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幼少期 緑谷出久
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少女・怜奈は父親の都合で前の土地から引越し明日からこの保育園に通うことになったらしい
ここの入園は前から準備を済ませていて、通う前に今日は父親と一緒に園の雰囲気や彼の職業上個人情報の取り扱いの確認等をするために来ており、今彼は先生とお話があるので彼女は1人で園内を探検していたところ、外に目を向けて泣いている自分にあったのだと移動した教室の隅でそう説明してくれた
この時間は全員外に遊びに行ってしまうので2人以外には誰も部屋にはいない
「このヒーローかっこいいねえ」
「このヒーローはね、凄く力持ちなんだよ!」
「みっちゃんすごい!いっぱいヒーロー知ってるんだね!」
「えへへっ僕ヒーロー大好きなんだ!」
仲良しになりたいということから自身を渾名で呼んでくれる怜奈に、園で一番お気に入りの本であるヒーロー大全を広げてはあのヒーローはこうで、そのヒーローはと説明をすれば彼女は目をキラキラと光らせ楽しそうに相槌を打ってくれた
「みっちゃんの個性はなぁに?」
ピタっ………
何気ないトーンで聞かれた台詞に思わずページをめくる手が止まってしまう
みっちゃん?と怜奈が動きを静止させた緑谷の顔を覗き込むと、彼は大きな瞳いっぱいになみなみと涙を浮かべていた
「どっどうしたの?どこか痛いの?」
「ちがっ僕、僕………」
ここで自分は無個性だと言えば、彼女はどんな反応をしてしまうのだろうか。
もしかしてみんなみたいに馬鹿にするのだろうか
そんなのは嫌だ…どうしよう…
そう考えるうちにもぽろぽろとこぼれる涙にどうしたらいいか分からずにいると、白く暖かい手が自分の手をふわりと握った
「大丈夫、絶対大丈夫だよ」
溢れる涙をそのままに視線を上げれば、緩やかに歪められたダイヤモンドがしっかりと自分を映してくれていた
その美しさと優しくも力強さを感じる言葉に涙とともにぽろり、ぽろりと言葉がこぼれ落ちる
「僕、僕ね………」
「うん」
「むっ無個性なんだ……僕は、個性がないんだ…………」
──────あぁ言ってしまった
彼女はどんな反応をするのだろうか
反応が怖くて彼女の顔を見ることが出来なくて思わず俯き、嫌われちゃったかな……と思っているとみっちゃん。と優しく甘やかな声が自身の鼓膜をふるわせた
その声に操られるように顔を怜奈に向ければ、窓から差し込む光によって輝く姿があった
「みっちゃん、私はねみっちゃんが好きなんだよ」
「え……?」
美しい光景に見惚れてしまっていると、そう再び声をかけられるのになんのことか分からず首を傾げてしまう
「個性なんておまけだよ」
「!!」
「私、これからもみっちゃんと仲良しがいい。個性なんかなくても、みっちゃんは私の大事なお友達だよ」
「怜奈…ちゃん……」
「私、みっちゃん大好きだよ!」
涙がまた溢れてきた痛くはないのに溢れるこの涙は、不思議と心地よかった。
胸がいっぱいでこの気持ちをどうすればいいのかわからない。
初めて同じ場所に自分を見てくれる
個性ありきの関係なんかじゃない
それがとてつもなく嬉しくて
この嬉しさをいつか返せるように緑谷はこの時決めた
彼女の隣に立てるくらいの人になることを
その後怜奈は彼女を探しに来た先生に呼ばれて保育園をあとにした。
緑谷は明日が早く来ないかなぁといつもより軽い体に胸を弾ませた
(え、お父さんヒーローなの?!!!!)
(うん!)
(すっすごいや!ヒーロー名は?)
(えっとね、)
(怜奈ちゃん!!!あの男の子は誰?!!!!)
(えへへっ!初めてのお友達!)
(クッ流石俺の娘kawaii!!……だが絶対にやらんぞ!!!!!)
Fin
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