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THE試験

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夢小説
MHA中心
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苗字と名前を合わせた渾名







『力も魅力も…全てにおいて一強のオールマイト』

『フェアルズは別として、彼と二位の間には常に大きな開きがあった…』

『彼が消えた今、同等のカリスマ性を持った人材は…次代の救世主、 "宝石の魔女ジュエルウィッチ"─── 神風 怜奈

『しかし、彼女はまだ学生…足枷がある限りどうしてもやれることは制限される』





ヒーロー公安委員会の…いや、警察庁の狙い


それは"次の彼"を大人しく待つのではなく、今まで以上に結束を強く意識した"群のヒーロー"で穴を補っていく、ということ




そして、その意識として最も効率的に動きを示せるもの





「(ヴィラン……!!)」





彼等の思惑どうりに響いた敵襲撃のアナウンスは、もちろん怜奈達のエリアにまで響き渡った


ここのエリアの殆どの要救助者の保護は終わっているが、他のエリアとなると恐らくまだ救助しきれてはいないだろう





「ヴィランだって…?!」

「そんな高難度なシュチュエーションを試験でやるなんて…っ」

「ヴィランが出たの?!」

「そっそんな…!!」

「こわいよぉ!!」





プロでも高難度な条件に怜奈は一瞬だけ眉を顰めるが、焦りを見せる受験者と不安の波が広がる要救助者に思考を巡らせる



ヴィランが出現した地点はここから反対側のエリア


しかしあそこは救護所を近くに設定していたはず


あくまで救助が優先となる状況の中、今必要なのは敵を足止めすることが出来る戦闘力の高いヒーロー


そして、誰よりも速く駆けつけることが出来るのは自分…





1分にも満たない時間の中で自身にできる最善を導き出した怜奈は、軽いパニック状態に陥っている救護所をゆっくりと振り返る









──────────サアッ









「「「!!!」」」


「───────大丈夫」








空から舞い落ちる色とりどりの花弁と澄んだ鈴の音に、その美しさから全員がはっと息をのみ意識が戻る





「綺麗…」

「皆さん、どうか落ち着いて聞いてください。現れたヴィランはここから反対側の場所です。現時点ではここが一番安全なエリアになっています」

「ほ、本当に…?」

「ええ、なので皆さんは安心してヒーローと共にここで待機していてください。すぐに消防の方達が来ます」





美しい光景に目を奪われた後、要救助者は頭の中に流れ込む優しい音にふ、と表情から安堵が零れる






「…要救助者の現在の保護状況はどうですか?」

「っ!は、はい!殆どの救護者は意識明瞭、怪我の重症度が高い人も、治療中で呼吸、脈…酸素も安定してます!」

「では、このエリア内で今手の空いている受験者はどれくらいいますか?」

「え、と……この状況なら、20人ぐらいは、フリーで動けると思います…」

「はい!ありがとうございます、しっかり周りが見えていますね。大丈夫です。不安なのはみんな一緒ですから」

「「「!」」」

「ですが、ヒーローが不安を見せてはいけません。私達は人々に安心を与え、救うのがお仕事ですから」





怜奈からの質問に答えた受験者達を見渡し、その声音からは想像もつかないほどの力強さを纏い叱咤する姿に誰ともなく息をのむ



そんな彼らに怜奈は緊張を誤魔化すかのようにふ、と小さく吐き出すとアイを発動し周囲を見渡す





「今、視える範囲の情報をお伝えします…ここから2km先のビルの瓦礫に中傷者が二名、その向かいに軽傷を負ったと思われる要救助者が三名視えました!早急に救護に向かってくださいっ」

「「はいっ!!!」」

「残りの人で襲撃されたエリア近くの救護所の受験者と要救助者の誘導を!私はヴィランの鎮静に向かいます。その代わりに、私の守護者が付きますので、緊急事態が起こった際にはこちらにも情報が伝わるようにします。救護所では見張りと患者の見守りを交互に行うようにお願いします!」

「「イエッサー!!!」」





瞳の色を確認した後に、先程脳内で組み立てた処置を指示として出し彼らの足の動きを明確にすると、少女と少年の姿をしたHUCが足元に駆け寄ってくる


その表情に、怜奈は小さな声を聞き逃さぬようにと地に膝をつく





「どうしたの?」

「お姉ちゃん、行っちゃうの?」

「行かないでっ……」





不安と恐怖に顔を染め、引き留めるように力の入らない手で自身の手を握る姿が、あの時の・・・・表情と重なり一瞬だけ、胸が詰まる








けど、もう繰り返さない








自分のすべきこと…








本当に目指すべきものを、見つけたから











「─────じゃあ、私のとっておきのおまじない、教えてあげる」

「おまじない…?」

「…"大丈夫"ぜーったいに、大丈夫だよ」





小さな手を握り返し放った"無敵の呪文"と、全ての輝きを詰め込んだかのような美しい光に、少年少女は眩しさに目を瞬かせる





「ヴィランを倒して、みんなを必ず助けるって約束するよ」

「…ほんとう?」

「うん!それが────ヒーローだからね」





ニッ、と英雄と称えられたヒーローのように白い歯を見せて笑えば、小さな彼等も同じ様に表情を歪める





握っていた手をもう一度だけ強く握り返し、離す





「─────────換装」





ブワァアアアッ────────





その瞬間、怜奈の周りで銀の風が旋回し、咲き乱れる薄紅色の花弁と共に輝きを無数に反射させる








───────パパ、ママ…幸せな場所から、どうか見ていて









必ず、助けるから




2人が授けてくれたこの力で、みんなを守ってみせるよ










シャランッ………





「ここは、任せるね」

「ああ」

「何かあれば、必ず呼べ」





ハラハラと儚く花弁が舞い散る中、眩しさに瞳を細めながら現れた守護者に微笑むと数多の輝きを先へと向ける





「【駆】・"超加速ハイスピード"」





────────ドッ………!!!





