本編
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なんだ今のは。
モニター室に蔓延した甘ったるい雰囲気。それを醸し出しているのは烏丸とナマエ。あの烏丸とあのナマエ。三輪は見間違いかと数回瞬きした。
「ちょっとちょっと! 今のなによ!」
烏丸に突っ込んでいったのは小南だった。烏丸の片腕をブンブン引っ張って訊ねている。
「今のってなにがですか」
「ナマエのほっぺた触ってたじゃない! 頭も撫でてたし! ナマエなぜか嫌がらないし! いい雰囲気だった!」
「ああ」
そのことか。そう言わんばかりのあっさりとした反応に小南はヒートアップした。「なんなのよ!」と。するとまたしてもあっさりとした口調で烏丸が口を開く。
「今口説いてる最中なんで」
「く、口説く!? ……とりまる、ナマエのことす、好きなの!?」
「はい。言ってませんでしたっけ?」
「聞いてないわよ!」
とぼけたように言う烏丸に小南は噛みつきながらも照れた様子でツッコむ。ええー!? と顔が賑わっていた。一方で色んな面々も賑わっていた。小南の声が大きかったのでフロント全体に響き渡っていたのである。
「烏丸が姉さんをねえ……こりゃ面白くなりそうだな」
「烏丸苦労しそうだなぁ」
「もう苦労はしてるだろきっと」
当真と冬島はどこか達観したように。
「とりまるくん! ナマエさんのこと好きって本当!? わー! これは一大事だ!」
「よくもまあこんな大勢の前で堂々と……」
「年の差恋愛燃える!」
「ある意味チャレンジャーね」
宇佐美は興奮した様子で、人見はびっくりした様子で。真木は冷静に。
「趣味がどうかしてる」
「あらそう? お似合いだと思うわ」
「月見さんは山原さんの友人だからそう見えるだけでしょう」
「ナマエの良いところ三輪くんも知ってるでしょう?」
「…………」
三輪はどん引きした顔で。月見はにこやかに微笑んで。
「京介くんったら大胆ね」
「は、はいそうですね」
「ふふ、いいわねこういう関係って」
ゆりは微笑ましげに。レイジは緊張した様子で。これはまた別件である。
とまあモニター室は混沌を極めていた。
その混沌を作った張本人はというと平然とした顔でモニターブースに座った。肝が座りすぎである。続けて小南が慌てた様子で隣に座る。
「ちょっと! 話まだ終わってないんだけど!」
「これ以上何話せばいいんすか。とりあえず友達以上恋人未満ってことぐらいしか話せませんよ」
「結構進んでるじゃない!」
「そうですか?」
烏丸は内心まだ物足りないと思っているので小南の言葉に不服そうに返した。
「ナマエが……! ナマエがとりまるにとられちゃう!」
「そこは聞き捨てならないすね。小南先輩のものじゃないでしょ」
「そうだけど寂しいじゃない!」
これナマエに聞かれたら喜ぶな。絶対に聞かせないようにしよう。烏丸は心に誓った。
「まあ今は繊細な時期なのでナマエさんの前ではあまり騒がないようにしてくださいね。びっくりしてどっか行きそうなので」
騒がせた張本人がぬけぬけと話し出す。ナマエを小動物かなにかに例えて小南の良心を誘う作戦である。ちなみにばっちり効いた。
「ただでさえふらふらしてるのに行方眩まされたらたまったもんじゃないわ!」
「はい。なので基本的に俺たちのことは放っておいてくださいね」
「わかった!」
ちょろいぞ小南。モニター室にいる全員からそうツッコまれた。
そして放っておいてほしいと言いながらも黙ってほしいとは言わないあたりいい性格してると真木は思った。つまり適度に曖昧な噂を流して牽制したいのだろう。あの烏丸京介があの山原ナマエを好きかもしれない。ナマエが万人に好かれるキャラかどうかは置いておいて、まあもし恋心を抱いていた人間がいたら諦めるだろう。烏丸が相手なのだから、と。ナマエは行動範囲が広いので色んな人間と知り合いなのだ。その点を懸念したのだろう。
もう一方でナマエのことを人として好きだと思ってる人間ならば適当な、つまり口の軽い人間にはこの場で起こった出来事の詳細は話さないだろう。烏丸人気はそれほど凄まじい。だからその人気の矛先がナマエに向かないように。まあそんなものに負けるような性格はしていないのでこちらは杞憂に終わりそうだが。少なくとも真木は話そうとは思わなかった。興味もないというのもある。だがそこまで計算している烏丸を小賢しいとは思った。
「腹黒い男に好かれたわねナマエさん」
「とりまるくん腹黒いかな?」
「十分腹黒いわ」
不思議そうな顔をしている宇佐美にそう言いきる真木。そして恋愛に向いてなさそうな先輩を頭に思い浮かべる。その姿は皿の上で呑気に座っていた。
