本編
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油断していたと主張する。小南と別れてなんか流れで烏丸と一緒に帰っていた。ピンクナンバーの原チャの後ろに乗っけて玉狛まで帰ってる最中。信号待ちで「このあいだのお詫びに飲み物おごります」と言われて寒いしちょうどあった自販機でココアを奢ってもらった。手袋を脱いであたたか~い缶で指先を温めていると、片方をぎゅっと握られた。
「つめた。手袋してたのに」
「…………」
「顔赤いっすよ」
誰のせいだ。顔だけぷいと横を向いてココアをのんでるとクスクス笑われる。そうだ。2人きりはこういう雰囲気になるんだ。玉狛第二の勝利で吹き飛んでた。
「手繋いでもイヤイヤしなくなりましたね」
「二歳時みたいな言い方やめれ」
「でもイヤイヤしないじゃないですか」
「確かに。恥ずかしいだけでイヤじゃないんだよね」
素で答えてあっ、となった。いらんこと言った。ちらりと烏丸をみると破顔していて、またぷいっと視線を逸らした。いかんものをみた。
「ナマエさんってもう……」
「え? もう、なによ」
「いや、ちゃんと自覚してほしいのでもうちょっとがんばってください」
「急に応援された……」
何をがんばれと言いたいのか分からなくて繋がってる方の手をぷらぷら揺らす。なんか楽しくて顔が緩くなっていく。そういえば手を繋ぐのは子供のときから好きだった。でも小学生くらいでからかわれて止めた気がする。そんなことを思っているとするりと指同士が絡まってぎゅっと繋がれた。さっきより密着度がする。
「これしってる……恋人がやるやつだ……」
「もっと恥ずかしがるとおもったんですけど」
「なんかおお~ってなった」
「情緒がよくわからないな……じゃあこれは?」
手の甲を持ち上げられて烏丸の頬にすりっと当てられた。これはだめです!! なんかえっちだ!
「すけべ禁止令違反!」
「これは駄目か。残念です」
ちっとも残念そうに聞こえない口調で手を下ろす烏丸。おまえ本当に高一か……うなるように訊くと烏丸は肩を揺らす。笑うな。
「高一ですよ。中学のときからナマエさんのことが好きだったのでキスもしたことないですよ」
「う、ひゃ百人切りみたいな雰囲気ありますけど」
「全く経験ないので気のせいですね」
「全く経験がない……? この顔で?」
「一途なので。ああ童貞かって聞きたいんですか?」
「えほ! げほげほっ!!! そういうこと言うな!」
「別に下ネタ聞いても流すでしょナマエさんは」
「烏丸はだめ!」
なんか生々しい。顔が熱くなるのがわかる。片手はココア、片手は烏丸で隠せるものがない。地団駄したくなってきた。
自分の情緒が分からない。
付き合ってもないのにこの距離はありか? と自分の中で訊ねるとなしだと返ってくる。でも無理やり離れたいかと訊くとノーだと返ってくる。つまりきっと、私は烏丸と離れがたいと思っているということになる。
「私、尻軽だったんだ……」
「!? ぶっ、はははは、ちょっ……まって、ふふふ、あははは」
「この上なく笑われてるんですけど」
烏丸がこんなに笑うの初めてみた。
「そりゃ、わらっ、笑うでしょ…………はー。何でし、尻軽なんですか」
「まだ口の端わらってますけど」
「見逃してください。……で、どうして?」
仕方ないなぁという風に優しく聞いてくる烏丸に口が緩くなっていく気がする。
「烏丸に好意もたれて優越感を持ってると思うんですよ。だから触られてもイヤじゃないしなんなら安心することもあるし。でもそれって烏丸のこと利用してるってことじゃん。だから尻軽になったんだなぁと」
「ふ、」
「まだ笑えるかてめー」
「ナマエさんと尻軽って言葉を並べるだけで一週間は笑えます」
「このやろう」
「で、本題ですけど」
「はい」
向き合って顔を上げる。まだ笑ってやがる。釈然としない思いが充満するけど一度飲み込む。
「ナマエさんのは尻軽じゃないです。だいたい尻軽って不特定多数に粉かけてる人のことですし。ナマエさんは俺だけなんでしょ」
「……そう言われてみればそうだ」
「うん。俺だけが特別なんでしょ?」
「確かに……」
「ね? 尻軽じゃないです」
「うん。違った」
なんだ。尻軽じゃないのか。よかった。
