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林間合宿
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森をかけていく彼らを見送ったあと、怜奈は"
施設に到着するとまだお昼までは時間があるので自由に過ごしてもいいと言われ、ふと視線を横に動かすと木陰からこちらを見ている…と言うより睨んでいるのに近いが、小さな子供がいることに首を傾げる。
「あの子、誰かのお子さんですか?」
「ん?ああ違うよ。あの子は私の従甥で洸汰っていうの。ごめんね、結構警戒心強くて私たちにも近づきたがらないの」
「そうですか…」
マンダレイに聞けばそう答えてくれたのになぜ従甥を預かっているのか疑問に思ったが、何か理由があるのだろうと深くは聞かなかった。
「それより、体育祭見てたよ!」
「あ、ありがとうございますっ」
「さすが、フェアルズさんの娘さんね」
「!父と、面識があったんですか?」
「救助活動の際にね、何度もお世話になったの。そこで貴女の話も聞かせてもらってね」
憧れの人だった…と噛み締めるように呟いたマンダレイに父の姿を思い浮かべていると相澤が近づいてくる
「マンダレイ、そういった話はあまり……」
「あ、そうよね…私ったら……」
「いえっ!そんな風に言っていただけて、嬉しいです!」
眉を顰めながら言った相澤にマンダレイがハッと口元に手を当て怜奈に謝るが、逆に嬉しいと言えば2人は少し驚いたような視線を向けてくるのので、慌てて姿勢を正す。
「ごめんなさい、思わず…」
「私の方こそ、いきなりごめんね?」
「…でも私、ほんとに嬉しいんです。」
「怜奈…」
「尊敬する人を褒められて、悲しくなるなんてことはありませんから!」
父とした事をよかったら教えて欲しいと言う怜奈にマンダレイは静かに微笑んで自分の知っている誠の活躍を教えてくれる。
その様子に相澤は目を細め、胸の中の空気を緩やかに吐き出した。
マンダレイから父の話を聞いた後、何をしようかとあたりを散策していると木陰から再び視線を感じ、そちらに目を向ければ洸汰がこちらを睨んでいる。
まるで警戒心剥き出しにこちらを伺う猫のようだと比喩をしながら、すぐそばまでは行かずに4mほどの距離をとりその場にしゃがみこみ声をかける。
「こんにちは」
「……」
「洸汰くん…だよね、はじめまして。今日からお世話になる神風 怜奈です!よろしくね」
ふわりと笑いかけると、洸汰は睨んでくる目はそのままに静かにこちらに歩み寄ってくる。
ほんとに猫みたいだな〜と思いながら洸汰が自分から近づいてきてくれるのを見守っていれば、2m程の距離は空いているものの先ほどよりも近い位置に来てくれた。
「…………お前も、ヒーロー目指してるのか?」
「うん、そうだよ」
「っ…バッカじゃねぇの?ヒーロー目指すとか……」
洸汰がしてきた質問に怜奈がそう答えると、彼は吐き捨てるようにそう呟いた。
イカれてるよ…と続けるように言った後僅かに震えているようにも見える洸汰に、怜奈は彼には何か事情があるのだと察する。
そのまま俯いてしまった洸汰に、怜奈は静かに両手を合わせると色とりどりの宝石を形成し"
太陽の光を浴びて輝くそれらに洸汰は思わず顔を上げその光景に魅入る。それに怜奈は小さく笑うと、瞳を伏せて静かに語りかける。
「…洸汰くんは、ヒーローが嫌い?」
「っ…当たり前だろ!!あんな力を見せびらかそうとするヤツらなんか!!何でお前もなろうとすんだよ!?」
輝きから目を離し怒鳴るように顔をこちらに向けてくる洸汰に、怜奈はふわりと小さな頭を撫でる。
あまりにも優しいその手つきに、洸汰は思わず固まってしまうが怜奈はさらに言葉を繋げる。
「………それが、私の道だから。」
「…っ」
