番外編
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ああ、この光景は視たな。
そう思いながら廊下の窓に胸から上を出しているナマエとそれを見ている嵐山の背中に話しかけた。今は学校の昼休みの真っ最中だ。
「なにやってんの? 二人とも」
「二階から目薬」
「…………」
これも未来通り。未来通りなのだが……。ナマエから端的に返ってきた言葉に力無い笑みがこぼれた。
迅の能力は未来を視るものであってそこの人物達の心情を理解するものではない。何となくこうかな? と推測は出来る。出来るがある人物に関して言えばその難易度が跳ね上がる。なんと自分の家族である。未来通りなのに意味が分からない……と心でぼやきながら嵐山に説明を求める。
「二階から目薬ってなに?」
「思い通りに事が運ばないでもどかしく感じること、遠まわしすぎて効果のないこと、みたいな意味だな」
「いやそっちじゃなくて」
嵐山にツッコんでナマエを指さす。ナマエの手には目薬があった。迅の指さしに嵐山は「ああ」と言って説明してくれた。
「今、B組で二階から目薬大会やってるんだ」
「……そっかぁ」
説明も意味不明だった。二年B組なにやってるんだとは思った。同時にさすがナマエと嵐山のクラスだと思った。「これ言い出したのだれ?」と訊くと「ナマエだな」と返ってくる。やっぱりおまえか。元凶に話しかけるが「気が散る!」と怒られた。
「これ真剣勝負なの!」
「……そっかぁがんばれ」
「まかせろ!」
いつになく真剣な顔をしている。防衛任務より真面目にやってないか。そんな疑惑が立ちつつ嵐山の隣に行って壁に寄りかかった。
「ルールはなに?」
「短い時間で目薬を二階から外にいる人の目に落としたら勝ちだ。入ったら教室にいる主審に連絡をいれて時間を競う。俺はナマエの組の審判だな」
「B組平和だね」
「ナマエ下手くそこらあ!!!」
「うるせー! 目がちっちゃいんですぅー!」
「おまえ後でひっぱたくからな!」
「動くな! 止まれ! 黙って上をみろ! ハーゲンがかかってるでしょうがッ!」
「前言撤回するね。殺伐としてた」
外からの怒声とそれに同じ勢いで言い返すナマエにそう言い直す迅。嵐山は笑いながら「元気だなぁ」と言っている。元気は元気だが方向性はこれでいいのだろうか。
相変わらず自分の家族はやってることが突飛である。しかもクラスを巻き込んでるのだから。ナマエの担任が「あいつは小さい台風だ」と渋い顔で言っていたのも納得がいく。迅の予知では彼は来年もナマエの担任である。可哀想に……とB組の担任の顔を思い浮かべていると嵐山が「どこまで視えていたんだ?」と訊いてきた。
「ナマエと嵐山がここでわちゃわちゃしてるところ。で、ナマエが勝つのまでかな」
「じゃあ大会が始まった理由は分からないのか」
「そこまで万能ではないね」
「そうなんだな」
そこで言葉を切るので気になって「いや、理由言ってよ」と言うと嵐山は少し困ったような顔になった。
「え、あいつクラスメート脅してこれやってるの?」
「いやみんなノリノリだったな」
「それはそれでどうなの……そんなに言いにくい?」
「俺から言うことじゃないな」
はっきり言い切った嵐山にこれは教えてくれないな、と思ってナマエの横に立って下を覗く。そこで「あ」と声が出た。そこからこの先も視えた。
思わず嵐山の顔を見ると「視えたか」と苦笑していた。
下にいたのはナマエの友達だった。B組のクラス委員長。快活で面倒見のいい人。ということをナマエとの会話から知っていて、恋人から二股をかけられてふられる、まで視て知っていた。
そしてこれから視えたナマエ達のクラスの委員長の未来。勝ち取ったハーゲンダッツをナマエと食べて、ぽろぽろ泣き出して、それを見たナマエが「おらぁ!」と言いながらハーゲンを無理やり口に突っ込んでいた。死体蹴り? なにやってんの? と迅は思ったが委員長はむせながらも笑っていた。「味が混ざる! ばか!」と言いながら。
「……あいつは何というか、励まし方が特殊すぎない?」
「委員長が元気なかったからみんなで励ましたかったのを汲んだんだと思うぞ」
「そこまで考えてないよ絶対」
「ナマエは優しいだろう」
「…………ものすっごく分かりにくくて見えにくいけどね」
「委員長の元恋人に文句を言おうとした人間もいたがナマエが止めていたよ。「そんなクズの相手する暇あったらみんなで遊ぼ」って。……まだ委員長が吹っ切れていないのに第三者がとやかく言うのは違うよな。委員長もそんなことを望む性格ではないし」
「……ちなみに委員長が吹っ切れて相手をビンタしにいくときにナマエが後ろで全力で野次飛ばしてる未来も視ました」
「ははっナマエらしいなぁ」
そしてこれは嵐山には言わないが、ナマエが生涯の相手と結婚するとき、周りが「イケメンを釣ったな!?」「どうやって釣った! 吐け!」「大丈夫? 騙されてない?」「ナマエ白昼夢みてない?」とからかいまくったのに対して、委員長……そのときは元委員長は「おめでとうナマエ」と涙ぐみながら言ってくれる相手だ。
「あ! 入った! 入ったよ! 嵐山! 今何分!?」
「八分だな」
「大会本部連絡して!」
「了解」
「ハーゲンダッツはもらったぞー!」
高らかに叫ぶナマエに苦笑する。本当に勝つからなぁと思いつつ「何味にする?」と外に顔を出して話しているナマエとその友達の会話に耳を傾けてそっと微笑んだ。
