本編
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防衛任務を終わらせ、食堂までの道を歩く。夜の防衛任務はご飯の時間が遅くなるから嫌いだ。お目当てのメニューが売り切れたりするからだ。24時間営業なんだから売り切れなんてもってのほかだと上に訴えたことがあったけど「コンビニと一緒にするな」とバッサリ切られた。いや確かに食堂のおばちゃんの手間をかけたくないけどさ、お弁当とか置いててほしいです。……それこそコンビニ行けってなるな。世知辛い。
どうすればいいか悩んでいると前方に見覚えのある子たちの姿。本部なのになんで? と首をひねり、そして頭を抱えた。
「くそ!! 防衛任務なんてしてる場合じゃなかった……!」
「身も蓋もないこと言ってるよあの人」
「自分の本業忘れてるな」
「ど、どうしましたナマエさん」
緑川、米屋、古寺が声をかけてきたがそれどころじゃない。私の視線の先には遊真、修くん、千佳ちゃんそして栞ちゃんの姿が。前者三人ならまだ納得出来るが栞ちゃんまでいるとなると理由は一つしかない。……今日玉狛第二のランク戦だった。
「ごめんね! 諏訪さん叩きのめすところ見逃した!!」
「諏訪さん単体ですか……」
「まー実際遊真先輩にしてやられたけどね」
「よくやった! 遊真!」
「ありがたき幸せ」
遊真の白い頭をわしゃわしゃ撫でる。なんていい仕事をする子なんだ。後で玉狛に行ってその勇姿を見なければ。
そう思いつつ栞ちゃんの横にいる千佳ちゃんを手招きして呼ぶ。とことこ歩いてきた千佳ちゃん。一々可愛いな。
「千佳ちゃんもおつかれ。今日も元気に大砲撃ってきた?」
「は、はい。でもわたし緊急脱出しちゃって……」
「いいんだよー最初は慣れるのが仕事なんだから。こんな可愛い子をぶった切ったやつの気がしれんけどな」
「荒船さんです」
「あのサラ船」
「ナマエさんそのあだ名で呼ぶのやめて。じわるから」
そう言いつつも既に笑っている米屋。前から思ってたけど米屋の笑いのツボは浅すぎないか。
修くんと栞ちゃんにもおつかれーと労りの言葉をかけて食堂に向かおうとすると緑川に止められた。
「待ってよ、今から遊真先輩とランク戦するから山原さんも来て」
「なんで私がおまえらのランク戦を見ないといけない」
「この間黒歴史だのなんだの言ってくれたから! ムダに殴られたし!」
前のこと根に持ってるな。あれいつの話だ。
「ナマエさんもいこーよ。次の試合は見てくれるんでしょ? その参考に」
「……」
遊真に袖を掴まれそう言われる。首を傾げながら上目遣い。
「………おまえはきっとロクな大人にならないよ遊真」
「?」
「それを山原さんが言うの? もっと自分のこと省みなよ……って痛い! だからなんでオレには厳しいの!」
ぎゃんぎゃん騒ぐ緑川。片耳を押さえて息を吐いた。……まぁ夜ご飯は玉狛でご馳走になろう。よしそうしよう。
ちびっ子二人に挟まれて対戦ブースまで向かう。なぜか走り出したので「走るな!」と言うと「年寄りだね」「老化早すぎでしょ」と生意気言ってきたので両手をグーにして頭にぶち込んだ。
「楽しそうだな~」
「そ、そうですか……?」
****
「あーだめだこりゃ。やればやるほど勝てなくなるなー」
「よしよし段々わかってきた」
ご満悦な遊真と悔しそうな緑川。トータルスコアは21対7。元気だなちびっ子。勝敗が書かれたモニターをぼんやり見上げていると「おっ? 荒船さん個人ランク戦すか?」という米屋の言葉と共にガシィ! と肩を握られた。掴まれたんじゃなくて握られた。
