本編
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夜間任務を終えて本部の仮眠室で睡眠をとって食事もとってモニター室に向かう。昨日朝早かったからお日様に当たった時間が少ない。ひなたぼっこしてくればよかった。
「!」
「ナマエさんお疲れさまです」
「お、おつかれ」
烏丸……というか玉狛第一も同じシフトだったらしい。小南もいる。……なんか小南そわそわしてない? 気のせい?
首を傾げてると烏丸は私の視線の先にいる小南に気づいて「ああ」と納得したような声を出した。いや、そちらで納得されてもわからんよ。
「師匠」
「出水」
振り返ると出水がいた。何故か深刻そうな顔をしている。なんだなんだ。
「どうかした? てか朝からシフトだったなら交代じゃないの?」
「……………」
「出水?」
「趣味が悪りぃ」
顔を上げて一念発起したみたいな顔して言ったのが「趣味が悪い」何の話ですか? となっていたら何故か烏丸が一歩足を進めた。
「趣味が合わないだけです」
「絶対に違ぇ! つーかマジなのか!?」
「マジですよ」
「嘘だろ!?」
「えーやっぱりあの話本当だったのか」
「雪丸」
「よっ京介」
「登場人物増やすな。余計に意味が分からん」
「ナマエさんお疲れさまー」
「マイペースだなおまえお疲れさま」
一条まで現れてカオスになってきた。とりあえずどれでも良いから回収しろ。奥にいた片桐を発見したのでジェスチャーでそう伝えると苦笑された。笑ってねーで回収しろおまえの幼なじみ。
「いやー最初聞いたときはびっくりしたけど並んでる姿みたら意外にありだな」
「どこがだよ雪丸!」
「出水先輩はナマエさんとられるのが嫌なだけでしょ」
「はあ!? いらねえよ師匠なんて!」
「やっと分かった。おまえ私にケンカ売りにきてたんだな」
なんで会って早々にケンカ売られなきゃ行けないのかが分からない。とりあえずデコピンしとくか。デコをもっと出せ出水。
腕を振って準備体操をしていると振っていた方の腕を掴まれる。烏丸だった。ちょっとびっくりした。ちょっとだけ。
「まあ落ちついてください」
「デコピンするだけですけど」
「出水先輩も混乱してるんすよ」
「混乱しながらケンカ売るの逆に器用じゃない?」
「出水先輩も慣れてください。俺は諦める気ないんで」
「おまっ! おまえ……!」
「また分からない話になったんですけど一条さん」
「分かんないほうが平和かもしんない」
「まじかよ」
ならいいや。
そんなかんじで演習二日目審査官シフトが始まった。
***
二日目の演習シミュも水上がひとりでやってるのが話題になってた。水上戦法ありかなしかのログみたら小南がめっちゃ怒ってた。小南はこういうのやだよね。私は加点しとこ。今ちゃんと荒船いるし大丈夫そうだし。照屋ちゃん黙らせたのは好かんけど。唯我なら誰もここまで気にしない? それはそう。
というかひとりでやって5勝0敗5引き分けはやりすぎだろ。どんな頭してるのあいつ。それに課題の分もプラスされるから水上隊やばいことになるな。でもさすがに三日目はユニット増えたらひとりじゃ無理だろうし。揉めるかな?
そう思ってたときだった。香取ちゃんの電池が切れた。
『もしも~し香取葉子さ~ん』
『おれらの声届いてへんのかな?』
『返事しないとくすぐっちゃうよ~』
『う○こ。う○こう○こ』
「う○こはだめよ香取ちゃん」
減点。
「意志疎通の余地なしだろう」
「一緒じゃない?」
「理由はちゃんと書くんだぞ」
私が『減点。う○こ』だけ書くと思ってるのかレイジさん。上層部が二度見するわ。
それからご飯つくってる最中も香取ちゃんの電源スイッチは入んなかった。というかご飯後の話し合いでも話に入らず最終的に「寝るわ」といって個室に入ってしまった。なにがそうさせるのか。
修くんが香取隊のメンバーと連絡をとって対策を聞いてるようだ。その結果、宇井ちゃんが食べ物で釣っている。野生の猫ちゃんじゃないんだから。
『ほらほらこのマグカップもかわいかろ?』
『あと香取の気を引けそうなもんっつったら……』
『パッと思いつくんは烏丸くんですかねえ』
ガタン
「ナマエ? なんだ今の音は」
「小指打った。大丈夫、トリオン体だから」
「……ならいいが」
***
『香取ちゃんて烏丸くんのファンガールやねん。本人も隠す気ないレベルで有名な話やで』
『えっそうなんですか!?』
『三雲くん、玉狛なのに知らへんの? 本部に烏丸くんのファンめっちゃおんねんで? 烏丸くんが玉狛に移ったんは城戸派、忍田派を烏丸派が脅かすからやとか。当時まとこしやかにウワサされててん』
『そんなめちゃくちゃな……』
『三雲おめー京介の弟子だろ。やる気だしたらデートさせてやるとかあとで京介に頼めねーのか?』
『いやまあそのくらい別にやってみてもいいですけど……』
『マジで?』
『香取が立った……!』
『マジのマジ? 絶対の絶対の絶対?』
『えーと、その、はい』
『はいって言った! はいって言ったからね! 聞いたわね!? 聞いたでしょ!?』