そう思いながら廊下の窓に胸から上を出しているナマエとそれを見ている嵐山の背中に話しかけた。今は学校の昼休みの真っ最中だ。
「なにやってんの? 二人とも」
「二階から目薬」
「…………」
これも未来通り。未来通りなのだが……。ナマエから端的に返ってきた言葉に力無い笑みがこぼれた。
迅の能力は未来を視るものであってそこの人物達の心情を理解するものではない。何となくこうかな? と推測は出来る。出来るがある人物に関して言えばその難易度が跳ね上がる。なんと自分の家族である。未来通りなのに意味が分からない……と心でぼやきながら嵐山に説明を求める。
「二階から目薬ってなに?」
「思い通りに事が運ばないでもどかしく感じること、遠まわしすぎて効果のないこと、みたいな意味だな」
「いやそっちじゃなくて」
嵐山にツッコんでナマエを指さす。ナマエの手には目薬があった。迅の指さしに嵐山は「ああ」と言って説明してくれた。
「今、B組で二階から目薬大会やってるんだ」
「……そっかぁ」
説明も意味不明だった。二年B組なにやってるんだとは思った。同時にさすがナマエと嵐山のクラスだと思った。「これ言い出したのだれ?」と訊くと「ナマエだな」と返ってくる。やっぱりおまえか。元凶に話しかけるが「気が散る!」と怒られた。
「これ真剣勝負なの!」
「……そっかぁがんばれ」
「まかせろ!」
いつになく真剣な顔をしている。防衛任務より真面目にやってないか。そんな疑惑が立ちつつ嵐山の隣に行って壁に寄りかかった。
「ルールはなに?」
「短い時間で目薬を二階から外にいる人の目に落としたら勝ちだ。入ったら教室にいる主審に連絡をいれて時間を競う。俺はナマエの組の審判だな」
「B組平和だね」
「ナマエ下手くそこらあ!!!」
「うるせー! 目がちっちゃいんですぅー!」
「おまえ後でひっぱたくからな!」
「動くな! 止まれ! 黙って上をみろ! ハーゲンがかかってるでしょうがッ!」
「前言撤回するね。殺伐としてた」
外からの怒声とそれに同じ勢いで言い返すナマエにそう言い直す迅。嵐山は笑いながら「元気だなぁ」と言っている。元気は元気だが方向性はこれでいいのだろうか。
相変わらず自分の家族はやってることが突飛である。しかもクラスを巻き込んでるのだから。ナマエの担任が「あいつは小さい台風だ」と渋い顔で言っていたのも納得がいく。迅の予知では彼は来年もナマエの担任である。可哀想に……とB組の担任の顔を思い浮かべていると嵐山が「どこまで視えていたんだ?」と訊いてきた。
「ナマエと嵐山がここでわちゃわちゃしてるところ。で、ナマエが勝つのまでかな」
「じゃあ大会が始まった理由は分からないのか」
「そこまで万能ではないね」
「そうなんだな」
そこで言葉を切るので気になって「いや、理由言ってよ」と言うと嵐山は少し困ったような顔になった。
「え、あいつクラスメート脅してこれやってるの?」
「いやみんなノリノリだったな」
「それはそれでどうなの……そんなに言いにくい?」
「俺から言うことじゃないな」
はっきり言い切った嵐山にこれは教えてくれないな、と思ってナマエの横に立って下を覗く。そこで「あ」と声が出た。そこからこの先も視えた。
思わず嵐山の顔を見ると「視えたか」と苦笑していた。
下にいたのはナマエの友達だった。B組のクラス委員長。快活で面倒見のいい人。ということをナマエとの会話から知っていて、恋人から二股をかけられてふられる、まで視て知っていた。
そしてこれから視えたナマエ達のクラスの委員長の未来。勝ち取ったハーゲンダッツをナマエと食べて、ぽろぽろ泣き出して、それを見たナマエが「おらぁ!」と言いながらハーゲンを無理やり口に突っ込んでいた。死体蹴り? なにやってんの? と迅は思ったが委員長はむせながらも笑っていた。「味が混ざる! ばか!」と言いながら。
「……あいつは何というか、励まし方が特殊すぎない?」
「委員長が元気なかったからみんなで励ましたかったのを汲んだんだと思うぞ」
「そこまで考えてないよ絶対」
「ナマエは優しいだろう」
「…………ものすっごく分かりにくくて見えにくいけどね」
「委員長の元恋人に文句を言おうとした人間もいたがナマエが止めていたよ。「そんなクズの相手する暇あったらみんなで遊ぼ」って。……まだ委員長が吹っ切れていないのに第三者がとやかく言うのは違うよな。委員長もそんなことを望む性格ではないし」
「……ちなみに委員長が吹っ切れて相手をビンタしにいくときにナマエが後ろで全力で野次飛ばしてる未来も視ました」
「ははっナマエらしいなぁ」
そしてこれは嵐山には言わないが、ナマエが生涯の相手と結婚するとき、周りが「イケメンを釣ったな!?」「どうやって釣った! 吐け!」「大丈夫? 騙されてない?」「ナマエ白昼夢みてない?」とからかいまくったのに対して、委員長……そのときは元委員長は「おめでとうナマエ」と涙ぐみながら言ってくれる相手だ。
「あ! 入った! 入ったよ! 嵐山! 今何分!?」
「八分だな」
「大会本部連絡して!」
「了解」
「ハーゲンダッツはもらったぞー!」
高らかに叫ぶナマエに苦笑する。本当に勝つからなぁと思いつつ「何味にする?」と外に顔を出して話しているナマエとその友達の会話に耳を傾けてそっと微笑んだ。