「誰かサラ船だ……」
禍々しい声と背中に感じるオーラに嫌々振り返ると案の定怒り狂っている荒船の姿があった。
「おつかれ」
「おつかれじゃねえよ。ここに来るまでに何人から顔反らされたと思ってやがる」
「荒船の顔が怖いからでしょ」
「口元押さえて肩揺らしてたんだよ」
「人に笑顔を与えられるなんてこれで君も嵐山と同じ三門市のアイドルだね!」
「笑顔の意味がちげえ!!」
終いには殴るぞ! と言われたので「アイドルが殴るなんて言うなよ」と返すと頭に手刀を落とされた。それを笑いながら見ていた米屋は普通に殴られた。なんてもらい事故。
「いたた……おまえにアイドルはムリだな。暴力的すぎる」
「なんで俺が悪いみたいな雰囲気になってんだ。あんたのせいで戦闘前の緊張感が消えてなくなっただろうが」
「試合前にあんな茶番染みたVTR見てんじゃねえよ」
「自覚した上であの出来か。最悪だな」
舌打ちを漏らし荒船は緑川に絡みに行った。チョークスリーパーを仕掛けている。なんだあいつ当たり屋か。
荒船にチョップされた場所を撫でているとブース内がざわつき始める。顔を上げて見ると鈴鳴第一の村上がいた。
「……? なんだ? この雰囲気」
状況がよく掴めていない様子で疑問符を浮かべる村上。初めて会ったのか修くんが「あの人は…….?」と古寺に質問する。
「鈴鳴第一の村上先輩 アタッカーランキング第4位。荒船さんがアタッカーを辞める理由になった人だ」
古寺の言葉に目を見開いた修くんが私に「そうなんですか……?」と聞いてきたので二人の関係を説明しようと口を開いた。
「優等生とヤンキーみたいな関係」
「聞こえてんだよ誰がヤンキーだッ!」
「……ナマエさん」
そこじゃないです……と疲れたように古寺が呟いた。言い得て妙じゃない? と苦笑している村上に聞くと「荒船の方がしっかりしていますよ」と言われた。村上の反応に遅かったか……と小さく呟いたら再び頭に手刀を落とされた。やっぱり荒船にアイドルは無理だ。
どうすればいいか悩んでいると前方に見覚えのある子たちの姿。本部なのになんで? と首をひねり、そして頭を抱えた。
「くそ!! 防衛任務なんてしてる場合じゃなかった……!」
「身も蓋もないこと言ってるよあの人」
「自分の本業忘れてるな」
「ど、どうしましたナマエさん」
緑川、米屋、古寺が声をかけてきたがそれどころじゃない。私の視線の先には遊真、修くん、千佳ちゃんそして栞ちゃんの姿が。前者三人ならまだ納得出来るが栞ちゃんまでいるとなると理由は一つしかない。……今日玉狛第二のランク戦だった。
「ごめんね! 諏訪さん叩きのめすところ見逃した!!」
「諏訪さん単体ですか……」
「まー実際遊真先輩にしてやられたけどね」
「よくやった! 遊真!」
「ありがたき幸せ」
遊真の白い頭をわしゃわしゃ撫でる。なんていい仕事をする子なんだ。後で玉狛に行ってその勇姿を見なければ。
そう思いつつ栞ちゃんの横にいる千佳ちゃんを手招きして呼ぶ。とことこ歩いてきた千佳ちゃん。一々可愛いな。
「千佳ちゃんもおつかれ。今日も元気に大砲撃ってきた?」
「は、はい。でもわたし緊急脱出しちゃって……」
「いいんだよー最初は慣れるのが仕事なんだから。こんな可愛い子をぶった切ったやつの気がしれんけどな」
「荒船さんです」
「あのサラ船」
「ナマエさんそのあだ名で呼ぶのやめて。じわるから」
そう言いつつも既に笑っている米屋。前から思ってたけど米屋の笑いのツボは浅すぎないか。