最上さんに顔見せできなくなるところだった。基本的になにしても許してくれるけど他人が関わる系は厳しかったからな。うん、よかった。
「その特別はどんな形してるか気づいてほしいんですけど……まだ無理ですかね」
安心してうんうん頷く私は烏丸の呟きが聞こえていなかった。
「つめた。手袋してたのに」
「…………」
「顔赤いっすよ」
誰のせいだ。顔だけぷいと横を向いてココアをのんでるとクスクス笑われる。そうだ。2人きりはこういう雰囲気になるんだ。玉狛第二の勝利で吹き飛んでた。
「手繋いでもイヤイヤしなくなりましたね」
「二歳時みたいな言い方やめれ」
「でもイヤイヤしないじゃないですか」
「確かに。恥ずかしいだけでイヤじゃないんだよね」
素で答えてあっ、となった。いらんこと言った。ちらりと烏丸をみると破顔していて、またぷいっと視線を逸らした。いかんものをみた。
「ナマエさんってもう……」
「え? もう、なによ」
「いや、ちゃんと自覚してほしいのでもうちょっとがんばってください」
「急に応援された……」
何をがんばれと言いたいのか分からなくて繋がってる方の手をぷらぷら揺らす。なんか楽しくて顔が緩くなっていく。そういえば手を繋ぐのは子供のときから好きだった。でも小学生くらいでからかわれて止めた気がする。そんなことを思っているとするりと指同士が絡まってぎゅっと繋がれた。さっきより密着度がする。
「これしってる……恋人がやるやつだ……」
「もっと恥ずかしがるとおもったんですけど」
「なんかおお~ってなった」
「情緒がよくわからないな……じゃあこれは?」
手の甲を持ち上げられて烏丸の頬にすりっと当てられた。これはだめです!! なんかえっちだ!
「すけべ禁止令違反!」
「これは駄目か。残念です」
ちっとも残念そうに聞こえない口調で手を下ろす烏丸。おまえ本当に高一か……うなるように訊くと烏丸は肩を揺らす。笑うな。
「高一ですよ。中学のときからナマエさんのことが好きだったのでキスもしたことないですよ」
「う、ひゃ百人切りみたいな雰囲気ありますけど」
「全く経験ないので気のせいですね」
「全く経験がない……? この顔で?」
「一途なので。ああ童貞かって聞きたいんですか?」
「えほ! げほげほっ!!! そういうこと言うな!」
「別に下ネタ聞いても流すでしょナマエさんは」
「烏丸はだめ!」
なんか生々しい。顔が熱くなるのがわかる。片手はココア、片手は烏丸で隠せるものがない。地団駄したくなってきた。
自分の情緒が分からない。
付き合ってもないのにこの距離はありか? と自分の中で訊ねるとなしだと返ってくる。でも無理やり離れたいかと訊くとノーだと返ってくる。つまりきっと、私は烏丸と離れがたいと思っているということになる。
「私、尻軽だったんだ……」
「!? ぶっ、はははは、ちょっ……まって、ふふふ、あははは」
「この上なく笑われてるんですけど」
烏丸がこんなに笑うの初めてみた。
「そりゃ、わらっ、笑うでしょ…………はー。何でし、尻軽なんですか」
「まだ口の端わらってますけど」
「見逃してください。……で、どうして?」
仕方ないなぁという風に優しく聞いてくる烏丸に口が緩くなっていく気がする。
「烏丸に好意もたれて優越感を持ってると思うんですよ。だから触られてもイヤじゃないしなんなら安心することもあるし。でもそれって烏丸のこと利用してるってことじゃん。だから尻軽になったんだなぁと」
「ふ、」
「まだ笑えるかてめー」
「ナマエさんと尻軽って言葉を並べるだけで一週間は笑えます」
「このやろう」
「で、本題ですけど」
「はい」
向き合って顔を上げる。まだ笑ってやがる。釈然としない思いが充満するけど一度飲み込む。
「ナマエさんのは尻軽じゃないです。だいたい尻軽って不特定多数に粉かけてる人のことですし。ナマエさんは俺だけなんでしょ」
「……そう言われてみればそうだ」
「うん。俺だけが特別なんでしょ?」
「確かに……」
「ね? 尻軽じゃないです」
「うん。違った」
なんだ。尻軽じゃないのか。よかった。
最上さんに顔見せできなくなるところだった。基本的になにしても許してくれるけど他人が関わる系は厳しかったからな。うん、よかった。
「その特別はどんな形してるか気づいてほしいんですけど……まだ無理ですかね」
安心してうんうん頷く私は烏丸の呟きが聞こえていなかった。