に落ちない顔をしていた私に冬島さんはどや顔した。なんか腹立つ。
「うまかっただろ」
「ムカつくことに。味に拘るなら見た目も変えれば……いい、」
「ナマエ? どうした」
冬島さんの声が遠く聞こえる。視界もどんどん暗くなり、あ、これヤバいかも、と頭の中で呟いた瞬間、視界が真っ暗になった。
「いやーすまんな。配合間違えたらしい」
はっはっはと笑う冬島さんに頭を抱える迅。「こんな未来見えなかったのに……!」と嘆いている。未来を作り替えたらしい冬島さんはご満悦な様子で「どんな気分だ?」と私に聞いていた。
「最悪」
短くそう返した声はいつもより高く聞こえる。研究室の椅子に座っているのだが見事に足がつかない。極めつけに先ほどまで着ていた服はダボダボになり、Tシャツがワンピース状態になってしまった。
「いつから冬島さんは黒の組織の一員になったの」
鏡に写る幼くなった自分の顔を見ながらそう質問した。やはりあの薬は毒薬だったらしい。若返りなんてレベルじゃないぞこれ。「面白い誤算だ」と楽しそうにパソコンに何か打ち込む冬島さん。先ほどからこんな様子なので最初は焦っていたがどんどん落ちついてきた。私に呼び出された迅は「ちょっと当事者たちもっと焦ろうよ!」と再び嘆いている。
「スクーターの保険料払ってないや。迅代わりに払っておいて」
「まさかそのためにおれを呼び出したんじゃないよね」
「推定四歳児が万札持ってコンビニ行くのはちょっと」
保険もうすぐ切れるからよろしくと言うと「保険のこと気にしてる場合じゃないでしょ!!」とキレられた。スクーターは諏訪さんから中古で買った黒いやつ。かっこいい。
「保険はともかく元の大きさに戻るまで一人暮らしさせるわけにはいかないからな。玉狛で引き取ってくれないか?」
「犬扱いやめて」
全ての元凶が迅にそう聞くと「絶対めんどくさいことになる……見なくても分かる……」と哀愁を漂わせだした。ちなみにこの件に関して忍田さんと城戸さんに報告に行ったら「昔はこんなに小さかったんだな……」と懐かしがられ、城戸さんからはややこしいことを持ち込みやがったな、と怒りの眼力を向けられた。これ私悪くないよね。
「解毒薬作るまでよろしくな」
その言葉と共に研究室を追い出された私と迅と小さくなった赤吉さんと黒山くん。二人は「俺らに任せろ!」と言わんばかりに胸を叩いて両肩に乗ってきた。もう大好き。
「着替えないから買わないと。昔のとっておけばよかった」
「なんでそんなにポジティブなの」
「終わったことは仕方ない。それよりも痛風で入院したって冬島さんがバイト先に勝手に連絡入れたことの方が問題なんだけど」
もっとマシな言い訳なかったのか。この歳で痛風って。元に戻ったとき何て言えばいいの。
「次から次へと……」
疲れたようにため息をついた迅は私の頭に手を置いてゆったりとした動作で撫でてきた。視線を上げると気の抜けた表情で笑う迅がいた。