力強く地を踏み込む衝撃と共に、"桜"を僅かばかりその場に残し姿を消した主にどちらともなく込みあげてくる感情を誤魔化す様に天を仰ぎ見て堪えきれない息を小さく吐き出した





「ほんまに…いつの間にあない大きくなってしもたんやろなあ…」

「当たり前だろう…主は、誰よりも強い心がある」

「…ああ、そうやな…」





深く、慈しみを纏った声が空に溶けると同時に、啞然とその光景を見つめていた後ろからぽつりと音が零れ落ちた





「神、さま………?」












────────────────
───────────
──────











「自業自得だ」





──────ああ、俺は本当に、何も見えていなかったんだな





全身を走る恐ろしいほどの衝撃の中で、後悔の波が押し寄せる





あの頃の自分が、この事態を引き起こした




俺が未熟で、子供で、大事な人の言葉にも………耳を塞いで、聞こえないふりをした





「(けどっ…もう俺は、繰り返さねえっ…!怜奈が俺を、ここに引き上げてくれた…俺が、この状況を、ひっくり返すんだ…!!!)」





避難者に迫る影に、ダメだと




彼女のように、強くあるんだと…意志とは反対に崩れる身体が、制御できない





「やばい突破されてるこっち来る!」





避難者達に近付く集団に真堂は未だ揺れる頭のままで地に両手をつくが





「────────下がれ」

「え、」





ふわりと与えられた温もりに、まるで水面に浮かんでいるかのような心地良さに力が抜ける





振り返ろうとしたときには温もりは消えていて、その代わりに瞳に映ったのは、自身と同じように瞳を見開く緑谷の姿と






────────空に浮かぶ、美しい白銀













「────三の舞・"鶴"」





──────────ザンッ!!!!





「「「ぐあああああっ!!?」」」

「「「!!」」」

「何っ…!」





その姿を目で追うより先に、放たれた二撃の翼が迫りくるヴィランを一瞬で宙に投げ出した


突然の出来事にその場に居た受験者、ギャングオルカはその光景に思わず息を吞む





その場のすべてを奪った光は積み上げられた瓦礫の上に降り立つも、その姿からまるで重力は感じなかった





「──────さあ、大舞台の始まりだ!!」





力強く声高らかに響き渡った声に、緑谷達は零れ落ちそうな程さらに目を見開かせる













………怜奈ちゃん!?」











驚く姿に、白く美しい刀身を肩にかける白銀の使者はニッ、と満足そうに口元を歪ませた











────────────────
─────────
──────










「何だ何だ!?」

「いきなり、ヴィランが吹っ飛ばされて………」

「誰だ、あれ……!!」





白を基調とした着物にフードのついた羽織


薄いグレーの袴は太ももの中間部分で切り揃えられ、投げ出された脚線に金が装飾された黒のハイソックスが彩る


腰元に備えられた黒の甲冑と、首元に装飾された金の飾りが優雅に金属音を鳴らす



短く揃えられた髪の襟足から伸びた髪がふわりと広がる







「【声】・"音声拡張ヴォイスエクステーション"」





誰もが動きを止める中で、浮かび上がるカード





『—————おいおい、どうしたよヒーロー顔が引き攣ってるぞ』





いつもの彼女からは聞いたことのない口調が会場に響き渡る


透明感に溢れた声音には、その節々に不思議な色香を纏わせていた





「あれ、は……!!」

「嘘だろ…そんな、まさか…!」





観客席にいた相澤が思わず立ち上がり手すりから身を乗り出す後ろで、背後にいるジョークも怜奈の姿に驚愕の表情を浮かべる






————————それもそのはず





彼女のその姿、掲げられた刀こそ








嘗てこの世に名を馳せた、もう一人の英雄














『せっかくの晴れ舞台…派手に暴れてやろうぜ……』















神風 誠…彼の換装術から生み出された鎧





雪の如く美しき武装・鶴丸国永









──────彼曰く、その刀は飄々とした性格につき掴み所がなく驚きを好む



──────然し戦となれば思慮深く、血気盛んな一面も見せる








おおよそ刀を説明するには、あまりにも人間性を写したかのような彼の言葉に心の内では疑問が蔓延っていた








けど、彼女の姿を見て確信する









刀には、魔法と同じくそれぞれ"意思"があるのだと








『俯くな!足を止めるな!!己の正義を疑うな!!!




敵はこの一陣のみ!!ここを抑えれば、私たちの勝ちだ!!』











その声に、姿に心臓が跳ね上がる




自信に満ち溢れた音は、震える身体を叱咤する













『さあ─────いっちょやってやろうぜ!!ヒーロー!!!!』














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