番外編
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「四限目何したっけ……平和を守ってたとかでいいかなぁ」
「どこでいいと思ったんだ」
教室の前方に貼ってある時間割表を見ればすぐに分かるというのにそれすらもめんどくさがった様子で日誌を埋める。今日の記憶もあやふやなんて頭大丈夫か……と割と本気で心配になった。
三年の教室の前を通りかかったら誰もいないはずの教室内にナマエの姿があった。なにやってんの、と思わず声をかけると気だるげな動作で黒板へ指を向けた。日直、山原。ああ、なるほど。そう呟きながら足を踏み入れた。
あーだこーだ言いつつも順調に埋まっていく日誌。授業毎の欠席者の欄に【多分みんないた】【迅がいなかったかもしれない】【全員いたらいいなぁ】と適当に書いている所を除けば、だが。まあこの時期の三年生は登校日が少ないためにめんどくさがって足を運ばない生徒も少なからずいる。誰がいたか曖昧になるのも仕方ないのかもしれない。ああ、もしかしたら今は時間割通りに授業をやっていないのかもしれない。時間割は宛にならないのか、と思い直そうとしたが、やはり今日の記憶も残っていないのは普通にやばい。
「受験どうなんだよ」
「あ? 受かるでしょ楽勝楽勝」
本当か、という疑惑の目は隠せなかった。迅曰わく「テストは出来る」とのことだが普段の様子からは全く想像がつかない。受験すると決めたのも夏頃だったと言うしその夏から今に至るまで受験生らしいところは全く見なかった。……本当に大丈夫か。他人事なのに出水の胃の方がキリキリしてくる。だって「帰りに甘いもの食べて帰ろうぜ」と呑気に誘ってきた。勉強しろ。
申し出を即座に却下すると「バレンタイン限定スイーツって今日までなのに」と不満を返される。「人の楽しみを奪う気か!」何だか白熱してきた。
「来年行けばいいだろうが!」
「来年も楽しむために今年もいくんだよ!」
「受験勉強してろよ! 受験舐めんな!」
「一年坊主が受験語んな! 甘いものよこせ! 糖分がいるんだよ受験生は!」
机をバンバンしながら急に受験生アピールしてきたナマエに出水は「ああもう待ってろ!」と怒鳴り返しながら鞄を漁る。赤い文字で商品名が書かれたサクサクとした食感のチョコレートを取り出し「これでも食ってろ!」と無理やり渡す。袋が若干ぐしゃりとなったがそこはスルーした。渡されたナマエはぱちりと瞬きをし、チョコレートを裏返した。
「応援メッセージがない……」
「わがまま言うな」
「というか今日バレンタインなのに誰からも貰えなかったの?」
「やっぱそれ返せ」
伸ばした手は空振りに終わる。「大切に食べます」と言いつつもパキッという軽快な音がチョコレートから聞こえた。舌の根の乾かぬうちに……と出水が半目になっているとナマエは袋から割れたチョコレートを一つ取り出し、もう片方は「ほい」と袋ごと出水に渡してきた。
「仕方ないから師匠がバレンタイン気分を分けてあげよう」
「……いや、それもともとおれのだろ。バレンタイン舐めんな」
「バレンタインなんてチョコ食べとけばいいんだよ」
相変わらず言うことがめちゃくちゃだ。限定スイーツで騒いでいた人間の台詞ではない。あと若干偉そうなのもムカつく。
そう思いつつも半分に割ったチョコレートの味は悪くなかった。
「どこでいいと思ったんだ」
教室の前方に貼ってある時間割表を見ればすぐに分かるというのにそれすらもめんどくさがった様子で日誌を埋める。今日の記憶もあやふやなんて頭大丈夫か……と割と本気で心配になった。
三年の教室の前を通りかかったら誰もいないはずの教室内にナマエの姿があった。なにやってんの、と思わず声をかけると気だるげな動作で黒板へ指を向けた。日直、山原。ああ、なるほど。そう呟きながら足を踏み入れた。
あーだこーだ言いつつも順調に埋まっていく日誌。授業毎の欠席者の欄に【多分みんないた】【迅がいなかったかもしれない】【全員いたらいいなぁ】と適当に書いている所を除けば、だが。まあこの時期の三年生は登校日が少ないためにめんどくさがって足を運ばない生徒も少なからずいる。誰がいたか曖昧になるのも仕方ないのかもしれない。ああ、もしかしたら今は時間割通りに授業をやっていないのかもしれない。時間割は宛にならないのか、と思い直そうとしたが、やはり今日の記憶も残っていないのは普通にやばい。
「受験どうなんだよ」
「あ? 受かるでしょ楽勝楽勝」
本当か、という疑惑の目は隠せなかった。迅曰わく「テストは出来る」とのことだが普段の様子からは全く想像がつかない。受験すると決めたのも夏頃だったと言うしその夏から今に至るまで受験生らしいところは全く見なかった。……本当に大丈夫か。他人事なのに出水の胃の方がキリキリしてくる。だって「帰りに甘いもの食べて帰ろうぜ」と呑気に誘ってきた。勉強しろ。
申し出を即座に却下すると「バレンタイン限定スイーツって今日までなのに」と不満を返される。「人の楽しみを奪う気か!」何だか白熱してきた。
「来年行けばいいだろうが!」
「来年も楽しむために今年もいくんだよ!」
「受験勉強してろよ! 受験舐めんな!」
「一年坊主が受験語んな! 甘いものよこせ! 糖分がいるんだよ受験生は!」
机をバンバンしながら急に受験生アピールしてきたナマエに出水は「ああもう待ってろ!」と怒鳴り返しながら鞄を漁る。赤い文字で商品名が書かれたサクサクとした食感のチョコレートを取り出し「これでも食ってろ!」と無理やり渡す。袋が若干ぐしゃりとなったがそこはスルーした。渡されたナマエはぱちりと瞬きをし、チョコレートを裏返した。
「応援メッセージがない……」
「わがまま言うな」
「というか今日バレンタインなのに誰からも貰えなかったの?」
「やっぱそれ返せ」
伸ばした手は空振りに終わる。「大切に食べます」と言いつつもパキッという軽快な音がチョコレートから聞こえた。舌の根の乾かぬうちに……と出水が半目になっているとナマエは袋から割れたチョコレートを一つ取り出し、もう片方は「ほい」と袋ごと出水に渡してきた。
「仕方ないから師匠がバレンタイン気分を分けてあげよう」
「……いや、それもともとおれのだろ。バレンタイン舐めんな」
「バレンタインなんてチョコ食べとけばいいんだよ」
相変わらず言うことがめちゃくちゃだ。限定スイーツで騒いでいた人間の台詞ではない。あと若干偉そうなのもムカつく。
そう思いつつも半分に割ったチョコレートの味は悪くなかった。