番外編
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普段からロクな事をしない割に、ナマエからエイプリルフールに何かされた記憶がなかった。イベント事は好む質をしているので嘘をついていい日なんて絶好の機会ではないか。そう言うとやや苦い顔をされた。
「嘘ついていいって言われるとなんか逆に萎える」
あまのじゃくだろうか。だが納得がいった。普段から毒にも薬にもならない、後先考えていない適当な嘘をつくような人間だ。あまり頓着するような日でもないのだろう。
「日ごろから嘘ついてる人には極々普通の日なんですね」
「人を嘘つき常習犯みたいに言うな」
その自覚もなかったらしい。自分が言えたことではないが、ナマエは玉狛支部で暮らしていた時期には小南に対してほぼ毎日適当なくだらない嘘をついていた。「桜餅ってなんで葉にくるんであるのかしら」「桜餅太郎っていう桜餅の制作者の優しさだよ。手が汚れないようにって」「えっそうなのね。少し邪魔くさいと思ってたわ……」「葉っぱは大事なんだよ小南」「そうね。これからはそう思えるわ」「まあ嘘なんだけどさ。なんであるんだろうね」「!? ナマエーッ!」本当に毒にも薬にもならない。小南の反応が面白いからやってしまうのは分かるが。
「でもエイプリルフールにやるくだらない催しとか好きだよ。日本平和だなって思うもん」
「ああ、それは何となく分かります」
「えっそうなの? 「下らないことやりやがってこの凡人どもが」とか思ってそう」
「俺のこと何だと思ってるんですか?」
生きてきて一回も発したことのない台詞だ。ナマエに対してもそんな態度は一度もとったことはない。そう言うと「割と頻繁に「この人大丈夫かな」って目するの気づいてるからな」と憤られた。三拍ほど間を置いて「それは仕方ないでしょ」と返すと腰辺りをチョップされた。
そんなやり取りをしてしばらくして。時計の針があと15分ほどで12時を指す頃になって「お腹すいた」とナマエが呟いた。
「レタス炒飯が食べたい」
だらけていた身体をゴロンとこちらに向けて言うナマエ。烏丸が何も言わずに視線を合わせたままでいると再び「レタス炒飯」と一言述べた。
「……レタスありましたか?」
「やった! あるよ!」
身体を起こしてキッチンへ向かうナマエに口角が上がる。男女逆ではないかと思わないわけでもないが、鼻歌を歌いながら冷凍庫からご飯を取り出し、電子レンジに入れるナマエの姿は見ていて楽しいし飽きない。
「お礼にお湯を沸かして注ぐ役するね」
「インスタントのスープってまだありましたっけ」
「あるよ!」
玉狛の台所事情をよく知っているなと思いつつ、冷蔵庫からレタスや卵を取り出す。炒飯なんて10分あれば作れる。大した手間でもない。これだけでご機嫌なナマエを見れるなら安いものだった。油を熱したフライパンに卵を入れ、ご飯を続けて焼いているのを隣でにこにこしながら見ているナマエを見てそう思う。
「このくらいだったら何時でも作ってあげますよ」
「やった」
「十年でも二十年でも」
「夫婦かよ」
軽いテンポで続いた言葉に「それでもいいですけど」と同じく軽いテンポになるように返した。
「…………エイプリルフールか! あーびっくりした」
「…………」
時計の針はまだ12時には到達していなかった。軽く聞こえるように言った自分を棚に置いて、エイプリルフールなんて下らない日だなと心中で毒づいた。
「嘘ついていいって言われるとなんか逆に萎える」
あまのじゃくだろうか。だが納得がいった。普段から毒にも薬にもならない、後先考えていない適当な嘘をつくような人間だ。あまり頓着するような日でもないのだろう。
「日ごろから嘘ついてる人には極々普通の日なんですね」
「人を嘘つき常習犯みたいに言うな」
その自覚もなかったらしい。自分が言えたことではないが、ナマエは玉狛支部で暮らしていた時期には小南に対してほぼ毎日適当なくだらない嘘をついていた。「桜餅ってなんで葉にくるんであるのかしら」「桜餅太郎っていう桜餅の制作者の優しさだよ。手が汚れないようにって」「えっそうなのね。少し邪魔くさいと思ってたわ……」「葉っぱは大事なんだよ小南」「そうね。これからはそう思えるわ」「まあ嘘なんだけどさ。なんであるんだろうね」「!? ナマエーッ!」本当に毒にも薬にもならない。小南の反応が面白いからやってしまうのは分かるが。
「でもエイプリルフールにやるくだらない催しとか好きだよ。日本平和だなって思うもん」
「ああ、それは何となく分かります」
「えっそうなの? 「下らないことやりやがってこの凡人どもが」とか思ってそう」
「俺のこと何だと思ってるんですか?」
生きてきて一回も発したことのない台詞だ。ナマエに対してもそんな態度は一度もとったことはない。そう言うと「割と頻繁に「この人大丈夫かな」って目するの気づいてるからな」と憤られた。三拍ほど間を置いて「それは仕方ないでしょ」と返すと腰辺りをチョップされた。
そんなやり取りをしてしばらくして。時計の針があと15分ほどで12時を指す頃になって「お腹すいた」とナマエが呟いた。
「レタス炒飯が食べたい」
だらけていた身体をゴロンとこちらに向けて言うナマエ。烏丸が何も言わずに視線を合わせたままでいると再び「レタス炒飯」と一言述べた。
「……レタスありましたか?」
「やった! あるよ!」
身体を起こしてキッチンへ向かうナマエに口角が上がる。男女逆ではないかと思わないわけでもないが、鼻歌を歌いながら冷凍庫からご飯を取り出し、電子レンジに入れるナマエの姿は見ていて楽しいし飽きない。
「お礼にお湯を沸かして注ぐ役するね」
「インスタントのスープってまだありましたっけ」
「あるよ!」
玉狛の台所事情をよく知っているなと思いつつ、冷蔵庫からレタスや卵を取り出す。炒飯なんて10分あれば作れる。大した手間でもない。これだけでご機嫌なナマエを見れるなら安いものだった。油を熱したフライパンに卵を入れ、ご飯を続けて焼いているのを隣でにこにこしながら見ているナマエを見てそう思う。
「このくらいだったら何時でも作ってあげますよ」
「やった」
「十年でも二十年でも」
「夫婦かよ」
軽いテンポで続いた言葉に「それでもいいですけど」と同じく軽いテンポになるように返した。
「…………エイプリルフールか! あーびっくりした」
「…………」
時計の針はまだ12時には到達していなかった。軽く聞こえるように言った自分を棚に置いて、エイプリルフールなんて下らない日だなと心中で毒づいた。