番外編
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・未来の話
友人にもらったという枕をみせてもらうまではよかった。「二個あるから一個京介用にする」というので少しうん? とはなったのだ。枕を複数個プレゼントするなんて聞いたことがなかったからだ。それでも京介用という響きの可愛さに流されてよくよく考える事をしなかった。だから今こうやって悩まされている。
「ピンクと青どっちがいい?」
「………………」
「ピンクのがなんか面白いからピンクにしてほしい」
「………………」
無言を通す烏丸に不思議そうに首を傾げるナマエ。その両手にはでかでかと「YES」「NO」とかかれたピンクと青の枕。……誰だこんなのプレゼントしたバカは。通じてないぞ、なんなら普通にデザインの一種だと思ってるぞくそったれ。そんな心情のもとなんて返すか悩む烏丸。気持ち的には圧倒的にピンクで行きたいが、使うより使って欲しいのがピンクの枕だ。たとえ相手に伝わってないとしても。
なので青の枕のするりと腕の中から抜く。「えーピンクでいっとこうよ」とやや不満げなナマエにピンクでいきたいですけど、と内心返してNOが見えないようにして腕に収めた。NOはなしな気分だ。
「……これ誰にもらったんだ?」
「大学の友達」
バカがというべきかナイスというべきか絶妙に困るものをプレゼントしてしまったナマエの友人。ボーダー関係ではなさそうなのでそれだけはよかった。ボーダーの人間にはナマエとのあれこれを想像されるだけで業腹だ。
「どんな友達なんだ?」
「うーん、野次馬が得意な賑やかかんじ」
「ああ、得意そうだな」
「え、どこで判断した?」
YES、NO枕の全てである。
「俺とのことで相談とかしたか?」
「うん?」
「セックスのことで相談するのは俺だけにしてほしい」
「セックスの相談なんか友達にできるかばか!」
下の話はしたことがないようだ。なら独断専行か。不機嫌になったナマエをあやしながらこの枕の意味を教えるかどうか迷う。数日使わせておいて伝えるというあとから絶対に怒られる方法をとりたいが、反応がみたいという理由でわざわざ怒らせる方にいくのもなんだかあれである。
そもそもなぜ知らないんだという疑問は何だかんだいって過保護な支部長達の顔と、まあまあ分かりやすく過保護な迅の顔を思い浮かべて納得した。性別も違うとなるとその辺の知識の手はつけられなかったんだろう。それはこれまでの付き合いから分かっていた。下世話なジョークグッズが理解の範疇に入ってないのは友人からしてみれば誤算だっただろうが。
いや、渡すときの反応から察したはずだ。絶対に枕二個? ありがとう~くらいの反応だったはずだ。つまりナマエの友人は遠まわしに烏丸の対応を楽しんでいるということになる。一気にナマエの友人がイヤになった烏丸だった。
「この枕つかうのか?」
「うん。ちゃんと干したからふかふかだよ」
干しちゃったのか……顔を覆いたくなった。人事だったらどこのバカップルだと思うが、それが自分となると考えるのを放棄したくなる。そしてナマエに意味を伝えにくくなってしまった。もし伝えたら頭をかかえて恥ずかしがって一週間は引きずるだろう。どうしたものか。
そうこう考えている内にナマエがYES枕に頭を置いてくつろぎ始めた。なんだかそわそわしてしまう自分がアホらしくて少しイヤになる。が、これは反射みたいなものだ。仕方ないと自分を慰めて隣に並ぶ。
ふわりと香ってくる同じシャンプーの匂い。落ちついたり劣情をそそられたりと振り幅が広いそれ。今回は落ちつく方だった。よかった。これで煽られたらしてやられた気分になる。烏丸にとってまだ観ぬナマエの友達Aはすでに敵扱いされていた。
「ふふ。お揃いの枕ってなんかいいね。夫婦みたい」
「………………そうだな」
それなのに当の本人は可愛いことを言うのだから。違う。これは枕のせいじゃない。ナマエのせいだと心の中で言い訳をしまくってから、唇を塞いだ。そんな雰囲気だった? と顔が言っている。そんな雰囲気にしたんだ。勝手にそう返して深く口を合わせる。ギブアップの声は無視した。
