本編
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「ナマエさんのは尻軽じゃないです。だいたい尻軽って不特定多数に粉かけてる人のことですし。ナマエさんは俺だけなんでしょ」
「……そう言われてみればそうだ」
「うん。俺だけが特別なんでしょ?」
「確かに……」
「ね? 尻軽じゃないです」
「うん。違った」
息をするように納得していくナマエに単純の文字が浮かんだ。納得させた側が思うことではないかもしれないが。まあそもそも尻軽は本当に違うのでこれはこれでよかったのだ。特定の人物だけ触れるのを許すなんて理由なんて一つしかない。ただ特別なだけ。
ふぅと烏丸は内心息をつく。
なんだこの生殺し状態はと問いかけたいがその張本人にいっても「何いってんだこの人」と怪訝な顔をされるだけなのは分かっている。まだそこまでの機微を求めるのも酷だ。初恋もまだだった19才。ゆっくり仕留めていかなくてはいけない。烏丸の中でナマエは最愛であり獲物だった。
ナマエと烏丸の関係は劇的に変わっている。ナマエは烏丸を男として意識しまくっている。その上、最近ではヤキモチも覚えたらしい。烏丸の写真が配られることが不服だったらしくふーーん、としばらく拗ねていた。自覚のないヤキモチなんてただただ可愛いだけで。迅からはばら撒くのとめといたら? と言われたがたまにはいいだろう、と陽太郎の動きに制限をかけなかった。遠慮もない陽太郎の手によって見事にばら撒かれたが、ナマエの可愛い姿がみれたので烏丸にとっては満足な結果になった。
嫉妬してるのになんで気づかないのあいつ……と迅は脱力していたが。嫉妬とは縁のない生活と性格をしていたので仕方ないと思うが迅の気持ちも分かる。たいてい小学生くらいで通る道だからだ。
そしてご機嫌とりを、と思い手始めにココアを与えてみたがこれも可愛い。両手で手を温める姿にすぐに触れたくなってしまった。最近すぐに手がでて困る。無意識に触れてしまう。さすがにキスなんかはしないが、抱きしめたくなるのはどうだろうか。前はいけたが……そのときの雰囲気によるな。頭のなかでそろばんを弾いて勝算を見積もる。まあ拒否されてもそれはそれで可愛いだろうからいいか。そろばんは秒で役目を終えた。
「ココア飲んだし帰る」
「玉狛支部に送ってくれるんですよね」
「ここで放り出すのはさすがにやらないよ」
先ほどまでベタベタ触ってた男に対して些か警戒心が足りないが、まあ烏丸相手だけらしいのでよしとする。
バイクの後ろに乗り、タンデムグリップを握る。腰に手をやるのは下心が見え見えになってしまうし逆に危ないので、タンデムグリップ一択だ。さすがに運転中はなにかしようとは思えないが、背後からみる運転風景もこれはこれでいい。ちなみに女性の後ろに乗るかどうかの葛藤は中学生で終わっている。今は近くてラッキーだけである。烏丸はこれを成長だと思っている。
「安全運転でいきまーす」
「はい、お願いします」
ナマエは意外といっては何だが運転は穏やかな傾向にあった。玉狛支部の車が左ハンドルなことは不評みたいだがそれでも運転は上手だ。……が、普段の素行からナマエの運転に乗りたがる者は少ないという悲しい結果になっている。それはバイクのときも同様で。ナマエの同級生以外で乗るのは玉狛の人間くらいだ。まあ乗る人間が少ないのは烏丸にとっていい傾向だ。独占は無理でも後ろ席=烏丸のイメージにはしときたい。
「あ、あの原チャの色かわいい」
信号待ちで見かけた空色の原付バイクをみてナマエが呟いた。今乗っているバイクは諏訪から中古で買ったもののため男っぽい黒だ。
「空色好きでしたっけ?」
「まあまあ好き。あと原付のフォルム含めて可愛い」
烏丸には分からないがナマエのツボだったらしい。しかし人に対して可愛いは聞いたことがあるが、物に対して聞くのは珍しい気がする。それが原付バイクなのはご愛嬌ということにしておく。
「バイクの信号待ちでさ、同行者と話すのなんか好きなんだよね」
こそこそ話してるみたいで、と楽しげに話す姿は烏丸にとっては愛らしくみえた。触れないときに可愛くなるのは禁止にしてほしいと勝手に思いつつ「俺も好きですよ」と返す。意味なんて全部込みでに決まっている。
含みに気づいたか、違和感を持ったのか分からないが一瞬間が空いてこちらをチラリと見てくる。その反応に微笑んでおくとバッと前を向かれた。男前だのイケメンだの言われる顔が仕事をしてくれているようだ。ありがたい。今までは武器にすらならなかったのに大躍進であるる。
