本編
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高校生数人に無理やり食堂まで連れて行かれ、来てみると端っこの席でキノコを栽培しているナマエの姿があった。「ナマエさん怖い!」「さっきからずっとブツブツ言ってるし」「話しかけたらすげー睨まれた」「諏訪さんお願いします」と言われた。いや俺も関わりたくねーよ。
それでも高校生達に押され、嫌々ナマエのいる席の前に腰を下ろした。ナマエは無視しているのか気づいていないのか知らないがずっと下を向いてブツブツ言っている。
「おいナマエ、なんかあったのか」
無視
「おまえがラウンジ占拠してるせいで空気最悪だろうが」
無視
「なんかあったのなら話聞いてやるからとりあえず顔上げろ」
無視
「おまえ! いい加減にしろッ!!」
頭を両手で掴んで無理やり上を向かせる。C級隊員が悲鳴を上げていたのは申し訳ないが今はこいつだ。髪の毛で顔は見えないがとりあえず顔を上げさせるのには成功した。
ゆったりとした動作で髪をかきあげたナマエは俺と目が合うと口を開いた。
「………なんだ諏訪さんか」
よしこいつぶん殴る。
****
げんこつ向けたところでその場に出くわした人間に取り押さえられた。「何やってるんですか諏訪さん!」と間に入ってきたのは堤だった。おまえ覚えとけよ。ナマエのせいだからな。
「で、何があったんだナマエ。おまえらしくもない」
そう言ったのは東さんだ。さすがに東さんの前ではテーブルに顔を押し付けることはせず顔を上げている。態度が違うのは腹が立つがそれを言ったら話が進まない。
「…………」
「話さないとこっちは何も分からない。俺に言いにくいことならおまえが話しやすい相手を呼ぶぞ?」
東さんがそう言うとナマエは力無く首を横に振った。そこで気づいた。あいつの目の下にデカい隈が出来ていることに。これはただ事じゃないぞ、とその場にいる人間と目を合わす。
遠目で見ている高校生組を帰らせるかと堤が立ち上がろうとした瞬間、だんまりだったナマエが口を開いた。
「………………結婚したくないよおお!!! 東さん助けてえええええ!!」
今まで冷静に状況を見ていた風間が無言で席を立とうとした。まて、最後まで話を聞け。心配して損したって顔すんな。
「け、結婚? ナマエ、おまえ結婚するのか?」
東さんがそう尋ねると「しらない!!」とナマエは怒鳴りながら答える。もう意味わかんねえ。
東さんと堤が断片的にしか話さないナマエに必死に質問して分かったことは
・ボーダーのスポンサーの息子と見合いをさせられた
・その息子に意味分からないくらい好かれている
・根付さん辺りにボーダーの未来のためにはいい話だと毎日のように言われる
・昨日、その息子にゼクシィを渡された
「………うわぁ」
ナマエのカバンから出てきたゼクシィを読んでいた堤が引いたように言葉を発した。チラッと見ると何カ所も付箋や赤ペンがついてるのが見えた。これは……ちょっとなぁ……。
やつれたようにカバンを殴り続けるナマエを東さんが止める。悪いナマエ。おまえも悩んでたんだな。
「嫌なら嫌とはっきり言うべきだろう。根付さんに何を言われようがおまえにその意志はないんだろう」
「言ったよ! 結婚する気も付き合う気もないって! でも通じないの! どんなに嫌み言っても通じないんだよ!! 腹が立って『豚みてえな面してんなあ!』って暴言吐いたのに『愛嬌あるってことですか? やっぱりナマエさんは面白い人だなぁ』って言われた!! あの人多分ネイバーだよ!!!」
駆逐しないと! と半狂乱になって騒ぐナマエを必死に押さえる。さすがに風間もナマエに哀れんだような目線を送った。また凄い相手に好かれたなコイツは。
遠目で見ていた高校生組も尋常じゃないナマエの様子にこっちへやってきた。
「師匠……大丈夫なんすか?」
「けっこうヤバいな」
「結婚とかなんとか聞こえたけどまさかこの人が結婚するわけじゃないですよね」
「あー……」
「え、ナマエさん結婚するの!?」
「するか! ボケ! おまえがしとけ佐鳥ボケぇええ!!」
「なんかすっげえ暴言吐かれた!」
「え、マジで? ナマエさんが? ウケるな」
「米屋今は冗談言ってる場合じゃないから」
堤が真顔でそう言うと事の重大さに気づいた高校生たち─出水、菊地原、佐鳥、米屋は遂に泣き出したナマエに必死でフォローを始める。
「だ、大丈夫だって! 師匠のこと本気で女として見るヤツなんかいねえって!」
「そうだよ、アンタ、顔も地味なんだし、すぐ飽きられるよ」
「ナマエさんに見合う人なんか地球にいませんよ!」
「結婚してもバツが一個付くだけだぜ!」
「堤さんこいつらどっか連れてって」
別の意味で泣き出したナマエ。あいつら本当はナマエのこと嫌いなんじゃねえか?
