本編
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選抜試験審査官一日目のシフトが終わった。試験官やったあとはC級合同と防衛任務をやって終わる頃にはすっかり日がくれた。今から玉狛行くのは疲れるからラウンジで食事とろ。のろのろ廊下を歩いていたら赤い隊服とばったり出会った。
「お、ナマエじゃないか」
「嵐山。嵐山も任務上がり?」
「ああ。あと広報にいったら今日の任務終了だな」
「広報一緒に行ってあげるから一緒にご飯食べよ」
「もちろんいいぞ」
広報に行ったら根付さんから「なぜ君がいるのだね!」と猛烈なアピールがあった。会いたかったぜ根付栄蔵。いつでも広報やってあげるからと伝えたら永劫頼まないとかなんとか言われた。知らねーな勝手にテレビとか出てやると脅したら頭抱えてた。嵐山は笑ってた。
そんなこんなで嵐山の予定も終わりお互いにトリガーオフした。トリオン体で食べると過剰摂取になるからね。普通に太る。
「木虎試験大丈夫そうだね」
「心配はしてないな」
「隊の雰囲気もよかったしね」
古寺が隊長だし安定してそうだな。他の隊員も穏やかな子ばかりだし上位も狙えそうだ。そういえば広報的に嵐山隊は遠征行かないと思ってたけど木虎は選抜試験いるんだよな。基準がよくわからん。
「生駒料理作ってるかなぁ」
「練習中なんだってな」
「うんモテる趣味探してたから。お披露目できたらいいね」
「ギターはどうしたんだ?」
「生駒隊で披露したらマリオちゃんからクレーム入ったって」
「ははっ」
「隠岐からは好評だったらしい」
隠岐にモテてもなにもならないけどな。なんなら隠岐がモテてるし。モテてませんって言うらしいけどそんなことはないだろ。モテない人間が48人愛人がいるなんて噂たつか。そういえば嵐山もモテるよね。まあアイドル的なのも入ってるけど。生駒も嵐山に聞けばいいのに。……嵐山みたいになった生駒はちょっと面白すぎるから駄目だな。封印。そしてご飯に誘った本題をそろそろ話さなければならない。
「…………あのさぁ」
「どうした?」
「……………り、した」
「すまない、もう一回言ってくれるか?」
「……仲直り、した」
ニノさんと。
ぽつりと小声で言うと嵐山は破顔した。そして席から腰を浮かしてこちらに手を伸ばして頭を撫でてきた。妹扱いだこれ。
「そうか! よかったな!」
「……おう」
「頑張ったな」
「……私というか、烏丸が間入ってくれたから」
「京介が?」
「うん」
「そうか」
微笑ましそうな顔するな。
「京介とは変わらずか?」
「…………とくべつだなぁと思ってます」
「それは京介に伝えたのか?」
「恥ずかしくて死ぬからむり」
「喜ぶと思うんだがなあ」
喜んでくれる。
そう考えると身体がそわそわしてくる。そうか、喜ぶのか。……それはなんか、いいなぁ。
「……前向きに検討します」
「ああ、頑張れ」
嵐山先生との人生相談も食事もすみ、基地から出て家まで送ってくれて帰路についた。
お風呂に入って明日の支度も済ませてさてスマホいじるか、とバッグからスマホを取り出すとメッセージが入っていた。
《烏丸京介》
先ほど話題に上がったばかりだからドキッとした。ドキドキしながらタップしてメッセージを開く。
《佐鳥と騒ぎすぎですよ》
なんのことだ。見に覚えがなくて首を傾げる。佐鳥。たしかに同じ席に座ってたけどそんな騒いでた記憶はない。
《騒いでいません》
そう返すとスマホが音を奏で始めた。びっくりして画面をタップすると通話中になった。電話だこれ。
『カフェモカブレンドだ! とかいって騒いでたでしょ』
「ちょっと混ぜて飲み比べしてただけですが」
『十分賑わってましたよ』
「先生ですか?」
『ヤキモチ焼く先生なんていないでしょ』
「やきもち」
『はい』
「佐鳥だよ???」
『佐鳥も男でしょ』
「……さっき嵐山とご飯食べてきた」
『何で余計に焼かせようとするんですか』
嵐山もだめなの? 嵐山だよ?
