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THE試験
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「っと…話が逸れたが、夜嵐は本物だ。マークしとけ」
「イレイザー!?イレイザーじゃないか!!」
怜奈の頭から手を離したところで彼に向かってかけられた声に、相澤は一度ギクリと反応してから声がした方向に顔を向ける
「テレビや体育祭で姿は見てたけど、こうして直で会うのは久し振りだな!!」
「あの人は…!」
声の持ち主がハッキリとわかると、声には出さないものの相澤の顔は露骨に嫌そうな顔へと切り替わった
「結婚しようぜ」
「しない」
「わぁ!!」
彼女の発言に相澤は被せ気味で拒否を示し、恋愛事に目がない芦戸はドキー!と反応する
しかし拒否された本人は慣れているのかしないのかよウケる!!と吹き出して笑っていた
相変わらず絡み辛いと相澤が続けた後で緑谷が目を輝かせスマイルヒーロー"Ms.ジョーク"だ!と握りこぶしを作り解説を入れる
彼女の個性は爆笑で、近くの人を強制的に笑わせて思考行動ともに鈍らせるらしく彼女の敵退治は狂気に満ちているよ!と、最後に付け加えられた台詞にそれは果たして褒めているのだろうかという疑問が残る
「私と結婚したら笑いの絶えない幸せな家庭が築けるんだぞ」
「その家庭幸せじゃないだ……ろ………………」
ジョークを睨みつけながら言ったところで相澤はそこまで言ってから今までの彼女との会話を振り返る
そしてその内容を改めて確認して冷や汗がぶわりと全身から吹き出した
「………(まさか…ッ!!!)」
嫌な予感を抱えながら勢い良く後ろを振り返れば、そばにいろと指示していたため会話をバッチリと聞いていた怜奈がキラキラとした瞳でジョークに視線を向けていた
「消太先生の恋人さん…!」
両手で拳を作り頬を桃色に染め興味津々と言った感じにジョークを見遣る彼女は、相澤に向かって嬉しそうに恋人なのかどうかを確認するように問いかける
相澤やマイク達とてそういった経験がない訳では無いが、彼らにとって最も優先順位の高いものは怜奈だと確定してしまっているため、恋人などを作っても「自分と彼女どっちが大切なの?」と問われれば確実に後者を選んでしまうことは否めないので、作ろうとはしなかった
それをなんとなく感じとっていたため、怜奈にとって相澤に"恋人"のような人が存在していたことについて、ある種の安心のようなものを感じたのだ
「消太先生、恋人さんいないと思ってたから…なんで言ってくれなかったの?」
サァ──────────…
「ッ………ッッ…………!!!」
((相澤先生のこんな顔見たことない!!))
とんでもない勘違いをしながら無邪気にそう聞いてくる怜奈に、相澤は顔を真っ青…と言うよりも最早白に近い絶望の色に染めあげているのを見て、A組は彼の表情に驚くと共にその心中を察した
「あれ?君はもしかして…」
と怜奈の姿に気付きジョークが声をかけようとした瞬間
シュルルルルルルルッッ
ギュッッッッッ!!
ギチギチギチギチギチギチ!!!!
「ぐあああああああああぁぁぁ!?」
「うわあああああああ!!!!?」
「Ms.ジョークぅううううう?!!」
「お前のッ…お前のせいで!!誤解されたじゃねえかッ!!!」
「相澤先生がご乱心だあああぁぁぁ!!」
相澤の捕縛武器が一瞬でジョークの身体を縛りあげたかと思うと、彼はその勢いのまま彼女の身体を締め上げだした
個性が出せないよう彼自身個性を発動させているのを見て、相澤は本気でジョークを捕縛しにかかっていることは明らかである(よく見れば相澤の目尻には涙が浮かんでいる)
突然の相澤の行動に周りも騒然とするが、未だジョークを相澤の恋人だと勘違いしている怜奈も慌てて彼の腰に腕を回し何とか縛り上げているのをやめさせようとする
「だ、ダメだよ消太先生!恋人さんが死んじゃう!」
「!!………ッウググググッ……フンッ!!!!!」
ボキボキボキボキボキィッッ!!!!