「ううぅ……」
悔しそうにハンドルを回すナマエに喉を鳴らしながら星が輝く空の下バイクは進み続けた。
「……そう言われてみればそうだ」
「うん。俺だけが特別なんでしょ?」
「確かに……」
「ね? 尻軽じゃないです」
「うん。違った」
息をするように納得していくナマエに単純の文字が浮かんだ。納得させた側が思うことではないかもしれないが。まあそもそも尻軽は本当に違うのでこれはこれでよかったのだ。特定の人物だけ触れるのを許すなんて理由なんて一つしかない。ただ特別なだけ。
ふぅと烏丸は内心息をつく。
なんだこの生殺し状態はと問いかけたいがその張本人にいっても「何いってんだこの人」と怪訝な顔をされるだけなのは分かっている。まだそこまでの機微を求めるのも酷だ。初恋もまだだった19才。ゆっくり仕留めていかなくてはいけない。烏丸の中でナマエは最愛であり獲物だった。
ナマエと烏丸の関係は劇的に変わっている。ナマエは烏丸を男として意識しまくっている。その上、最近ではヤキモチも覚えたらしい。烏丸の写真が配られることが不服だったらしくふーーん、としばらく拗ねていた。自覚のないヤキモチなんてただただ可愛いだけで。迅からはばら撒くのとめといたら? と言われたがたまにはいいだろう、と陽太郎の動きに制限をかけなかった。遠慮もない陽太郎の手によって見事にばら撒かれたが、ナマエの可愛い姿がみれたので烏丸にとっては満足な結果になった。
嫉妬してるのになんで気づかないのあいつ……と迅は脱力していたが。嫉妬とは縁のない生活と性格をしていたので仕方ないと思うが迅の気持ちも分かる。たいてい小学生くらいで通る道だからだ。
そしてご機嫌とりを、と思い手始めにココアを与えてみたがこれも可愛い。両手で手を温める姿にすぐに触れたくなってしまった。最近すぐに手がでて困る。無意識に触れてしまう。さすがにキスなんかはしないが、抱きしめたくなるのはどうだろうか。前はいけたが……そのときの雰囲気によるな。頭のなかでそろばんを弾いて勝算を見積もる。まあ拒否されてもそれはそれで可愛いだろうからいいか。そろばんは秒で役目を終えた。
「ココア飲んだし帰る」
「玉狛支部に送ってくれるんですよね」
「ここで放り出すのはさすがにやらないよ」
先ほどまでベタベタ触ってた男に対して些か警戒心が足りないが、まあ烏丸相手だけらしいのでよしとする。
バイクの後ろに乗り、タンデムグリップを握る。腰に手をやるのは下心が見え見えになってしまうし逆に危ないので、タンデムグリップ一択だ。さすがに運転中はなにかしようとは思えないが、背後からみる運転風景もこれはこれでいい。ちなみに女性の後ろに乗るかどうかの葛藤は中学生で終わっている。今は近くてラッキーだけである。烏丸はこれを成長だと思っている。
「安全運転でいきまーす」
「はい、お願いします」
ナマエは意外といっては何だが運転は穏やかな傾向にあった。玉狛支部の車が左ハンドルなことは不評みたいだがそれでも運転は上手だ。……が、普段の素行からナマエの運転に乗りたがる者は少ないという悲しい結果になっている。それはバイクのときも同様で。ナマエの同級生以外で乗るのは玉狛の人間くらいだ。まあ乗る人間が少ないのは烏丸にとっていい傾向だ。独占は無理でも後ろ席=烏丸のイメージにはしときたい。
「あ、あの原チャの色かわいい」
信号待ちで見かけた空色の原付バイクをみてナマエが呟いた。今乗っているバイクは諏訪から中古で買ったもののため男っぽい黒だ。
「空色好きでしたっけ?」
「まあまあ好き。あと原付のフォルム含めて可愛い」
烏丸には分からないがナマエのツボだったらしい。しかし人に対して可愛いは聞いたことがあるが、物に対して聞くのは珍しい気がする。それが原付バイクなのはご愛嬌ということにしておく。
「バイクの信号待ちでさ、同行者と話すのなんか好きなんだよね」
こそこそ話してるみたいで、と楽しげに話す姿は烏丸にとっては愛らしくみえた。触れないときに可愛くなるのは禁止にしてほしいと勝手に思いつつ「俺も好きですよ」と返す。意味なんて全部込みでに決まっている。
含みに気づいたか、違和感を持ったのか分からないが一瞬間が空いてこちらをチラリと見てくる。その反応に微笑んでおくとバッと前を向かれた。男前だのイケメンだの言われる顔が仕事をしてくれているようだ。ありがたい。今までは武器にすらならなかったのに大躍進であるる。
「ううぅ……」
悔しそうにハンドルを回すナマエに喉を鳴らしながら星が輝く空の下バイクは進み続けた。