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林間合宿
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「ほんっとサイテーだよアイツ!」
「昨日の今日だよ?!」
「あれは死ぬまで治らないわね」
「あ、みんなおかえり〜」
「ただいま怜奈ちゃん!洸汰くんは大丈夫?」
「うん!少し前に寝ちゃって、マンダレイさんに戻っていいよって」
「洸汰くん怜奈ちゃんに懐きすぎじゃない?」
「それはほら、怜奈ちゃんだから」
「「「「なるほど」」」」
峰田がB組が入っている女湯を覗こうとしているのに感づきお仕置きという名の制裁を終えたA組の女子達の帰還に、同じ時間洸汰のそばで彼が眠るまで付き合っていて先に戻ってきた怜奈が声をかけると、ほんとにサイテーだよーと峰田の醜態を細かに伝えられる。
「お、お疲れ様…お布団敷いておいたから、好きな場所選んでね」
「じゃあ私怜奈ちゃんの隣ー!!」
「あ!葉隠ずるい!」
「ではその隣を私が!」
「八百万さんまで!」
「明日はまた変えるからね!」
女子達は少人数のため、部屋は男子とは違い寝る分にはちょうどいい広さの和室だ。なのでそこまで離れるわけではないのだが、怜奈の隣は早い者勝ちの如く直ぐにうまる。(因みに昨日は麗日と蛙吹だった)
それから食事の時に揉めていた男子の話や峰田のだめさについて語られるのを怜奈が聞き、相槌をうったりしているとドアのノックとともに「拳藤だけど、ちょっといいかな」とB組の委員長である拳藤の声が掛かる。
珍しい訪問者に扉を開けると、そこには拳藤だけでなくその他のB組女子、小大と塩崎、柳も立っていた。
どうしたのかと理由を聞くと、どうやら先程の峰田の件のお礼としてお菓子を差し入れしに来てくれたらしい。
それにはじめは八百万がそれはうちの峰田さんが…とまるで彼の母親のように逆に申し訳ないことをしたのに、と謝罪し差し入れを受け取るのを戸惑い、他のA組女子は好意を素直に受け取ろう!と言ってはみるものの八百万はでも…と渋る。
そこで怜奈は葉隠と一緒に顔を見合わし(実際合っているかどうかは分からないが)後ろから声をかける。
「「それじゃ、みんなで食べようよ!」」
かくして、男子禁制女の花園である女子会が幕を上げたのだった。
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女子会という言葉に速攻盛り上がった芦戸達などのメンバーにより敷いていた布団をクッション代わりに車座になると、真ん中の空いたスペースにB組女子達のお菓子の他にA組女子達のお菓子も並べ何人かで買ってきた自販機のジュース片手に乾杯をすませる
そして話題は葉隠の言った恋バナという言葉で一部女子が盛り上がり何人かは戸惑ったり慌てたり、はたまたイマイチわからず首をかしげたりと反応は様々だ。
が、恋バナと言ってもここにいる者達はヒーローを目指す者達の中でもトップに君臨する雄英高校という狭き門を潜り抜けた女子達だ
ここにくるまでも大変な思いをし、また現在もヒーローになる為に日々訓練に切磋琢磨…雄英は偏差値70越えは伊達ではなく勉学の方も気が抜けない
よって時間はいくらあっても足りず、そんな状況では彼氏も何もあったものではなく、葉隠の彼氏持ちはいるか!の発言に誰も手を上げることは無かった。
「うわー、でも恋バナしたい!キュンキュンしたいよー!」
そんな状況でも芦戸は一度ついた恋バナという話題を消したくないのか、今度は好きな人はいないのかと周りを見回し食い下がる。
好きな人、というワードに麗日が反応を示しそれに芦戸達がわいのワイのと注目し声をかけるが、麗日の若干しどろもどろな弁解と詰め寄ってきた芦戸と葉隠を個性で浮かしたことにより何とか逸らすことに成功したようだ。
「私、怜奈ちゃんの恋愛事情が気になるわ」
「ん?」
蛙吹がお馴染みの人差し指を口元にあてるポーズをしながら、恋愛はちょっと難しいなぁ…と考えていたためただ会話を大人しく聞きながら、ちびちびとピーチジュースを飲んていた怜奈を見てそう言ってきた。
突然話を振られた怜奈は一瞬キョトンとした表情を浮かべたあとに「恋愛事情…?」と口元から缶を離し首を少し傾げた。