友人にもらったという枕をみせてもらうまではよかった。「二個あるから一個京介用にする」というので少しうん? とはなったのだ。枕を複数個プレゼントするなんて聞いたことがなかったからだ。それでも京介用という響きの可愛さに流されてよくよく考える事をしなかった。だから今こうやって悩まされている。
「ピンクと青どっちがいい?」
「………………」
「ピンクのがなんか面白いからピンクにしてほしい」
「………………」
無言を通す烏丸に不思議そうに首を傾げるナマエ。その両手にはでかでかと「YES」「NO」とかかれたピンクと青の枕。……誰だこんなのプレゼントしたバカは。通じてないぞ、なんなら普通にデザインの一種だと思ってるぞくそったれ。そんな心情のもとなんて返すか悩む烏丸。気持ち的には圧倒的にピンクで行きたいが、使うより使って欲しいのがピンクの枕だ。たとえ相手に伝わってないとしても。
なので青の枕のするりと腕の中から抜く。「えーピンクでいっとこうよ」とやや不満げなナマエにピンクでいきたいですけど、と内心返してNOが見えないようにして腕に収めた。NOはなしな気分だ。
「……これ誰にもらったんだ?」
「大学の友達」
バカがというべきかナイスというべきか絶妙に困るものをプレゼントしてしまったナマエの友人。ボーダー関係ではなさそうなのでそれだけはよかった。ボーダーの人間にはナマエとのあれこれを想像されるだけで業腹だ。
「どんな友達なんだ?」
「うーん、野次馬が得意な賑やかかんじ」
「ああ、得意そうだな」
「え、どこで判断した?」
YES、NO枕の全てである。
「俺とのことで相談とかしたか?」
「うん?」
「セックスのことで相談するのは俺だけにしてほしい」
「セックスの相談なんか友達にできるかばか!」
下の話はしたことがないようだ。なら独断専行か。不機嫌になったナマエをあやしながらこの枕の意味を教えるかどうか迷う。数日使わせておいて伝えるというあとから絶対に怒られる方法をとりたいが、反応がみたいという理由でわざわざ怒らせる方にいくのもなんだかあれである。
そもそもなぜ知らないんだという疑問は何だかんだいって過保護な支部長達の顔と、まあまあ分かりやすく過保護な迅の顔を思い浮かべて納得した。性別も違うとなるとその辺の知識の手はつけられなかったんだろう。それはこれまでの付き合いから分かっていた。下世話なジョークグッズが理解の範疇に入ってないのは友人からしてみれば誤算だっただろうが。
いや、渡すときの反応から察したはずだ。絶対に枕二個? ありがとう~くらいの反応だったはずだ。つまりナマエの友人は遠まわしに烏丸の対応を楽しんでいるということになる。一気にナマエの友人がイヤになった烏丸だった。
「この枕つかうのか?」
「うん。ちゃんと干したからふかふかだよ」
干しちゃったのか……顔を覆いたくなった。人事だったらどこのバカップルだと思うが、それが自分となると考えるのを放棄したくなる。そしてナマエに意味を伝えにくくなってしまった。もし伝えたら頭をかかえて恥ずかしがって一週間は引きずるだろう。どうしたものか。
そうこう考えている内にナマエがYES枕に頭を置いてくつろぎ始めた。なんだかそわそわしてしまう自分がアホらしくて少しイヤになる。が、これは反射みたいなものだ。仕方ないと自分を慰めて隣に並ぶ。
ふわりと香ってくる同じシャンプーの匂い。落ちついたり劣情をそそられたりと振り幅が広いそれ。今回は落ちつく方だった。よかった。これで煽られたらしてやられた気分になる。烏丸にとってまだ観ぬナマエの友達Aはすでに敵扱いされていた。
「ふふ。お揃いの枕ってなんかいいね。夫婦みたい」
「………………そうだな」
それなのに当の本人は可愛いことを言うのだから。違う。これは枕のせいじゃない。ナマエのせいだと心の中で言い訳をしまくってから、唇を塞いだ。そんな雰囲気だった? と顔が言っている。そんな雰囲気にしたんだ。勝手にそう返して深く口を合わせる。ギブアップの声は無視した。