番外編
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三門市民に絶大な信頼を置かれているボーダーだが、反暴力主義者というか、いわゆるボーダー嫌いな人達も一定数存在する。「あんな化け物を殺す武器を持っている集団など信用できるか!」とのことらしい。うーんと少し考え、手から爆発物出せる人って普通に嫌だなぁという感想が出た。普段考えなしに撃ってたわ。感覚麻痺してる。確かにボーダーって物騒だ。戦闘狂がいっぱいいるしトップの顔が凶悪だし個人ランク一位なんか強さをとったら餅しか残らない。ろくな集団ではないことは確かだ。まぁ皆が皆同じ考えは持てないよね、ということで「これから用事あるんで~」と退散しようとしたのだが無理だった。
「そんなことを言わずに正直なところ、どう思ってるんですかぁ?」
ニヤニヤとボイスレコーダーをもって私に質問してくる記者に心の中でため息をついた。この人はきっとボーダーのやり方が嫌いとかじゃなくて、あらを捜しているだけなんだろうなと思う。だって迅に仕返しをしようとしているときの私の顔もこんな感じになる。分かる分かる。人の弱みを握るのって楽しいよね。無駄な共感力を発揮しているが、今の状況はけっこう困っていた。
見た目だけの平和な日々が増えてからというものこういう系統の人間達からの攻撃が増えた。らしい。そういうのを担っているのは根付さんとか嵐山隊だから私はよく分からない。まあストレートに「なんで私の家族は助けてくれなかったの!」と非難されたことはあるけどそれとは毛色が全く違う。つまり対応が分からない。
ボーダーで問題を起こしそうなメンバー&すごく馬鹿な面子を集めてマスコミ対策なるものを根付さんがいる部署から指導されたことはあった。色々言ってたけど「とにかく話を聞くな、何も言うな、手を出すな」で締められた。もうしゃべっちゃったよ……その後はどうしたらいいの根付さん……もっとためになる指導して……「特に山原さん! あなたは古株の隊員なんですから注意してくださいね!」とか言われたけど忠告が忠告になってないよ……急に来たんだよ、注意もくそもなかったよ……
「君はB級隊員だよね。対応に不満とかないの? A級との身分格差とかあるんじゃない?」
なんかめちゃくちゃグイグイくる。普通は聞きにくいことめちゃくちゃ聞いてきて困る。給料上げてくれとか普通に文句あるから困る。口滑りそう。
「ボーダー隊員には家族や友人を失った人達も大勢いるそうだけど、復讐の機会を与えているという自覚はあるのかな。この法治国家で」
復讐という言葉で某三輪の顔が頭に浮かぶ。どう思いますか? と質問したらネイバーは敵だ……! と憎々しげに私に言ってきた。ここにあいつがいなくてよかった。いや分別はつけると思うけど、この記者は人の地雷の上でスキップしそうな性格してそうだから少し心配になった。
「城戸指令や忍田本部長の理想論については? あの二人の妄言に騙されているのではないんですか?」
本当に地雷踏んできたこの人。
へーへーと適当に聞いていた私の顔色が変わったことに気づいたのかニヤリと笑みを深くしていた。
「どんなに壮大な目標を掲げようとも若い命を戦いの道具にしていることに違いないでしょう?」
あなたはどう思いますか
そう聞いてきた記者にぎゅっとなっていた口をゆっくり開いた。
「トイレいってもいいですか?」
「…………は?」
****
この人さっきからトイレ行かせてくれないんですけど! 未成年捕まえてずっと離さないんですけどぉ! と大きな声で騒ぎ立てて周りの目がキツくなって記者が狼狽したところですかさず逃げた。ついて来ようとしていたが「トイレにまでついて来るんですか!!」と叫んだら周りの大人たちがどういうことかな、と怖い顔で記者を囲んでくれたので助かった。世の中捨てたもんじゃない。
「─ということがありました。何か面倒事になったらごめんね」
「………」
忍田さんは難しい顔をしている。またこいつは……と思われているに違いないので小言を言われる前に「お疲れだね、珈琲でもいれようか?」とご機嫌とりをする。すると忍田さんは席から立ち上がり、ツカツカと私の元へ歩いてきた。ああ……怒られる……と諦めて潔く両手を上げて降伏の意を示す。
だけど忍田さんは怒ることはせずにぽん、と私の頭に手を置いた。
「何か嫌なことを言われたのか」
普段だったら別に~と適当に返すけど、先ほど言われた台詞が頭に流れてしまい、そのまま言葉が出てしまった。
「うん、言われた、むかつくこと」
子どもみたいな言い方になったけど忍田さんはその事を指摘せずに「そうか」といってぽんぽんと頭をやさしく叩いた。
落ちつけ、とにかく落ちつけ
それが脳内に占めていた言葉だった。そうでもしないと何かとんでもないことしそうになった。笑えない感じのことを。何もしらないくせにと罵るだけじゃすまなかったから、あの場から立ち去れて本当に良かったと思う。あんなのの対応を根付さんはいつもしているのか。尊敬するかもしれない。多分三日ぐらいで忘れるけど。
「忍田さん」
「なんだ?」
「あんな記者の言葉聞いちゃ駄目だからね。城戸さんと忍田さんがいろいろ我慢して、頑張ってきたから、」
そこまでが限界だった。「あいつむかつく! にやにやしやがって迅のにやけ顔を見習えよ!! 私が閻魔になったら絶対地獄に落とす!」と意味の分からないことを泣き叫び、あまりの号泣っぷりに別室にいた響子ちゃんが乗り込んでくる騒ぎになった。迅の名前が上がっていたせいで「迅くんのせいなのね!」と響子ちゃんがアタッカー時代の目つきになってしまったために、それはもう大変だった。
