本編
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修くんが目を覚ましたらしい。その連絡にとりあえず息をついた。そして携帯をしまって目の前でドスの効いたオーラを漂わせる人物の前に座る。
「…………おまえという奴は」
「いやごめんってば」
目元を揉んで重々しい溜め息をついた城戸さん。呼び出しを受けたときからこの状況を薄々予想していたのでご機嫌取りのために買っておいた珈琲豆を城戸さんに差し出す。それを見た城戸さんは「おまえは……」と再び息をついた。え、この豆がいいって言ってたじゃん。
「おまえの破天荒な行動はいくつになったら治る。今年は酒を飲める年になるのは分かっているのか」
「当たり前じゃん居酒屋連れてってね」
「…………」
「ごめん真面目に聞くから」
城戸さんの目がギロリと鈍く光ったのが見えた。地雷半分踏みかけたな。珈琲煎れてあげるーとさり気なく席を立って簡易キッチンに行く。
「……あのトリオン兵に心当たりは」
「ないね」
きっぱりそう言うと城戸さんは疲れた様子で再び目元を揉んだ。ごめんね面倒事持ってきて。絶対手放さないけど。拾ったら最後まで面倒を見るのが飼い主だ。
「城戸さん寝てないでしょ。珈琲飲んだら仮眠しなよ。寝れるか知らないけど」
「一時から記者会見がある」
「……城戸さんテレビデビ「おまえは連れて行かない」早いよ」
城戸さんのテレビデビュー見守るよ! と言おうとしたのに止められた。行動が読まれている。くそぅ。お茶請けと珈琲をお盆に乗せながらテーブルに戻る。
「ああ、言うの忘れてた。二年から特待生取れたから学費免除になった。バイトも掛け持ちするから「奨学金は借りなくていい」だから早いって!」
半ば怒鳴りながら珈琲を城戸さんに渡す。訴えるように見つめるがスルーされた。
私は大学の授業料、施設費その他諸々を城戸さんに払ってもらっている。今時みんな奨学金借りて学校に通ってるのに「おまえのような計画性ゼロの人間が国に借金するなど無謀だ」と言って却下される。卒業したら少しずつでいいから返せとも言われた。……顔に似合わず甘すぎるよなぁこの人。負担減らそうと特待生になってもこれだ。朝のコンビニバイトだけだから増やそうと思えば増やせるんだよ。最上さんが死んでから私の後見人は城戸さんになった。それだけで十分なのにこの人……ほんと、もう。
「おまえのような特に頭がいいわけじゃない人間が特待生になれたのはそれなりに勉強したのだろう。学生の本分は勉強だ。それを疎かにするな」
ああクソこのやくざ。寝てない様子だったからこれを機に殴ってでも寝かせようと思ってたのに。
「……今年で二十歳だから面倒見てくれなくていいんだよ」
「拾ったのなら最後まで面倒を見るのが礼儀だ」
「ペットか」
突っ込みながら淹れた珈琲を飲む。……あれマズいぞ。いい豆買ったのに。こっそり城戸さんの様子を窺うといつも通りの仏頂面。ふと五歳くらいの私が作ったべちゃべちゃなホットケーキを城戸さんが食べてくれたのを思い出した。その時は汗垂らしながら笑ってたけどマズいなんて一言も出てこなかった。因みにその後なかなか城戸さんはトイレから出てこなかった。
「…………城戸さん、私が記者会見代わりにでてあげようか」
「ボーダーのイメージをこれ以上落とす予定はない」
「ほう。………ありがとね城戸さん」
そう言うと城戸さんはチラリとこっちを見て「会見には来るな」と一言だけ残してスーツの上着を持って部屋から出て行った。珈琲のカップは空になっていた。
「…………おまえという奴は」
「いやごめんってば」
目元を揉んで重々しい溜め息をついた城戸さん。呼び出しを受けたときからこの状況を薄々予想していたのでご機嫌取りのために買っておいた珈琲豆を城戸さんに差し出す。それを見た城戸さんは「おまえは……」と再び息をついた。え、この豆がいいって言ってたじゃん。
「おまえの破天荒な行動はいくつになったら治る。今年は酒を飲める年になるのは分かっているのか」
「当たり前じゃん居酒屋連れてってね」
「…………」
「ごめん真面目に聞くから」
城戸さんの目がギロリと鈍く光ったのが見えた。地雷半分踏みかけたな。珈琲煎れてあげるーとさり気なく席を立って簡易キッチンに行く。
「……あのトリオン兵に心当たりは」
「ないね」
きっぱりそう言うと城戸さんは疲れた様子で再び目元を揉んだ。ごめんね面倒事持ってきて。絶対手放さないけど。拾ったら最後まで面倒を見るのが飼い主だ。
「城戸さん寝てないでしょ。珈琲飲んだら仮眠しなよ。寝れるか知らないけど」
「一時から記者会見がある」
「……城戸さんテレビデビ「おまえは連れて行かない」早いよ」
城戸さんのテレビデビュー見守るよ! と言おうとしたのに止められた。行動が読まれている。くそぅ。お茶請けと珈琲をお盆に乗せながらテーブルに戻る。
「ああ、言うの忘れてた。二年から特待生取れたから学費免除になった。バイトも掛け持ちするから「奨学金は借りなくていい」だから早いって!」
半ば怒鳴りながら珈琲を城戸さんに渡す。訴えるように見つめるがスルーされた。
私は大学の授業料、施設費その他諸々を城戸さんに払ってもらっている。今時みんな奨学金借りて学校に通ってるのに「おまえのような計画性ゼロの人間が国に借金するなど無謀だ」と言って却下される。卒業したら少しずつでいいから返せとも言われた。……顔に似合わず甘すぎるよなぁこの人。負担減らそうと特待生になってもこれだ。朝のコンビニバイトだけだから増やそうと思えば増やせるんだよ。最上さんが死んでから私の後見人は城戸さんになった。それだけで十分なのにこの人……ほんと、もう。
「おまえのような特に頭がいいわけじゃない人間が特待生になれたのはそれなりに勉強したのだろう。学生の本分は勉強だ。それを疎かにするな」
ああクソこのやくざ。寝てない様子だったからこれを機に殴ってでも寝かせようと思ってたのに。
「……今年で二十歳だから面倒見てくれなくていいんだよ」
「拾ったのなら最後まで面倒を見るのが礼儀だ」
「ペットか」
突っ込みながら淹れた珈琲を飲む。……あれマズいぞ。いい豆買ったのに。こっそり城戸さんの様子を窺うといつも通りの仏頂面。ふと五歳くらいの私が作ったべちゃべちゃなホットケーキを城戸さんが食べてくれたのを思い出した。その時は汗垂らしながら笑ってたけどマズいなんて一言も出てこなかった。因みにその後なかなか城戸さんはトイレから出てこなかった。
「…………城戸さん、私が記者会見代わりにでてあげようか」
「ボーダーのイメージをこれ以上落とす予定はない」
「ほう。………ありがとね城戸さん」
そう言うと城戸さんはチラリとこっちを見て「会見には来るな」と一言だけ残してスーツの上着を持って部屋から出て行った。珈琲のカップは空になっていた。