本編
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しばらく熱で寝込んだ。普段病気しないのもあり不安になったので「死ぬこれ絶対風邪じゃないって!」と風間さんに電話を毎朝かけた。最初以外全部無視された。そのことを蓮に言うと「迷惑かけないの、風間さんは男性なんだから」と夜ご飯を作りに来てくれてたときにそう怒られた。男性、のフレーズがやけに違和感を感じ、なぜだ? と頭を捻ってるとちょうど風間さんから連絡が入る。携帯のディスプレイには『ベビーフェイス風間』の文字。このせいだった。
《体調はどうだ》
「鼻水が止まらないっす」
《ああ、いつもより声が間抜けだな》
「シャラップ」
朝の電話は無視されたが大抵夜は電話をくれた。一応心配してくれているらしい。感謝の意味も込めて携帯の登録名は『お粥名人風間』に変えた。すごく美味でした。
蓮の介護の甲斐あって一週間で完全復帰。ありがとう、さすが女神。そしてなぜか私は茶野隊の二人を追いかけている。
「なんで逃げるのさ!」
「おっ怒ってるじゃないですか!」
「ひぃ……!!」
「こら茶野、今の悲鳴はなんだ」
そう聞くと私の方に一瞬振り返った茶野。その目には涙が溜まっている。確実に私より可愛いかった。なにあの溢れ出る可愛さ。
風邪のとき任務を交代してくれた茶野隊に礼を言いにきたらいつの間にか始まったこの鬼ごっこ。持ってる菓子折りは食べられる状態だろうか……。
トリオン体になってまで逃げ出した茶野と藤沢。そこまでして逃げる意味が分からない。だんだん腹が立ってきて片手にアステロイドを出し、二人の背中に撃ち込もうとしたときだった。
「後輩イジメてんじゃねえ!!」
突如現れた諏訪さんに銃型トリガーで殴られた。諏訪さん使い方が激しく違うと思います。
諏訪さんに殴られたおでこを地面に膝をつけながら必死に押さえる。トリオン体だからって思いっきりやりやがったあの人。痛感下げてんのになんでこんなに痛いの。
「あなたが私をイジメるのはいいんですか……!」
「日頃の行いだ」
そうすっぱり言い切った諏訪さんは「もう大丈夫だ」と茶野と藤沢の頭に手を置く。二人は「諏訪さん……!」と感動している。なんか私が悪役みたいになってる。
「ちょっと諏訪さんやりすぎですよ。ナマエ、大丈夫か?」
「堤さん、あのニコチンぶっ殺してください」
「うーん、一応オレたちの隊長だからね」
「私が代わりに隊長やってあげますから」
「それは賑やかになるなぁ。な? 日佐人」
「ナマエさんが隊長………」
「その顔やめろ笹森」
絶望的な顔をした笹森。お前どんな想像してんだこら。
いたくないぞーと堤さんに頭を撫でられる。ボーダーの仏である堤さんのご利益なのか心なしか回復してきたのでその場に立つと、諏訪さんの背後にいる茶野と藤沢が怯えたように肩を震わせた。あいつらの反応に再び銃型トリガーを振り上げてくる諏訪さん。なにそのポーズ。投げるの? トリガー投げるの?
「言っとくけど私何もしてないから!」
「嘘つけ! どうせこいつらが嫌がることしたんだろーが!」
「話も聞かないで一方的に責めるのは人としてどうなんですかね!」
「おまえに人の道理を説教されたくないわ」
「よし来た戦争じゃ」
「まあまあふたりとも落ちついて」
私と諏訪さんの間に入った堤さんにいい子だなーと再び頭を撫でられる。これで落ちついてしまうのは私が単純なのではなく堤さんの仏力のせいである。
「なんでナマエは茶野たちを追いかけてたんだ?」
「逃げられたから」
「ハイエナじゃないんだから」
茶野と藤沢は獲物じゃありません、と私に言い聞かせて堤さんは茶野たちに視線を向ける。
「茶野と藤沢はなんでナマエから逃げたんだ?」
「こ、殺されるかと思ったので」
「おまえやっぱり……」
「お礼しに来たのに相手を殺すやつがどこにいる!」
「……お、お礼参り……」
「ちげーよ! ボソッというな笹森!」
「はいはい怒らない。お礼ってそれ?」
私が持ってる紙袋を指差す堤さん。何度も頷いて目の高さまで持ち上げて口を開く。
「こないだ夜間任務代わってもらったから持ってきたの! そしたら逃げられたの! 意味わからん!」
「なるほど。ナマエはこう言ってるけどどうなの?」
「え、っと……すみませんでした! 俺たちてっきりナマエさんの逆鱗に触れるようなことしちゃったかと思って……」
「それにナマエさんに出来るだけ近づくなって根付さんから言われてて……」
「おまえ猛獣扱いされてんじゃねーか」
「とりあえず根付さんに嫌がらせしてくる」
「やめなさい」
腕まくりしてメディア対策室へ向かおうとすると堤さんに襟首掴まれて止められた。止めるな仏!
暴れる私に諏訪さんも一緒に止めてきた。「私無実だったじゃん! ふざけんなよ!」というと「わりぃわりぃ」と軽い返答。よし今日から諏訪隊は解散だ! なぜなら隊長がいなくなるから!
