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THE試験
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各々がエクトプラズム指導の元技について試行錯誤を繰り返す中で怜奈もどうしたものかと考えをめぐらせる
「必殺技かあ…」
「フム…怜奈ノ場合ハ魔法一ツ一ツ、宝石ノ変幻、ソレ自体ガ必殺技ト呼ベル二値スルモノ…」
怜奈の場合宝石の変幻と魔法自体が既に完成されたもの、加えて一つ一つの威力・利用性が高いためそれら全てが必殺技と呼べるのだ
どうしたものかと二人で考えているとポンッ!と怜奈の頭上から音が発せられる
「それならワイに任せとけ!」
「ケロちゃんっ」
「……………ヌイグルミ?」
「って!誰がぬいぐるみやねん!!!」
姿を現したのは、背中から小さな羽根を生やした黄色のくまのぬいぐるみのような姿をしたケルベロスで、それを見たエクトプラズムは思わず見たままの感想を述べるが、そう呼ばれた本人は青筋を浮かべながら彼に飛びかかろうとしているところを見るとどうやらぬいぐるみという言葉はタブーだったらしい
「これは仮の姿や!!ホンマのワイはごっつかっこええんやで!!」
「け、ケロちゃん落ち着いて!私はこっちの姿のケロちゃんも好きだよ?」
怜奈が暴れるケルベロスの体を両手で抑えながら落ち着かせるようにね?と言えば、ケルベロスは一度唸ってから命拾いしたな小僧!とエクトプラズムに舌打ちをこぼすと来た理由を話す
「ワイは怜奈にカードの種類と使い方を教えに来たんや」
「あ…そう言えば、まだ確認してなかったね」
「カードのことについて教えられるのはワイとユエだけやからな」
昨日カード化した魔力については怜奈が意識を失ってしまっていたため確認を行うことが出来ていなかったのと、使い方についても教えなければとケルベロスは元の姿では色々と不便な為仮の姿で出てきてくれたのだ
「ソレナラバ、俺二出来ル事ハ無サソウダナ」
「対人で訓練したい時はお願いしてもいいですか?」
「承知シタ」
「ありがとうございます!」
エクトプラズムが向こうに行ったことを確認するとケルベロスはさて、と怜奈に向き直り取り敢えず力を解放してみようと彼女の胸元で鎮座する鍵を指さすので、怜奈は頷き二度目となる解放に少し緊張しながらも鍵を掴む
「
するとあの日と同じように足元に光る魔法陣が現れ、小さな鍵はみるみるうちに1m程の硝子の杖に変形していき小気味いい音を立てて怜奈の手に納まった
「よし!ええ感じやな」
「それで、どうすればいいの?」
「そやな…とりあえず確認をした方がええから、外に出してみよか」
「それって、カードのこと?」
「おん。中に仕舞われとるもんを引き出すようにイメージするんや」
「仕舞って…あるものを………」
目を瞑り、自身の中にある力を想像しながら言われた通り引き出すことをイメージすると、周りに小さく風が旋回し始める
それに昨日のあれを思い出し一瞬ビクリと反応するものの、ケルベロスが自分が傍におる。大丈夫や。と声をかけるので杖を握りしめもう一度集中力を高めていく
「お願い…………こたえて………」
すると小さく旋回していた風がだんだんと大きくなっていき、怜奈が目を開いたと同時にパンッ!と風は弾け飛び、代わりに辺りにはカードのようなものがいくつも浮かび上がっていた
「うお?!」
「これ……全部、私の…?」
「驚いた…まさか全部出せるとは思っとらんかったわ」
カードの量にケルベロスが驚いたように声を上げるが、怜奈は自身の周りでふわふわと浮かび上がっているカードに目を移すと、カードにはそれぞれ絵柄があり、全体的に透けているが一方から見るともう一方の絵柄は透けて見えないという不思議な作りになっている
「綺麗…」
「…ワイも実際カードにされたんを見たのは初めてや」
