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THE試験
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「!焦ちゃん!百ちゃん達だよっ」
「お」
座っている怜奈の隣に同じく椅子に座りながらピッタリとくっついていた轟が扉へと視線を向けると少し疲れた様子の八百万、耳郎、蛙吹、障子が互いを支え合い入室しているのが見える
先程"
「百ちゃん!響香ちゃん、梅雨ちゃん、目蔵くんっ!」
「!怜奈さん!」
「「怜奈ちゃんっ!」」
「怜奈」
「みんなお疲れ様っ!4人1緒に通過できたんだね!」
「ええ、ありがとうございます怜奈さん!」
「怜奈ちゃんずっと1人だったの?」
「ううん、途中から焦ちゃんが一緒だったよ」
「お疲れ」
「轟、早いな」
「轟ちゃんもお疲れ様」
「おう。つってもさっき来たばっかだけどな」
抱きつき合う彼女達を横目に移動してきた轟は障子の隣に立ち労いの言葉をかけると、彼らも同じように言葉を返してくれる
すると会えたことに対する嬉しさか、はたまた達成感からか怜奈に抱きついたままなかなか離れようとしない八百万達に轟はムッ、と唇を尖らせてから無言でぐいぐいと八百万達を彼女から引き剥がした
「ちょ、轟何すんの」
「焦ちゃん?」
「……………………………俺はまだ抱きついてない」
1番最初に会えたのに、と続けた轟はそのまま背後から怜奈を抱きしめ小さな肩にぐりぐりと額を押し付ける
「ん、ふふ…くすぐったいよお焦ちゃん」
「……ダメか?」
「ううん、だめじゃないよ。今日は甘えたさんなんだね」
「…………なんか轟、最近怜奈ちゃんに対して遠慮無くなってきたよね」
「寮で生活し始めてから前よりさらに怜奈ちゃんとの距離が近くなったと思うわ。一方的だけど」
「ほとんど怜奈さんと1日一緒に居られるからかもしれませんわね…元々轟さんは兄弟の末っ子だと言っていましたし………ですが、」
「うん、こういうの普通ならキュンキュンすべきなんだろうけど」
「ええ、私も同じ思いよ」
至近距離で接する2人に轟に対しむくむくと嫉妬心に似たようなものが3人の中にこみ上げてきて、顔を顰めつつ1歩足を踏み出そうとしたところで
ヒョイッ
「んぅ?」
「「「「あ」」」」
筋肉質な腕が怜奈の横からにゅっと伸びたかと思えば、そのまま抱き上げてしまったので4人が唖然と声を上げると、腕の主である障子が右側にある三本の腕で怜奈の体を安定した状態で座らせる
「目蔵くん?」
「……………俺もハグしていないと思ってな」
「あ、そうだね!でもこれじゃあハグって言うよりも抱っこになっちゃうよ?」
「どちらも似たようなものだ」
「え〜?ちがうよお」
目線の高くなった怜奈は必然的に近くなった障子の顔を見ながらおかしそうにくふくふと笑いをこぼすが、普段女子に対してそのようなことは絶対にしない障子からなんの前フリもなくいきなり彼女を奪われた轟は、いつしかの感情を瞳の奥に宿らせて彼を見上げる
「………障子」
「…悪いが、俺も本気だ」
「…そんなのとっくに知ってる」
静かに火花を散らせる2人に、八百万達はその数秒後に障子達から怜奈を引き剥がし離れた場所へと避難させるのだった
(怜奈さん、あちらに美味しそうなパンがありますわ。一緒に行きましょう)
(うん!)ひょいっ
((あ))
(言っとくけど、ウチらがそばにいる限りは妨害させてもらうから)
(ええ。それに女の子にあまりベタベタするのは感心しないわ)
((……………思わぬ伏兵…))
───────────
────────────────
「!みんな!よかった…怪我無い?大丈夫っ?」
「皆さんよくご無事で!心配していましたわ」
「怜奈ちゃ~ん!!天使が眩しいよ!!」
「ヤオモモー!ゴブジよゴブジ!つーか早くね皆!?」
「俺たちもついさっきだ。怜奈が一番に通過して、その次に轟が早かった」
再び集まれたことにテンション高く盛り上がっていた上鳴達だったが、緑谷は今一番駆け寄りたい人物に目を向けながら、駆け寄れない原因に声を上げる
「えっと…八百万さんたちは、どうして怜奈ちゃんの周りに…?」
怜奈を取り囲むように固まる八百万達に、囲まれている本人もなぜそうなっているのかは解らず首を傾げているが、八百万、耳郎、蛙吹はその疑問に目を据わらせる
「「「あの二人に聞いて(ちょうだい/下さい)」」」
「「…」」
その台詞に視線を向けられた轟、障子はびくっ、と小さく反応してから視線を明後日の方向に逸らした
「なにしたんだよ…」
「私たちは当然の処置をしているだけですわ」
「…知るか」
眉間に皺を寄せた爆豪は自分には関係ないと彼女達のもとへと進むと、遠慮など一切見せない様子で怜奈の身体を引き抜いた
「きゃっ」
「…怪我は」
「ううんないよ、勝己くんは?大丈夫?」
「余裕だわ」
「よかったあ」
怜奈の身体を持ち上げたまま彼女に怪我がないか確認する爆豪に小さい頃こうしてもらったなあ、と怜奈はくすぐったそうに笑う
「あー!!ずりぃぞ爆豪!」
「交代だ交代!!」
「あ"?させるかアホ」
ブーイングを飛ばす彼らにはッ、と鼻で笑いながら怜奈の身体をおろしターゲットを外すキーを取りに行くため歩き出した爆豪に、怜奈はその隣に並び同じように歩き出す
「…勝己くん、」
「どうした?」
「どこか…痛い?」
「…は」
「…とっても…我慢してるような顔してる…」
どこまでも美しく澄んだ瞳に、思わず、吐き出したくなった
胸の奥にあるものすべて、彼女の心地良い甘さに、委ねて、溺れてしまいたくなった
けれど…自身にそう問いかけた彼女は、自分よりもよっぽど痛そうで、悲しそうで…
彼女にそんな顔をさせているのは自分なんだと思うと、なおさら許せなかった
「…アホ達に付き合って、少し疲れただけだ。」
「…ほんとう?」
「……ああ」
誤魔化す様に、美しさに惹かれる自身の目線を叱咤して彼女の頭を撫で、前へと進む自分に
彼女が顔を歪ませたことに、気付くことはできなかった
(これ以上、あいつに負担はかけさせねえ)
(私じゃ…力になれないのかな…)