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林間合宿
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「わっ、うわああああ!?」
崖の上では緑谷が100%のワンフォーオールを発動させたことにより、その反動で洸汰の身体が宙に投げ出されてしまっていた。
怜奈の"
「大丈夫洸汰くん?!"
「怜奈姉ちゃん…!!」
「あ、ありがとう怜奈ちゃん…洸汰くんごめん、吹っ飛ばして……」
「怜奈姉ちゃん、怪我は?!」
「!そうだ怜奈ちゃん!そっちの敵は…」
「大丈夫。怪我もないし、敵も今は気絶してるよ。心配してくれてありがとう」
バサリと"
さらに洸汰が怜奈の腹部に張り付きながら怪我はないかと問いかけ、緑谷も敵はどうなったかと聞いてくるのに怜奈は洸汰の頭を撫でながら簡潔に伝えると二人ともホッと息を吐き出した
「!みっちゃんその腕…100%使ったの?」
「う、うん……怜奈ちゃんの言った通り、やっぱり凄い強かったんだ」
「…タダでさえ昼間の訓練でみんな体力が限界の状態……あと何人敵がいるかまだ確認できていないから、最悪な状況だ」
「ひとまず施設に行こう…こっからは近………」
緑谷の両腕を見て目を見開く怜奈に緑谷はバツが悪そうに苦笑を漏らすと、怜奈も神妙な面持ちで生徒達の安否がわからない状態に唇をかみ締めた
しかしいつまでもここにいる訳にもいかないので取り敢えず移動しようと身体を施設の方向に向けた瞬間
背後からガラガラと石が落ちる音が妙に大きくその場に響いた
恐る恐る音の方向を振り向けばたくさんの筋肉繊維で防御していた敵がほぼ無傷の状態でその場にいた
「ウソだ…ウソだろ……100%だぞ…!?」
「…なんて力……!」
「ヒィッ」
オールマイトの100%に、敵は耐えたのだ。
その事実に明確な恐怖が緑谷の全身に駆け抜け、小さな悲鳴を漏らした洸汰を怜奈は背後に隠しながら低い体勢を保ち敵の動きを観察する
「テレフォンパンチだ。しかしやるなぁ!緑谷…!お前思ってたよりやるじゃねぇの。それに怜奈、お前もうリキのこと倒しやがったんだな?いいねぇ…怜奈と緑谷、どっちからやろうか…!」
「くっ、来るな!!」
「やだよ、行くね。俄然」
「っな、何がしたいんだよ!!敵連合は何が…!!」
「知るかよ。俺ァただ暴れてぇだけだ。ハネのばして"個性"ぶっ放せればなんでもいいんだ」
「そんな…理由で………」
時間を稼ごうとする緑谷と、あまりの自分勝手なその発言に怜奈はふつふつと怒りが湧いてくるのを感じとった
自身の快楽を得るためだけに人の命をまるで捨て駒のように思っている目の前の男が、ただ純粋に許せなかった。
「覚えてるか?さっきまでのは遊びだ!俺言ってたよな!?遊ぼうって!!な!?言ってたんだよ!!やめるよ!遊びは終いだ!お前ら強いもん!こっからは……」
「みっちゃん!!!」
「洸汰くん!!!」
「え…」
「本気の義眼だ」
「っ"
片目の義眼を付け替えた敵に怜奈が緑谷の名前を叫ぶとその意図を理解した彼は困惑する洸汰を抱き抱え、"
抉られた中心から亀裂が入り端の方から奥の方の崖までがぼろぼろと崩れていき、今までの彼の戦いは本当に"遊び"だったのだと強制的に理解させられる。
これが敵の本来の力。
そして緑谷と怜奈は経験値からか瞬時に悟った
敵は"遊び"ではなく"本気"で自分達を
殺そうとしていることを
「…ごめんねみっちゃん、洸汰くん」
「?!怜奈ちゃ」
ドゴォォン
「"
「お?!!マジかよマジか!!!?これ受け止めんのかよ怜奈ちゃんよォ!!!!」
「怜奈ちゃん!!!!」
怜奈は洸汰を抱いた緑谷を突き飛ばすと向かってきた敵の拳を間一髪のところで"
