本編
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
雷が落ちた。ゴロゴロの予兆も何もない一撃にナマエの身体は硬直した。幸い家にいたから緊急避難する必要もなかったが、これから耐え忍ばなければならない。ひとりで。
とりあえずベッドに入り込み、布団をかき集めて身の周りの防御を固める。その最中にまた一つ雷が落ちてびくりと体を震わせる。唇をぎゅっと噛み締めて深呼吸した。ここで同級生たちの言葉を振り返る。慰めである。
「大丈夫だってナマエには落ちねーよ」
柿崎の言葉である。何の保証があるのだ。ナマエは一蹴した。
「雷が人に落ちる確立なんて交通事故より少ないんだってよ」
迅の言葉である。確立なんて越えてくるものだ。ナマエは拗ねた。
「雷なったら少しテンションあがらん?」
生駒の言葉である。裏切り者め。ナマエは恨んだ。
雷が鳴ったら一緒に過ごしてくれていた同級生たち。時に慰め、時に笑い飛ばし、時に励ましてくれた。その思い出が一向に励みにならないことにナマエは苦悩した。もっといいかんじにテンション上げさせて欲しい。回想に対しての無茶ぶりである。
雷が鳴ったら頼るのは同級生たち。これはナマエが決めていたことだった。雷が鳴ったときの反応は我ながら面倒くさいと知っていたからだ。気心が知れた同級生たちなら適度に相手をしながら適度放っておいてくれる。そのさじ加減がよかったのだ。わがままであるが同級生たちも承知の上だったので問題なし。小南などは恐らく知ったら過剰に心配をかけてしまうので言っていない。言うタイミングも見られるときもなかったが。そういえば烏丸は知っていただろうか。ふと思った。
最近おかしな反応ばかり見せている烏丸。それを思い出すと羞恥心でいっぱいになるので思い出すのも憚る。烏丸の羞恥心はイかれている。こっちはいっぱいいっぱいなのに。
雷が苦手だと知られるのはナマエにとったら弱みでもなんでもない。嫌いなものは嫌いの精神で生きているからだ。知られてもし笑われてもうるせー! おまえは雷に勝てるのか! で終わらせる。強いんだぞ雷はの主張でだいたい相手は納得する。させる。それに笑いはしても馬鹿にはしない人間ばかりなので嫌な気持ちにもならない。だから隠しもしない。
ドオオオン!
大きな音を立てて再び雷が落ちた。窓が少し揺れた。近くに落ちたらしい。雨も少し強まってきた。
ぎゅっと耳を押さえてやり過ごす。いつもなら同級生と遊んだり電話をしたりしてやり過ごすが今日は予定を聞いていない。今から聞こうという気力も湧かない。なぜなら雷の勢いがちょっと凄すぎて尻込みしているからだ。ようするにビビりまくり状態。スマホはベッドにあるが操作する様子がみじんもない。
「私が神だったら勝てるのに……」
馬鹿なことを言いつつも半泣き状態である。ひとりでやり過ごすのはこんなにも心細い。こういうときに玉狛から出て一人暮らしをしたのを少しだけ後悔するのだ。あとホラー番組を見たときとGがでたとき。けっこうくだらないことで後悔している。
結局ひとりで乗り越えるのは駄目だったと結論し、どうするか頭を悩ませる。
「電話する……?」
顔を思い浮かべる。迅、嵐山、柿崎、生駒、弓場、蓮、羽矢、のの。同級生たちの顔。いつもならこれだけのはずであった。いつもなら。
今日はなぜか最近頭を悩ませる烏丸の顔が頭に浮かんだ。
「…………烏丸」
なにかと忙しいから一番なしな選択肢のはずである。それなのに浮かんだ顔。スマホ画面にその名前を表示させた。多分、時間があったら相手をしてくれる。そのくらい距離を詰められた仲になっている。いや、こんな仲になる前でも相手はしてくれただろう。でもそのままだったら顔を思い出さなかった。そう思った。
「……………」
しばらく悩んで、悩んで、悩んで。スマホを手にとって操作する。烏丸京介の電話マークにタップした。
通話音がしばらくして電話が繋がった。