そう言うと「19才組仲良すぎなんですよ」と返ってきた。確かに仲はいい。でも色っぽい話になったことなんてないぞ。
『俺以外の男がほぼ対象なんで』
「迅も?」
『迅さんとレイジさん……玉狛の人間は別です。陽太郎も』
「陽太郎まで入ったら恐ろしいわ」
『嫉妬する男なんてそんなもんですよ』
さらりとした口調で重々しいことをいう男だ。ボーダー男の割合すごいぞ。めちゃくちゃヤキモチ焼くことになってる。大変だ。多分。
「……あの、どうやったら烏丸は安心? するんですかね?」
『…………』
「烏丸?」
『ナマエさん何かありました?』
「なんで」
『いや……俺に都合のいいこと聞いてくれるんで』
「だって、なんか……嫌じゃん。烏丸が嫌な思いするの」
『……はぁ』
「なんでため息」
『なんで電話なんだって思っただけです』
烏丸が電話してきたからだよ。
『まあ、俺の嫉妬は職業病みたいなものなので』
「職業病」
『はい。ナマエさんが人に囲まれてないなんて違和感しかないんでそこはもう諦めてます』
「諦められてるだと……?」
『はい。だからナマエさんが行動変えるとかは望んでないんです』
「頭こんがらがってきた」
『いつも通りのナマエさんが好きってことです。そしてそれはそれとして俺が勝手にヤキモチ焼くだけです』
頭こんがらがってるけどつまり烏丸が損をしてるということでは……? でもそのままでいいって言ってるし……?
…………………。
「烏丸さん」
『なんですか改まって』
「あの……とくべつだから、烏丸のこと」
『!』
「まだどんなとくべつかは分からないけど、大切……だと思っています」
言葉が絡まってちゃんと話せない。違う言語を話しているみたいだ。思っていることを言うだけなのに心臓がバクバクいっている。なぜか烏丸から返ってくる言葉が怖いと感じる。なんで。烏丸は敵でもなんでもないのに。
『…………昨日も言ったんですけど、』
「う、うん」
『男で距離近いのは俺だけにしてください。ハグ出来そうなくらい近いのは。ちゃんと距離とって』
「……うん、ちゃんと距離とる」
『俺だけ、ね?』
「うん」
『ナマエさん、好きです』
「……うん」
耳から伝わってくる熱が熱くて仕方ない。身体を丸めて熱をやり過ごす。あと、なぜか泣きそうだ。なんで。
『大好きです』
この気持ちはなんなんだろう。
「お、ナマエじゃないか」
「嵐山。嵐山も任務上がり?」
「ああ。あと広報にいったら今日の任務終了だな」
「広報一緒に行ってあげるから一緒にご飯食べよ」
「もちろんいいぞ」
広報に行ったら根付さんから「なぜ君がいるのだね!」と猛烈なアピールがあった。会いたかったぜ根付栄蔵。いつでも広報やってあげるからと伝えたら永劫頼まないとかなんとか言われた。知らねーな勝手にテレビとか出てやると脅したら頭抱えてた。嵐山は笑ってた。
そんなこんなで嵐山の予定も終わりお互いにトリガーオフした。トリオン体で食べると過剰摂取になるからね。普通に太る。
「木虎試験大丈夫そうだね」
「心配はしてないな」
「隊の雰囲気もよかったしね」
古寺が隊長だし安定してそうだな。他の隊員も穏やかな子ばかりだし上位も狙えそうだ。そういえば広報的に嵐山隊は遠征行かないと思ってたけど木虎は選抜試験いるんだよな。基準がよくわからん。
「生駒料理作ってるかなぁ」
「練習中なんだってな」
「うんモテる趣味探してたから。お披露目できたらいいね」
「ギターはどうしたんだ?」
「生駒隊で披露したらマリオちゃんからクレーム入ったって」
「ははっ」
「隠岐からは好評だったらしい」
隠岐にモテてもなにもならないけどな。なんなら隠岐がモテてるし。モテてませんって言うらしいけどそんなことはないだろ。モテない人間が48人愛人がいるなんて噂たつか。そういえば嵐山もモテるよね。まあアイドル的なのも入ってるけど。生駒も嵐山に聞けばいいのに。……嵐山みたいになった生駒はちょっと面白すぎるから駄目だな。封印。そしてご飯に誘った本題をそろそろ話さなければならない。
「…………あのさぁ」
「どうした?」
「……………り、した」
「すまない、もう一回言ってくれるか?」
