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林間合宿
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そしてついに、林間合宿の日が幕を開けた。
1年ヒーロー科は今から林間合宿がスタートするので、集合場所の雄英敷地内にあるバス乗り場にはA組とB組の2クラスがそれぞれ集まっている。
「合宿頑張ろうね梅雨ちゃん!」
「ケロッそうね怜奈ちゃん」
テンション高く盛り上がっている芦戸達に怜奈も隣にいた蛙吹にハイタッチすれば、彼女もケロケロと言いながら笑顔で返してくれる。
「え?A組補習いるの?つまり赤点取った人がいるってこと!?ええ!?おかしくない!?おかしくない!?A組はB組よりずっと優秀なハズなのにぃ!?あれれれれぇ!?」
と、言うところでどこからその情報を聞き付けたのか嫌味満載で絡んできたのはB組の物間寧人。
彼はA組に絡んできたかと思うと怜奈を見てぴたっと動きが止まる。
一方怜奈は物間がいることに首を傾げるがどうしたのかと思い近づく。
「物間くん!どうしたの?」
「へ?!あ、や、その……」
先程の勢いはどこに行ったのか、物間は顔を真っ赤にさせ狼狽えている。
そんな彼の様子にA組はナイス!と思うと同時に少しのイラつきを感じる。
「きっ君もA組なんかじゃなくてうちにこればいいのにね!!ま、この合宿中にB組に来た方がいいって解らせてあげるよ!!」
早口でそう捲し立てた物間に怜奈はぽかんとしてしまうが、次の瞬間には握りこぶしを作り笑顔で彼を見遣る。
「?うん!合宿頑張ろうね!」
物間の言葉の意図を1ミリも理解してはいないが、合宿を頑張ろうと言ったのだと解釈をして向けられた言葉と笑顔に物間が再び固まると、そんな彼を見かねて拳藤が手刀を入れA組に一言謝るとそのまま引き摺っていく。
結局なんだったんだろうかと首を傾げるが、後ろから相澤の声がするのに慌てて荷物を詰め込みバスに乗り込む。
「怜奈ちゃーん!こっちおいでよ!!」
「オイラのほうに!!!」
「黙って峰田ちゃん。怜奈ちゃん、こっちよ」
「いえ怜奈さん!私の所へ!!」
「怜奈、俺の隣に」
「れ、怜奈ちゃんさえよければ隣に座ってくれないかな?」
「ざけんなクソがァ!おい怜奈こっち来い!」
バスに乗った瞬間にあちこちからかけられる声
バスの移動時間中なんの弊害もなくずっと彼女の隣にいることが出来るのは、彼らにとっては何よりも魅力的だろう。
そんな彼らの下心に気付くことなくみんな優しいな〜と怜奈が思っているとぽんと頭に置かれる掌
席の入口にいる自分に手を置くには、最前列でなければいけない
となると最前列に座るのは引率の教師と相場が決まっているわけで、上を見上げれば案の定相澤が立っていた。
「やっぱりな……怜奈は俺の隣だ」
「はーい」
こうなることを想定していた相澤からのさも当然だというふうに告げられた一言に怜奈はにこにこと返事を返すが、周りからすればブーイングものだ。
「えー!?」
「そりゃないぜ相澤先生ー!」
「隣乗ってほしかった!」
「…何か言ったか」
「「「なんでもありません!!」」」
が、相澤はギンッとお得意の睨みで彼らを黙らせるとやれやれと言ったふうに腰を下ろす。
それに苦笑しながら怜奈も隣に腰を下ろす。
そして発進しだしたバスに、クラスも合宿の始まりを感じてきてかわいわいと話し始める
「怜奈ちゃん、ポッキーあげる」
「ありがとう響香ちゃん!」
イヤホンジャックを使いポッキーを回してくれた耳郎にお礼を言うと、そのほかの者達も伝言ゲームの要領で手持ちのお菓子を回してくれる。
それにお返しとして自身の持っているお菓子を"浮"で全員に渡せば、彼らも嬉しそうに受け取る。
配り終わったあとに隣を見れば、相澤はバスの中がうるさいと感じているのか眉間にシワが寄っている。
それでも注意をしないのは、恐らく合宿が相当厳しいものになるので今からでも騒がせておくか、という感じだろう。
何気ない彼の優しさに怜奈は静かに笑うと組まれている腕を軽く叩いて視線を向けさせる。
「ん?…む」
「これおいしいよ」
酸っぱい系のグミを口元に押し付けて言えば、相澤は一瞬目を見開いてから大人しくそれを咀嚼する。
「…うまいな」
「よかった」
「……これ、俺以外にあんまするなよ」
「??」
「………………はぁ」
疑問符を浮かべ小首をかしげる怜奈に、相澤はため息を零すことしか出来なかったのだった。