『聞いてもうたなぁ』
「あんた……弟子に売られたわよ」
「修たちの遠征の為ならまあ……」
そこで視線を感じた。顔を動かすと隣のブースで座っていたはずのナマエが椅子を引いてこっちを見ていた。……しまったか、これは。
「ふーーん」
「聞いて下さいナマエさん」
「聞いてましたよデートなさるんですってね」
「そのしゃべり方やめてください。デートというか、食事くらいならって思っただけです」
「デートで食事だけですむパターンあるんですか?」
「たくさんあるでしょ、というかナマエさんとの方が一緒に食事してますし」
「あれもデートになるの?」
「俺的にはデートです」
「じゃあ香取ちゃんとのやつもデートじゃん」
「心境が違います心境が」
浮気でもしたのかしら? 烏丸くんはという加古の声が耳まで届いた。未遂です。いや、烏丸的にはデートじゃない。食事だ。デートは気持ちがあってのものだろう。……この理屈なら香取的にはたんなる食事でもデートである。しまった完全に分が悪い。ヤキモチ可愛いとか思ってる場合じゃない。
「…………いってらっしゃい」
いや、まだ行くって決まってないのだが。しかも選抜終わってもいない。
完全にしょんぼりさせてしまった。「修くんたちの為だもんね」しかも聞き分けもよくなっている。待った。待ってくれ。この対応をミスったら烏丸の生命線は断ち切られる。そんな予感がした。
「……ラウンジで修も挟んで食事はどうですか」
「…………………修くんも?」
「はい。隣に修を置いておきます。絶対に」
「…………香取ちゃん納得しないと思う」
「説得しますから絶対に」
「………………」
無言はやめてくれ。
内心冷や汗をかきながら必死で祈る。そして同時に逆のパターンだったら俺は許していないなと完全に棚に上げた。
「……わかった」
「!」
「修くんもいるなら」
「ありがとうございます」
「うん」
ホッと息を付く。なんとか生命線は繋ぎとめられたらしい。
心から安心した烏丸としぶしぶ納得したナマエは気づかなかったが他の審査官をやっていた面々は「なんでこいつら付き合ってないんだ?」と疑問に思ったらしい。全くである。
「!」
「ナマエさんお疲れさまです」
「お、おつかれ」
烏丸……というか玉狛第一も同じシフトだったらしい。小南もいる。……なんか小南そわそわしてない? 気のせい?
首を傾げてると烏丸は私の視線の先にいる小南に気づいて「ああ」と納得したような声を出した。いや、そちらで納得されてもわからんよ。
「師匠」
「出水」
振り返ると出水がいた。何故か深刻そうな顔をしている。なんだなんだ。
「どうかした? てか朝からシフトだったなら交代じゃないの?」
「……………」
「出水?」
「趣味が悪りぃ」
顔を上げて一念発起したみたいな顔して言ったのが「趣味が悪い」何の話ですか? となっていたら何故か烏丸が一歩足を進めた。
「趣味が合わないだけです」
「絶対に違ぇ! つーかマジなのか!?」
「マジですよ」
「嘘だろ!?」
「えーやっぱりあの話本当だったのか」
「雪丸」
「よっ京介」
「登場人物増やすな。余計に意味が分からん」
「ナマエさんお疲れさまー」
「マイペースだなおまえお疲れさま」
一条まで現れてカオスになってきた。とりあえずどれでも良いから回収しろ。奥にいた片桐を発見したのでジェスチャーでそう伝えると苦笑された。笑ってねーで回収しろおまえの幼なじみ。
「いやー最初聞いたときはびっくりしたけど並んでる姿みたら意外にありだな」
「どこがだよ雪丸!」
「出水先輩はナマエさんとられるのが嫌なだけでしょ」
「はあ!? いらねえよ師匠なんて!」
「やっと分かった。おまえ私にケンカ売りにきてたんだな」
なんで会って早々にケンカ売られなきゃ行けないのかが分からない。とりあえずデコピンしとくか。デコをもっと出せ出水。
腕を振って準備体操をしていると振っていた方の腕を掴まれる。烏丸だった。ちょっとびっくりした。ちょっとだけ。
「まあ落ちついてください」
「デコピンするだけですけど」
「出水先輩も混乱してるんすよ」
「混乱しながらケンカ売るの逆に器用じゃない?」
「出水先輩も慣れてください。俺は諦める気ないんで」
「おまっ! おまえ……!」
「また分からない話になったんですけど一条さん」
「分かんないほうが平和かもしんない」
「まじかよ」
ならいいや。
そんなかんじで演習二日目審査官シフトが始まった。
***
二日目の演習シミュも水上がひとりでやってるのが話題になってた。水上戦法ありかなしかのログみたら小南がめっちゃ怒ってた。小南はこういうのやだよね。私は加点しとこ。今ちゃんと荒船いるし大丈夫そうだし。照屋ちゃん黙らせたのは好かんけど。唯我なら誰もここまで気にしない? それはそう。
というかひとりでやって5勝0敗5引き分けはやりすぎだろ。どんな頭してるのあいつ。それに課題の分もプラスされるから水上隊やばいことになるな。でもさすがに三日目はユニット増えたらひとりじゃ無理だろうし。揉めるかな?