「私の中で一度決めたことは、曲げたくないんだ…君にとって、私は理解できない存在かもしれない…けど今は、"ヒーロー志望"の神風 怜奈としてじゃなく、"ただの"神風 怜奈として接してくれると嬉しいな」
「!」
洸汰の手を握りながら最後にそう言って笑えば、彼は優しく握られたそれをぎこちないが静かに握り返した。
「………変な奴」
「えぇ……なんかよく言われる気がするけど、なんで…?」
怜奈が首を傾げながら言えば洸汰はぷいっと視線を逸らしてしまうが、赤くなった耳元と握られたままの手に、またひとつ怜奈は笑みをこぼした。
──────
そろそろ昼食の準備だろうかと言う時間になり、洸汰に案内してもらい施設の中の台所へ移動すると既にマンダレイが材料を運んでいた。
「マンダレイさん、お手伝いに来ました。」
「あら、ありがとう!じゃあそこの野菜切ってもらっていい?」
「はい!」
と、その野菜の量に20人以上人がいるにしては少ないのではないのかともらせば、お昼にたどり着くという計算は自分達だったら、という事らしく彼らが帰ってくるのは夕飯頃だろうと言われ、なるほど…と思わず苦笑した
「それなら私が昼食を作るので、マンダレイさんは準備に時間を当ててください。」
「え?でも…」
「こう見えても、料理好きなんです!」
任せてください!と言う怜奈に確かに明日の準備について相澤達と相談したいと思っていたマンダレイはじゃあお願いしようかな、とエプロンを渡し出しておいた材料は好きに使っていいと言われるのに頷けば彼女はよろしくねと一言言うとそのまま歩いていった。
「洸汰くん、何食べたい?」
「……ハンバーグ」
怜奈の背後に隠れるように立っていた洸汰に聞くと、ボソリとリクエストを返してくれる。
それにキッチンに牛ひき肉があることを確認して了解!と言ってから調理を進める。
洸汰に調味料の場所などを教えてもらい、滞りなく調理を進めていき無事出来上がった昼食にご飯できましたよー!と廊下に呼びかけると今行くねー!と返事が返ってくる。
昼食のメニューは洸汰のリクエスト通りハンバーグとコンソメスープ、温野菜のサラダときんぴらごぼう、りんごのコンポートだ。
「洸汰くんのはランチセットにしてみたよ!」
「!」
洸汰にはひとつのプレートに目玉焼きが乗ったハンバーグ、旗の乗ったチキンライス、コーンのバター炒めとりんごのゼリーを用意した
お子様ランチのようなそれに洸汰の目が輝いているように見えるので喜んでくれてるかな?と思っていると相澤達が顔を見せる
「いい匂い!」
「美味しそう!あ、洸汰ここにいたの?」
「…」
「ありがとな怜奈」
「いえ、全然」
「そう言えば紹介まだだったね!ピクシーボブだにゃん!よろしく神風さん!!」
「はい!よろしくお願いします」
それぞれが席につくのを確認して怜奈も席に座ろうとした時くんっと下からエプロンが引っ張られる
その感覚にん?と目線を下にやると洸汰がお子様ランチを持ちながら目線を相澤達が座っているテーブルではなく離れた場所にある小さなテーブルへと注ぐ。
「あっちで食べる?」
「…ん」
グイグイと引っ張ってくる洸汰に先に行ってて?と微笑みながら返すと、彼はじとりと視線を送ってくるのですぐ行くからと返せば大人しくテーブルへと移動していく。
「ごめんなさい、あっちで食べてきてもいいですか?」
「もちろん!」
「気にしなくていいよ」
「ありがとうございます」
じーと見つめてくる洸汰と怜奈が自分の昼食を持って移動する後ろ姿に、マンダレイはほうと息を吐き出した
「すごい……洸汰があんなふうに懐くなんて…」
「…あいつには、そういう力があるんです」
「あんな洸汰、両親が生きていた時以来かもね」
洸汰の頬についた米粒を取りながら微笑む怜奈と顔を赤くしながらも嫌がる素振りを見せない洸汰にマンダレイとピクシーボブは顔を緩めた。
(てかご飯美味しっ!!)
(怜奈の作る飯はなんでも美味いです)
(何で少しドヤ顔なのイレイザー)
(美味しい?洸汰くん)
(…うん)
((猫が懐いたみたい…))