本編
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師匠が緊急脱出した。突然現れたこの男により伝達系を破壊された。男は黒髪で頭には黒い角がある。コイツも黒トリガーかよ……!
「なーにやられてんだよ、ハイレイン」
にやにや笑いながら動物野郎を見る黒髪のネイバー。それに対して動物野郎は少し驚いた様子だった。
「テオドール、おまえやっと動く気になったのか」
「なに言ってんのもうこれ以上働かねえよめんどくさい」
「ハァ……言うと思ったよ」
呆れたようにため息をつく動物野郎。なんだ……、この黒髪のネイバーは何しに来たんだ。……とにかく黒トリガーが二人だ。警戒を続けているとテオドールと呼ばれたネイバーがおれを見ながら口を開いた。
「別におれはおまえら殺しに来たわけじゃねえから気にすんなー」
軽い口調で手を振ってくる黒髪のネイバー。何だこいつ。
「なんならおれがコイツら殺してやろーか?」
「!?」
「ちょーっと、ムカつくことされたしね」
そう言って笑顔で動物野郎を見る黒髪のネイバー。だが、よく見たら目が全く笑っていない。仲間割れか? それなら好都合だと本部と連絡をとろうとしたときだった。
「あ、でも余計なことしたら殺すよ」
おれに視線をやってるわけでもないのに、男はそう言った。淡々と言うその物言いに背筋がゾッとする。こいつ、ヤバいやつだ。
「なんでエネドラを殺した」
その一言でこの辺一体が重苦しい空気に包まれる。
「……命令違反、任務放棄。他にも目に余るものがあった」
「建て前はやめろよ。ただおまえらはボルボロスを回収したかっただけだろう」
「あいつの命はすでに短いものだった。それが早まっただけさ」
敵ながらなんて胸くそ悪い話だ。エネドラっていうのは恐らく基地に侵入した黒トリガーのことだ。仲間に殺されたって聞いたが……。
黒髪のネイバーは動物野郎の言葉に数秒沈黙し、静かに顔を上げた。
「ははっ、ホントおまえのそう言うところ嫌いだ」
「……遠征艇に帰るのか」
「金の雛鳥なんかおれにはどうでもいい。勝手にすればいいよ」
そう言って手を振りかざし地面に黒くて丸い影のようなものを出現させる。あの女のネイバーの黒トリガーに少し似ていた。それに入り退散しようとするのを動物野郎が制止する。
「待て、最後に一つだけ答えろ。おまえが作ったラービットだが、なぜあの射手の女の言うことを聞いた」
「……さあ? 故障じゃないの?」
そう呟くように答え黒髪のネイバーは影の中に消えていった。動物野郎はしばらくその光景を見ていたが切り替えるようにして再び魚を周囲に出現させた。
「中断させて悪かったな、始めようか」
****
「なんだあいつ」
モニターの中の黒髪のネイバーはごちゃごちゃ何か言って早々に消えて行った。どうやら私はあいつにやられたらしい。てか何しに来たんだよ、仕事しろよ。いや、別に戦えって言ってるわけじゃないけどさ。サボってくれるならそれでいいよ。でもさ……なんか、ねえ?
「変なやつ」
やっぱりネイバーってよくわからん。
手持ち無沙汰になったので他のモニターをボーッと見ていたら基地の屋上の映像が映る。そして目を見開いた。
「ちょっ! 菊地原あんにゃろ! 赤吉さんと黒山くんに手ぇだすな!!」
モニターには風間隊と諏訪隊、スナイパー組に囲まれた赤ぴょこと黒ぴょこの姿があった。なぜそんなところにいるのか知らないけどあの二体を破壊されるのはイヤだ。「どうしたらいいの? どうしたらいいの?」ってオロオロしている気がする。可愛い。文句なしに可愛い。無機物萌とは変な扉を開いたかもしれない。
オペレータールームのドアを勢いよく開け、屋上までダッシュ。そして屋上のドアを蹴り飛ばすように開けた。
「ごらぁ! その二体に触るなぁ!!」
「ナマエ!? バカッ! 生身で何しに来やがった!」
「うるさいよニコチン! こっちおいで! 赤吉さんと黒山くん!」
そう二体に言うと「ぐわっ」「ばう」と返事をして私のいる所へ跳んできた。いい子だ。よしよしと撫で回してると頭をぐりぐりしてきた。なにこれ可愛い。
「え……」
「ちょ、……はっ?」
「………」
「はあああ!?」
反応は様々である。まあ普通は驚くよね、と思いつつもじゃれあいは止めない。今の私はペットを激愛する飼い主状態だ。止まるわけがない。ほぼ全員がフリーズするなか現れたのは真冬なのに半袖の三十路だった。寒くないのは知ってるけどもうちょっとそれどうにかならなかったの。
「やけに攻撃してこないと思ったらこれか。おーいナマエ、じゃれるのはいいが状況説明しろ」
「えぇ……察してよ」
「無茶いうな」