「ぎゃあああああああああああぁぁぁ」
「ああああああああああだめぇぇぇぇぇぇええ」
「火に油だああああああぁぁぁ!!」
「Ms.ジョークの肌変色してきてるぞ?!」
「殺しにかかってねえか?!!」
「消太先生やめてぇぇぇぇぇぇ」
「A組総員で止めろぉぉおお!!!」
───────────
───────
A組全員で相澤を止めに入り、数分後何とか縛り上げられていたジョークを救出することに成功したが、彼の怒りのパワーは凄まじく試験前に息が上がってしまうということになってしまった
「ゼェ…ハァ……」
「な、何とか治まってくれたな…」
「怜奈……違うぞ…違うからな?あいつは恋人なんかじゃない…本当だぞ」
「う、うん、ごめんね消太先生…勘違いしちゃって…」
「アフターケア入ってるし…」
「羨ましい……!」
「焦るな!俺達もきっと後でやってもらえる!」
グスッ…と鼻を鳴らしながら相澤は怜奈の肩を掴みゆらゆらと揺らすのに、怜奈は背伸びをして彼の頭を優しく撫でる
もし彼を止められていなければ"雄英高校初・プロヒーロー教師殺人者"が明日の見出しを飾ってしまうところだった
「ジョーク…次怜奈の前で変な事言ったら殺すぞ……」
「わ、悪かったよ……」
「こら消太先生!めっ!」
「(kawaii…)つか、お前の高校もか」
「そうそう、おいで皆!雄英だよ!」
ヒーローらしからぬ表情と台詞に怜奈がそれを注意するように相澤の袖を引っ張るが、言われた本人はその言葉のチョイスにキュンっとなっただけだった
ジョークは縛られていた身体を慣らすように腕を回しながら気にしていないと豪快に笑うと、背後から寄ってくる集団に向けて声をかける
「おお!本物じゃないか!!」
「すごいよすごいよ!TVで見た人ばっかり!」
「1年で仮免?へぇーずいぶんハイペースなんだね。まァ色々あったからねぇ。さすがやることが違うよ」
「傑物学園高校2年2組!私の受け持ちよろしくな」
傑物学園高校の生徒である1人の男子生徒はおもむろに緑谷に近付くと、真堂と自身の名を名乗り彼の手を両手でしっかりと握る
緑谷のように彼は上鳴や耳郎のても同じように握りトラブル続きで大変なのにヒーローを目指し続ける君たちは素晴らしい!と言った感じの声をかける
「不屈の心こそ、これからのヒーローが持つべき素養だと思う!!(バチコンッ)」
(((まぶしい)))
爽やかな笑顔とともにアイドルばりのウィンクをキメる真堂に周りはその勢いに押されつつも、ドストレートに爽やかなイケメンだと上鳴が称すと彼はキリッとした表情のまま爆豪へと視線を向ける
「中でも神野事件を中心で経験したうちの一人、爆豪くん。」
「あ?」
「君は特別に強い心を持っている。今日は君たちの胸を借りるつもりで頑張らせてもらうよ」
そう言って爆豪に向かって手を伸ばした真堂だったが、爆豪は目を吊り上げ彼の表情を確認すると伸ばされた手を振り払った
「フかしてんじゃねぇ。台詞と面が合ってねぇんだよ」
その言葉に真堂はどこか今までとは違った笑みを浮かべたが、それに気付いたのは爆豪のみで切島は失礼だろと彼を嗜め真堂に謝罪すると、彼は心が強い証拠さと再び人当たりのいい笑顔を浮かべた
それからキャイキャイと交流する両校に相澤は怜奈の肩から手を離し、コスチュームに着替えて説明会があるため早く行動しろと言葉を投げる
「なんか…外部と接すると改めて思うけど」
「やっぱけっこうな有名人なんだな雄英生って」
「………?ひょっとして…言ってないの?イレイザー」
「消太先生…?」
耳郎達の台詞を聞いたジョークがそう相澤に投げかけるのに怜奈も彼の顔を見上げるが、相澤はそんな彼女の頭を優しく撫でジョークに返答を返すことは無かった
────────────
─────
「ところで…彼女はいないのかい?」
「?彼女って…」
「!てめっ、まさか…」
両校別れて行動しようとした時に真堂は待ったをかけるとそう問いかけてくるのに、周りは首を傾げるが爆豪は直ぐに察したのか真堂を睨みつけたその時
「わ、わ、消太先生押さないで」
「早く行くぞ、お前は特に目立つ」
「気のせいだよお……」
「な訳ないだろ」
視線をキョロキョロと彷徨わせていた真堂の目に、相澤に背中をぐいぐいと押され移動している怜奈の姿が映された
「っ!!ま、待ってくれ!!」
「え?」
「ゲッ………」
その姿を映した真堂は怜奈の背に向かって声をかけると、呼ばれた怜奈はそのまま何気なく後ろを向いて彼の姿を映し、彼女の背を押していた相澤は渋い顔で振り向き気付かれたかと舌打ちを零した
「え、待ってあれって…」
「うそっ!本物?!!」
真堂の後ろにいる傑物学園の生徒達も怜奈の姿を確認すると、揃って興奮を示しているのにA組も漸くそれらを理解し冷や汗が伝う
ドドドドドドドドドッッ!!
