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話していると、次々と要請を受けたヒーロー達が集まってきた。
彼らはエンデヴァーから要請を受け、本人は今も脳無と交戦中とのこと
「………3人とも、僕のせいで傷を負わせた。本当にすまなかった。」
頭を下げた飯田の瞳からは涙が溢れ、地面に小さなシミをいくつも作る。
「何も……見えなく……なってしまっていた……!!」
「僕もごめんね、君があそこまで思いつめてたのに、全然見えてなかったんだ。友達なのに。」
「しっかりしてくれよ。委員長だろ?」
「っうん!!」
緑谷はもっと気にかけるべきだったと謝り、轟もぶっきらぼうだが励ますような言葉をかける。
そして飯田は怜奈へと向き直る
「怜奈くん、僕は…」
「、ふふっ…」
「…?どうかしたか?」
「飯田くん、名前で呼んでくれてるね」
「なっ!?あ、すっすまない!!」
「あはは、いいよ!嬉しいからっ」
いつの間にか怜奈の名前を呼んでいることを笑いながら指摘すれば、飯田も無意識だったのだろう、顔を赤くしながらあたふたと慌てている。
「…うん、そっちの方が飯田くんらしいよ」
「!」
そう言って自身を優しく見上げる怜奈に、飯田の背筋がピンっと伸びる
「…大切な人が傷つけられる苦しみは、とてもよく…わかる」
「ッ……怜奈…」
静かに瞳を伏せる怜奈に轟が声をかけ、緑谷も心配そうに彼女を見遣る
「…けど、"誰かを傷つける"という行為は…許されるものじゃない。」
「…ッ」
「飯田くんも……本当はわかってたんだよね…」
間違っている事だということは、きっと飯田自身気付いていただろう。
それでも、動かずにはいられなかったのだろう
「…でも、間違っていないのが、ひとつだけあった
──"誰かを想う"…それは、間違ってはいなかった」
「!!」
再び顔を上げた怜奈は、飯田を優しく包み込むような笑顔で、諭すように言葉をかける。
その言葉に、ぐっと唇を噛み締めながら、再び飯田の瞳に光の膜が浮かぶ。
「立って歩こう。今度はちゃんと、前を向いて……意志は…受け継ぐことができるから」
握りこぶしを作り、飯田の胸にトンっと押し当てると、飯田は嗚咽を漏らしながらも感謝の言葉を伝える。
グラントリノはその光景を、まるで懐かしむかのような瞳で見送った。
「(さすが、あ奴らの娘だな……)」
話しながらエンデヴァーや他ヒーローと合流する為に歩いていた時だった。
──背後から何かがこちらを猛スピードで近づいてくる気配がしたのは
「「伏せろ/て!!!」」
その気配に真っ先に気付いたグラントリノと怜奈が叫ぶが、遅かった
「わぁぁぁぁぁぁぁ!」
「みっちゃん!!!」
左の眼球をえぐられ血を流しながら滑空してきた脳無は一直線に緑谷へと向かい、足で彼を掴むと急上昇した。
「離して……!!」
"
それに目を見開くと同時に感じる禍々しい気配に、一瞬気を取られそうになるがそのまま脳無の脳天に拳を撃ち込む。
「うっ!」
「みっちゃん!」
「怜奈ちゃんッ……」
その間に脳無の足から解放された緑谷を抱え、地面に静かに足をつける。
「贋物が蔓延るこの社会も…いたずらに”力”を振りまく犯罪者も、全てが粛清対象だ……」
禍々しい気配……目覚めたステインは個性で脳無の行動を抑制し、地面に叩きつけられた脳無の脳天に留めとばかりに刃物を突き刺した
「すべては正しき社会の為に……。」
ずるりと脳無から刃物を抜き取りながら言った言葉に、その場にいる者達はズンっと一斉に重力が重くのしかかってくるように感じた。
「何故一かたまりで突っ立っている!?そっちに1人逃げたはずだが!?」
その時、脳無を追ってきたのだろう、路地裏の細道からエンデヴァーが顔を飛び出してきてヒーロー達に声をかける。
「あの男はまさかの…ヒーロー殺し!!」
「待て!轟!!」
炎を滾らせるエンデヴァーに、グラントリノが待ったをかけるも、ステインの瞳が嫌悪でどろりと濁る
「エンデヴァー……」
エンデヴァーの姿を映した途端に漏れ出す殺気
先ほどよりも空気がビリビリと震え、身体が、心臓が、その波動を敏感に拾い上げ、襲いかかってくる。
「偽物…正さねば──誰かが…血に染まらねば……!ヒーローを取り戻さねば!!」
あまりの気迫に、緑谷達はもちろん、グラントリノもエンデヴァーも、誰一人地面に足が貼り付けられてしまったかのように、動くことが出来ない
「来い、来てみろ偽物ども!!俺を殺していいのは、
「────私は、あなたを救いたい」
ただ、一人を除いて
「……手の届く距離にいるのに…救えないなんて……もう、いやだ……!!」
怜奈はステインの前に移動し、"
怜奈が動けたのは、殺気に慣れているとかではない。
ただ、ここで彼をこのまま見過ごしてしまったら、本当に救えなくなってしまう。
"救いたい"…その思いが、彼女の体を動かしたのだ。
「…確かに人は、何かの犠牲なしに何も得ることなんてできない……何かを得るには、同等の代価が必要になる……」
堪えるように吐き出された言葉は、その場にいる全員の心に突き刺さるような思いを纏っていた。
「…なら私はッ!その代価に自分の未来を賭ける!!」
「「!!!」」
「…血に染まり築き上げなければ得られないものがあるなんて、私が!"ヒーロー"として、させない…!!」
ステインを虹色で射貫きながら言った彼女の背中は、ここにいる誰よりも大きく見える。
「だからもう…これ以上…………血に染まらないで…」
最後にそう怜奈が泣きながら微笑めば、ステインは目を見開くが、次の瞬間には片膝をつき、まるで忠誠を誓う武士のように、その頭を怜奈に向かって下げた。
「………やはり、貴女は私の……わ、が…き……み…」
そしてステインはその姿勢のまま、意識を失った。