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「おい」
「あれ?どうした爆豪」
「寂しくなっちゃったのか?」
怜奈が外に出てから数分後に、未だ解散せず喋っていた上鳴達に向かって掛けられた声に後ろを振り向けば苛立ちに顔を染めた爆豪がずんずんと談話スペースに向かって足を伸ばしていた
「ンなわけねえだろこのアホ面!!いい加減怜奈こさせろやクソが!!」
「なんだ怜奈ちゃんか」
「怜奈ちゃんなら外に…」
「待て……外の様子がおかしい」
両手を爆発させ怜奈を出せ!!と怒鳴る爆豪に芦戸が外を指さすと、何かを感じとったのか障子が複製腕を作り出し外の様子を確認する
「これは………風と……!!」
「障子…?」
瞬間目を見開く障子に尾白が彼の名前を呼んだが、彼は立ち上がり扉に向かって走り出した
「え?!!」
「どうしたんだよ障子!!」
いつも冷静な障子がいきなり走り出したことに周りが驚いたように声をかけると、彼は背を向けたまま端的に言葉を紡いだ
「怜奈が……苦しんでいる!!」
焦るように声を上げた障子に、その内容を理解するより先に爆豪は爆破で障子を追い越すとその勢いのまま乱暴に玄関の扉を開け放った
───バアンッ
「怜奈!!!!!」
「か……つき、くん……………」
爆豪が扉を開き怜奈が彼を視界に入れ名を呼んだ時
バチィッと鍵から稲妻のようなものが走り彼女の周りで吹き荒れる風と混ざりあった
「うあッ!?あぁああ"……!!!」
「怜奈ちゃん!!!?」
「嘘だろ……なんだよ、これ…!?」
「助けないと!!早く!!」
「怜奈ちゃんが死んじゃうよ!!!」
バチバチと弾け飛ぶ稲妻に怜奈が悲鳴を上げるとその光景に唖然としていた彼らに向かって耳郎と葉隠が声を荒らげる
それに彼らも彼女に手を伸ばそうと個性を使うも、それらは全て弾き返され近付く事すら叶わない
「だめ………逃げ、て………!!」
「ふざけたこと言ってんじゃねえ!!!!」
「んな事するかよ!!!」
「怜奈ちゃんのこと放っておけるわけないじゃん?!」
「ちょっとは自分の心配してくれよ!!!」
「行け!!黒影!!!」
「アイヨ!!」
「くそっ、これ雷じゃねえのかよ!?帯電出来ねえ…!!!」
「今助けるから!!」
「飯田まだか?!」
「ぐっ……い"あぁあ"……!」
「っいや!!怜奈さん!!!」
痛みに顔を歪めながらも近付いてはダメだと訴える怜奈に、彼らは個性を発動させ彼女を助けようと足掻く
泣きながら必死になる彼らを見ながら、怜奈が胸の内で暴れる何かに耐えきれずふっと身を委ねた瞬間
────キィッ───ン──
そう微かな音が周りを旋回した時、ピタリと風が止み代わりに光の球体が彼女の周りを包み込んだ
その様子に今まで個性を使い風の動きを止めようとしていた彼らも目を見開き、その光景を目に移す
「これ……って…」
「あの時の…」
その光の膜は、あの日彼女が力を解放させる前に現れたものと酷似していて、生で見るその美しさに全員が言葉を無くす
一方で怜奈は胸の内からの声に耳を傾けていた
──────大丈夫────
──────安心して─────
──────身を委ねて────
聞いたことがあるような、懐かしいような不思議な声にとぷん…と頭の先まで、全てが飲み込まれるような感覚に陥り
怜奈の思考は遥か遠くへと姿を消した
怜奈の意識が無くなると、座り込んでいられなくなった彼女の身体はぐらりと傾いたが、未だひとりでに宙に浮く鍵が身体を持ち上げるように、球体の中で彼女の身体は横向きになって浮かび上がる
重力の法則を完全に無視したその姿に誰かが小さく声を上げたが、光は怜奈を呑み込んだまま空へと上がっていってしまう
その様子に見惚れていた彼らはハッと目を醒まし遠ざかっていく怜奈に追いつこうと走り出す
「待って!!!」
「ダメだよ!!行かないで!!」
「怜奈ちゃんを返して!!」
「瀬呂!!テープ!!」
「わかってる!!」
「んのクソがァ!離せやあああ!!」
「怜奈!!!」
「怜奈ちゃん!!!!」
瀬呂がテープを、爆豪は爆破で加速し、轟は氷で、緑谷はジャンプで光に手を伸ばしたが、それらはバチィッと音を立て弾かれ触れることは叶わなかった