「なんか懐かれた。基地で飼っていい?」
「飼えるか!!」
「城戸司令と鬼怒田室長に許可とったらいいぞ」
「冬島さん!?」
よし、鬼怒田さんはどうにか出来る。あのヤクザをどう攻略するか。
こっちに近づいて来た冬島さんは赤吉さんと黒山くんを見上げて「触ってもいいか?」と質問する。二体はコクンと頷いた。
「今さらだけど言葉通じるんだね君たち」
「そうみたいだな。他のラービットと見た目は変わらないが知能は高そうだ」
「褒められたよ! 二人とも!」
「ぐわぁ」「ばうぅ」
照れたように頭を揺らす赤吉さんとそっぽを向く黒山くん。これからは積極的に無機物萌を主張していくことにする。すると頭を掻きながらイーグレットを肩に乗せた当真もやってきた。
「姉さんは相変わらずおもしれーなぁ」
「いや、バカなだけでしょ。なにトリオン兵と仲良くなってんのさ」
「菊地原聞こえてるぞごら」
菊地原を睨むが「アホらしくなってきた。ぼく帰っていいですか」と無視される。風間さんに連絡を取ってるみたいだ。あ、インカム置いてきた。
「風間さんからの伝言です。『すぐそちらに向かうからバカは止めて大人しくしておけ』だそうです」
「冬島さん、早く移動しよう。赤吉さんと黒山くん隠さないと」
生身でも風間さんなら破壊出来そうで怖い。なんなんだろうね、小さいのにあの威圧感。
しかし赤吉さんたちは他のトリオン兵に比べたら小さいけどそれでも三メートル近くある。……どこに隠そう。
「ちょ、君たちもうちょっと小さくならない? じゃないと風間さんにバラバラにされちゃうよ!」
「なに言ってんだおまえは……そんなのムリに」
「ぐお!」「ばお!」
任せろ! と言わんばかりに手を挙げた赤吉さんと黒山くん。そして緑色の光を放ちだした二体はリカちゃん人形サイズへと縮んでいった。……まじか。
「…………」
周囲がまさかの現象に沈黙するなか、腹を抱えて笑い出した当真は大物だと思う。
「なーにやられてんだよ、ハイレイン」
にやにや笑いながら動物野郎を見る黒髪のネイバー。それに対して動物野郎は少し驚いた様子だった。
「テオドール、おまえやっと動く気になったのか」
「なに言ってんのもうこれ以上働かねえよめんどくさい」
「ハァ……言うと思ったよ」
呆れたようにため息をつく動物野郎。なんだ……、この黒髪のネイバーは何しに来たんだ。……とにかく黒トリガーが二人だ。警戒を続けているとテオドールと呼ばれたネイバーがおれを見ながら口を開いた。
「別におれはおまえら殺しに来たわけじゃねえから気にすんなー」
軽い口調で手を振ってくる黒髪のネイバー。何だこいつ。
「なんならおれがコイツら殺してやろーか?」
「!?」
「ちょーっと、ムカつくことされたしね」
そう言って笑顔で動物野郎を見る黒髪のネイバー。だが、よく見たら目が全く笑っていない。仲間割れか? それなら好都合だと本部と連絡をとろうとしたときだった。
「あ、でも余計なことしたら殺すよ」
おれに視線をやってるわけでもないのに、男はそう言った。淡々と言うその物言いに背筋がゾッとする。こいつ、ヤバいやつだ。
「なんでエネドラを殺した」
その一言でこの辺一体が重苦しい空気に包まれる。
「……命令違反、任務放棄。他にも目に余るものがあった」
「建て前はやめろよ。ただおまえらはボルボロスを回収したかっただけだろう」
「あいつの命はすでに短いものだった。それが早まっただけさ」
敵ながらなんて胸くそ悪い話だ。エネドラっていうのは恐らく基地に侵入した黒トリガーのことだ。仲間に殺されたって聞いたが……。
黒髪のネイバーは動物野郎の言葉に数秒沈黙し、静かに顔を上げた。
「ははっ、ホントおまえのそう言うところ嫌いだ」
「……遠征艇に帰るのか」
「金の雛鳥なんかおれにはどうでもいい。勝手にすればいいよ」
そう言って手を振りかざし地面に黒くて丸い影のようなものを出現させる。あの女のネイバーの黒トリガーに少し似ていた。それに入り退散しようとするのを動物野郎が制止する。
「待て、最後に一つだけ答えろ。おまえが作ったラービットだが、なぜあの射手の女の言うことを聞いた」
「……さあ? 故障じゃないの?」
そう呟くように答え黒髪のネイバーは影の中に消えていった。動物野郎はしばらくその光景を見ていたが切り替えるようにして再び魚を周囲に出現させた。
「中断させて悪かったな、始めようか」
****
「なんだあいつ」
モニターの中の黒髪のネイバーはごちゃごちゃ何か言って早々に消えて行った。どうやら私はあいつにやられたらしい。てか何しに来たんだよ、仕事しろよ。いや、別に戦えって言ってるわけじゃないけどさ。サボってくれるならそれでいいよ。でもさ……なんか、ねえ?