するとカードは一箇所に集まっていき全て揃うと怜奈の手元に差し出されるように浮かび上がっているので、恐る恐る両手で受け取り描かれている絵柄を二人で確認する
「"
「ちゃんと出せたやんか!流石はワイが見込んだヒーローやで」
「でもおかしいよ……?」
「何がや?」
「だって…私の知らない魔法があるもの……」
カードの絵柄を確認して見覚えのない魔法の名前を見つけ首を傾げケルベロスに見せると、彼はそれらを一瞥してああ、と両手を合わせる
「そりゃアレや、誠が使っとった魔法やな」
「パパの?」
「朝も言うたやんか、ワイらは怜奈の中に移動した際に誠の魔法も持って一緒に移動したって」
しかし自分が作り出した魔法ならまだしも、何故誠が使っていた魔法までこうしてカードになっているのかを素直に疑問として口に出すと、ケルベロスは怜奈の肩へとその身を座らせた
「こいつらも知っとるからや、怜奈が主として相応しい器を持っとるって」
「でも私、何もしてないのに…」
「何言うとるん、怜奈はワイらを友として迎え入れてくれたやんか。それはワイらにとってこの上なく嬉しいものなんやで」
誠が使っていた魔法も中から見て怜奈のことを知っているからこそ、こうしてカードとなっているのだとケルベロスは優しい声音で続けるのに、それならば彼らの期待に応えられるように頑張ろうとカードを握る手に僅かに力を込めた
「んじゃ早速使ってみよか!」
怜奈の様子に満足そうに表情を歪ませた後、ケルベロスはカードを一度怜奈の中に戻す
「怜奈、もし街中で火事が起こっとったらどうする?」
「火事…わっ?!」
ケルベロスの質問に答えるより先に、何枚かのカードが目の前に現れ怜奈は思わず驚いてしまうが、カードの絵柄を確認するとその瞳は見開かれる
「"
「今火事って言う言葉聞いて怜奈は火を消すことを考えたやろ?」
「うん」
「その思いにカードが気付いたんや。今質問した内容は抽象的過ぎてどれぐらいの規模とか分からんかったから、とりあえず火が消せるようなカードが出てきたんやな」
つまり、これから魔法を使うにあたって必要なのはその能力をイメージするのではなく
"状況をどうしたいか"を考えること
その思いを読み取ったカード達によってその場に合ったカードが選抜され召喚されるという
「カードは怜奈の望みに応えてくれる。それは怜奈の力になりたいからや」
未だふわふわと浮かび上がるカードに手を伸ばし、優しく胸に抱き中にいるであろう彼らにありがとう、と心の中で呟いた
共に戦ってくれるのだと改めて感じたから
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魔法の使い方について確認できたところでエクトプラズムに組手を頼もうと移動すると相澤の隣にオールマイトの姿を見つける
「オールマイト先生?」
「やあ怜奈!どうだい調子は」
「魔法の使い方の確認して、エクトプラズム先生に相手をしてもらおうと思って…オールマイト先生は何でここに?」
「暇だったから来たんだと。大人しく療養すればいいのに」
「だって怪我も治ってるし、何よりこうして怜奈が頑張っているのに私だけゆっくりしてなんていられないさ」
あの戦いの後負傷こそしたものの怜奈がかけてくれていた加護を受けていたからか治りは早く、怜奈が目覚めた頃にはオールマイトの腕はすっかり治っていた
「あまり無理しないでね?」
「それは怜奈もだよ」
「両方ですよ。ったく…ほっとくとどっちもすぐ無茶するんですから」
「「えへへ……」」
「褒めてない。あとオールマイトさんは怜奈の真似してもまったく可愛くないので即刻やめてくださいイラつく」
「私にだけ厳し過ぎないかい相澤くん?!」
「気の所為でしょう」
相澤からの指摘に二人で顔を見合わせたあと少し首を傾げながら困ったように頬をかくと、その姿を見た彼はオールマイトに向かって軽く舌打ちをし怜奈の頭を撫でるのにオールマイトのツッコミは虚しく消えていった