堤に有無を言わさず連れて行かれた高校生達にそう思わざる得ない。「堤さん師匠が!」「そうだよ、ぼくたち必死で慰めてるのに」「ナマエさん泣かないでください!」「きっと良いことあるって!」と引きずられていく四人。あれで慰めてるつもりだったのか。
「もういいよ……結婚、すればいいんでしょ……どーせ私は女として見れなくて、地味顔で、地球上に見合う相手がいなくてバツイチになる運命なんだから。そーだよ結婚相手いるだけマシじゃないか」
「自暴自棄になんな!」
わしゃわしゃナマエの頭を撫でる。それでも涙がポロポロ落ちるのは止まらない。あいつら余計なことしやがって。
どうするか東さんと風間に目線を送る。「忍田さんに止めてもらうか」と東さんは言うが「城戸さんが持ってきた縁談だから多分むり」とのことだ。ナマエのその言葉に東さんは軽く眉を寄せた。
「城戸さんが? 他になにも言ってなかったか?」
「えぇ……? あぁ、なんか付き合いの長い男性隊員はいるかみたいなこと言ってた」
「…………あの人は、」
そう言って息を吐いた東さん。そして席を立って少し離れた場所で電話を始めた。疑問符を浮かべる俺たち。
十分くらい経ち、戻ってきた東さんは微笑みながらナマエの頭に手を置いた。
「ナマエ、もう大丈夫だぞ。縁談は破棄になる」
「え! ほんとに!?」
東さんありがとー! とコアラのように抱きついたナマエを苦笑しながら支える東さん。
「なにやったんすか東さん」
「簡単な事じゃないでしょう。縁談を破棄させるなんて」
「いや……まぁ可愛い妹分を取られたくない奴はいっぱいいてな」
「?」
「あと城戸指令もああ見えて人間らしいところはあるからな、そこを突いてみた」
ますます意味が分からなくなった。疑問符を浮かべる俺と風間に東さんはまた苦笑を浮かべ「迅に礼を言っとくんだぞ」とナマエの頭を撫でた。ナマエは「迅? よくわかんないけど分かった」と返す。あの若干シスコンの迅になに頼んだんだ東さん。………考えるの止めておこう。
それでも高校生達に押され、嫌々ナマエのいる席の前に腰を下ろした。ナマエは無視しているのか気づいていないのか知らないがずっと下を向いてブツブツ言っている。
「おいナマエ、なんかあったのか」
無視
「おまえがラウンジ占拠してるせいで空気最悪だろうが」
無視
「なんかあったのなら話聞いてやるからとりあえず顔上げろ」
無視
「おまえ! いい加減にしろッ!!」
頭を両手で掴んで無理やり上を向かせる。C級隊員が悲鳴を上げていたのは申し訳ないが今はこいつだ。髪の毛で顔は見えないがとりあえず顔を上げさせるのには成功した。
ゆったりとした動作で髪をかきあげたナマエは俺と目が合うと口を開いた。
「………なんだ諏訪さんか」
よしこいつぶん殴る。
****
げんこつ向けたところでその場に出くわした人間に取り押さえられた。「何やってるんですか諏訪さん!」と間に入ってきたのは堤だった。おまえ覚えとけよ。ナマエのせいだからな。
「で、何があったんだナマエ。おまえらしくもない」
そう言ったのは東さんだ。さすがに東さんの前ではテーブルに顔を押し付けることはせず顔を上げている。態度が違うのは腹が立つがそれを言ったら話が進まない。
「…………」
「話さないとこっちは何も分からない。俺に言いにくいことならおまえが話しやすい相手を呼ぶぞ?」
東さんがそう言うとナマエは力無く首を横に振った。そこで気づいた。あいつの目の下にデカい隈が出来ていることに。これはただ事じゃないぞ、とその場にいる人間と目を合わす。
遠目で見ている高校生組を帰らせるかと堤が立ち上がろうとした瞬間、だんまりだったナマエが口を開いた。
「………………結婚したくないよおお!!! 東さん助けてえええええ!!」
今まで冷静に状況を見ていた風間が無言で席を立とうとした。まて、最後まで話を聞け。心配して損したって顔すんな。
「け、結婚? ナマエ、おまえ結婚するのか?」
東さんがそう尋ねると「しらない!!」とナマエは怒鳴りながら答える。もう意味わかんねえ。
東さんと堤が断片的にしか話さないナマエに必死に質問して分かったことは
・ボーダーのスポンサーの息子と見合いをさせられた
