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誠とレイラの間に産まれた怜奈に対しケルベロスとユエもなんの感情も持ってはいなかったが、ある日誠に頼まれ二人で彼女の側についていることになった
「………何故俺がこのようなことを…」
「しゃあないやろ?主の命令や」
「……」
やる気ではなかったが主の命令、加えて次期主となるであろう存在を蔑ろにすることも出来ず、仕事の後に入院しているレイラの様子を見に行っている誠の代わりに怜奈の様子を見ていると
「…ん…ふぇ、あ、あ……」
今までベットで眠っていた怜奈が目を覚まし泣き出してしまったのだ
小さく泣き声を上げる怜奈に、赤ん坊の相手などしたことも無い二人は焦ってしまい、ケルベロスはわかりやすく狼狽えベットの周りをぐるぐると歩き回る
「うぉぉ!な、泣いてもうたぞ!!どないすればええねん!!」
「喚くな鬱陶しい!」
「ふみぇぇえ……」
とりあえず何とかしなければとユエがベットを覗き込んだ時
紫とダイヤモンドがカチリと合わさった
それにユエは一瞬目を見開いたが、ただの偶然かと今までの主を見返して期待してはいけないと頭を振り、もう一度怜奈に視線をやると
「あぅ、あ」
「……!!!」
怜奈は瞳の縁に涙を浮かべながらも、小さな紅葉のような手を確かに彼に向かって伸ばしていたのだ
「こいつ……見えとるんか……?」
ケルベロスも回るのをやめ唖然と怜奈の姿を映すのを横目に、ユエが恐る恐る小さな手に向かって手を伸ばす
温かなそれは彼の冷たい指先をしっかりと握り、無垢で純粋な輝きをその顔に宿した
──これが、初めて互いを認識し合った瞬間だった
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「あの後は面白かったなあ。あんだけ嫌々しとったユエが目の色変えて抱っこまでして…誠が帰ってきた後も中々離れようとせんから誠に強制返還させられたわ」
「それからはずっと、怜奈といたのかい?」
「…せや。誠が亡くなるまでの間、ワイらは怜奈の成長を支え見守ってきた。あの時は怜奈が主やなかったから周りにワイらのことは認識させれんかったけどな」
誠の力の関係で一日に表に出るのには制限があったが、それでも時間の許す限りは怜奈の側で温かな時を過ごしたのだと、ケルベロスは過去を思い出し懐かしさに目を細めた
「誠に魔法を学んで魔法を作り出した後、怜奈は必ずあることをしたんや」
「あること?」
今までであれば、魔法として作られた者達には声などかけられることは無い
成功したかどうかが何よりも大切であり、使うものに対して感情を持つこと自体がないから
しかし、怜奈は魔法としての生を与えた際に必ず"挨拶"をして真っ直ぐな笑顔を向けたのだという
「それだけでも相当驚いたけど…"私と仲良しになってください"って手を差し出された時、みんな唖然とした。まるで人と接するかのように、対等な存在として怜奈はワイらのことを扱ってくれた…」
「…ただの道具としてじゃなくて、友として君らを迎えたんだね」
「…………あいつらしいな…」
「それが、ワイらが怜奈を主として認めた理由や」
彼女自身の元の魔力の大きさもあるが、魔法自体に主として認められるのとそうでないのとでは全く別物で、彼らから認められることで更に力は大きくなり、能力の幅は飛躍的に上がるのだ
歴代最強と言ってもいいと言ったのを最後に、ケルベロスは解説は終わりや。と口を閉ざした
歴代最強ということは、先代の誠…No.3をも超える力を怜奈は持っているという結果になる
全員が彼女の力の大きさを改めて実感していると、口を閉ざしたケルベロスは僅かな気を漏らしながら瞳とは対象的な温度の声音を注ぐ
「今の話を聞いてちょっとでも怜奈を怖いと思った奴は──もう主に近付くな」
「「「!!!」」」
「これは警告や。怜奈が傷つかんためのな………もし主を傷付けることがあったとしたら容赦はせん所はワイもカードも…ユエと同じや。
ワイらがその気になればお前らをどうにかすることは容易い」
先程のユエと同じようにビリビリと空気を震わせ、鷲のような翼を左右めいいっぱいに広げるその姿は、冗談ではなく本気で言ってきているのがわかる
それと同時に、痛いほどの気持ちが流れ込んできた
彼らとて、彼女が悲しむようなことはしたくはないだろう…しかしもうこれ以上誰かの手によって怜奈が傷付くようなことはあって欲しくないのだと、怯えに近いものを瞳の奥で訴えかけていた
