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「だが…すまない怜奈くん。君に関しては、隠蔽することは叶いそうにないんだワン…」
轟から手を離し、やり取りを静かに見守っていた怜奈に、頭を上げた面構がどこかやるせなさを感じさせるような物言いで言ったのに、緑谷達は怪訝そうに表情を固くする
「君の姿が、一般人から投稿された動画に写ってしまっているんだワン」
「「「!!!」」」
「そんなっ…?!」
「それってもうネットに上げられてるんですか?」
「……ああ」
あの時、連れていかれそうになった緑谷を救出した場面、また誰も動けない状況下でのステインの拘束に彼にかけた言葉…それら全てが、避難せずにいた一般人によって撮影されてしまっていた
「先程も言った通り、君は"戦闘許可"を貰っての拘束の為、処罰の対象とはならない。が、君の姿は良くも悪くも目立ちすぎる…ネット上ではすでに君だということが特定されてしまっているんだワン」
1度ネット上で上げられてしまったものは二度と消すことは叶わない。
その事実に苦しそうに顔を歪める面構
「…そして何より問題なのは、ステインの君に対する忠誠を誓うあの姿勢と…"我が君"という言葉」
「「「!」」」
「何故そうなったのか、わかるかい?」
それに対して、緑谷達が怜奈を庇うように声を上げ、また飯田と轟が彼女の前に立つ
「それは、怜奈ちゃんが問題なんかじゃないです!」
「そうです!彼女は潔白だ!!」
「怜奈を疑うんですかッ…!?」
面構の言った言葉が、まるでステインの関係者ではないのか?と疑っているように聞こえて、3人は思わず熱くなってしまう。
「──"本物のヒーロー フェアルズの御息女よ"」
「「「!!」」」
「………彼が、私に向かって言った言葉です。」
飯田と轟の肩に優しく手を置き、彼らを落ち着かた怜奈は瞳を伏せながらその時の場面を思い出す。
「……やはり…」
「え…?」
「"ヒーローとは、見返りを求めず自己犠牲をもって得られる称号でなければならない"…これは、ステインのヒーローに対する思想だワン」
怜奈の言葉にどこか納得したように瞳を閉じた面構に、怜奈はここに着く前に彼が聞いてきた言葉とステインの思想を聞き、まさか…と目を見開く。
「そう、君の父親…ファンタジーヒーロー・フェアルズは彼の思想に当てはまる人物なんだワン。」
贋物ではない、本物の輝き…
自己犠牲、と言ってしまうとあれだが、確かに誠は他人を救おうと自分を引き換えにした人だ。
ステインは恐らく、そんな誠を本物のヒーローだと認めていたんだろう。
だから、そんな彼の娘を傷つけることができなかったのだろうか、と思考をめぐらせていると、だが…と面構が言葉を漏らす
「私が思うにそれだけではないと思うんだワン」
「それって…」
「どうゆう……」
「君の言葉と…血に染まった己をも救いだそうというあの姿…それが、彼の求めるものだったんだと思うんだワン」
「!」
つまりステインは、フェアルズの娘伝々とは関係無しに、怜奈その者を本物のヒーローとして認めた上であの姿勢を見せたんだと、面構は語る
「今回の事件で、ステインの思想に感化されてしまう者達も出てくるだろうが…それと同時に、君の言葉と信念に動かされる人も少なくはないと思うワン。」
大変不本意ではあるが、君の言葉が世間に回ったことにより良かったこともあると面構は再び怜奈に頭を下げ、自分はまだ仕事があるのでとその場をあとにした。
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面構に続いてマニュアルも退出し、グラントリノも電話をしてくると言ったのに、じゃあ自分は飲み物でも買ってこようかと怜奈も轟達に一言声をかけてから一度退出する。
病院内に設置してある売店に行き無事飲み物を買い終え病室へと歩いていると向かいからスマホを持った緑谷が歩いてくる。
「みっちゃん、誰かと電話してたの?」
「あ、うん。麗日さんから連絡きてて…」
「そっか。心配してくれたんだね、お茶子ちゃん」
ジュース持つよと言ってくれた緑谷に半分だけ渡し病室への道を一緒に歩いていく。
先程まで確か飯田の診察時間だったが、もう終わった頃だろうかと話しながら扉を開けると飯田と轟の姿があった。
それに診察は終わったのだとそのまま扉を閉める。
「飯田くん、今麗日さんがね」
「怜奈、緑谷」
緑谷の言葉を遮った轟から聞いたのは、飯田の腕に後遺症が残るということ
後遺症、という言葉に息を飲んだが、手術で治るということにほっと緑谷と息を吐く
「ヒーロー殺しを見つけたとき、何も考えられなくなった。マニュアルさんにまず伝えるべきだった。奴は憎いが…奴の言葉は事実だった。だから、俺が本当のヒーローになれるまで、この左手は残そうと思う」
戒めとして残すと言った飯田に、同じく手の傷を残すと言っていた緑谷を見れば、彼はその決意を聞き松葉杖を使い飯田の前まで行くと傷の残る右手を力強く握る
「僕も…同じだ。一緒に、強く…なろうね」
それに深く頷きを返す飯田に、優しくその光景を怜奈が優しく見守っていると、轟が何か考えるように俯くのを見てどうしたのかと尋ねると、いや…と言葉を濁す
「なんか…わりぃ…」
「えっと、何に…?」
全員がハテナを浮かべながら轟に視線が向く中、彼は自身の右手を見つめながら至極真剣且つ神妙な面持ちで言った。
「俺が関わると…手がダメになるみてぇな…感じに…なってる…呪いか?」
…数秒後、室内に緑谷と飯田の笑い声が響き渡った。
「あっはははは!何を言っているんだ!!」
「轟君も冗談言ったりするんだね」
が、怜奈だけは何かを考えるように手を口元に当てると、弾かれたように顔を上げた
「…は、ハンドクラッシャー…??」
「…!」
「「ハンドクラッシャー!!!」」
その言葉に轟もハッとしたように怜奈を見てそれだ!とでも言うかのように人差し指を怜奈に向けた
怜奈のハンドクラッシャー発言と轟とのド天然なやり取りを見て、更に緑谷と飯田は笑い声を響かせた。
(大丈夫だよ焦ちゃん!何かかっこいいよ!)
(ちょ、怜奈ちゃん、それ何の解決にもなってな…ブフッ!!)
(俺はハンドクラッシャー的な存在だったのか…!!)
(っははは!真面目な顔で言わないでくれ轟君!)