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翌日
怜奈達4人は昨夜保須総合病院に運ばれた。
怜奈は擦り傷だけだった為すぐにエンデヴァーの元へ戻ったが、3人は怪我の治療のため同じ部屋で休んでいる。
「怜奈、本当に入院せんで良かったのか?」
「全然大丈夫だよ!擦り傷だけだもん」
お見舞いと集合をかけられた怜奈は途中で合流したグラントリノと病院の談話スペースで飲み物片手に会話していた。
「体育祭では見たが、最近顔見せんかったから心配しとったぞ」
「ごめんね、パーパも忙しくて…」
「俊典なんかどうでもいいわい!わしは怜奈が来てくれたらいいんじゃ!」
「あはは……あ、おじいちゃんこれキッチン借りて作ったの。よかったら食べて?」
「む?!たい焼きか!!」
「おじいちゃん、好きだったでしょ?」
たい焼きの入った容器をグラントリノに渡せば、ふんふんと鼻歌を歌いながら上機嫌で受け取る。
今朝朝食を作る際に"
因みにあまりの朝食の美味しさにサイドキック達は泣いた。
『うわ美味しい………!!』
『五臓六腑に染み渡る……!!』
『いっぱいご飯食べて、今日も一日頑張りましょうね!』
『『天使………』』
『こら怜奈ッ!!まだ動くなと言っただろう!!!もっと身体を休めてだな……』
『おじさん、ご飯…いらない?』
『お代わりはあるか!!!!!』
『『『食べるんじゃないすか!!』』』
それから暫くして、飯田の職場体験先であるヒーロー・マニュアルと保須警察署長・面構犬嗣と合流する。
「君が、神風怜奈さんだワンね。噂は予々聞いているワン」
「本日は態々御足労いただき、ありがとうございます」
「当然のことだから、気にすることはないワン」
面構に向かい頭を下げれば、彼はそれを制し緑谷達のいる病室へと足を進める。
歩いている途中で、つかぬことを聞くが…と面構が声をかけてくるのに、怜奈はかなり高い位置にある顔を見上げる。
「君の父親は、ファンタジーヒーロー・フェアルズさんだワンか?」
「…はい」
何故父のことを聞いてくるのかと疑問に思い首を傾げれば、面構はふむ…と顎に手を当てて何かを考えるような素振りを見せたが、病室が見えてきたことにより意識をそちらに向ける。
「いや、違うさ。俺は……」
と、僅かな話し声が聞こえたが、引き戸を静かに開き、3人を視界に入れる。
「おお、起きてるな怪我人ども!」
「みんな大丈夫?」
「怜奈」
「グラントリノ!」
「マニュアルさん!」
まずはグラントリノ、怜奈、マニュアルが扉から姿を見せると、3人がそれぞれ名前を言うのに、思いの外元気そうだとほっと息を吐く。
「よかった…思ったりより元気そうで…」
「怜奈ちゃん、傷とか大丈夫?」
「うん!みんなと比べたら全然大したことないから…」
戦いの時に全くと言っていいほど攻撃されなかったのを思い出し、拳を軽く握る
「まったく、怜奈の体に傷が残ったらどうするんじゃこの馬鹿者!!」
ズビシッとグラントリノが緑谷に杖でチョップをかますのに、怜奈が慌てて止めると彼は渋々と言う感じに杖を離し「グチグチ言いたいが…」とひとつ前置きをおき、後ろを指さした。
「その前に来客だぜ。保須警察署署長の面構犬嗣さんだ」
開けっ放しだった扉から面構が姿を現すと、署長ということに飯田と轟が姿勢を正し、緑谷も慌てて立ち上がろうとする
「かけたままで結構だワン。君たちがヒーロー殺しを仕留めた雄英生徒だワンね」
そんな緑谷を制止させると、聞く体制になった彼らの姿を確認して話し始める。
「ヒーロー殺しだが…火傷に骨折となかなかの重傷で、現在治療中だワン」
つまり今回行ったことは、資格がないにも関わらず個性を使って危害を加えた立派な規則違反であるということだと、面構は言った。
警察が個性を武器として使うことをやめたことで圧倒的に不足する武の穴を埋めるためにヒーローという職業が生まれ、
それが認められたのも、黎明期のヒーローたちが規則を遵守し規律をしっかりと示したからなのだ
先人たちの努力を守るために、ヒーローは資格制なんだと、淡々とした口調で伝えられる。
「君たち3名、およびプロヒーロー・エンデヴァー、グラントリノ、マニュアル。この6名には厳正な処分が下されなければならない」
3名と言う言葉に、怜奈が目を見開き面構と向き合うような体勢で彼を見上げる。
「あの!3名って…私も処分を受けるべきじゃ…それにエンデヴァーさんからは戦闘許可を貰っているはずです!」
「確かに君はエンデヴァーから"戦闘許可"を貰っているが、轟くんは直接はもらえていない。加えて君が行った行動はあくまで敵の"拘束"…直接的な被害を最小限抑える形での対処と直接戦闘許可を貰ったことにより、処罰という形には当てはまらないんだワン」
「っ…でも!」
それでも納得出来ないと声を上げると、隣に轟が並び彼もまた声を上げる
「待ってくださいよ」
「轟君…!」
轟の顔には、納得出来ないという感情がありありと写っており、またその声音にも苛立ちに近いものが込められている。
「怜奈が処分免除なのはそれでいい…けど飯田が動いてなきゃ、ネイティヴさんが殺されてた。緑谷が来なけりゃ2人は殺されてた。誰もヒーロー殺しの出現に気づいてなかったんですよ。規則守って見殺しにするべきだったって!?」
「結果オーライであれば規則などうやむやでいいと?」
「ちょっ、待って轟くん!」
今にも掴みかかりそうな轟に緑谷が声を上げ、轟の処罰免除の発言に納得してはいないが怜奈も肩に手を置いて引き止める。
それに轟は振りほどこうとはしないものの、依然として強く面構を睨みつける。
「人をっ…救けるのが、ヒーローの仕事だろ!」
「だから君は卵だまったく…良い教育をしてるワンね、雄英も、エンデヴァーも」
「っ、この犬…!!」
「焦ちゃんっ!だめ……!!」
轟の発言に怜奈が手を取り落ち着かせるように握ると、轟はハッと怜奈を見遣り、彼女の瞳が悲しみに揺れているのを見てぐっと顔を俯かせる。
「──以上が警察としての意見。で、処分云々はあくまで公表すればの話だワン」
心なしか声のトーンが明るくなった面構の言葉に、皆でどうゆうことかと顔を見合わせる。
説明すると、今回の事件のことを公表すれば世間一般では褒め称えられるが処罰を受けることになる。
が、逆を言い公表しなければステインの怪我にある火傷の跡をエンデヴァーが負わせたものとし、彼を功労者として擁立することができるのだ。
目撃者が僅かであったことも含めて、この違反は握りつぶすことが可能だと言う
「だが君たちの"英断"と"功績"も、誰にも知られることはない。どっちがいい!?1人の人間としては…前途ある若者の"偉大なる過ち"にケチをつけさせたくないんだワン!?」
本来ならば彼も警察署長として罰を与えなければならない。けど面構は違反であったにしても自分達の行った行動を"英断"として捉えてくれた。
そんな彼の言葉に、迷わず3人は「よろしくお願いします」と頭を下げた。
「大人たちのズルで君たちが受けていたであろう称賛の声はなくなってしまうが、せめて…ともに平和を守る人間として…ありがとう!」