MHA中心
THE試験
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
そんなこんなで四日後、体育館γ(TDL)トレーニング真っ最中
怜奈はケルベロスからの指示により周囲に壁を作り周りからは訓練内容が見れないようにしていた
それというのは新技の開発と、攻撃範囲の広いものを習得するため周りに被害が出てしまわないようにという配慮である
「だいぶ使えるようになってきたな」
「みんなが私に合わせてくれるからだよ」
技を解除しケルベロスに微笑みかけると、彼も嬉しそうに笑って自分は少し休むと言って怜奈の中へと戻って行った
それにおやすみなさいと呟き周りを覆っていた壁を消すと同時に向こうから大きな音が聞こえ、どうしたのかと身体を浮かせ音が聞こえた方向に向かって飛び上がる
「気ィ付けろやオールマイトォ!!」
そう爆発音と共に爆豪の声が聞こえ下を向けば、オールマイトに相澤とセメントスが駆け寄っているのを見つける
「オールマイト先生、大丈夫ですか?」
「ああ、大丈……!!」
「「「「!!!!」」」」
上からかかってきた声にオールマイトやコスチュームについて話していた緑谷達が顔を上げると、目に映った光景に言葉を失った
「よかった」
そう言ってふわりと笑う彼女の背中には透明な布でできた下部分が翼のような形のリボンが蝶のように細い肢体を軽やかに浮かせ、彼らの目の前まで来るとその羽根は光の粒子となり淡く消えていった
彼女の新しくなったコスチュームは胸元が大きく開いた黒い上着と一体型のショートパンツ、二の腕まである白色の薄いグローブ
下半身はグローブと同色・同素材のニーハイと白色のガーターベルト、足元は足首の後ろで結ばれたリボンがポイントになった黒の細いピンヒールが飾られている
SAKURAブランドが総力を上げて手がけたコスチュームは最新の軽量素材また衝撃吸収、様々な攻撃への耐久性、伸縮性など世界トップレベルだ
首の黒革のチョーカーは怜奈が作ったもので、前に鍵が嵌め込めるように溝を作り後ろはレイラお手製の金具で留められるようにしてある
彼女の姿に全員が見惚れていると、何も言葉を発しない彼らを不思議に思った怜奈が声をかけ彼らは漸く意識を遠い思考から呼び戻した
「どうしたの?」
「あ、いやっ…怜奈、今背中についていたのは?」
「新しい飛行魔法の"
「他の人にも飛行能力を授けられるんだね…凄いじゃないか!」
「えへへ…」
「れれ、怜奈ちゃんもコスチューム変えたんだね」
「そう言えば、ずっと壁作って訓練してたからお披露目してなかったね。園美さんがデザインしてくれたんだあ」
ほら!と怜奈が後ろを振り向き髪を上げると、彼女の背中にはSAKURAブランドのロゴマークである羽根をモチーフとしたくり抜きがあった
嬉しそうに説明する怜奈に周りも似合っていると絶賛する中で、相澤はきゅっと眉を顰める
「…胸元の露出が増えてないか?」
「そうかな…?」
「似合っていない訳じゃないが、背中もちょっと肌を見せすぎだ」
「確かに溢れそう…」
「黙っとけ上鳴。殺されるぞ」
どちらかと言えば前の方が露出は多かった気がするが、確かにその分胸元は開いているかもしれない
まるで小姑のように小言を言う相澤に怜奈は自分の体を見渡してから彼を見上げる
「で、でもせっかく園美さんが作ってくれたし…このデザインも可愛くて気に入ってて…だめ?」
「(キュン!!)いいよ」
「「「いいのかよ!!!!」」」
上目遣いでそう言われてしまえばNOとは言えなくなるのがお約束で、即答した相澤に周りがツッコミを入れてしまったのはしょうがない
「みんなもコスチューム変えてるね」
「怜奈ちゃんのヒントのおかげで改良できたんだ!」
「なあなあ怜奈ちゃん!俺のスタイルチェンジ凄げえよマジで!!見てみる?!見る?!!」
上鳴がテンション高く言った瞬間に入口の方から第三者の声が入り会話が途切れる
「今日は午後から我々がここを使わせてもらう予定だ!」
そういったのはブラドで、B組の登場にA組の面々も顔を向けると彼はさっさと退けと相澤に言うが、まだ10分弱あると相澤はその言葉を容赦なく跳ね返した
「ねえ知ってる!?仮免試験って半数が落ちるんだって!(ボソッ)彼女以外……A組全員落ちてよ!!」
「「「(今小声で怜奈(ちゃん)以外っつったな)」」」
「?」
ストレートに感情をぶつけてきたのは物間で、彼のコスチュームは執事を模したような格好で本人曰く奇を衒う必要がないからということらしい
