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神野の悪夢
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瞬間、光の膜は硝子のように弾け飛び代わりに円形の魔法陣のようなものが怜奈の足元に浮かび上がり、小さな鍵は瞬く間にに1本の杖となり何回か宙で回転した後彼女の手にパシッと収まった
ゴゥッッ!!!
同時に弾け飛んだ光が銀の風となり吹き荒れ、怜奈の周りを取り囲むかのようにして旋回し、彼女に巻かれていた痛々しい包帯は解けていった
風と共に飛ばされたオール・フォー・ワンは、がらがらと瓦礫が自分の周りに落ちるのも構わず食い入るようにその姿を目に映す。
オールマイトは自分を守るかのようにこちらに背を向け、淡く輝きをまといながら軽やかに宙に浮き傷のなくなった怜奈の姿を目に映しながら、人間とは思えない神秘さを放つ彼女に思わず見惚れてしまう。
「おやおや……あれだけフラフラだったのに、まだそんな力があったのかい?素晴らしいね!!」
ふわりと"
そして凛とオール・フォー・ワンの姿を月の光によって細やかに輝くダイヤモンドに映す。
彼の声には耳を貸さず、怜奈は翼を広げたまま静かに降り立つと、トンっと杖の先で地面を軽く叩いて呟いた。
「"
次の瞬間、意識をなくして横たわっていたベストジーニスト達、グラントリノ、背後にいた女性、更には辺り一面で瓦礫に飲まれ負傷、または意識を失っている民間人達が一斉に浮かび上がり、クリスタルの膜に覆われてその身が守られていく
「「「!!!!」」」
「な、何……?」
「傷が…痛くない…!!」
「こいつぁ…!?」
クリスタルの膜によって浮かび上がったベストジーニスト達と一般人達はその中で傷が癒されながら、ふわふわと浮き遠くに設置されている救護所へと運ばれていく。
それを見てオールマイト、オール・フォー・ワン、実際に傷が治っていっているグラントリノまた全国の人々は唖然とその姿を見つめ目を見開いた。
まるで神話に出てくる神の如く、一度に何百もの人々を救い出した怜奈に驚きを隠すことが出来ない。
あれほどまでにフラフラだった彼女がこれ程の力を出せることに、オールマイトとグラントリノは更に混乱するが
オール・フォー・ワンだけは興奮したように両腕を左右にめいいっぱい広げる。
「なんてことだ!!まるで女神のようじゃないか!!!素晴らしい!素晴らしいよ!!!それが君"本来"の力なんだろう?!」
興奮と歓喜が混じりあった声で言いながら拍手をしたオール・フォー・ワンはならこれはどうかな?と興奮が冷め止まない様子で指を鳴らしたその時、再び黒い液体が吹き出し中から脳無が飛び出てきた。
「脳無?!!」
「馬鹿な……!!まだいやがったのか?!」
驚くオールマイト達を尻目に10体はいるであろう脳無が目の前にいる怜奈へと向かっていく。
「さぁ!!どうする?!」
「「怜奈!!!!!」」
オールマイト達がその場で声を上げたが、怜奈は向かってくる脳無を表情を変えることなく静かに視界に入れ、緩やかな動きでくるりと杖を回すとそのまま天高く掲げる
「"
そう呟くと怜奈の頭上の空間に小さな歪みが作りだされ、彼女に向かっていた脳無達の腹部にも同じような柄が浮かび上がりその身体は空の歪みに引き寄せられるように突然宙に浮かび上がった
そして脳無達は引力に逆らえずに一緒くたに同じ場所に引き寄せられくっついていく
「"
次いで怜奈が杖を滑らかな動きで横に一振させれば、一塊にされた脳無は瞬時に纏めて掌ほどの大きさに姿を変えられる
「 "
最後、伏せていた瞳を上げ杖を振り下ろすと小さく姿を変えた脳無の周りに白い煙のようなものが何度か旋回すると、次第に白い箱のような物が形成されそのまま脳無を包み込み、ふ、と引力が消えカランっと音を立ててその場に落ちる。
ものの数秒で脳無を片付けた怜奈にオールマイト達が唖然とその姿を映すが、彼女はゆっくりと後ろを振り返りふわりといつもの笑顔でオールマイトに微笑みかけた。
「怜奈………」
「パーパ」
いつものように笑顔で優しくこちらに手を伸ばす怜奈にオールマイトも無意識にその手を伸ばす。
すると手を伸ばし合うのを見てオール・フォー・ワンは掌をこちらに向けてくるのが視界に入ったオールマイトが焦ったように声を上げる。
「怜奈!!!危な」
「 "
オール・フォー・ワンに背を向けたまま発した怜奈の言葉は、小さく透明な空間を作りだし二人を包み込むと攻撃がその壁に触れた瞬間彼の放った攻撃を強制的に跳ね返した。
ドオオオオン!!!
