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期末試験
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「ごめん、わざわざ帰りに……」
「ううん!心操くんと寄り道できて嬉しいよ」
そんな会話から、時間は少し遡る
授業も終わり、帰ろうとしたところで後ろの扉が開き顔を覗かせたのは普通科・心操人使
彼の登場に一同が驚きに顔を染めるが、心操はそんなのに目もくれず何かを探すように瞳を彷徨わせる。
そしてその目は、怜奈を見つけたことにより動きが止まる。
「怜奈」
「心操くん!どうしたの?」
「いきなりごめん…今時間ある?」
「うん、大丈夫だよ」
首に手を当てどこか申し訳なさそうな雰囲気を譲しだす心操に怜奈は笑顔で応えると、荷物をまとめ心操のそばまで移動した。
「じゃあね皆、また明日!」
後ろを振り向き手を振ってくる怜奈は文句なしに可愛いが、その後ろでどこか得意気に目を細める心操にクラスは騒然とするのだった
(ちょちょちょ何あれ?!!どんな関係?!!)
(ぉぉおおおおちっおちおちっっちゅいて……!!!)
(緑谷くん?!!)
(ぶっ殺す………!!!)
(爆破やめろ爆豪!!!)
(………………)
(無言で教室凍らすな轟!!!)
(ヤオモモ!創造やめて!埋まる!!!)
(麗日ー!帰ってこーい!!)
(皆個性出てるよ!!!)
─
クラスメイトがそんな状況になっているとは知らず、怜奈達は学校外にある公園に来ていた。
「心操くん!クレープ売ってるよ」
「確かクラスの女子が言ってた気がする…食べる?」
「食べたいっ」
最近普通科の女子の間で話題に上がっているという移動式のオープンカーで販売されているクレープは、それほど人が並んでいないこともありすぐに買うことが出来た。
クレープを片手に近くのベンチに腰を下ろす。
「美味しそう〜」
「怜奈、店の人に凄いおまけしてもらってたね…いろいろ落ちそう」
「お兄さんが優しかったんだね」
「(絶対それだけじゃないと思うんだけど…)」
チョコやフルーツなど色々トッピングされている怜奈のクレープに挙動不審になりながらもデレデレに顔の緩みまくっていた店員の姿を思い出し心操がそうこぼすが、本人はにこにこと嬉しそうに笑いその裏に気づいていない。
「わ、美味しい!」
「ん、ほんとだ…」
やはり噂されるだけあってその味は美味しく、話している間にあっという間に食べ終わってしまった。
それに美味しかったね〜と怜奈が笑いかければ、心操も同意を返す…が、柔らかかったその表情に影が落ちる。
「それでさ、今日呼び出した理由なんだけど…」
「うん」
心操の異変に気付き、怜奈も真剣な顔で彼の言葉を待つ。
心操は二、三度視線を逸らすと自身の膝に肘をたて、口元を覆った姿勢のまま小さく吐き出した
「…………心配、したんだ……。」
「……………え?」
耳を僅かに赤く染めながら言った心操に、数秒経って怜奈の口からは気の抜けた返事がこぼれ落ちた
心操は一言声に出せたことにより、その続きをぽつぽつと繋いでいく
「動画見てさ、ステインのやつ…そこに怜奈が映ってて、拘束しただけでも驚いたのにあんな言葉までかけちゃうしで…すごいと思った。」
けど…と心操は1度区切りを入れるとぎゅっと拳を握った
「同時に、すごい心配した」
「!」
「ネットとかでも、怜奈だって特定されちゃってるし。今日もさ、学校来てるかなって見に行っただけだったんだけど、いるって分かったらどうしようもなく安心して、思わず声かけちゃって…って何言ってんだ俺……」
真っ赤になった顔にぐしゃぐしゃと髪を掻き乱す心操は、確かに怜奈の言葉に胸を打たれたが、心配の度合いの方が大きかったのだという。
そんな彼に大人しく話を聞いていた怜奈は、ふふっと笑い声を漏らした。
「ちょ、何笑ってんの…」
「だって心操くん、顔真っ赤だもん」
「な!俺は真剣に…」
くすくすと笑い声が止まらない怜奈に心操は赤い顔のまま笑うなよ!と拗ねたように唇を尖らせた。
「あはは…ごめんね、心操くん」
「……」
「…………ありがとう」
そっぽを向いてしまった心操にお礼を言うと、彼はぴくりと反応した後ゆっくりと視線をこちらに向けた。それに今度は優しく笑いもう一度感謝を伝える。
「…あの時、ステインをこのままにしちゃったら…もう二度と、彼を救けることは出来ないと思った…」
「…怜奈…」
「救けたいって…思っちゃったんだ」
無意識に動いちゃったんだよと困ったように眉を下げながら笑う怜奈に、心操はぎゅっと心臓が掴まれるような感覚がした。
例え相手が圧倒的な悪でも、彼女はこれからも救おうとするだろう。
自分を導いてくれたように……
そんな彼女の隣に立てるように、自分は追いつかなければいけない。
共に戦える力をつけなければ、本当に追いつけなくなってしまう。
「…俺、絶対追いつくから」
「心操くん…」
「だから、待っててよ」
どれだけ距離が近くても、現実はまだまだ遠い。
その事実に目を背けずそう真っ直ぐに怜奈を見つめれば、彼女ははくしゃりと笑い返した。
「大丈夫、心操くんなら…絶対大丈夫」
いつもの台詞を言いながらね?と拳を向けてくる怜奈に、心操も柔らかく笑いながらその拳に自身の拳を軽く合わせて、2人で声を上げて笑い合った。
そして暫く談笑した後、それぞれの帰路を辿った…のだが、家に帰宅してスマホを開いた怜奈は、クラスメイトからのあまりの着信とメールの数に目を見開くことになるのだった。
(え、な、何でこんなに着信が……?)
(怜奈ちゃん、心操くんとどんな関係なんだろう……!!)
(心操って奴……初めに会った時に釘さしておくんだったな…油断した)
(クソが!また変な虫がつきやがった…!)
(ああ怜奈さんっ…どうかご無事で!)
(怜奈ちゃん心配や…!!)