そう思ってたときだった。香取ちゃんの電池が切れた。
『もしも~し香取葉子さ~ん』
『おれらの声届いてへんのかな?』
『返事しないとくすぐっちゃうよ~』
『う○こ。う○こう○こ』
「う○こはだめよ香取ちゃん」
減点。
「意志疎通の余地なしだろう」
「一緒じゃない?」
「理由はちゃんと書くんだぞ」
私が『減点。う○こ』だけ書くと思ってるのかレイジさん。上層部が二度見するわ。
それからご飯つくってる最中も香取ちゃんの電源スイッチは入んなかった。というかご飯後の話し合いでも話に入らず最終的に「寝るわ」といって個室に入ってしまった。なにがそうさせるのか。
修くんが香取隊のメンバーと連絡をとって対策を聞いてるようだ。その結果、宇井ちゃんが食べ物で釣っている。野生の猫ちゃんじゃないんだから。
『ほらほらこのマグカップもかわいかろ?』
『あと香取の気を引けそうなもんっつったら……』
『パッと思いつくんは烏丸くんですかねえ』
ガタン
「ナマエ? なんだ今の音は」
「小指打った。大丈夫、トリオン体だから」
「……ならいいが」
***
『香取ちゃんて烏丸くんのファンガールやねん。本人も隠す気ないレベルで有名な話やで』
『えっそうなんですか!?』
『三雲くん、玉狛なのに知らへんの? 本部に烏丸くんのファンめっちゃおんねんで? 烏丸くんが玉狛に移ったんは城戸派、忍田派を烏丸派が脅かすからやとか。当時まとこしやかにウワサされててん』
『そんなめちゃくちゃな……』
『三雲おめー京介の弟子だろ。やる気だしたらデートさせてやるとかあとで京介に頼めねーのか?』
『いやまあそのくらい別にやってみてもいいですけど……』
『マジで?』
『香取が立った……!』
『マジのマジ? 絶対の絶対の絶対?』
『えーと、その、はい』
『はいって言った! はいって言ったからね! 聞いたわね!? 聞いたでしょ!?』
『聞いてもうたなぁ』
「あんた……弟子に売られたわよ」
「修たちの遠征の為ならまあ……」
そこで視線を感じた。顔を動かすと隣のブースで座っていたはずのナマエが椅子を引いてこっちを見ていた。……しまったか、これは。
「ふーーん」
「聞いて下さいナマエさん」
「聞いてましたよデートなさるんですってね」
「そのしゃべり方やめてください。デートというか、食事くらいならって思っただけです」
「デートで食事だけですむパターンあるんですか?」
「たくさんあるでしょ、というかナマエさんとの方が一緒に食事してますし」
「あれもデートになるの?」
「俺的にはデートです」
「じゃあ香取ちゃんとのやつもデートじゃん」
「心境が違います心境が」
浮気でもしたのかしら? 烏丸くんはという加古の声が耳まで届いた。未遂です。いや、烏丸的にはデートじゃない。食事だ。デートは気持ちがあってのものだろう。……この理屈なら香取的にはたんなる食事でもデートである。しまった完全に分が悪い。ヤキモチ可愛いとか思ってる場合じゃない。
「…………いってらっしゃい」
いや、まだ行くって決まってないのだが。しかも選抜終わってもいない。
完全にしょんぼりさせてしまった。「修くんたちの為だもんね」しかも聞き分けもよくなっている。待った。待ってくれ。この対応をミスったら烏丸の生命線は断ち切られる。そんな予感がした。
「……ラウンジで修も挟んで食事はどうですか」
「…………………修くんも?」
「はい。隣に修を置いておきます。絶対に」
「…………香取ちゃん納得しないと思う」
「説得しますから絶対に」
「………………」
無言はやめてくれ。
内心冷や汗をかきながら必死で祈る。そして同時に逆のパターンだったら俺は許していないなと完全に棚に上げた。
「……わかった」
「!」
「修くんもいるなら」
「ありがとうございます」
「うん」
ホッと息を付く。なんとか生命線は繋ぎとめられたらしい。
心から安心した烏丸としぶしぶ納得したナマエは気づかなかったが他の審査官をやっていた面々は「なんでこいつら付き合ってないんだ?」と疑問に思ったらしい。全くである。