「あ、あの!!俺真堂揺って言います!お会いできて光栄ですっ」
「あ、え、その」
「ヤバっ本物!可愛い〜!!」
「本物の神風怜奈ちゃんだ…!!」
「顔ちっちゃい!細い!!」
「サインください!!」
「握手してもらってもいいですか?!」
「俺、生きててよかった…!!」
「写真はダメですか!?」
「ええっと、あの…」
「髪が前と長さ違いますね?凄い綺麗です!」
彼らは瞬く間に怜奈と相澤の周りを取り囲むと、真堂は顔を赤く染めながら怜奈の手を握り他の傑物生は声音に喜色と感動を織り交ぜながら感想や質問などを投げかけている
その光景はさっきの士傑とのやり取りと酷似していて、彼らも怜奈に憧れているのだろう
「今神風怜奈って言わなかった?」
「ねえあれそうじゃない?」
「え?!すげえマジもん?」
「体調良くなったって本当だったんだな!」
「テレビで見るよりめちゃくちゃ可愛い…」
「直視が難しい」
「後で喋ったりできるかな?」
「いや、運よければ連絡先とか交換できたり…」
「つかオーラ凄すぎ!」
「心なしかいい香りが……」
「お、おいおいおい……!」
「やばくねえか、これ……!?」
「クソが…余計なことしやがって!!」
ここで忘れてはならないのが怜奈は今日本一有名な高校生と言えるということで、様々な目を向けられる彼女がこうして一歩外に出るだけで囲まれてしまうのは当然のこと
その場にいるだけで目立ってしまう彼女の存在を察して爆豪や相澤は怜奈を隠したり早く行かせようとしたのだが、それも虚しく傑物生達によって他校の生徒達は怜奈の存在を見つけてしまいだんだんと野次馬が出来てきてしまっている
「俺、体育祭の時からずっと貴女のファンで!神野の時もオールマイトとの共闘凄い感動しました!!その後身体が砕けた神風さんを見て食事も喉を通らなくて…なので無事で本当に良かったです!」
「そんな、ありがとうございます」
「そ、それで、もし良かったらこの後連絡先とか…」
先程の笑顔を浮かべる余裕がないのか、真堂は未だ顔を赤く染めながら真剣な表情で言ってくるのに怜奈は素直にそう言って貰えたことが嬉しくて柔らかな笑顔を向けると、彼らは一瞬動きを止めざわめき真堂が更に言葉を繋げようとした時
ヒョイッ
「「「「「!!!!」」」」」
「ひゃっ」
「おいジョーク…お前んとこの生徒だろうが、ちゃんと管理しろ」
「アッハッハッハッ!いやあすまんすまん!ほらみんな!迷惑かけないではよ行くよ!!」
ずっと怜奈の傍らで同じくもみくちゃにされていた相澤が彼女の腰を掴み一気に抱き上げたので驚いて彼を見ると、相澤はいくつもの青筋を浮かべゆらりと目を光らせているのに、真堂達は息を飲み固まるとそれを確認した彼はそれらをひと睨みして怜奈を片腕に抱え直すとA組のもとへと歩く
「あ、ありがとう消太先生…」
「まったく…油断も隙もねえな」
「応援してくれるのはとっても嬉しいんだけどなあ」
「あんま優しくするなよ、相手がつけあがる」
そういった所でA組の元に辿り着き、このまま下ろして貰えると思っていたが…
「障子、怜奈抱えろ」
「はい」ヒョイ
「え?」
相澤は怜奈を下ろすことなく障子にその身体を受け渡すと、彼は戸惑うことなく怜奈を持ち上げそのまま複製腕で彼女の姿が見えないように覆ってしまう
「あ、う?」
「A組総員!!怜奈と障子の周りを囲め!!試験開始まで怜奈に人を一切寄せ付けるな!!!」
「「「「イエッサァア!!!」」」」
一連の鮮やかな流れに怜奈が一人疑問符を浮かべる中で相澤がそうA組に指示を下すと、彼らは雄叫びに近い声を上げその指示通りに怜奈を抱えている障子の周りを囲むようにして移動を始める
「オラァ!!見てんじゃねえぞくそモブ共が!!爆発されたくなかったら怜奈に近づくんじゃねえ!」
「おいそこの奴、なんだそのスマホ。まさか怜奈を撮ろうとしてんじゃねえだろうな」
「安心してね怜奈ちゃん!私らが守ってあげるから!」
「耳郎さん、何かあった時のためビデオで周りの撮影を」
「オッケー、任せといて」
「パイオツカイデーチャンネーイルヨー!!!!」
「オラァ!!ゴラァ!!!!」
「どけどけどけぃ!!!我らがエンジェルが御通りじゃあ!!!!」
「お触り禁止!!!」
爆豪を筆頭に彼らの顔はさながら殺し屋のような雰囲気を放っていて、隠れてスマホを構えていた者も小さく悲鳴をあげて慌ててしまっている
「…過保護過ぎるぜイレイザー」
「うるせーな、元はと言えばお前んとこの生徒のせいだろうが。こうでもしねえと群がられる…あいつはタダでさえ人を惹きつけるんだからな」
先が思いやられると相澤は深くため息を吐き出し、会場の見学席へと足を向けた
(ごめんね目蔵くん、重くない?)
(軽すぎるくらいだ。もっと食べた方がいい)
(いっぱい食べてるよ?でも凄いね目蔵くん!赤ちゃんが入る袋みたい)
(…怜奈、お前は狙われやすい。しっかり危機感をもて)
(ふふ、目蔵くんは優しいね)
(……………俺が守るしかないな)