「変なやつ」
やっぱりネイバーってよくわからん。
手持ち無沙汰になったので他のモニターをボーッと見ていたら基地の屋上の映像が映る。そして目を見開いた。
「ちょっ! 菊地原あんにゃろ! 赤吉さんと黒山くんに手ぇだすな!!」
モニターには風間隊と諏訪隊、スナイパー組に囲まれた赤ぴょこと黒ぴょこの姿があった。なぜそんなところにいるのか知らないけどあの二体を破壊されるのはイヤだ。「どうしたらいいの? どうしたらいいの?」ってオロオロしている気がする。可愛い。文句なしに可愛い。無機物萌とは変な扉を開いたかもしれない。
オペレータールームのドアを勢いよく開け、屋上までダッシュ。そして屋上のドアを蹴り飛ばすように開けた。
「ごらぁ! その二体に触るなぁ!!」
「ナマエ!? バカッ! 生身で何しに来やがった!」
「うるさいよニコチン! こっちおいで! 赤吉さんと黒山くん!」
そう二体に言うと「ぐわっ」「ばう」と返事をして私のいる所へ跳んできた。いい子だ。よしよしと撫で回してると頭をぐりぐりしてきた。なにこれ可愛い。
「え……」
「ちょ、……はっ?」
「………」
「はあああ!?」
反応は様々である。まあ普通は驚くよね、と思いつつもじゃれあいは止めない。今の私はペットを激愛する飼い主状態だ。止まるわけがない。ほぼ全員がフリーズするなか現れたのは真冬なのに半袖の三十路だった。寒くないのは知ってるけどもうちょっとそれどうにかならなかったの。
「やけに攻撃してこないと思ったらこれか。おーいナマエ、じゃれるのはいいが状況説明しろ」
「えぇ……察してよ」
「無茶いうな」
「なんか懐かれた。基地で飼っていい?」
「飼えるか!!」
「城戸司令と鬼怒田室長に許可とったらいいぞ」
「冬島さん!?」
よし、鬼怒田さんはどうにか出来る。あのヤクザをどう攻略するか。
こっちに近づいて来た冬島さんは赤吉さんと黒山くんを見上げて「触ってもいいか?」と質問する。二体はコクンと頷いた。
「今さらだけど言葉通じるんだね君たち」
「そうみたいだな。他のラービットと見た目は変わらないが知能は高そうだ」
「褒められたよ! 二人とも!」
「ぐわぁ」「ばうぅ」
照れたように頭を揺らす赤吉さんとそっぽを向く黒山くん。これからは積極的に無機物萌を主張していくことにする。すると頭を掻きながらイーグレットを肩に乗せた当真もやってきた。
「姉さんは相変わらずおもしれーなぁ」
「いや、バカなだけでしょ。なにトリオン兵と仲良くなってんのさ」
「菊地原聞こえてるぞごら」
菊地原を睨むが「アホらしくなってきた。ぼく帰っていいですか」と無視される。風間さんに連絡を取ってるみたいだ。あ、インカム置いてきた。
「風間さんからの伝言です。『すぐそちらに向かうからバカは止めて大人しくしておけ』だそうです」
「冬島さん、早く移動しよう。赤吉さんと黒山くん隠さないと」
生身でも風間さんなら破壊出来そうで怖い。なんなんだろうね、小さいのにあの威圧感。
しかし赤吉さんたちは他のトリオン兵に比べたら小さいけどそれでも三メートル近くある。……どこに隠そう。
「ちょ、君たちもうちょっと小さくならない? じゃないと風間さんにバラバラにされちゃうよ!」
「なに言ってんだおまえは……そんなのムリに」
「ぐお!」「ばお!」
任せろ! と言わんばかりに手を挙げた赤吉さんと黒山くん。そして緑色の光を放ちだした二体はリカちゃん人形サイズへと縮んでいった。……まじか。
「…………」
周囲がまさかの現象に沈黙するなか、腹を抱えて笑い出した当真は大物だと思う。