「物間くんは執事さんみたいなコスチュームなんだね、似合ってるよ!」
「なっ?!!き、君のコスチュームは…」
「わあ、怜奈凄い可愛いじゃん!似合ってるよ!」
「えへへ、ありがとう!一佳ちゃんもカッコイイねそのコスチューム」
「拳藤………!!!」
怜奈の姿を見て顔を真っ赤に狼狽える物間を突き飛ばすと、拳藤は緑谷達と同じように怜奈の姿を絶賛し、怜奈も拳藤のコスチュームを褒め二人できゃっきゃっと手を取り合う
(突き飛ばされた物間はギリィとどこから取り出したのかハンカチを噛み締めている)
その後ろでは常闇が試験では潰し合う運命だと述べたところで、相澤がその対策として今回の仮免試験ではA組、B組それぞれ別会場で申し込んであると返答する
ヒーロー資格試験は毎年6月・9月に全国三か所で一律に行われ、同校生徒での潰し合いを避けるためにどの学校でも試験では時期や場所を分けて受験させるのがセオリーになってきているのだとブラドが続ける
その説明に物間はあからさまにホッと息を吐いていたがそこはスルーしておこう
「"どの学校でも"…………そうだよな、フツーにスルーしてたけど他校と合格を奪い合うんだ」
「しかも僕らは通常の修得過程を前倒ししてる…」
「1年の時点で仮免を取るのは全国でも少数派だ」
1年の時点で取るのが少数派となれば、つまりは当然自分達よりも訓練期間の長い者、未知の"個性"を持って洗練してきた者が合格を勝ち取るために集うということになる
経験というのはそれだけで大きなステータス、脅威となりうるものなのだ
「試験内容は不明だが、明確な逆境であることは間違いない。意識しすぎるのも良くないが忘れないようにな」
──────────
────────
その日の夜
教師寮の中庭でオールマイトと少しの時間を過ごした後、怜奈は寮への道を歩いていた
すると玄関の前の芝生で誰かがトレーニングをしているのが見え近寄ってみると、どうやら緑谷らしい
「みっちゃん、自主練?」
「あ、怜奈ちゃん!うん、今足技の型をイメージしてて…」
「そっかあ、頑張ってるね!」
「怜奈ちゃんは…」
「パーパとちょっとお話してて、教師寮の方に行っててその帰り」
「そうなんだ…怜奈ちゃんちょっと聞きたいんだけど、」
「なあに?」
相澤直伝の体術を持っている怜奈に緑谷が足技等の質問をすれば、かけられた質問に怜奈も動きを混じえてここはね、と説明を重ねれば緑谷はなるほど…と言ったことに対して独自の解釈を加えメモに記していく
「基本的な動きも大切だけど、臨機応変に対応できるように様々なパターンも練習しといた方がいいね。自分よりもスピードがある人とやると効果的だよ」
「おお…!」
「よかったら訓練で組手しようか?」
「え!いいの?!」
「私はもう型が決まってるし、質を高めるために短時間練習だから時間があるんだ」
「じゃ、じゃあお願いしたいな!!」
「了解しました!」
パァっと顔を明るくさせる緑谷に笑いかけると、彼は思い出したように持っているノートをめくりひとつの封筒を取り出した
「ご、ごめんね怜奈ちゃん!今思い出して…これ」
「お手紙?」
「うん…洸汰くんから」
「!」
聞けば緑谷が目を覚まして医師から診断を受けている際に、自身宛のと怜奈宛のを受け取ったのだという
怜奈の分まで受け取ったのは、彼女が誘拐されていたからだろう
色んなことが起こりすぎて手紙の存在をすっかり忘れてしまっていたことに緑谷が頭を下げるが、学校に送られてきた怜奈宛の感謝の手紙は警戒のため彼女には届けられていないので、こうして手紙が、しかも洸汰のものが無事渡ってこれたのは彼女にとってとても嬉しかった
お礼を言ってから受け取り中を確認してみると、子供らしい丸文字と平仮名で綴られた文章が書いてあった
怜奈ねえちゃんへ
はじめてあったときにひどいこといってごめんなさい。
いっぱいあたまなでてくれて、やさしくしてくれてありがとう。
まもってくれてありがとう。
またおはなしがしたいです。
だからはやくかえってきてください
洸汰より
所々文字が滲んでいるところを見ると、彼は泣きながらこれを書いたのかもしれないと胸が痛んだ
彼にとって今回のことは両親と重なるものがあったんだろうと思わずにはいられなくて、今度相澤に返事を返せるようにお願いしてみようと決めた
(心配かけちゃった…)
(また会いに行けたらいいね)
(うん!絶対会いに行こう!)