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幼少期 運命
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「怜奈!忘れ物ないか?」
「大丈夫だよ!」
「流石は俺の子!」
「えへへっ」
朝 いつもの光景
季節は冬になり、体の芯から冷えるような寒い日が続いていた。
その日も例外ではなく、今晩中には雪が降るだろうと予測されている。
それを見た父、誠は怜奈の頭を撫で明日は雪遊びできるかもな!とわしわしと小さな頭を撫でた。
「!ほんとっ?」
「そうしたら一緒に遊ぼうな!」
「うん!」
これ以上ないほどの笑顔を浮かべる可愛い娘に誠は顔をでれでれと緩めると時計を確認してそろそろ出る時間だな、と怜奈を学校へと促す。
「行ってらっしゃい!気をつけてな!」
「いってきます!」
家を出る前の日課であるハグをすませると、双方とも笑顔で相手を見やりドアは閉められた。
バタン
それが最後の抱擁になるとは知らずに
─────
─────────
─────────────
「怜奈ちゃんばいばーい!」
「じゃーな!」
「みっちゃん、勝己くん、またね!」
その日、学校の授業を終え途中まで一緒に帰っていた緑谷、爆豪と別れ白い息が吐き出されるのを視界に映しながら残りの帰路を辿った。
無事家に到着すると鍵がかかっていて、父はどこかに出かけたのだろうかと理解しそのまま扉を開け自分のランドセルを部屋に置くと、手洗いうがいをしてから冷蔵庫の中身を確認する。
今日は寒いから、父の好きなシチューでも作ろうかと準備を進める。
喜んでくれるだろうかと、いつも笑顔で完食してくれる父の姿を思い浮かべながら調理に没頭した
作り終わって1時間、3時間と時間が経ったが彼が帰ってくる気配はない。
仕事が長引いているのかと少し心配になり、事務所に電話をと受話器を手に取った時バンッとリビングのドアが開かれた。
それに驚き顔を向ければ汗だくの相澤とマイクが立っていた。
ハァハァと息を乱す彼らにどうしたのかと駆け寄ろうとした時、怜奈の姿を目に映した彼らは長い脚をコチラに向け一瞬で距離を縮めると##NAME2##の肩を普段からは想像もつかないほど少し乱暴に掴んだ。
これ程切羽詰まったような2人を見るのは初めてで、どうしたらいいのかわからずにいるとハッと相澤は我に返ったように力を緩める
「消太お兄ちゃん…?」
「っ怜奈ちゃん…」
「マイクお兄ちゃん?」
何かを堪えるようにぐっと唇を噛み締めた彼らの唇が、些か震えているように思える
それにそっと肩に乗っている相澤の手を包むと、目の前の彼はさらに顔を歪め、重い口を開いた
─────誠さんが………
そして着いた病院。マイクが呼んだタクシーの中での自分がどうにも思い出せない
どうやって乗ったのか、家の鍵を閉めたことさえも覚えていないが相澤に抱き抱えられながら1つの病室の前に辿り着く
神風 誠
そこに書いてあったのは、たしかに父の名前だった。
マイクが扉を開け、病室にいたオールマイトに声をかけると、彼はゆっくりとこちらに振り返り、怜奈を見て目を見開いた。
だが怜奈の視線の先には、入った瞬間から聞こえていたピ─────という無機質な電子音と、傍らに医者を携えた
冷たくなった父の姿しか、映っていなかった
相澤がそっと怜奈の足を地面につけると、少女は一歩一歩、父の亡骸に向かい足を進める
俯きがちになっているその表情は分からない
だから、オールマイト達もどう声をかければいいのかわからなかった
とうとう目の前まで移動した時に、怜奈は澄んだ声でオールマイトに問いかけた。
「オールマイト…パパは、敵と戦ったの?」
「っああ…民間人を、庇って……」
「そっか…………」
すり……と頬を撫でれば、ひんやりと冷たい無情な温度。まだ少し柔らかいが、きっとすぐに硬くなってしまうだろう
オールマイト達はそんな少女を見て、思わず目を逸らす
どんな言葉をかけたらいいのか、わからなかった。
唯一の血縁者を失った10歳の少女に、この現実はさぞ絶望的であろう
だが、違った
「……やっぱりパパは、最高のヒーローだね」
「「「!!!」」」
そう言って顔を上げた少女は、これ以上ないほどの優しい笑を浮かべ、亡骸の手を小さな手で握った
その姿にオールマイト達は唖然とする
実の父を亡くし、今すぐ泣き叫びたいはずだ
だが少女は微笑み、さらに言葉を繋ぐ
「頑張ったんだね、パパ…お疲れ様………私の最高のヒーロー…大好きだよ」
そう言って最後、頬に優しく唇をおとすと、ありがとうとその頭を撫でた
オールマイト達は信じられない思いでいっぱいだった
そして気づく
自分が泣くのを父は望んでいないと、怜奈はわかっていたのだと
誠は怜奈が悲しむのをいの一番に嫌がった。涙をこぼそうものならその原因を必ず突き止めていくほどだ
そんな彼が自分のせいで泣いているとわかれば、きっと自分を許さない
それをわかっているからこそ、彼女はこの場でこうして笑顔を浮かべているのだ
医者と一言二言言葉を交わすと、怜奈は少しふらつきながら病室から出ていった
それを見たオールマイト達は慌てて彼女の後を追う。
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