「──思わないよ」
その気迫に思わず黙ってしまう緑谷達だったが、一つの声がその場の空気を引き裂いたことによりフッと肩の力が抜ける
その声の主の方に顔を向ければ、彼は思わない。ともう一度否定してから熱を宿したサファイアを走らせた
「私は、彼に託されただけで怜奈といるんじゃない。私は、私の意思で彼女と共にいたいと思った…」
この場にいる誰よりも彼女と多くの時間を過ごして感情を共有してきたオールマイトは、ケルベロスを真っ直ぐと見返すと片方の口角を悪戯に上げて言い放った
「自分の娘を怖いと思う親はいないだろう?」
「…今んとこ俺が思ってるのは心配だけだ」
堂々と言い切ったオールマイトにケルベロスが僅かに目を見開くが、相澤はそれに気付きながらいつもと変わらない声音でため息混じりに呟いた
「そんだけ大きな力なら、今後の課題も増えるだろうしまた無茶やらかすだろうからな…」
「小僧…」
「あまりなめないで貰おうか…"護るべき存在"を怖いと思うわけがないんでね」
鋭い視線を投げつけながら端的に言われた台詞に、今度はわかりやすくケルベロスの瞳は見開かれた
オールマイトと相澤の堂々たる思いに、緑谷達も胸の中の思いをぶつけるために口々に音を言葉として吐き出した
「いつも私達を守ってくれた怜奈ちゃんを怖いなんて、絶対に思わんよ!!」
「何時だって彼女は、俺達を導いてくれた!」
「怜奈ちゃんの力が大きくなったなら、何としてでもそこまで追いついてみせる!!」
「まだまだ、怜奈さんの力には及ばないにしても…」
「怜奈の隣に立てるように努力は惜しまねえ」
「俺は怜奈を護るためにヒーローになるって決めてんだ!!いつかお前らも必要ねえくらいあいつのこと護り殺したるわ!!!」
「いや殺すなよ!」
「彼女がこれ以上無理をしなくてもいいように、強くなるわ」
言葉の節々に彼女に対する思いを滲ませる生徒達に、オールマイトは娘の存在の大きさを改めて確認してからケルベロスの真正面に立ち、その姿を見下ろした
「私達の思いは変わらない。これからも彼女の側にいることを、私達は望む」
オールマイトを見上げたケルベロスは、その体勢のまま広げていた翼を下ろし気を鎮めさせる
「その言葉、嘘やないな?」
「ああ。」
「…なら、ええ…ただし傷つけたらそん時は、容赦はせん。覚えとき」
その言葉に全員が深く頷きを返すとケルベロスは瞳を柔らかく緩め、沢山喋ったから喉乾いたわ。とその場で伸びをする
ずっと張り詰めていた空気がようやく緩んだところで、オールマイト達も安堵の表情を浮かべるとケルベロスは思い出したようにそうやったと呟くと伸びをした身体を元に戻した
「これから時々、ワイは仮の姿で怜奈の傍に着いときたいねんけどええか?」
「?なぜ?」
「ど阿呆ーーーーーーーーーーーーー!!!!」
「ゲファッ!!!」
「オールマイトォ?!!」
ケルベロスの言葉にオールマイトが純粋に疑問を漏らすと、彼はギラりと目を光らせ重い一発を容赦無くオールマイトの腹に決め、決められた本人は軽く吹っ飛び床へと転がった
「産まれたばっかの赤ん坊に立って歩けて言うて歩けるか?!無理やろ!!それと同じやボケ!いきなり大きな力を解放することになった怜奈はまだわからんことが多すぎる」
「ツッコミが激しすぎやしないかい…!?」
「ノリや。とにかく!あまりにも強すぎる魔力は、何に影響するかわからん。制御できんうちはな」
「要するにその制御と使い方をあんたらが教えるってことか」
「おん。普段は怜奈の中におるけど、なんかアドバイスする時は外に出て言った方がわかりやすいからな」
オールマイトが吹っ飛んだことをさほど気にしていない相澤がその意図を察すると、ケルベロスも簡潔に答えるのにオールマイトは相澤くんひどい!と悲しそうに嘆いている
「ユエさんもアドバイスのために出てくるのですか?」
「あー、ユエは主以外の人間は基本嫌いやさかい滅多に出てきーひんわ」
せやから気にせんでええと付け加えたケルベロスに、はじめの最悪な初対面を思い出して全員がホッと息を吐き出した
「……これからも、主と仲良うしてな」
「ケルベロスさん…」
「怜奈はほんとに、お前らのことを大事に思っとる。ずっと心の中に居ったからわかんねん」
ほな、またな
最後そう言うと、ケルベロスは立ち上がり一瞬で姿を消した
Fin
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