ターゲットを諏訪さんにして攻撃しようとすると「あ、あの……ナマエさん」とか細い声がかけられる。
「す、すみませんでした……勝手に勘違いして」
「ごめんなさい……」
しょぼーんとした顔で謝る茶野と藤沢。なんだこの小動物的オーラ。いいよ、気にすんなと言うと顔がぱあと明るくなった。この子たち素直で可愛い。
そのあと食堂で茶野と藤沢と私で粉々になったクッキーを食べた。粉々なのに「おいしいです! どこのですか?」と目をキラキラさせた茶野たち。高校生にも癒やしは存在しました。
ちなみに諏訪隊の作戦室に置いてあった諏訪さんの推理小説の犯人のところに全部ラインマーカーを引いておいた。すごく心が満たされた。
《体調はどうだ》
「鼻水が止まらないっす」
《ああ、いつもより声が間抜けだな》
「シャラップ」
朝の電話は無視されたが大抵夜は電話をくれた。一応心配してくれているらしい。感謝の意味も込めて携帯の登録名は『お粥名人風間』に変えた。すごく美味でした。
蓮の介護の甲斐あって一週間で完全復帰。ありがとう、さすが女神。そしてなぜか私は茶野隊の二人を追いかけている。
「なんで逃げるのさ!」
「おっ怒ってるじゃないですか!」
「ひぃ……!!」
「こら茶野、今の悲鳴はなんだ」
そう聞くと私の方に一瞬振り返った茶野。その目には涙が溜まっている。確実に私より可愛いかった。なにあの溢れ出る可愛さ。
風邪のとき任務を交代してくれた茶野隊に礼を言いにきたらいつの間にか始まったこの鬼ごっこ。持ってる菓子折りは食べられる状態だろうか……。
トリオン体になってまで逃げ出した茶野と藤沢。そこまでして逃げる意味が分からない。だんだん腹が立ってきて片手にアステロイドを出し、二人の背中に撃ち込もうとしたときだった。
「後輩イジメてんじゃねえ!!」
突如現れた諏訪さんに銃型トリガーで殴られた。諏訪さん使い方が激しく違うと思います。
諏訪さんに殴られたおでこを地面に膝をつけながら必死に押さえる。トリオン体だからって思いっきりやりやがったあの人。痛感下げてんのになんでこんなに痛いの。
「あなたが私をイジメるのはいいんですか……!」
「日頃の行いだ」
そうすっぱり言い切った諏訪さんは「もう大丈夫だ」と茶野と藤沢の頭に手を置く。二人は「諏訪さん……!」と感動している。なんか私が悪役みたいになってる。
「ちょっと諏訪さんやりすぎですよ。ナマエ、大丈夫か?」
「堤さん、あのニコチンぶっ殺してください」
「うーん、一応オレたちの隊長だからね」
「私が代わりに隊長やってあげますから」
「それは賑やかになるなぁ。な? 日佐人」
「ナマエさんが隊長………」
「その顔やめろ笹森」
絶望的な顔をした笹森。お前どんな想像してんだこら。
いたくないぞーと堤さんに頭を撫でられる。ボーダーの仏である堤さんのご利益なのか心なしか回復してきたのでその場に立つと、諏訪さんの背後にいる茶野と藤沢が怯えたように肩を震わせた。あいつらの反応に再び銃型トリガーを振り上げてくる諏訪さん。なにそのポーズ。投げるの? トリガー投げるの?
「言っとくけど私何もしてないから!」
「嘘つけ! どうせこいつらが嫌がることしたんだろーが!」
「話も聞かないで一方的に責めるのは人としてどうなんですかね!」
「おまえに人の道理を説教されたくないわ」
「よし来た戦争じゃ」
「まあまあふたりとも落ちついて」
私と諏訪さんの間に入った堤さんにいい子だなーと再び頭を撫でられる。これで落ちついてしまうのは私が単純なのではなく堤さんの仏力のせいである。
「なんでナマエは茶野たちを追いかけてたんだ?」
「逃げられたから」
「ハイエナじゃないんだから」
茶野と藤沢は獲物じゃありません、と私に言い聞かせて堤さんは茶野たちに視線を向ける。
「茶野と藤沢はなんでナマエから逃げたんだ?」
「こ、殺されるかと思ったので」
「おまえやっぱり……」
「お礼しに来たのに相手を殺すやつがどこにいる!」
「……お、お礼参り……」
「ちげーよ! ボソッというな笹森!」
「はいはい怒らない。お礼ってそれ?」
私が持ってる紙袋を指差す堤さん。何度も頷いて目の高さまで持ち上げて口を開く。
「こないだ夜間任務代わってもらったから持ってきたの! そしたら逃げられたの! 意味わからん!」
「なるほど。ナマエはこう言ってるけどどうなの?」
「え、っと……すみませんでした! 俺たちてっきりナマエさんの逆鱗に触れるようなことしちゃったかと思って……」
「それにナマエさんに出来るだけ近づくなって根付さんから言われてて……」
「おまえ猛獣扱いされてんじゃねーか」
「とりあえず根付さんに嫌がらせしてくる」
「やめなさい」
腕まくりしてメディア対策室へ向かおうとすると堤さんに襟首掴まれて止められた。止めるな仏!
暴れる私に諏訪さんも一緒に止めてきた。「私無実だったじゃん! ふざけんなよ!」というと「わりぃわりぃ」と軽い返答。よし今日から諏訪隊は解散だ! なぜなら隊長がいなくなるから!
ターゲットを諏訪さんにして攻撃しようとすると「あ、あの……ナマエさん」とか細い声がかけられる。
「す、すみませんでした……勝手に勘違いして」
「ごめんなさい……」
しょぼーんとした顔で謝る茶野と藤沢。なんだこの小動物的オーラ。いいよ、気にすんなと言うと顔がぱあと明るくなった。この子たち素直で可愛い。
そのあと食堂で茶野と藤沢と私で粉々になったクッキーを食べた。粉々なのに「おいしいです! どこのですか?」と目をキラキラさせた茶野たち。高校生にも癒やしは存在しました。
ちなみに諏訪隊の作戦室に置いてあった諏訪さんの推理小説の犯人のところに全部ラインマーカーを引いておいた。すごく心が満たされた。