それと同時に女子達がわっと盛り上がる
「何それ私も知りたーい!!」
「わっ、私も気になりますわ!」
「我が校きっての美少女の恋愛事情!」
「どんなんなん?!」
「たしかに私も気になる…」
「ん」
「え、え?」
興奮したように女子達全員から詰め寄られ全視線を集めた怜奈は困惑といった表情を浮かべ困ったように眉を下げる。
「れ、恋愛事情って……?」
「そうだなぁ…じゃあ今まで付き合った人は?!」
どうしたらいいか分からない怜奈に葉隠が鼻息荒く問いかければほかの女子達もドキドキ、ワクワクといった顔でこちらを見るが、その質問に怜奈はキョトリと小首を傾げながら何気なく言い放った。
「…?私、恋人さんいたことないよ?」
「「「「「………………………」」」」」
さも当たり前のように言われた台詞に数秒固まった後に、ぇぇええええー!!!と信じられないと言わんばかりの悲鳴とも取れる声が室内に木霊した。
「うっそォ?!」
「ほんとに?!!」
「え、う、うん…」
「一回もっ?!」
女子達のあまりの勢いに怜奈はビクッと反応しながらもこくこくと首を上下に動かし肯定すれば、彼女達は迫っている体勢から元の位置には戻ってくれたが未だに愕然とした表情のままだった
「ま、まさか…怜奈ちゃんほどの美少女が経験無しとは…」
「……でもちょっとわかるかもね」
「確かに高嶺の花すぎるっていうか、レベルが高すぎるというか…」
「周りは確かに放っては置かないだろうけど、手が出せないんだね」
「清らかなる体は、神の御前で誓い合った方に捧げるべきです」
「なら、好きになった人はいるの?」
再び蛙吹が質問を投げかけるとそれなら…と女子達も期待が高まる。なぜなら女の子なら誰しも初恋と呼べる人物がいて当然だ、という考えを持っていたからである。
「好きな人?」
「もちろん恋愛としてだよ!」
「この人と恋人になりたいなーって思った人は?!」
「んと、好きな人……好きな、人………………?」
怜奈は顎に手を当てて好きな人……と繰り返し呟くが、その顔からだんだん冷や汗が浮かんできているのを見て、拳藤がおそるおそる声をかける
「もしかして……初恋もまだ、とか?」
その言葉にビクリと身体を揺らしたあと、何も言わずにゆっくりと視線を下に向ける怜奈に全員がその事実を確信し再び絶叫した。
「うっそォ?!!」
「初恋もまだなの?!」
「ぴゅあっぴゅあだね!!」
それぞれの発言に怜奈は頬をうっすらと染めながら、恥ずかしそうにぽしょぽしょと呟きながら両手を合わせる。
「えっと、パパがヒーローで小さい頃から色んなヒーローと会うことができて…だから、恋…よりもこんなヒーローになりたいなぁとかばっかり思ってて……それに一番カッコイイのはパパだって、思ってたし…」
もちろん今もそうだけど、でもやっぱり初恋もないのは遅いよね……と合わせていた両手で頬を覆い顔を更に真っ赤にさせる怜奈に、女子達は下唇をかみ締めバッと顔を背ける。
「「(はぁ〜〜??可愛すぎやろっ!!!)」」
「???」
突然顔を背けて小刻みに震えている女子達に声をかけるとなんでもないよ!と言われるのでそう?と言いながらパタパタと怜奈が赤くなった顔を冷ますために手で風を送っていると
「ですが、確かに身近にいた方があれだけ美しい人ですと……」
「フェアルズって確か男女一緒の美しいヒーローランキングで10年連続1位の記録持ってたよね?」
「え?!怜奈のお父さんってフェアルズなの?!!」
「一佳ちゃん知ってるの?」
「そんなのあったり前じゃん!!あんだけすごいヒーローいないし、私すっごいファンなの!!」
「私もです」
「ん」
「えへへ…ありがとう、嬉しい」
興奮からか紅頬する拳藤達に怜奈がほわほわと感謝を伝えると麗日がポンッと手を合わせた
「そうや!ならクラスの男子なら誰が怜奈ちゃんとお似合いだと思う?」
「…え?」
「おお!面白そう!」
名案だ!と言わんばかりに瞳を輝かせる麗日に葉隠が賛成すると、戸惑っている怜奈をおいて話は進められる。
「A組だと……取り敢えず峰田はないな」
「ね!てか怜奈ちゃんっ、もっと怒った方がいいよ!」
「ほんと!優しすぎる!」
「え、なんかあったの?」