『ナマエさん? どうしましたか?』
その声にほっとする気持ちにああ、と思う。
いつからとくべつだったんだろうと思いつつ、あのね、と話しはじめた。
とりあえずベッドに入り込み、布団をかき集めて身の周りの防御を固める。その最中にまた一つ雷が落ちてびくりと体を震わせる。唇をぎゅっと噛み締めて深呼吸した。ここで同級生たちの言葉を振り返る。慰めである。
「大丈夫だってナマエには落ちねーよ」
柿崎の言葉である。何の保証があるのだ。ナマエは一蹴した。
「雷が人に落ちる確立なんて交通事故より少ないんだってよ」
迅の言葉である。確立なんて越えてくるものだ。ナマエは拗ねた。
「雷なったら少しテンションあがらん?」
生駒の言葉である。裏切り者め。ナマエは恨んだ。
雷が鳴ったら一緒に過ごしてくれていた同級生たち。時に慰め、時に笑い飛ばし、時に励ましてくれた。その思い出が一向に励みにならないことにナマエは苦悩した。もっといいかんじにテンション上げさせて欲しい。回想に対しての無茶ぶりである。
雷が鳴ったら頼るのは同級生たち。これはナマエが決めていたことだった。雷が鳴ったときの反応は我ながら面倒くさいと知っていたからだ。気心が知れた同級生たちなら適度に相手をしながら適度放っておいてくれる。そのさじ加減がよかったのだ。わがままであるが同級生たちも承知の上だったので問題なし。小南などは恐らく知ったら過剰に心配をかけてしまうので言っていない。言うタイミングも見られるときもなかったが。そういえば烏丸は知っていただろうか。ふと思った。
最近おかしな反応ばかり見せている烏丸。それを思い出すと羞恥心でいっぱいになるので思い出すのも憚る。烏丸の羞恥心はイかれている。こっちはいっぱいいっぱいなのに。
雷が苦手だと知られるのはナマエにとったら弱みでもなんでもない。嫌いなものは嫌いの精神で生きているからだ。知られてもし笑われてもうるせー! おまえは雷に勝てるのか! で終わらせる。強いんだぞ雷はの主張でだいたい相手は納得する。させる。それに笑いはしても馬鹿にはしない人間ばかりなので嫌な気持ちにもならない。だから隠しもしない。
ドオオオン!
大きな音を立てて再び雷が落ちた。窓が少し揺れた。近くに落ちたらしい。雨も少し強まってきた。
ぎゅっと耳を押さえてやり過ごす。いつもなら同級生と遊んだり電話をしたりしてやり過ごすが今日は予定を聞いていない。今から聞こうという気力も湧かない。なぜなら雷の勢いがちょっと凄すぎて尻込みしているからだ。ようするにビビりまくり状態。スマホはベッドにあるが操作する様子がみじんもない。
「私が神だったら勝てるのに……」
馬鹿なことを言いつつも半泣き状態である。ひとりでやり過ごすのはこんなにも心細い。こういうときに玉狛から出て一人暮らしをしたのを少しだけ後悔するのだ。あとホラー番組を見たときとGがでたとき。けっこうくだらないことで後悔している。
結局ひとりで乗り越えるのは駄目だったと結論し、どうするか頭を悩ませる。
「電話する……?」
顔を思い浮かべる。迅、嵐山、柿崎、生駒、弓場、蓮、羽矢、のの。同級生たちの顔。いつもならこれだけのはずであった。いつもなら。
今日はなぜか最近頭を悩ませる烏丸の顔が頭に浮かんだ。
「…………烏丸」
なにかと忙しいから一番なしな選択肢のはずである。それなのに浮かんだ顔。スマホ画面にその名前を表示させた。多分、時間があったら相手をしてくれる。そのくらい距離を詰められた仲になっている。いや、こんな仲になる前でも相手はしてくれただろう。でもそのままだったら顔を思い出さなかった。そう思った。
「……………」
しばらく悩んで、悩んで、悩んで。スマホを手にとって操作する。烏丸京介の電話マークにタップした。
通話音がしばらくして電話が繋がった。
『ナマエさん? どうしましたか?』
その声にほっとする気持ちにああ、と思う。
いつからとくべつだったんだろうと思いつつ、あのね、と話しはじめた。