モニター室に蔓延した甘ったるい雰囲気。それを醸し出しているのは烏丸とナマエ。あの烏丸とあのナマエ。三輪は見間違いかと数回瞬きした。
「ちょっとちょっと! 今のなによ!」
烏丸に突っ込んでいったのは小南だった。烏丸の片腕をブンブン引っ張って訊ねている。
「今のってなにがですか」
「ナマエのほっぺた触ってたじゃない! 頭も撫でてたし! ナマエなぜか嫌がらないし! いい雰囲気だった!」
「ああ」
そのことか。そう言わんばかりのあっさりとした反応に小南はヒートアップした。「なんなのよ!」と。するとまたしてもあっさりとした口調で烏丸が口を開く。
「今口説いてる最中なんで」
「く、口説く!? ……とりまる、ナマエのことす、好きなの!?」
「はい。言ってませんでしたっけ?」
「聞いてないわよ!」
とぼけたように言う烏丸に小南は噛みつきながらも照れた様子でツッコむ。ええー!? と顔が賑わっていた。一方で色んな面々も賑わっていた。小南の声が大きかったのでフロント全体に響き渡っていたのである。
「烏丸が姉さんをねえ……こりゃ面白くなりそうだな」
「烏丸苦労しそうだなぁ」
「もう苦労はしてるだろきっと」
当真と冬島はどこか達観したように。
「とりまるくん! ナマエさんのこと好きって本当!? わー! これは一大事だ!」
「よくもまあこんな大勢の前で堂々と……」
「年の差恋愛燃える!」
「ある意味チャレンジャーね」
宇佐美は興奮した様子で、人見はびっくりした様子で。真木は冷静に。
「趣味がどうかしてる」
「あらそう? お似合いだと思うわ」
「月見さんは山原さんの友人だからそう見えるだけでしょう」
「ナマエの良いところ三輪くんも知ってるでしょう?」
「…………」
三輪はどん引きした顔で。月見はにこやかに微笑んで。
「京介くんったら大胆ね」
「は、はいそうですね」
「ふふ、いいわねこういう関係って」
ゆりは微笑ましげに。レイジは緊張した様子で。これはまた別件である。
とまあモニター室は混沌を極めていた。
その混沌を作った張本人はというと平然とした顔でモニターブースに座った。肝が座りすぎである。続けて小南が慌てた様子で隣に座る。
「ちょっと! 話まだ終わってないんだけど!」
「これ以上何話せばいいんすか。とりあえず友達以上恋人未満ってことぐらいしか話せませんよ」
「結構進んでるじゃない!」
「そうですか?」
烏丸は内心まだ物足りないと思っているので小南の言葉に不服そうに返した。
「ナマエが……! ナマエがとりまるにとられちゃう!」
「そこは聞き捨てならないすね。小南先輩のものじゃないでしょ」
「そうだけど寂しいじゃない!」
これナマエに聞かれたら喜ぶな。絶対に聞かせないようにしよう。烏丸は心に誓った。
「まあ今は繊細な時期なのでナマエさんの前ではあまり騒がないようにしてくださいね。びっくりしてどっか行きそうなので」
騒がせた張本人がぬけぬけと話し出す。ナマエを小動物かなにかに例えて小南の良心を誘う作戦である。ちなみにばっちり効いた。
「ただでさえふらふらしてるのに行方眩まされたらたまったもんじゃないわ!」
「はい。なので基本的に俺たちのことは放っておいてくださいね」
「わかった!」
ちょろいぞ小南。モニター室にいる全員からそうツッコまれた。
そして放っておいてほしいと言いながらも黙ってほしいとは言わないあたりいい性格してると真木は思った。つまり適度に曖昧な噂を流して牽制したいのだろう。あの烏丸京介があの山原ナマエを好きかもしれない。ナマエが万人に好かれるキャラかどうかは置いておいて、まあもし恋心を抱いていた人間がいたら諦めるだろう。烏丸が相手なのだから、と。ナマエは行動範囲が広いので色んな人間と知り合いなのだ。その点を懸念したのだろう。
もう一方でナマエのことを人として好きだと思ってる人間ならば適当な、つまり口の軽い人間にはこの場で起こった出来事の詳細は話さないだろう。烏丸人気はそれほど凄まじい。だからその人気の矛先がナマエに向かないように。まあそんなものに負けるような性格はしていないのでこちらは杞憂に終わりそうだが。少なくとも真木は話そうとは思わなかった。興味もないというのもある。だがそこまで計算している烏丸を小賢しいとは思った。
「腹黒い男に好かれたわねナマエさん」
「とりまるくん腹黒いかな?」
「十分腹黒いわ」
不思議そうな顔をしている宇佐美にそう言いきる真木。そして恋愛に向いてなさそうな先輩を頭に思い浮かべる。その姿は皿の上で呑気に座っていた。