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「…怜奈、起きろ」
「…ん、せんせ…?」
優しく肩を揺すられて目を開けば、相澤がこちらを見つめているのに、いつの間にか眠ってしまったのだろうと理解して慌てて起きると、相澤は慌てなくていいと怜奈の頭を撫で後ろの生徒達にも全員荷物を置いたままバスから降りろと言う。
荷物を置いたまま、ということはパーキングエリアにでも来たのだろうかと思うが、全員降りろという言葉がどうも引っかかる。
が、全員相澤の言葉に従いバスを降りると、彼は誰かに挨拶をしている。
「よーーーう、イレイザー!!!」
「ご無沙汰してます」
「煌めく眼でロックオン!!!」
「キュートにキャットにスティンガー!!!」
「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!!」」
そうお決まりの台詞と決めポーズを決めたのは、今回の合宿の監督をしてくれるプロヒーローチーム・プッシーキャッツのうちの2人だった。
緑谷がうっかり彼女らのキャリアをこぼしたことにより釘を刺されていたが、彼女らから簡単に挨拶がされると眼下に広がる森の中を指差した
「あんたらの宿泊施設はあの山の麓ね」
「遠っ!!」
「今はAM9:30。早ければぁ…12時前後かしらん」
置いていけと言われた荷物
何故かされる宿泊施設の場所の説明
生徒たちの間に、これまでの雄英が仕向けてきたことが蘇り嫌な予感が頭を過る
「バスに戻れ!!早く!!」
「12時半までに辿り着けなかったキティはお昼抜きね」
バスに戻ろうとしたその瞬間、生徒達の足元の砂がぼろりと崩れ落ちる
「わるいね諸君。合宿はもう──始まってる」
「危ないっ!!!」
相澤の隣にいたため崖の下に落ちなかった怜奈が"
全員が無事着地したことを確認し自分も下に降りようとした時、パシリと腕を掴まれる。
「消太先生…?」
「怜奈、お前はあいつらとは別行動だ。俺達に着いてこい」
「!そんなっ…」
相澤から告げられた言葉に怜奈が目を見開くと、怜奈によって怪我をせずにすんだ彼らもどうしたのかとこちらを見上げている。
「私有地につき、"個性"の使用は自由だよ!今から3時間!自分の足で施設までおいでませ!この…"魔獣の森"を抜けて!!」
「"魔獣の森"…!?」
「なんだ、そのドラクエめいた名称は……」
「てか怜奈ちゃんは……?」
「怜奈がいたら簡単に向こうに辿り着けてしまうからな、今回は別行動だ」
怜奈には瞬間移動である"
が、強化合宿は既に始まっている。それ即ち、個性を強化するための訓練。
怜奈の力で簡単に攻略してしまっては意味が無いのだ。
最もな理由に怜奈が思わず俯けば、相澤はその心中を察し怜奈の頭を優しく撫でた
魔獣を真っ先に倒した緑谷達に続き、それぞれが魔獣を攻略していく。
「うわぁ!」
「お茶子ちゃん!!」
襲い来る魔獣に麗日が避けようとした時、足元で木の根に引っかかり転倒する。
それに蛙吹達が駆け寄ろうとした時、森の中から出てきた虎のような形をした猛獣が何故か麗日を襲おうとしていた魔獣の喉元に噛み付いた。
突然のことに全員が目を見開くが、噛み付かれた魔獣は更にあたりの木々に手足を絡め取られ四肢を引っ張られるとそのまま跡形もなく粉砕した。
それを見届けた虎に思わず身構えるが、虎は逆に自分達を守るように背を向け立ち塞がると襲い来る魔獣に飛びかかっていく。
「どうゆうことですの…?」
「!待って……道ができてる……?」
更に木々が移動し1本の道を形成しているのに生徒達は困惑する。
「なんだなんだ?!!」
「あの人の個性か?!」
「いや、これは……!」
体育祭の時に同じようなものを見た…!と声をもらした緑谷に全員の脳裏に浮かび上がったのは怜奈が砂で作りだした虎の姿。
そして道が出来たのは木々が動いたため
木を操り、また木で猛獣を作り出すことの出来る者は彼女しかいない
その事実に全員で上を見上げれば、怜奈が崖の上からこちらを見下ろしていた。
「みんなっ!!待ってるからね!!!」
一緒に行けないのなら、せめて彼らの援護をさせてほしいと、怜奈は施設につくまでの間、"樹"で猛獣を形成し迷うことのないように道を作った。
これなら遠距離で個性を操る訓練にもなると相澤は許可を出したのだ。
そう叫ぶ彼女に、やっぱり彼女かと生徒たちの間に笑みが浮かぶ
「シャア!!みんな行くぜえ!!!!」
「「「「おおーーーーーーーーー!!!!」」」」
怜奈の援護とともにやる気の上がった彼らは魔獣の森を駆け抜けるのだった。