それに敵は至極興奮したように声を荒らげ歓喜の言葉を口にする。
どこまでもゲーム感覚のような目の前の敵に、怜奈は怒りのまま敵の脇腹に足をめり込ませた
あまりのスピードに敵は目を見開くがそれよりも先にドゴォッ!!と横の壁へと身体がめり込んだ。
「…みっちゃん、ここは」
「下がってて洸汰くん。離れすぎると的になる。……うん…7歩、くらいしか…で。ぶつかったら全力で施設へ走るんだ」
「っ、みっちゃん?」
「ダメだよ怜奈ちゃん。君一人にはやらせない…二人で守るって、言ったからね」
「…そうだったね」
その隙に二人のそばに移動した怜奈が緑谷に声をかけるもその意図を察した彼は静かに首を振った
それに怜奈はこれ以上彼に言っても無駄かと困ったように笑い返した
「ぶつかったらって…おまえっ、まさか!ムリだ、逃げよう!おまえの攻撃効かなかったじゃん!怜奈姉ちゃんは強いけど…!!っやっぱりダメだ!それにだって……おまえっ、両腕折れて……」
「「大丈夫」」
そう洸汰に返した瞬間、壁から飛び出して来た敵と二人は衝突した。
緑谷は100%の力を、怜奈は今"
「~~~っ!!っでええ!!どうしたぁ!さっきより、弱ぇぞ!!!」
「──じょうぶ…丈夫ぶっ!!こっから後ろには絶対行かせない!!からっ、走れ!!」
「絶対に、大丈夫っだから!!!必ず、君をっ……守るから!!!!」
体力の限界を超え敵に挑む二人の命懸けのやり取りに洸汰は唖然とその光景を見上げ思わず尻餅をついてしまった。
そして今一度、二人は洸汰に向かって叫んだ
「「走れェ/走って!!!!」」
「んの、ガキ共が!てめぇらァア!!最っ高じゃねぇか!!!!」
限界?そんなのきっと超えている。昼間から訓練を続けていたのだ。当たり前だ。
しかしここで折れる訳には、諦めてしまう訳には行かないのだと緑谷と怜奈は歯を食いしばり拳を押し返そうと力を込める
「う"う"……っるっ、せぇえええええええええええ!!!」
「ぜッ…たいにっ!!行かせない!!!」
「な、んでっ…」
「血ィィィィィイ!!見せろやあ!!!」
二人がかりだと言うのに、目の前の敵はそれすらも呑み込むかの如く力でねじ伏せてくる。
その重力に緑谷と怜奈の足元の地面はバキバキと抉れ、何とか腰を落とし踏ん張ってはいるもののもしどちらか一人でも欠けていれば既に身体を地面に沈められているだろう
「潰れちまえぇ!!!!」
瞬間、どこからか敵に水がかかった。
こんな崖の上で、水が降ってくることなどまず有り得ない。
この場で唯一それができるのは、一人しかいない
「水!?」
「やっ、やめろォォォ!!」
考えられるだろうか、まだ5歳の子どもが自身より何倍もある大きさの大人、しかも敵に対してこのような事をするなどと
洸汰の勇気ある行動と叫びが、二人の限界の先を灯した。
「後でな!な!?後で殺してやっから待っ─!?」
次の瞬間、優勢だった敵の両手が今までとは比べ物にならないほどの力で押し返され、その際剥き出しになった筋肉繊維がブチブチと千切れていく
「!?」
「絶っ、対にいいいいいい!!!!」
「ころっ、させてぇえええええ!!!」
「(気を取られてた一瞬に…いや待て、しかしこいつらのパワー……)上がってねぇか!!?」
「「たまるかあああああああああああ!!!」」
限界の先の力
洸汰によって引き出された力によって、緑谷と怜奈は敵を勢い良く同時に吹き飛ばした。
二人のとてつもない一撃に、敵はバゴォォォン!!という凄まじい音と共に壁に叩きつけられ、怜奈がめり込ませた時よりもさらに深くめり込みガラガラとその身体に瓦礫をふらせた。
血だらけの緑谷と傷だらけで息を荒らげる怜奈の姿に、洸汰はいつの日かマンダレイに言われた言葉が自然と浮かびあがっていた。