「ナマエ」
「なに!」
「ありがとう」
それなのに忍田さんは一切曇りのない笑顔を浮かべるものだからなんだか毒気が抜けて「おうよ」と鼻をぐずぐずさせてそう返した。
「そんなことを言わずに正直なところ、どう思ってるんですかぁ?」
ニヤニヤとボイスレコーダーをもって私に質問してくる記者に心の中でため息をついた。この人はきっとボーダーのやり方が嫌いとかじゃなくて、あらを捜しているだけなんだろうなと思う。だって迅に仕返しをしようとしているときの私の顔もこんな感じになる。分かる分かる。人の弱みを握るのって楽しいよね。無駄な共感力を発揮しているが、今の状況はけっこう困っていた。
見た目だけの平和な日々が増えてからというものこういう系統の人間達からの攻撃が増えた。らしい。そういうのを担っているのは根付さんとか嵐山隊だから私はよく分からない。まあストレートに「なんで私の家族は助けてくれなかったの!」と非難されたことはあるけどそれとは毛色が全く違う。つまり対応が分からない。
ボーダーで問題を起こしそうなメンバー&すごく馬鹿な面子を集めてマスコミ対策なるものを根付さんがいる部署から指導されたことはあった。色々言ってたけど「とにかく話を聞くな、何も言うな、手を出すな」で締められた。もうしゃべっちゃったよ……その後はどうしたらいいの根付さん……もっとためになる指導して……「特に山原さん! あなたは古株の隊員なんですから注意してくださいね!」とか言われたけど忠告が忠告になってないよ……急に来たんだよ、注意もくそもなかったよ……
「君はB級隊員だよね。対応に不満とかないの? A級との身分格差とかあるんじゃない?」
なんかめちゃくちゃグイグイくる。普通は聞きにくいことめちゃくちゃ聞いてきて困る。給料上げてくれとか普通に文句あるから困る。口滑りそう。
「ボーダー隊員には家族や友人を失った人達も大勢いるそうだけど、復讐の機会を与えているという自覚はあるのかな。この法治国家で」
復讐という言葉で某三輪の顔が頭に浮かぶ。どう思いますか? と質問したらネイバーは敵だ……! と憎々しげに私に言ってきた。ここにあいつがいなくてよかった。いや分別はつけると思うけど、この記者は人の地雷の上でスキップしそうな性格してそうだから少し心配になった。
「城戸指令や忍田本部長の理想論については? あの二人の妄言に騙されているのではないんですか?」
本当に地雷踏んできたこの人。
へーへーと適当に聞いていた私の顔色が変わったことに気づいたのかニヤリと笑みを深くしていた。
「どんなに壮大な目標を掲げようとも若い命を戦いの道具にしていることに違いないでしょう?」
あなたはどう思いますか
そう聞いてきた記者にぎゅっとなっていた口をゆっくり開いた。
「トイレいってもいいですか?」
「…………は?」
****
この人さっきからトイレ行かせてくれないんですけど! 未成年捕まえてずっと離さないんですけどぉ! と大きな声で騒ぎ立てて周りの目がキツくなって記者が狼狽したところですかさず逃げた。ついて来ようとしていたが「トイレにまでついて来るんですか!!」と叫んだら周りの大人たちがどういうことかな、と怖い顔で記者を囲んでくれたので助かった。世の中捨てたもんじゃない。
「─ということがありました。何か面倒事になったらごめんね」
「………」
忍田さんは難しい顔をしている。またこいつは……と思われているに違いないので小言を言われる前に「お疲れだね、珈琲でもいれようか?」とご機嫌とりをする。すると忍田さんは席から立ち上がり、ツカツカと私の元へ歩いてきた。ああ……怒られる……と諦めて潔く両手を上げて降伏の意を示す。
だけど忍田さんは怒ることはせずにぽん、と私の頭に手を置いた。
「何か嫌なことを言われたのか」
普段だったら別に~と適当に返すけど、先ほど言われた台詞が頭に流れてしまい、そのまま言葉が出てしまった。
「うん、言われた、むかつくこと」
子どもみたいな言い方になったけど忍田さんはその事を指摘せずに「そうか」といってぽんぽんと頭をやさしく叩いた。
落ちつけ、とにかく落ちつけ
それが脳内に占めていた言葉だった。そうでもしないと何かとんでもないことしそうになった。笑えない感じのことを。何もしらないくせにと罵るだけじゃすまなかったから、あの場から立ち去れて本当に良かったと思う。あんなのの対応を根付さんはいつもしているのか。尊敬するかもしれない。多分三日ぐらいで忘れるけど。
「忍田さん」
「なんだ?」
「あんな記者の言葉聞いちゃ駄目だからね。城戸さんと忍田さんがいろいろ我慢して、頑張ってきたから、」
そこまでが限界だった。「あいつむかつく! にやにやしやがって迅のにやけ顔を見習えよ!! 私が閻魔になったら絶対地獄に落とす!」と意味の分からないことを泣き叫び、あまりの号泣っぷりに別室にいた響子ちゃんが乗り込んでくる騒ぎになった。迅の名前が上がっていたせいで「迅くんのせいなのね!」と響子ちゃんがアタッカー時代の目つきになってしまったために、それはもう大変だった。
「ナマエ」
「なに!」
「ありがとう」
それなのに忍田さんは一切曇りのない笑顔を浮かべるものだからなんだか毒気が抜けて「おうよ」と鼻をぐずぐずさせてそう返した。