・その息子に意味分からないくらい好かれている
・根付さん辺りにボーダーの未来のためにはいい話だと毎日のように言われる
・昨日、その息子にゼクシィを渡された
「………うわぁ」
ナマエのカバンから出てきたゼクシィを読んでいた堤が引いたように言葉を発した。チラッと見ると何カ所も付箋や赤ペンがついてるのが見えた。これは……ちょっとなぁ……。
やつれたようにカバンを殴り続けるナマエを東さんが止める。悪いナマエ。おまえも悩んでたんだな。
「嫌なら嫌とはっきり言うべきだろう。根付さんに何を言われようがおまえにその意志はないんだろう」
「言ったよ! 結婚する気も付き合う気もないって! でも通じないの! どんなに嫌み言っても通じないんだよ!! 腹が立って『豚みてえな面してんなあ!』って暴言吐いたのに『愛嬌あるってことですか? やっぱりナマエさんは面白い人だなぁ』って言われた!! あの人多分ネイバーだよ!!!」
駆逐しないと! と半狂乱になって騒ぐナマエを必死に押さえる。さすがに風間もナマエに哀れんだような目線を送った。また凄い相手に好かれたなコイツは。
遠目で見ていた高校生組も尋常じゃないナマエの様子にこっちへやってきた。
「師匠……大丈夫なんすか?」
「けっこうヤバいな」
「結婚とかなんとか聞こえたけどまさかこの人が結婚するわけじゃないですよね」
「あー……」
「え、ナマエさん結婚するの!?」
「するか! ボケ! おまえがしとけ佐鳥ボケぇええ!!」
「なんかすっげえ暴言吐かれた!」
「え、マジで? ナマエさんが? ウケるな」
「米屋今は冗談言ってる場合じゃないから」
堤が真顔でそう言うと事の重大さに気づいた高校生たち─出水、菊地原、佐鳥、米屋は遂に泣き出したナマエに必死でフォローを始める。
「だ、大丈夫だって! 師匠のこと本気で女として見るヤツなんかいねえって!」
「そうだよ、アンタ、顔も地味なんだし、すぐ飽きられるよ」
「ナマエさんに見合う人なんか地球にいませんよ!」
「結婚してもバツが一個付くだけだぜ!」
「堤さんこいつらどっか連れてって」
別の意味で泣き出したナマエ。あいつら本当はナマエのこと嫌いなんじゃねえか?
堤に有無を言わさず連れて行かれた高校生達にそう思わざる得ない。「堤さん師匠が!」「そうだよ、ぼくたち必死で慰めてるのに」「ナマエさん泣かないでください!」「きっと良いことあるって!」と引きずられていく四人。あれで慰めてるつもりだったのか。
「もういいよ……結婚、すればいいんでしょ……どーせ私は女として見れなくて、地味顔で、地球上に見合う相手がいなくてバツイチになる運命なんだから。そーだよ結婚相手いるだけマシじゃないか」
「自暴自棄になんな!」
わしゃわしゃナマエの頭を撫でる。それでも涙がポロポロ落ちるのは止まらない。あいつら余計なことしやがって。
どうするか東さんと風間に目線を送る。「忍田さんに止めてもらうか」と東さんは言うが「城戸さんが持ってきた縁談だから多分むり」とのことだ。ナマエのその言葉に東さんは軽く眉を寄せた。
「城戸さんが? 他になにも言ってなかったか?」
「えぇ……? あぁ、なんか付き合いの長い男性隊員はいるかみたいなこと言ってた」
「…………あの人は、」
そう言って息を吐いた東さん。そして席を立って少し離れた場所で電話を始めた。疑問符を浮かべる俺たち。
十分くらい経ち、戻ってきた東さんは微笑みながらナマエの頭に手を置いた。
「ナマエ、もう大丈夫だぞ。縁談は破棄になる」
「え! ほんとに!?」
東さんありがとー! とコアラのように抱きついたナマエを苦笑しながら支える東さん。
「なにやったんすか東さん」
「簡単な事じゃないでしょう。縁談を破棄させるなんて」
「いや……まぁ可愛い妹分を取られたくない奴はいっぱいいてな」
「?」
「あと城戸指令もああ見えて人間らしいところはあるからな、そこを突いてみた」
ますます意味が分からなくなった。疑問符を浮かべる俺と風間に東さんはまた苦笑を浮かべ「迅に礼を言っとくんだぞ」とナマエの頭を撫でた。ナマエは「迅? よくわかんないけど分かった」と返す。あの若干シスコンの迅になに頼んだんだ東さん。………考えるの止めておこう。