"洸汰。あんたのパパと、ママ…ウォーターホースはね確かにあんたを遺して逝ってしまった。でもね、そのおかげで守られた命が確かにあるんだ"
"あんたもいつかきっと出会う時がくるそしたらきっとわかる"
─────そんな言葉、嘘だと思っていた。
その場しのぎの慰めの言葉だと思っていたのに、こんなにも鮮明に耳の中に残っているということは、己の中で無意識のうちに探していたからなのかもしれない
「………………何も知らないくせに……!何で!!何も……!!知らないくせにッ」
"命を賭して、あんたを救う。あんたにとっての───"
「何でっ………そこまで…………!」
僕の───ヒーロー
──────
──────────
「はぁっ、はぁっ」
「はっ、は…」
「うっ…」
「、みっちゃんっ」
「あ、オイ…」
緑谷のふらついた身体を瞬時に怜奈が支えると、洸汰もハッと意識を現実に戻し二人のボロボロの身体を支える。
「ごめん怜奈ちゃん、大丈夫…!まだ、やらなきゃいけにいことがある…」
「そんなボロボロで何をしなきゃいけねえんだよ…!」
怜奈に支えられながら立ち上がった緑谷に対して、洸汰はそれ以上何をするつもりなのかと問いかける。
「防御されるのはわかってた…。だからこそ撃ったんだ」
「?」
「そこを差し引いても大ダメージを与えると思ってた。でも…思ったより遥かに強い敵だったんだよ。」
「もしこの夜襲に来た敵が全員今の敵のレベルなら…皆が危ない…。敵の狙いは恐らく私だけど、他にも狙われている生徒がいる可能性もあるから、その事を消太先生やプッシーキャッツ達に早く伝えなきゃ」
「それなんだけど、怜奈ちゃん…多分君の他にかっちゃんが狙われてるんだ」
「!勝己くんが…?…多分、体育祭かな」
爆豪を連れ帰るようにあの敵は指示を受けていたと緑谷が言ったのに、招き入れようと思ったきっかけは恐らく体育祭での彼の勝ちにこだわる姿を見てのことだろう
しかし緑谷の呼吸は落ち着いたが、重症なことには変わりなくいつ倒れてもおかしくない状態だ。
怜奈はそんな緑谷の姿にぐっと唇を噛み締めるとそっと彼から身体を離した。
「…ごめんねみっちゃん、洸汰くん連れて施設まで行ける?」
「え?」
「れ……怜奈、ちゃん?」
ボロボロになった崖の縁まで移動する怜奈に洸汰と緑谷が戸惑いを含んだ声で反応すると、怜奈はゆっくりと身体を彼らに向けた。
「さっき"
「「!!」」
「今はあれ以上広がってはいないと思うけど、それでも危険すぎる。炎もこれ以上広がったらコースにいるみんなの避難が難しくなるし、負傷者も何人かいるみたい…手遅れになる前にエリアを処置して怪我人を治療する必要がある」
「まっ……待って怜奈ちゃん!!もしかして…!?」
怜奈の言葉に緑谷が声を上げ、よく分かっていない洸汰が二人を交互に見上げる。
怜奈はそんな二人に向かっていつもの様にふわりとした笑顔を向けるとその背に"
「みっちゃんは、勝己くんの所に行ってあげて?」
「そんなっ、無茶だよ!!怜奈ちゃんも身体ボロボロで、しかもタダでさえ換装で個性を酷使してるのに…そんなことしたら君がっ」
「みっちゃん」
お願い
声を荒らげる緑谷に怜奈が一言訴えれば、それ以上何も言えず緑谷はぐっと顔を俯かせた。
「…………ありがとう、みっちゃん。」
「え、え?怜奈姉ちゃん、どこ行くの?!」
今までの会話で何一つ事態がわからない洸汰は突然離れていく怜奈に行かないで!!と泣きそうな顔で手を伸ばしてくるのに、怜奈は思わず伸ばしそうになる手をぐっと抑え込むと人差し指で自身の口角を上げるポーズをとり、二人に向かってニッコリと笑いかけた
「大丈夫!絶対に、大丈夫だよ!」
「「!!!」」
目を見開く二人を背に、彼女は戦場へと飛び立って行った。