攻撃の大きさを物語る音とともに砂埃を巻き起こしながら瓦礫に突っ込んでいったオール・フォー・ワンだったが、その音には見向きもせずに怜奈はふわりと翼を広げるとオールマイトと自分をその中へと覆い隠した。
翼の中は淡い光が広がり、ふわふわと優しく羽根が舞い上がり温かい空間を作りだしオールマイトの体を包み込んだ。
幻想的な光景とその心地良さに、オールマイトは今が戦闘中だということを忘れそうになる。
「怜奈……」
「パーパ、思い出して────あなたのオリジンを」
「!!」
「あなたの中にある先代の言葉は、今でも生き続けている。その言葉を、信じて…」
怜奈は何度か彼女の話をグラントリノから聞いていた。
良い友人だったと、いつだって真っ直ぐな言葉を彼に与えその言葉が今のオールマイトを作っているのだと…懐かしむ様などこか寂しさを含んだかのような彼の声音を聞いてどれだけ素敵な人だったかを怜奈はその話を聞く中で感じていた。
オールマイトは怜奈の言葉に温かさの中でハッと意識を遠い思考から蘇らせる。
そして今の己を形づくることとなった先代の言葉が心の中から引き出される
─笑ってる奴は、誰よりも強いんだ─
(お師匠……………)
「それでももし、パーパが自分を信じられないのなら…私を信じて?」
「っ怜奈…」
「私はパーパを愛している、世界の誰よりも。だから…あなたが負けるはずなんてないって私が信じてるから」
そう言ってオールマイトの頬を優しく撫で上げた後、掌を椀の形にしてそっと息を吹きかけると一粒、辺りの光によって眩く光り輝く赤を作りだしふわりと浮かび上がるそれを摘みオールマイトの脇腹に手を添えすぅ…と溶け込ませる。
この世のものとは思えないほど美しいその光景にオールマイトはただ見惚れるが、長い間感じることのなかった中に現れた感触にその瞳が大きく見開かれる。
「こ、れは…!!」
「──────勝って、
バサりと音を立て翼が広げられるのに怜奈といつしか傷が消えたオールマイトが姿を現す。
怜奈はそのまま上空へと浮かび上がり、対立する二人に手を組みまるで神の審判かのように見下ろす。
娘からの贈り物に込み上げてくる涙をぐっと堪え、オールマイトはオール・フォー・ワンを強い瞳で射貫く。
「守るもの?あぁ…多いよ…!ヒーローは…。守るものが多いんだよ。…オール・フォー・ワン!!
だから、負けないんだよ」
彼の勝利を、全員が望んでいる
そう言って拳を前に構えるオールマイトの背後から、突撃部隊であったヒーロー達が登場する。
オールマイトの痩せこけた姿に目を見開き、エンデヴァーが声を荒らげるが彼等の視線は上空にいる怜奈にも注がれる。
「!!なぜ、怜奈があそこに…」
「!!これは!」
「避難し遅れた人々がいない…?!」
「!もしや…!!」
オールマイトが戦いやすいようにと動こうとした彼らの目に映ったのは、痛みに悶え苦しむ人々の姿ではなくクリスタルの膜により避難し治療されている何百人もの人々の姿だった。
もしかしてあの少女が、これをやったのかと目を見開くが怜奈はふと地上などは関係ないとばかりにいつもの通り輝きを放つ月と星の姿を目に映すと、その星々に向かって杖を掲げた
「────星よ
オールマイトに向かってゆっくりと振り落とされた杖。すると空から光が落ちてくるのに伴い、数多の星の粒子となり彼に降り注がれた。
まるで神の祈りのような、天使の祝福のようなその光景に彼等が目を奪われている間にオールマイトの周りを旋回した後に星の粒子が一面に散らばった後、彼の姿が映し出される。
そこに居たのはガリガリのオールマイトではなく、平和の象徴として輝き続けたマッスルフォームのオールマイト。
ぶつかり合う両者の凄まじい力に、辺り一面に爆風と瓦礫が辺り一帯に吹き荒れた。
ぶつかり合った二人からモヤが晴れ、よろける身体で、震える拳を掲げたのは
英雄、オールマイト
勝利を、不安に駆られる国民たちに示すかのようなファインティングポーズに国中が彼の名を叫んだ。
そしてこれで最後だった
オールマイトの、平和の象徴としての姿は
戦闘が終わり現場が落ち着きを取り戻してきた頃、警察たちがオールフォーワンを収容していく様子をカメラがとらえるのにオールマイトはカメラに向かって指を指した。
「次は────君だ」
この台詞は多くの国民にとってはまだ見ぬ他の敵たちに向けたものだと思われただろう。
だがきっとこれは、次世代に向けられたメッセージ。
(あとは、頼んだぞ。)