「昨日のお風呂で男子と一緒の時間にお風呂はいってたんだけど、峰田が嘘言って怜奈ちゃんのこと男湯に誘き寄せて襲おうとしたんだよ」
「は?!まじで!」
「そうだよー!でも他の男子が何とか防いでくれて、その後相澤先生が来て一緒にぼこぼこにしたんだけど」
「でも怜奈ちゃんは気にしてないから〜って許しちゃったんだよね…」
「皆が代わりに怒ってくれたから…あれ以上やったら峰田くんが死んじゃうよ」
取り敢えず峰田は絶対無い。となったところで改めてクラスの男子を思い浮かべる。
「てか怜奈ちゃんってほとんどの男子と仲いいよね〜」
「そりゃ男子はこんな美少女ほっとかないでしょ」
「あの爆豪が怜奈ちゃんだけには甘々だし」
「緑谷ちゃんとも幼馴染だから、よく怜奈ちゃんに声をかけているわね」
「轟さんも怜奈さんとお話している時は声や表情がとても柔らかいですわね」
「堅物な障子くんとか常闇くんとも打ち解けてるし!」
「でも普通科の男子ともこの前一緒に帰ってたよね?」
「物間も教室でよく話してるよな?」
「美しいとか、天使とか…」
「ん」
本人そっちのけで始められる議論に怜奈は入り込むことも出来ず疑問符を浮かべながら再びピーチジュースをちびちびと飲むしかない。
「それを言うならさ、先生達とも仲良いよね!相澤先生とか怜奈ちゃんに特別優しい!」
「わかる!顔めっちゃ優しいもん!」
「マイク先生とかも怜奈ちゃん見つけると絶対声かけるよね」
「むしろ走ってくるよね。めっちゃ怖かった」
「オールマイトも怜奈ちゃんを高い高いしてたし!」
「えと、先生達はほんと小さな頃からの知り合いだから…ただ子ども扱いされてるだけだよ」
「いやいやそんなことないでしょ!」
「年上って憧れるよねー!」
「うわー!キュンキュンしてきた!」
更には相澤達の教師陣まで交えて話されるのにもう何が何だか…とジュースを置いて自身の持ってきたプリッツを食べながらふと思ったことを口にする。
「…でも今は、もっとみんなとこうしてお喋りしたいなぁ…」
ぽろりとこぼした言葉と同時にプリッツを口に含み終わりもぐもぐと口を動かしていると、何故か周りが静かになったのを不思議に思い顔を上げると全員がこちらを凝視していた。
思わず中のプリッツを飲み込みどうしたのかと問えば、間髪置かずにがばぁっと抱きつかれた。
「わっ!」
「もー!!可愛いーーー!!!」
「天使やーーー!!」
「そうだね!よく考えたら怜奈ちゃんに恋人できるとか考えたくない!」
「それに怜奈さんに相応しい方でないと許せませんわ!!」
「男子には負けないぞーーー!!」
その後芦戸が補習に参加するまでの間怜奈はわちゃわちゃと女子達にもみくちゃにされたのだった。
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芦戸が補習に参加してB組もそれに続いて退出した後、布団を敷き直していた時に怜奈があ。と声を上げる。
「どうかしましたか?」
「あ、うん。昼間みっちゃんから借りてたタオル渡し忘れちゃった…」
それは昼の訓練の時に顔についた汚れを落とした後、顔についた水を拭う時に緑谷がタオルを貸してくれたのだが、洗った後乾かして渡すのを忘れていたという。
それぞれ持っているタオルにも限りがあるし、なるべく早く返した方がいいだろうと怜奈が立ち上がり返してくるね。と言ったが、その格好に慌てて耳郎が声をかける。
「ちょっ、待って怜奈ちゃん!上になんか羽織った方がいいよ!」
「ほえ……?」
「そうね、その方がいいわ」
その言葉に首を傾げたが、何故か必死になって上になにか着て!と言われるのに下の短パンとセットになっている上着を羽織ると後ろにあったフードも一緒に被せられる。
「これならまだ…」
「1人で大丈夫?」
「うん!じゃあ行ってくるね」
先に寝てていいからね〜と手を振り少し駆け足で男子部屋へと向かっていった怜奈に、麗日達は大丈夫だろうかと見送ったのであった。
(大丈夫かな………)
(露出抑えるために上着着せたけど)
(ううん………もしかしたら逆効果だったかも…)
(怜奈さんは何をしても可愛いですから…)
(あの格好は反則だよ…)
(まあ何かあったらウチらで男子のことボコればいいでしょ)
((((異議なーし!))))