まるで触るなと言っているかのようなそれに諦めてたまるかと唇を噛み締め、もう一度…と体勢を整えようとした時、ふわふわと動いていた光はピタリと静止した
怜奈を包んだまま動きを止めた光に全員が困惑していると、後ろから複数の足音が近付いてくる
「怜奈!!!」
「!!あれは…!?」
「オールマイト!!」
「相澤先生!!」
相澤を筆頭に後ろにオールマイトと飯田が駆けつけどういう状況だと説明を求められるのに八百万が簡潔にここに至るまでの経緯を話す
「轟さん達が触れようとしても弾かれてしまって、もう一度触れようとしましたらあの状態のまま停止したんです」
「……あれは、怜奈が力を解放する前のやつと似てるな…」
「間違いない……あの時と同じだ」
あの日一番近くでそれを見ていたオールマイトが確信した声音を発するのに相澤はこれじゃあ迂闊に手を出せんと顔を顰める
「だがあの時の怜奈はしっかりと自我を持っていた筈だ。今はまるで…あの鍵がひとりでに作動しているとしか思えない」
「……個性の暴走か…?」
「そ、そんな…!!」
「また怜奈ちゃんの身体が砕けちゃうってこと?!」
「じゃあどうしたら…!?」
「慌てるな!一先ず俺が抹消して…」
顔を真っ青に染めあげ座喚く彼らを振り返りそう相澤が声を上げたその時
──────リ──ン──
金属音が小さく辺り一帯を包み込んだかと思うと、怜奈を包んだ光の球体は一層その輝きを増した
目を開けるのもやっとな程光り輝くそれにその場にいる全員が目を逸らすまいと腕の隙間からその光景を映すと、光の膜は膨れた後一気に小さくなり遂には鍵の周りだけを包み込んだ
それでも怜奈の身体は浮かび上がったままで、相澤は膜が無くなった今ならと捕縛武器に手をかけたが
─────フワ
「「「「「!!!!」」」」」
「怜奈ちゃんの…髪が…」
肩までだった怜奈のダイヤモンドの髪が、横向きに浮かび上がったままなので正確な長さはわからないが一瞬で背中の真ん中辺りまで伸ばされたのだ
突然の身体の変化に周りが目を見開いていると、キラキラと散らばるそれらに比例するかのように小さな光の塊がどこからともなく現れ、怜奈の周りを旋回し囲むようにして1つの円陣となった
「何……あれ……」
「細長い……カード?」
光の塊がカードのような形をしているのに気付いた頃に、彼女の胸元からそれらと同じような輝きを放つ丸い球体が二つ飛び出し、怜奈の頭と足先へと円を描くカードのさらに外側にそれぞれ位置した
「あの光…羽根?」
「ええ…羽根で何かを包んでいるようですわ…」
彼女から生み出されたそれに八百万が双眼鏡を作り出し確認すれば、光は二つとも白い羽根で包まれているようだった
─────パキィン
神秘的な光景に全員が動けないでいると光を纏っていたカードが突然その光を解き、円を崩し怜奈の周りを旋回し始めた
それに従い今までずっと宙に浮き輝いていた鍵が、フッと輝きを失い怜奈の身体に重力が戻りカードと共にそのまま落下していく
「怜奈!!!」
「くっ…!!」
「怜奈ちゃん!!」
「怜奈!!!」
彼女が落下していく様子にいち早く覚醒したオールマイトと相澤が動き出し、相澤は捕縛武器を伸ばす
それにA組もハッとしその真下へと移動しようと走り出した
しかしそれよりも先に白い何かが彼女の身体を横から掠め取る
空回った捕縛布と突然のことに全員が唖然とすると、白い正体は彼女の身体を横抱きにしたままカードを空中で纏めるとふわりと離れた場所に降り立った
ふわふわとした思考のまま、ぼやける視界の中で怜奈の瞳に映ったのは───────氷を纏ったかのように冷酷な美しい白い輝きだった
この美しい輝きを、怜奈は知っていた
いつの日かの、温かな記憶の中の一つだと、記憶を甦らせる
「ユ………エ、さ……?」
「ああ…俺だ…もう大丈夫だ」
「よう頑張ったな怜奈…あとはワイらに任せて休み」
「ケロ………ちゃ、ん…………」
雪のように透明な声が鼓膜を震わせた後、金色の光が視界に入る
二つの光はどこまでも優しくて、蜜のようにゆっくりと怜奈を包み込んだ
「おやすみ、主…………」
冷たくも温かい温もりが額に降ったのを最後に、怜奈の意識は深い闇に落ちていった