修くんと栞ちゃんにもおつかれーと労りの言葉をかけて食堂に向かおうとすると緑川に止められた。
「待ってよ、今から遊真先輩とランク戦するから山原さんも来て」
「なんで私がおまえらのランク戦を見ないといけない」
「この間黒歴史だのなんだの言ってくれたから! ムダに殴られたし!」
前のこと根に持ってるな。あれいつの話だ。
「ナマエさんもいこーよ。次の試合は見てくれるんでしょ? その参考に」
「……」
遊真に袖を掴まれそう言われる。首を傾げながら上目遣い。
「………おまえはきっとロクな大人にならないよ遊真」
「?」
「それを山原さんが言うの? もっと自分のこと省みなよ……って痛い! だからなんでオレには厳しいの!」
ぎゃんぎゃん騒ぐ緑川。片耳を押さえて息を吐いた。……まぁ夜ご飯は玉狛でご馳走になろう。よしそうしよう。
ちびっ子二人に挟まれて対戦ブースまで向かう。なぜか走り出したので「走るな!」と言うと「年寄りだね」「老化早すぎでしょ」と生意気言ってきたので両手をグーにして頭にぶち込んだ。
「楽しそうだな~」
「そ、そうですか……?」
****
「あーだめだこりゃ。やればやるほど勝てなくなるなー」
「よしよし段々わかってきた」
ご満悦な遊真と悔しそうな緑川。トータルスコアは21対7。元気だなちびっ子。勝敗が書かれたモニターをぼんやり見上げていると「おっ? 荒船さん個人ランク戦すか?」という米屋の言葉と共にガシィ! と肩を握られた。掴まれたんじゃなくて握られた。
「誰かサラ船だ……」
禍々しい声と背中に感じるオーラに嫌々振り返ると案の定怒り狂っている荒船の姿があった。
「おつかれ」
「おつかれじゃねえよ。ここに来るまでに何人から顔反らされたと思ってやがる」
「荒船の顔が怖いからでしょ」
「口元押さえて肩揺らしてたんだよ」
「人に笑顔を与えられるなんてこれで君も嵐山と同じ三門市のアイドルだね!」
「笑顔の意味がちげえ!!」
終いには殴るぞ! と言われたので「アイドルが殴るなんて言うなよ」と返すと頭に手刀を落とされた。それを笑いながら見ていた米屋は普通に殴られた。なんてもらい事故。
「いたた……おまえにアイドルはムリだな。暴力的すぎる」
「なんで俺が悪いみたいな雰囲気になってんだ。あんたのせいで戦闘前の緊張感が消えてなくなっただろうが」
「試合前にあんな茶番染みたVTR見てんじゃねえよ」
「自覚した上であの出来か。最悪だな」
舌打ちを漏らし荒船は緑川に絡みに行った。チョークスリーパーを仕掛けている。なんだあいつ当たり屋か。
荒船にチョップされた場所を撫でているとブース内がざわつき始める。顔を上げて見ると鈴鳴第一の村上がいた。
「……? なんだ? この雰囲気」
状況がよく掴めていない様子で疑問符を浮かべる村上。初めて会ったのか修くんが「あの人は…….?」と古寺に質問する。
「鈴鳴第一の村上先輩 アタッカーランキング第4位。荒船さんがアタッカーを辞める理由になった人だ」
古寺の言葉に目を見開いた修くんが私に「そうなんですか……?」と聞いてきたので二人の関係を説明しようと口を開いた。
「優等生とヤンキーみたいな関係」
「聞こえてんだよ誰がヤンキーだッ!」
「……ナマエさん」
そこじゃないです……と疲れたように古寺が呟いた。言い得て妙じゃない? と苦笑している村上に聞くと「荒船の方がしっかりしていますよ」と言われた。村上の反応に遅かったか……と小さく呟いたら再び頭に手刀を落とされた。やっぱり荒船にアイドルは無理だ。