「……仲直り、した」
ニノさんと。
ぽつりと小声で言うと嵐山は破顔した。そして席から腰を浮かしてこちらに手を伸ばして頭を撫でてきた。妹扱いだこれ。
「そうか! よかったな!」
「……おう」
「頑張ったな」
「……私というか、烏丸が間入ってくれたから」
「京介が?」
「うん」
「そうか」
微笑ましそうな顔するな。
「京介とは変わらずか?」
「…………とくべつだなぁと思ってます」
「それは京介に伝えたのか?」
「恥ずかしくて死ぬからむり」
「喜ぶと思うんだがなあ」
喜んでくれる。
そう考えると身体がそわそわしてくる。そうか、喜ぶのか。……それはなんか、いいなぁ。
「……前向きに検討します」
「ああ、頑張れ」
嵐山先生との人生相談も食事もすみ、基地から出て家まで送ってくれて帰路についた。
お風呂に入って明日の支度も済ませてさてスマホいじるか、とバッグからスマホを取り出すとメッセージが入っていた。
《烏丸京介》
先ほど話題に上がったばかりだからドキッとした。ドキドキしながらタップしてメッセージを開く。
《佐鳥と騒ぎすぎですよ》
なんのことだ。見に覚えがなくて首を傾げる。佐鳥。たしかに同じ席に座ってたけどそんな騒いでた記憶はない。
《騒いでいません》
そう返すとスマホが音を奏で始めた。びっくりして画面をタップすると通話中になった。電話だこれ。
『カフェモカブレンドだ! とかいって騒いでたでしょ』
「ちょっと混ぜて飲み比べしてただけですが」
『十分賑わってましたよ』
「先生ですか?」
『ヤキモチ焼く先生なんていないでしょ』
「やきもち」
『はい』
「佐鳥だよ???」
『佐鳥も男でしょ』
「……さっき嵐山とご飯食べてきた」
『何で余計に焼かせようとするんですか』
嵐山もだめなの? 嵐山だよ?
そう言うと「19才組仲良すぎなんですよ」と返ってきた。確かに仲はいい。でも色っぽい話になったことなんてないぞ。
『俺以外の男がほぼ対象なんで』
「迅も?」
『迅さんとレイジさん……玉狛の人間は別です。陽太郎も』
「陽太郎まで入ったら恐ろしいわ」
『嫉妬する男なんてそんなもんですよ』
さらりとした口調で重々しいことをいう男だ。ボーダー男の割合すごいぞ。めちゃくちゃヤキモチ焼くことになってる。大変だ。多分。
「……あの、どうやったら烏丸は安心? するんですかね?」
『…………』
「烏丸?」
『ナマエさん何かありました?』
「なんで」
『いや……俺に都合のいいこと聞いてくれるんで』
「だって、なんか……嫌じゃん。烏丸が嫌な思いするの」
『……はぁ』
「なんでため息」
『なんで電話なんだって思っただけです』
烏丸が電話してきたからだよ。
『まあ、俺の嫉妬は職業病みたいなものなので』
「職業病」
『はい。ナマエさんが人に囲まれてないなんて違和感しかないんでそこはもう諦めてます』
「諦められてるだと……?」
『はい。だからナマエさんが行動変えるとかは望んでないんです』
「頭こんがらがってきた」
『いつも通りのナマエさんが好きってことです。そしてそれはそれとして俺が勝手にヤキモチ焼くだけです』
頭こんがらがってるけどつまり烏丸が損をしてるということでは……? でもそのままでいいって言ってるし……?
…………………。
「烏丸さん」
『なんですか改まって』
「あの……とくべつだから、烏丸のこと」
『!』
「まだどんなとくべつかは分からないけど、大切……だと思っています」
言葉が絡まってちゃんと話せない。違う言語を話しているみたいだ。思っていることを言うだけなのに心臓がバクバクいっている。なぜか烏丸から返ってくる言葉が怖いと感じる。なんで。烏丸は敵でもなんでもないのに。
『…………昨日も言ったんですけど、』
「う、うん」
『男で距離近いのは俺だけにしてください。ハグ出来そうなくらい近いのは。ちゃんと距離とって』
「……うん、ちゃんと距離とる」
『俺だけ、ね?』
「うん」
『ナマエさん、好きです』
「……うん」
耳から伝わってくる熱が熱くて仕方ない。身体を丸めて熱をやり過ごす。あと、なぜか泣きそうだ。なんで。
『大好きです』
この気持ちはなんなんだろう。